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「すいません。部屋の外で話は全て聞かせてもらっていました。」
軽く頭を下げて、輪の中に入ってきた。背が高いので大人たちの中に入っても頭一つ分抜け出て見える。
「俺はサマナーとしての能力はありませんでしたが、モンスターの勉強は人一倍しました。プッチニアは学校を途中で辞めているので、この知識は役に立つはずです。それに身体が大きい分、力も強い。もし激昂した人間に取り囲まれても彼女を守る自信があります。」
どよめきが起こった。男はこの村から最低限の人間しか出てはいけない決まりだ。
「しかし・・・。」
「今は非常事態なんでしょう?許可をお願いします。村長。」
ウォルはそう言って、深く頭を下げた。
村長は目を閉じてしばらく逡巡した後、厳かな声で言った。
「分かった。許可しよう。」
「村長!!」
批難の声が上がった。
村長はまあまあとそれを諌め、
「プッチニアとウォルバキアに頼るしか、今のところ方法がないように思えるのじゃ。大人より、子供の方が街の人間も警戒しにくいじゃろうしの。」
「それは・・・まあ・・・。」
「ありがとうございます。」
ぺこっと村長に向かってお辞儀をし、晴れやかな笑みを浮かべながらウォルがこちらを振り返った。
「そうと決まればさっそく出よう。送ってくれた天使はもう来てるかな?」
「あ、分かんない・・・。探してみるね。」
そう言って外に出た。
急に冷たい空気に晒されて体がひとりでにきゅっと縮こまる。しかし何故か頬だけが熱くほてっていた。ウォルが一緒に旅をすることになった。そのことで頭がいっぱいになってる。村の一大事だっていうのに。
『守る』・・・。そんなこと言われたの初めてだ。
トンタタタン、トンタタタン、心臓がダンスを踊っているみたい。
どうしたんだろう、私・・・。
村の中央に出ると、宅配天使さんがもう来て待ってくれていた。
「すいません。お待たせしてしまって。」
「おう、もう用事は済んだかい?ご両親は無事だった?」
「はい。おかげさまで。」
「そうか。そいつは良かった。」
日に焼けた顔をほころばせ、白い歯を見せた。
「あの・・・。帰りなんですけど、もう一人増えてもいいですか?」
「ああ、それはかまわないよ。一人も二人も一緒だから。どうかしたの?」
「各地で起こった事件のことを調べようと思って。でも一人じゃ不安だからってついてきてくれる人がいるんです。」
「なるほど。確かに頭に血が上った人間が多いから、そうした方がいいかもな。」
腕組みをしてうんうんとうなずいた。
「で、どこに送ればいいかな?」
「ええと、火属性モンスターに襲われた街に行って、色々話を聞いてみようと思っているんです。どこの街が襲われたかご存知ありませんか?」
「ん~、俺はバリアートでその話を聞いただけだからな。バリアートはとりあえず、畑や家が焼かれてひどいことになってたぜ。」
「お待たせ!旅の用意してきた。」
ウォルが茶色の大きな布の袋を担いで、息せき切って走ってきた。
「すいません。よろしくお願いします。」
どさっと袋を地面に下ろし、天使さんにお辞儀した。
「ね、ウォル。バリアートが襲われたそうだから、まずそこに行ってみようかって思うんだけど。」
「バリアートか・・・。」
少し考えてから、ウォルがきっぱりと言った。
「バリアートは最後にしよう。」
「え?どうして?」
「あそこはここから一番近い街だろ?ある程度調べてからにした方がいいと思うんだ。下手に刺激したら、住民が大挙して赤山に詰め掛けてくるかもしれない。」
「刺激って?」
「いいかい?ロマの人間は加害者の家族か仲間みたいに思われてるんだ。スルタンさんの無実を晴らす目的で俺たちが街で話を聞いて廻るとするだろ?被害を受けた人にとってそれは必ずしも気分のいいことじゃない。」
「あ・・・。」
そうか。スルタンさんを守り神とするロマの人間も共犯だと思われていたとしたら、下手な調べ方をすると火に油を注ぐような結果になりかねない。
「まず、遠い場所から徐々に情報を集め、スルタンさんの無実を示す証拠や証言を揃える。それを提示してからなら、被害を受けた街の人たちも協力してくれるはずだ。」
「そうだね。分かった。」
ウォルが同行するのは正解だったみたい。私ではとても考えつかなかったことだ。
「ふ~ん。俺なら近いとこから攻めるけどね。」
何故か不満げに天使さんが呟いた。
「モルビリさんはこの村の人間じゃないからそう思うのかもしれない。でも俺たちにとっては村とスルタンさんの安全が第一なんです。」
「・・・まあ、いいよ。じゃあ、まずどこに送ればいい?」
なんとなく気まずい空気が流れた。ところでウォルはどうして天使さんの名前を知っていたのだろう。
「乗りかかった船だ。最後まで面倒見るから、移動手段の心配はしなくていいよ。」
「え?いいんですか?」
「うん。今日の仕事が終わったらちょっとのんびりしようかなって思って、まとまった休暇を取ってたからね。」
「でも、それなら大事なお休みなのに・・・。」
「夜、本を読みかけたら続きが気になって、あと少し、あと少しって、気付いたら朝だったなんてこと、ないか?そんな感じだよ。中途半端で放り出せなくなっちまっただけ。プッチニアは気にしなくていいよ。」
ごつっとした大きい手で私の頭をくしゃくしゃっと撫で、照れたような困ったような複雑な笑みを浮かべた。
「じゃあとりあえずテレポーターのいない街を片っ端から調べてみないか?」
「そうだね。まずどこにする?」
テレポーターがいない、つまりは冒険者があまり行かない街。荒廃都市ダメル、砂漠村リンケン、伐木村ブレンティル、魔法使い都市スマグ、大きな町バリアート。小都市ビックアイは新興都市ピガプールに隣接してるから違うかな?
でも冒険者が少ないという点ではテレポーターのいる新興都市ピガプールや港町シュトラセトも条件には合っている気がするし・・・。
「ここから一番遠いのは・・・ダメルかな。まずそこから行ってみよう。」
「了解。じゃあ、ポータルを開くよ。」
轟々と音を立てて、白い煙の渦が出来た。渦の中に足を入れると、ふわっと身体が浮いて奥へ吸い込まれていった。慣れた移動手段のはずなのに、このまま二度と出られないような不安がよぎる。
何か得体の知れないものに導かれてどんどんと引きずり込まれていく、そんな感じがした。
⇒
つづき
ウォルが一緒に旅をすることになりました。
ラブコメか?┣¨キ(*゚д゚*)┣¨キ
<打ち間違い>
スウェブで狩っていたとき、こんな人がいました。
そ、それははじゅかちwwwwwww!!! ゚+.(*ノェノ)゚+.キャッ!!!
見ず知らずの通りすがりの方にいきなりそんなこと言われちゃったら・・・(* ´艸`) ムププ
おもしろそうなので再現VTRどうぞw♪
きっと勘違い大爆発wwwwww!!!。゚( ゚^∀^゚)σ゚。ヶヶラヶラヶラ
ネタがないから小説第七弾~翼の行方編そ… August 21, 2009
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