生活雑記2

指標植物


■指標植物




肥料濃度や環境に敏感な植物の変化を見て、その環境がどのような状態に置かれているかを見定めることが出来る。私はラージパールグラスが最も指標植物として適していると思う。この草は肥料吸収量が極めて多く、ある物質が欠乏した時に顕著にその症状が現れる。

カリウム欠乏→新芽が真っ白になる白化現象を引き起こす
窒素欠乏→萎縮することはないが、葉が小さくなり、下部の葉が黄化する
カリウム過多→新芽が濃緑色を呈し萎縮して、生長が止まる
極度の低pH→溶ける

また、藻類の発生具合と重ねれば更に情報量は増える

例えば・・・
緑色藻類が発生し、新芽が白化した場合→窒素が過剰もしくは足りているが、カリウムが足りない(換水を行い、カリウムと微量元素を添加して対処)
初級者の水槽で多く見られる状態(微量元素添加の認識がなく、換水を怠り、餌や糞などから発生する窒素やリンが溜まっている)

黒色藻類が発生し、新芽が白化した場合→リンが過剰もしくは足りているが、カリウムが足りない(多めに換水し、カリウムと微量元素を添加して対処)
中級者の水槽で多く見られる状態(水槽は安定しているが、換水を怠り、栄養塩が溜まる一方で微量元素添加の認識がない

緑色藻類が発生せず、新芽が白化した場合→窒素やリン、カリウムの全てが足りない(カリウム+微量元素を添加し、白化が改善してから窒素リンを添加して対処)
気合の入りすぎたビギナーの水槽で多く見られる状態(換水のしすぎで全ての栄養素が欠乏)

緑色藻類が発生せず、新芽の小型化と下部葉の黄化が見られるが、白化がない場合→カリウムは足りているが、窒素が不足(窒素リン酸カリウムを添加して対処)
上級者の水槽で多く見られる(微量元素添加の認識があり、窒素やリンが余剰することなく水草に吸収され、藻類の発生がない。水槽全体を見渡せば素晴らしく状態が良いように見えるが、水草1本1本を見ると、窒素不足などで元気がない)


※上記には例外があり、特に藻類の発生については特殊な例が存在する。
窒素・リン・カリウムのバランスが崩れている状態でも藻類が全く発生しない時があるが、それは水槽の状態(生態系)が極めて良い場合に起こる。水草から発せられるフィトンチッドという物質が藻類に対して抑制作用が働くためである。その状態を窒素欠乏などと勘違いして施肥してしまうと思わぬpH低下をもたらし、水槽を崩壊へと導いてしまうので注意が必要である。

また、カリウム欠乏については判断が難しく、白化ではなく、窒素欠乏と同じ症状である頂芽の矮小化がみられる場合も多い。カリウムを添加していない水槽では間違いなくカリウム欠乏が起こっているので、白化や頂芽の矮小化が確認できた時は、とりあえずカリウムを添加しておけば良い。ただし、施肥したからといってすぐに効果が出るわけではないので、まずは施肥後1週間様子を見る必要がある。また、施肥量としても、ADA社のブライティKを60cmで2PUSHくらい添加して様子を見るのが好ましい。過剰になるくらいなら欠乏するほうがましである。




※このホームページで紹介させていただいている内容を実践され、結果生じた一切の損害などについては責任を負いかねますので、全て自己責任において実践されますようにご注意願います。


                                                文・神田 亮


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