七夜式のやりたい放題なブログ

第二十六話 宣戦布告




ミリアルドが初任務を終えて1ヵ月後の3月3日。ミッドチルダは、かつて無い恐怖に晒された。


―――3月2日 ミリアルド邸


「おはようミリアルド~。今日の朝御飯何~?」


「おはようセシリア。今日はそんなに重くないものだぞ。非番とはいえ、朝から重いとろくに動けないからな。簡単にパンで少しアレンジを加えてベーコンとレタスを挟んでみた」


現在セシリアはミリアルドの家に泊まって生活している。


理由は『局に近い』から。泊まり始めたのは初任務後の9週間後。


勿論最初はミリアルドだって反論した。だが断る理由は『一つ屋根の下に男女が一緒になって寝る』の1つ。


得は『賑やかになる』。


最終的にはミリアルドの部屋から1番離れた部屋にしてもらった。


「おお~こらまた凄い。いただきまーす!!」


「そんなに急くなよ。喉に詰まらせて死んだ、とか言ったら俺までどんな目にあうか」


セシリアとミリアルドはパンをかじりながらテレビを見ていた。


他愛も無い報道が続く。あの3人娘の事や、最近起こった事件、経済についてなどだ。


「ミリアルドは普段ニュースとか気にする?いつもつけてるけど」


セシリアがミリアルドに尋ねた。


「ああ、事件については気にするな。経済やバラエティはあまり気にすることは無いな」


「ふーん。まぁバラエティ見てる暇も無いしね」


またパンにかじりつく。そんなこんなで朝食は終わった。


―――夕方


自室で半分寝ていたミリアルドの携帯が鳴った。


「ふぁい。ミリアルド・ストリンドヴァリ。なにか御用で?」


『俺だ』


「おおルルーシュ。どった?」


ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。彼はミリアルドの友人で、同じS.M.Sの一員でもある。


彼は目と足が不自由な妹のナナリーが安心して暮らせる未来を作るために入ったそうだ。


『寝起きは本当に口調が酷いな。まぁいい。テレビを見てみろ。ニュースユニオンだ』


「解った。待ってくれ。これから居間に行く」


―――居間


「・・・こいつぁ何だ?何かの冗談か?新手の悪戯か?」


『いや、俺も見ているということは本物だろう。とにかく見ておけ』


「了解した。こらまた凄い事になってるな」


そう言って電話を切った。


携帯でセシリアを呼ぶ。理由は『ここから遠い』ので、携帯の方が早いのだ。


『ん?何?どうかしたの?』


案の定セシリアの声が返ってくる。


「ああ、ルルーシュがテレビをつけろって言うもんだからつけたら面白いもんやってたから」


『あ~い、今行くよ~』


そこで電話を切った。


『おいミリアルド。これはどういう意味なんだ?』


「あ?それは見たまんまだよ」


脳内に声が響いた。声の主はレイカ。あの任務の後、ミリアルドは自分の身体についてレイカから聞かされた。


―――約1ヶ月前、ミリアルド邸自室


「さて、ではこの身体について話してやろうじゃないか」


同じ口で喋っている為、端から見れば「変人」がお似合いだがそうも言ってられない。それに何故かレイカのときは声が女の声になっている。


「まずは私についての根本的な部分だな。私はレイカ・ストリンドヴァリ。この身体のもう一つの人格だな。そして私はお前の『破壊衝動』のみを引き出した部分だから、かなりアグレッシブだ。そしてこの能力は私が全面解放されているときは5分と保たない」


「怖。それで、何で同じ身体なのにお前の方が戦闘能力が上なんだ?」


「それは私がこの身体の塩基配列を変えているからだ。私は『破壊衝動』の塊だからな。身体も戦闘用に組み替えるんだ。お前は駄目だぞ。理性が崩壊するからな」


「怖っ。流石に理性の崩壊は避けたいな」


「だから使わせない。そして、私が目を覚ましたことにより、お前の右手の甲に刻印が出たはずだ」


ミリアルドは右手を見た。確かに、翼の様な形の刻印が出ていた。


「これは『力』であり『呪い』だ。この刻印がある限り、私たちに『力』と『呪い』が付き纏う」


「力と、呪い・・・」


「そうだ。次に話すのは『力』と『呪い』についてだ。まずは『力』だな。私たちの力は『1度見た技、武器を自分なりにトレースする』能力だ」


「・・・もう少し解り易く」


「仕方がないな。例を挙げるなら、まずはあの爺さんだな。あの爺さんからお前は石破天驚拳とかいう技を教えてもらったが、あれはお前がその目で『視て』脳に記憶された爺さんの構えを完全にトレースしたからだ」


「成る程。道理で簡単に撃てた訳だ」


「もう一つ。『武器』のトレースだ。お前、高町なのはの『レイジングハート・エクセリオン』をイメージしろ」


「解った」


目を閉じ、あの特徴的ななのはのデバイスの形状を思い出す。


何かが右手に乗った。


目を開くと、そこには黒いレイジングハートがあった。


「凄いな・・・」


「このデバイスから放たれ、お前が見た技なら記憶される」


「うわ、1個も見てないぞ」


「それならただの杖でしかないな。さて、次は『呪い』についてだな。私たちにかけられた呪いは、『賭け事等の勝負事に負けてはいけない』」


「また酷くプレッシャーの掛る様な呪いだな」


「そうでもないさ。『勝てば』いいんだよ、『勝てば』さ」


「難しいな。絶対的な勝利は」


「そして私について詳しくだな。私は『プロジェクトC』と呼ばれる計画の産物だ」


「プロジェクト・・・C?」


「そう。プロジェクトC(コード)。本来は1人の脳を弄って、思考速度を上げる計画だったのだが、何故か手違いで私が生まれたらしい」


「じゃあ俺の脳は弄られてたのか・・・」


「ああ。お前の両親が死んだ直後にな」


「誰が弄ったんだ」


「ジェイル・スカリエッティ。有名な犯罪者だ」


「知ってる。色々とやらかしたんだっけな」


主に人体実験等で問題になったのだ。


「あと聖痕だな。背中に刻まれた巨大な刻印。それは、相手が使った技を自分が使用し、相手を『喰らう』。その時にお前に理性は無い」


「また怖いな」


「まぁ後の細かいことは追々話すとして、これからよろしくな、ミリアルド」


「・・・ああ。宜しくな、レイカ」


―――現在、ミリアルド邸


「そういえば、セイバーは帰ったのか?」


レイカがミリアルドに尋ねた。


「ああ、自分の帰るべき場所にな」


―――1週間前、ミリアルド邸


「セイバー、本当に、いいのか?」


「はい。私が、私自身の意志で決めたことです」


セイバーは決めたらしい。この世界にはとどまらず、自分の世界に帰ると。


「この数週間、今までにない事を沢山楽しめました。感謝しています」


「いや、俺の方こそ世話になったな。聖杯戦争を知らない俺に、ここまで付いて来てくれた」


「ええ。あの時は貴方は何も知らなかった。今思い出すと笑い話です」


セイバーは微笑んだ。


「これは貴方への餞別です。受け取ってください」


そういってセイバーが差し出したのは、鞘に収められたエクスカリバー。


「いいのか・・・ってか、お前が消えたら剣も消えちまうんじゃないのか?」


「大丈夫です。その剣だけはこの世界に居続けます。その剣で、この後の戦乱も切り抜けて下さい」


「そうか・・・」


ミリアルドはセイバーから聖剣を受け取った。


「有り難く受け取っておくぞ。この先この剣の力は俺にとって助けになると思うから」


セイバーはその声を聞き、にっこりと微笑んで、光の中へ姿を消した。


―――現在、ミリアルド邸


「来たよ~」


セシリアが気だるそうな声で居間に来た。


「やっと来たか。これ観てみろよ」


ミリアルドはそう言ってテレビを指差した。


「うわっ。また大きく出たわね~。向こうは大丈夫かしら?」


先ほどから見ているテレビの内容は、『新統合軍大統領暗殺!?犯人は管理局か?大統領補佐涙の会見』と出ていた。


『我が軍は、時空管理局により1番上に立つものを殺された!!我々はこれを宣戦布告と判断し、時空管理局に武力による全面戦争を仕掛ける!!』


「滅茶苦茶だな。アストナージに連絡しよ」


ミリアルドは携帯を取り出し、アストナージに掛けた。


『何だ?ミリアルドか?』


「ああ。そういえば、キュリオスは残ってるか?」


『誰も使わなかったから1機残ってるぞ』


「俺にそいつを使わせてくれ。今エクシアを修理してたら統合軍との戦争に間に合わない」


『解った。武装はGNビームサブマシンガン、GNビームサーベル、GNシールドだ。シールドは先端を分割させて中心からクローが出る仕掛けだ』


「有り難う。宜しく頼む」


そう言って電話を切った。



「ミリアルド、キュリオスに乗るの?」


セシリアが心配そうにミリアルドの顔を覗き込んだ。


「ああ。このままGNソードやGNシールド、GNブレイドの修理を待ってたら間に合わないからな」


「そっか。頑張れ」


そうして2人はまたテレビを見始めた。


『我々は、『GNドライヴτ(タウ)』と呼ばれる新たな科学武装を手に入れた!!管理局のSMSに配備されているGNドライヴとは違い、こちらは量産が可能だ。現在ジンクスと呼ばれるMSを量産中だ。そして何人かのパイロットにはこのMSが配備される』


レオン三島は3機のMSを画面に映させた。


「あれは・・・ガンダム、なのか?」


「私たちが遭遇したのと同じだよ」


レオンは説明を始めた。


要約はこうだ。


ガンダムスローネアイン:砲撃に特化した黒いガンダム。背中の『GNランチャー』はデュナメス並みの命中精度とヴァーチェ並みの火力を有する。後記の『ガンダムスローネツヴァイ』と『ガンダムスローネドライ』と連携して『GNメガランチャー』が発射可能。


ガンダムスローネツヴァイ:接近戦使用のオレンジ色のガンダム。右肩に巨大な剣『GNバスターソード』を携える。この剣はGN粒子を這わせることにより敵の武器を溶解することも可能。腰アーマーには8基の『GNファング』が装備されている。ファングは全方位からの変幻自在な接近攻撃が可能。


ガンダムスローネドライ:主に戦況を左右させることに特化したガンダム。背中の『GNコンデンサ』により広範囲における擬似GN粒子の散布が可能。擬似GN粒子、GN粒子にはレーダー網に掛らないステルスシステムが使用されているので、それを利用したもの。


「手が込んでるな」


「そうね。少数でも侮れないわ」


『そしてこのガンダムに乗ってもらうパイロットは、アインにはヨハン・トリニティ中尉、ツヴァイにはアリー・アル・サーシェス大尉、ドライにはネーナ・トリニティ少尉を』


―――アルセイユ、艦橋


現在アルセイユは新武装の積み込みを行っていた。シードと練はやる事も無いので艦橋で共にテレビを見ていた。


「何!?アリー・アル・サーシェス・・・だと」


練が怒気を孕んだ声で言った。


「どうした練。知っているのか?」


シードが驚いた口調で言った。


「忘れられる訳がねぇ。奴は、俺の家族をテロで殺したんだ」


―――ミリアルド邸


現在製作中のガンダムも存在するらしいい。


ストライクフリーダムガンダム:背中に8基の『スーパードラグーン』を装備している。機構はファンネルと同機構。その他武装はビームライフル2丁、腰にクスィフィアスレール砲を2門、ビームサーベル2本。カラーリングは白を基調に胸、翼が紺色、ドラグーンが青だ。


インフィニットジャスティスガンダム:背中に『ファトゥム』と呼ばれるMS支援空中機動飛翔体を装備。主にサブフライトシステムとして機能する。武装はビームライフル1丁、ビームサーベル2本、左右膝から爪先間にかけて装備されたビームサーベル。カラーリングはピンク基調の胸、背中のファトゥムが濃い赤。


デスティニーガンダム:背中に赤い翼を携えたガンダム。その翼からはGN粒子を散布させて幻影を作り出す。武装はビームライフル1丁、背中に長距離ビーム砲1基、巨大な対艦刀、掌にビーム兵装。


そして現在量産中なのが『アヘッド』という高機動型のMS。武装はビームライフルとビームサーベルらしい。


「どう思う?」


「どうってさ・・・勝つしかないだろ。絶対に勝つんだ。俺達の居場所を守る為に」


ミリアルドははっきり言った。言い終った後、セシリアがミリアルドノ後ろに回って首に腕を回してきた。


「お。おい・・・」


「えっへへ」


思いっきり笑顔だ。こうなったらミリアルドは抗えない。


「俺達、ってその中に私も入るの?」


「当たり前だろ。やっと俺にも護る物が出来たんだ。むざむざ失いたくないさ」


「・・・わーい♪」


そう言うと、セシリアの腕の力が強くなった。痛かったが、苦しくは無かった。


SMSでは割と二人は夫婦扱いされていた。


身寄りが互いに居ない上、一つ屋根の下に住んでいるとなれば弄られる(因みに2人は照れるものの否定はしなかった)。


SMSとはそういう組織だ。


殆ど上下関係がない。皆が気さくでいられる。


「護ろうね、私達の居場所」


「ああ、この手で、ガンダムで、俺は俺の居場所を護る」


 To Be Continued...


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