七夜式のやりたい放題なブログ

第四話 力




「やあ、準備ははかどっているかい?リボンズ」


スカリエッティはリボンズに尋ねた。


「はい、ドクタースカリエッティ。現在70%が完了しています」


「そうか・・・焦っても失敗するだけだからね。慎重に頼むよ」


「分かっていますよ、ドクター・・・っ!!」


リボンズの顔が引き締まる。


「どうしたんだい?」


「早乙女アルト在住の街に、英霊の反応・・・数は6。点在です」


「何!?・・・と言うことは、始まるのか・・・聖杯戦争が・・・・」


受話器を取る。レオンの所にダイヤルを回す。


「・・・ああ、レオンか。私だ・・・聖杯戦争が、始まる」


『何!?このタイミングでか!?・・・分かった。グレイスにも伝えておく』


「ああ、頼むよ」


電話を切る。スカリエッティは天を仰いだ。


「計画に支障が無いといいがね・・・」


                   第四話 力


「アルト、こっちだ」


錬に呼ばれるままアルトはついて行く。外へ出た。


「アルト。お前は力が欲しいとは思わないか?」


「力・・・?」


「そうだ。誰かを護り、誰かを傷付ける力を」


「誰かを・・・護って、誰かを・・・傷付ける」


敢えて錬はこういったのだ。


何故なら、『護る』事は『傷付ける』事だからだ。


護りたいものが増えるのと傷付けるものが増えるのはイコールではない。


傷付けるものが増えたって護るものは増えないかもしれない。


だが、何かを『護る』には何かを『傷付ける』。それは変わらないだろう。


人ならば尚更だ。


「・・・考えさせてくれ」


「ほう?どうした?」


錬は面食らった。直ぐに答えを出すと思っていたからだ。


「・・・俺は、護りたいモノがある。けど、力を手に入れたら暴走するかもしれない。それに戸惑ってるだけだ」


「・・・ふふふ、ふふふふ・・・ふははははははははははははは!!」


いきなり錬が笑い出す。


「なっ・・・何だよ!!真剣なのに!!」


「いや、お前を見くびっていた」


「は?」


「お前は、直ぐに答えを出そうとする莫迦かと思ったんだ」


「・・・確かに、前の俺はそうだったかもしれないが、あの時分かった。向う見ずは死を招くかもしれない」


「・・・そうだ。向う見ずは時に死を招く。戦場ではな」


「・・・一日待ってくれ」


アルトが進言した。


「一日で決めるのか?」


「ああ。明日、俺の学校に来てくれ。その時俺の決意を話す」


「・・・そうか、分かった。では送ろう」


「いやいい。幸い此処からだと家も遠くない。歩いて帰れるさ」


そうしてアルトは病院を後にした。 


そして後にアルトは後悔する。


錬に送って貰えばよかった、と・・・


 To Be Continued...


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