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フランス大統領選挙の第一回投票は4月22日。事前の世論調査では現職のサルコジ大統領の旗色が悪い。社会党のオランド候補もセンスの悪いおじさん風でパッとしないのだが、サルコジ大統領のこれ見よがしな劇場型パフォーマンス政治に比べたらマシということのようだ。フランス人は大統領にはトップとしての格を期待する。ミッテランもシラクも一期目が終わる頃にはそれなりの格を感じさせ、再選された(当時は一期7年だったが。今は5年)。しかし、サルコジは最後まで自分を必要以上に大きく見せようとし、むしろ滑稽さを感じさせるようになってしまった。奥さんのカルラ・ブルーニは素敵なのに。
原文 を読み直してみた。
演説は2007年7月26日、歴史家シェイク・アンタ・ディオプの名前を冠したダカール大学で行われた。ポイントの一つは過去の歴史観としての植民地主義の肯定。よくある論理展開だが、植民者は悪い奴もいたが、いい奴もいて、アフリカに文明をもたらしたのだ。フランス植民地主義は現在のアフリカの問題に責任はない。現在のアフリカの苦境の責任はアフリカにある。若者よ、目を開き、現実をよく見ろと。
二つ目のポイントは移民問題。家族を養うために遠い国に職を探しに行く若者たちに理解を示すことを云いつつ、残って国の発展に尽くすべきだと述べた。これも一見尤もなことのように見えるが、サルコジが進めようとしている選択的・制限的移民政策を追従するものでしかない。つまり、フランスには来るなと云うことだ。
この演説は案の定、アフリカのみならず欧米メディアからもその時代錯誤ぶりが非難されることになる。原文を読もうとフランス大統領府のHPを探したが、削除されていた。
そのサルコジは最近TV番組のインタビューで再び移民を制限する政策を打ち出している。これは劣勢の選挙戦において、移民を敵視するフロントナショナル(FN)支持層の取り込みを狙ったもの。第二回投票において10数パーセントの基盤票を持つFN支持層を押さえることはサルコジが起死回生の逆転を果たすためにはマストだからだ。
一方で前回の大統領選挙中にサルコジは「フランサフリック」と呼ばれるフランスとアフリカの政治・経済界に横たわる灰色の互恵関係にピリオドを打つことを宣言していた。しかし、それはどこかの国の「言うだけ番長」と同じく、実行されずにいる。
オランドのアフリカ政策は不明。おそらく変化はないだろう。ルワンダのようにフランスに楯突く国が他にも出てくる来ないと、フランスの庇護者然とした前時代的アフリカ政策は変わらないのだろうか。
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