エレファントピア

エレファントピア

シンガポールと子供

子供達の場所


今日は仕事で託児所+保育園+幼稚園に行った。

タクシーの運転手さんに場所を告げると、
なじみのない場所だったらしく、そこに何があるのかと訊く。
Child Care Centreがあるのだというと、彼はああ..と溜息を吐いた。

それから一頻り、最近の子供達は小さい時から皆託児所に預けられる。子供達は小さい時から大忙しだ。子供らしく遊ぶ時間がない…等々と、悲壮感たっぷりに話してくれた。
それをふんふんと聞きながら到着。
子供がここにいるのかい?と訊かれたので、うんにゃ仕事で来ただけ。と答えたら、な~んだと言って去って行った。(なんだったの。。)

そんな否定的な語りをBGMにやってきた託児所+保育園+幼稚園だったが、大変良かった。
ロケーションが。

小高い丘の上の洋館(!)で、3階建ての広々とした建物+駐車場+土のある庭もある。庭というものを久しぶりに見た気がする..それも土付きとは豪勢な。

ほとんどのシンガポールの子供の遊び場は、足首を痛めず、転んでも衝撃を閑話してくれるようなちょっとやわらかめ合成地面で出来ている。その真中にど~んとプラスチック製の弱迷路入滑り台(造語)が鎮座している。
だからちゃんと土の上で走ったり、転んだりすることは、ほんとうにないんだろうな。土があるってだけでもハイソな香りが漂う幼稚園である。


園長さんに館内を案内してもらい、カリキュラムなどの話を聞く。
シンガポールでは小学校就学前の幼稚園(K1、K2)も義務教育に含まれている。英語、中国語、算数、科学などを勉強し始めるらしい。
その他、補修として、子供達自身でプロジェクトを行うというカリキュラムもある。植物を育てるだとか、魚を飼うだとか。

園長先生の話を聞いて、とても魅力的なプログラムだなあと思った。


でもよくよく考えると、私が魅力的だなあ..と思ったのは、プログラムとして設定されていなくとも、子供たちが家庭や近所でいつの間にか習得していたことのようにも思った。


---


子供の頃は、庭に茣蓙(!)をしいて、おままごとをしていた。
妹が生まれる前は、一人おままごとをしていた。

きれいな土を作ろうとして、泥を何度も濯いでみた。
ミミズの上に蟻を並べてみた。
押し入れの中に秘密基地を作ってみた。

向かいの畑の椿の木の芽を全部取ってコップに入れた。(ばれて叱られた)


幼い頃(4歳くらい)のことを思い出すと、とにかく混沌としていた。自分や周りの感情に振り回され、かつそれをどうコントロールしていいのか分からなかったので、ムダな苦労をしていた。幼稚園時代は私にとって、多分人生で3番目くらいに大変な時だった..(なんつー人生じゃ)


しかし人はなんだかんだと育っていく。

思うに私の頃には、まだまだ子供は勝手に育つ場所や時間があった。
親や先生の目の届かないところで、親や先生の思いにもよらないことをやらかす場所や時間があったように思う。(そして後でバレると)


完璧に設計されたプログラム。
安全な場所。
分刻みのスケジュール。

シンガポールの子供たちはどんな風に大きくなるんだろう?


こんなセンチメンタルな心配を他所に、子供は子供で思いにもよらない場所を見つけていくんだろうけれど。



(2004年10月7日)


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: