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ぼくは俳句というものにどうしても興味を持てないのです(夏井いつきの分析は非常に楽しく拝見しています)。芭蕉やら一茶やらの大物の句には確かにいいって思えるのもあったりするけれど、それも感動というよりは気が利いてるなあと感心するといった質の良さに過ぎないのであります。だからといって俳人が書いた文章も嫌いって訳ではなく、近頃になって種田山頭火が好きで、気が向いたら青空文庫を繙いてみたりするようになりました。その文章に『漬物の味〔扉の言葉〕』があります。ぼくは小手先のレトリックというのに幻惑されやすい素朴な性質の持ち主なので、山頭火って結構、地の分ではレトリックを多用しているのですね。-- 私は長いあいだ漬物の味を知らなかった。ようやく近頃になって漬物はうまいなあとしみじみ味うている。 清新そのものともいいたい白菜の塩漬もうれしいが、鼈甲のような大根の味噌漬もわるくない。辛子菜の香味、茄子の色彩、胡瓜の快活、糸菜の優美、――しかし私はどちらかといえば、粕漬の濃厚よりも浅漬の淡白を好いている。 よい女房は亭主の膳にうまい漬物を絶やさない。私は断言しよう、まずい漬物を食べさせる彼女は必らずよくない妻君だ! 山のもの海のもの、どんな御馳走があっても、最後の点睛はおいしい漬物の一皿でなければならない。 漬物の味が解らないかぎり、彼は全き日本人ではあり得ないと思う。そしてまた私は考える、――漬物と俳句との間には一味相通ずるところの或る物があることを。――-- どの辺がレトリックであるかは、各々読み取っていただければよろしいかと思いますが、ぼくが取り分け好むのが列挙法と言われるテクニックであります。「辛子菜の香味、茄子の色彩、胡瓜の快活、糸菜の優美」という箇所ですね。この一節の切れ味はさほど良いとは思えないけれど、「胡瓜の快活」っていうのが的を得ているかはともかくどことなくユーモアを感じるのでした。ということで今回はきゅうりです。冷し胡瓜(監修:錫村よみ子/主婦之友 昭和十二年七月號附録「夏の和洋料理千種の作方」より)【材料】きゅうり(6mm厚)・水・塩・醤油・味の素・練り辛子 適宜【作り方】1. 器に塩水、氷、きゅうりを入れて醤油、味の素、練り辛子を添える。パリパリ胡瓜(監修:岡本初枝/主婦之友 昭和十二年七月號附録「夏の和洋料理千種の作方」より)【材料】きゅうり(6mm厚/水に浸す/塩をまぶす)・塩・大葉(千切り)・醤油・わさび 適宜【作り方】1. 皿にきゅうりを盛って大葉を散らす。わさび醤油を添える。 この2品のレシピは、以下を参照しています。昭和のレシピを発掘、紹介している山本直味氏という方ですが、今ではHPの更新はほぼストップしていて、インスタグラムがたまに更新されるといった状態です。是非、バリバリ投稿して楽しませて頂きたいものです。https://www.instagram.com/nawomayo/?img_index=1 で食べてみた感想ですが、これが驚いたことにすごく美味しいんですね。というかこれまで様々にきゅうりを調理して食べてきたけど、これがベストかも。何より手っ取り早く作れるのも素晴らしい。きゅうりスープ【材料】きゅうり(斜め薄切り)・ちくわ(斜め薄切り) 1本/水 350ml/【調味料】エシャロットチップ・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋に湯を沸かしてきゅうり、ちくわを加え、煮る。エシロットチップを加える。胡椒を加える。 台湾の食べ方とのことでどこぞやのHPで見掛けたものです。きゅうりに火を通してスープの具材にするってのは日本人には余り思い付かない食べ方ですね。冷や汁の具材にする場合があるけれど、あれはきゅうりは具材の一部に過ぎないからこれとはちょっと違ってますね。案外、地方によっては熱々の味噌汁の具にしたりしてたりして。きゅうりサンドイッチ(Cucumber Sandwiches)【材料】食パン(クリームチーズを塗る) 2枚/きゅうり(斜め薄切り)・クリームチーズ 適宜【作り方】1. 食パンにきゅうりをのせて挟む。斜めに4等分する。 以前も書きましたが、ぼくにとっての究極のサンドイッチはきゅうりのサンドイッチです。水っぽいものとパンとは相性が悪そうですが、トマトやレタスなどもサンドイッチの具材として定番ですね。バターやこのスコットランド風にクリームチーズでパンをコーティングすることでべちゃっとなるのを防いでいるんですね。当然、乳製品との相性も考慮しているのだからなかなか良く考えられたレシピなのですね。
2024/07/05
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「東京の都心にありながら 江戸の面影をいまに伝える護国寺は 訪れる人々の心のふれあいの場として 昔も今も変わりなく親しまれています。」(公式HP)という護国寺界隈は、その正面となる江戸川橋方面こそ講談社があったりとそれなりの賑わいがありますが、他方面は住宅街と地域を分断する大きな道路、そして墓地が大部分を占める閑静といえばこの上なく閑静なエリアであります。そんな土地柄だから呑み屋どころか飲食店もごく限定される訳で、その分、界隈の人たちはこれらの店のことを大事に思っているように感じられるのです。店が少ないから愛されるのか、それとも大事にされている店だけが生き延びているのかは、それぞれの店の今を実際に訪れて食べて呑んでみるしか確認のしようがないのです。それにしても護国寺のような広大な敷地を持つ施設を背にして商売するというのは相当なプレッシャーがあるように思うのだろうけど、どうなのでしょう。 この夜は、「中華 栃尾」にお邪魔しました。ごく真新しく、町中華らしい風情は微塵も感じられぬ構えの店なのですが、この界隈で暮らす住民や講談社の関係者たちのような比較的リッチ層の人たちを満足させるためには店も小汚い訳にはいかないのでしょう。この夜は下戸の年長の友人と一緒でした。店に入り、店の方にビールの有無を尋ねるとぶっきらぼうに「ビールしかない」とのお答えであった。もう少し言い方ってのがあるんじゃないなんて思いつつもおくびにも出さぬよう気遣いつつ2人掛け席に腰を下ろすのでした。注文時に言葉が発せられる以外は、店内には厨房からのガコンガコンという中華鍋を叩きつける音が響き渡るのみでありまして、雑談しつつ長っ尻することを拒絶するという強い意志が汲み取られるのでした。しかしいいオヤジの我々は店主らが苛立ちをあからさまにするギリギリ手前を見極めてせいぜいくつろぐことにするのでした。にしても今改めて見てもここの焼きそばと餃子は立派だなあ。見た目の麗しさが若干実際の味を凌駕しているような気もするけれど、ちゃんと美味しいんだからねえ。ネットで他の料理も確認してみたのですが、とにかくチャーシューを筆頭に具材がごっつくでかくて実に魅力的なのだ。これは確かに長居されたくはないはずです。ここではグイグイガツガツに徹してちんたら過ごすことは諦めた方がいいかもしれません。きっと、我々が去ったら入れ代わり立ち代わりにお客さんが訪れるのでしょう。
2024/07/01
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日暮里駅の巨大タワーマンションの1階にとあるお店があります。そこの店名が「京の華」。この店のことを知らぬ方がこの店がどういう店であるか言い当てるのは困難だと思われます。「京の華」という文字面からするに京都にある華やかな何かしらであると想像されます。実際ネットを検索すると日本酒、和菓子、漬物、味噌などに加えて多肉植物や住宅型有料老人ホームなんかも引っ掛かってきます。老人ホームは何だかよく分からんけれど、先の食材は確かに「京」という言葉が想起させる日本的なものだったりするし、出来映え次第では「華」やかさも感じさせることもあるだろうと思うのです。多肉植物の実物写真を見たけれど、ぼくはそこに日本的な何某かを見出すことはできなかったし、「華」やかというよりは猛々しさを感じてしまいました。人によっては、日本的で「華」やかな植物に感じられるのかもしれません。にしても「京の華」という言葉はどうしてこうも頻出するのだろうか。もしや例えば「京の華」と呼ばれた芸妓さんが存在していたんじゃないか、などといった妄想も膨らもうというものですが、ざっくりと調べた限りそのような事実はなさそうです。一体いつ頃から「京の華」なう不可解な言葉が日本人にとってさほど違和感なく膾炙されていったのか気になるところです。 さて、東京都台東区の日暮里にあっては、「京の華」は中華屋さんになるのです。黄色い派手な看板に赤字で店名、青地で手打拉麺と焼小籠包を記しているから売りの商品は明白です。店内はファミレスよりはカジュアルでフードコートよりは開放度が低いといった感じで、つまりはファーストフード店そのものといったお店なのです。なのにメニューを眺めると少々強気な感じの価格帯であるからよく分からない。話を戻すが、中華屋さんほど「京の華」に似付かわしからざる店名はそう存在しないんじゃないだろうか。もしかするとインバウンド客を見込んでいるのだろうか。「京」の字は「京都」でインバウンド客にも馴染みがありそうだし、「華」は読めずともシンメトリーなイメージが漢字を知らぬ人の目にもどこか華憐に映っても不思議ではない気もする。でもそれにしたって「手打拉麺」や「焼小籠包」にせめて英語を併記しても良さそうなものだが、そうした工夫は見られないのです。店の方に伺えば良さそうなものですが、生憎我々の司会に届く従業員の方たちは余り日本語が達者ではなさそうです。ならば店名など気にせず大いに呑み、食を堪能すべきです。ということで同行者が一挙に大量の点心系を注文。メニューを眺めた際に一品料理を見逃して点心とラーメンが大部分を占めていると思い込んでしまったようです。慌てて頼んだのがエビチリだったのですが、色味が茶色がかってしまったなあ。こちらのお店、店の雰囲気などぼくには難も多い気がしますが、恐らく味が良いということでネットでも評価が高いようなんですが、確かにいずれも美味しい。けれど例えば小籠包は焼きじゃない方がきっともっと美味しいだろうと思ったり、気になる点もあります。といかにも初めて訪れたかのような書きようですが、実は10年近く前にも来たことがあったようです。その時も店名に難癖など付けたんだろうか。ちなみに京都には「京の華」を掲げるたこ焼き店も存在するようです。
2024/06/30
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日記は面白い。先日も書いたけれど、他人の日記を読むのは実に楽しい読書体験です。なのにこれまで古川緑波の日記を読まずに過ごしてきたのは大いにもったいなかったと今更ながらに後悔しています。これから改めて読む楽しみがあると言われればそれまでですが、日記というのは丹念に頭から尻まで読み通すといった読み方よりは思い付くままに頁を繰ってたまたま開いた頁を読むといったようややり方が相応しい気もするのです。ともあれロッパ氏のことはコメディ俳優(それもちっとも面白くない)としての認識はあったけれど、文章家としての魅力を知ったのは比較的最近の事なのです。盗作疑惑なんかで表舞台から姿を消した唐沢俊一氏の本でその魅力は知っていたはずなのに。このロッパ氏、グルメとしても知られていますが、なんとそばが大嫌いだそうな。古川緑波『うどんのお化け』 そばも食いそうなものだが、僕は、そばってものは嫌い。嫌いと言うよりも、そばを食うとたちまち下痢する。子供の頃は、そんなことは、なかったんだが二十代から、そうなった。だから、江戸っ子の癖に、そばが食えない。従って、僕の食談には、そばに関することは、殆んど出て来ないのである。 ヘンなもので、同業エノケン、榎本健一君が、大変な、そば嫌いである。彼は、先天的の、そば嫌悪症らしく、初恋の女性が、そばを好んだために、彼は、彼女を、あきらめてしまったという話がある位だ。 同業ではありながら、何もかも僕とは正反対の芸を持っているエノケンが、そば嫌いという点でのみ、共通している(おっと、酒を好むことを落してはならなかった)のは、面白い。 ある時期まではエノケンをライバル視するあまりに険悪な関係だった二人ですが、この文章を読むと両者の関係も雪解け状態を通り過ぎて非常に良好な関係になったようでどこか微笑ましく思えるのでした。ということで今回は両名の嫌いなそばになります。今回はいつもと違ってアップするまでもなさそうなオーソドックスな食べ方ばかりです。なので個別のコメントは割愛。おろしそば【材料】そば(茹でる/冷水で洗う)・大根(おろす)・揚げ玉・めんつゆ・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 器にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、大根おろし、揚げ玉をのせて一味唐辛子を散らす。なめこおろしそば【材料】そば(茹でる)・なめこ(茹でる)・油揚げ(短冊切り)・だし・味噌・大根(おろす)・揚げ玉・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 鍋でだしを沸かしてなめこ、油揚げ、味噌を加える。2. 丼のそばを盛って1.を注ぎ、大根おろし、揚げ玉、一味唐辛子を散らす。とろろそばそば((茹でる) 1人前/長芋(おろす) 30g/イクラ 大さじ1/めんつゆ 120m/青ねぎ(4小口切り) 適宜1. 丼にそばを盛ってとろろ、イクラ、青ねぎをのせ、めんつゆを注ぐ。 こういうトラディショナルな食べ方をする場合は、余程美味しいそばじゃない限りは避けた方がいいかも。普通の乾麺で作るのは冷たいのは極力避けた方がいいんじゃないかなあ。中華蕎麦【材料】そば(茹でる)・ラーメンスープ・鶏肉(胸/そぎ切り/茹でる)・小松菜(4cm幅/茹でる)・長ねぎ(小口切り)・胡椒 適宜【作り方】1. 丼にそばを盛ってラーメンスープを注ぎ、鶏肉、小松菜、長ねぎをのせて胡椒を散らす。 むしろラーメンスープでそばを食べるジャンクな食べ方が適しているかも。というかもともとラーメンスープが好きってのもあるんだろうなあ。
2024/06/29
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断面が丸型のロングパスタ(最近は茹で時間の短いパスタが乾燥状態の際に卍型とか特殊な形状のものが販売されているので恐らく茹で上がりの状態の形状を指しているんだと思います)があります。一般的なのがスパゲッティですか。ちょっと太かったり、細かったりしても名前が変わるみたいです。でも多少の太さの違いだとぼくには大して違っているようには思えません。さすがに2mmを越えた太さになるとこれは太いって思ったりもするし、形状も例えば楕円状のリングイネだってそんなに違わない気がします。無論、麺の太さでソースの辛み方や絡む量も違ってくるからソースごとに合う合わないはあると思いますが、ぼくはそこまで気にしません。でもカペッリーニになるとこれはもうスパゲッティとは明らかに別物っていう印象です。敢えて暴言を吐くとほとんど素麺と変わらないという気がするのです。きっと違いの分かる人なら全然違ってるんだと思うんですが、ぼくなんかにはあえて食べ比べでもしない限りはほとんど同じに思えるのです。ネットのレシピを眺めていると、ほぼ和食寄りのものが多いのも多くの人がほとんど同じものと認知しているからと思ってしまうのです。今度は本場のレシピを試してみたいと思います。なんか以前も書いたことがあったと思うのですが、日本語ではカッペリーニという表記が一般的ですが、カペッリーニが正解です。ぼくには似たような勘違いが多くあってしかもこのカペッリーニは何度だって間違うのでしつこいですが、何度でも書いておくことにします。わさびバター釜玉パスタ【材料】カペッリーニ(茹でる/卵白、バター、めんつゆと和える) 100g/バター 10g/めんつゆ 大さじ2/卵 1個/わさび・青ねぎ(小口切り)・鰹節 適宜【作り方】1. 皿にカペッリーニを盛って卵黄、わさびをのせ、青ねぎ、鰹節を散らす。しらすと大葉のカペッリーニ【材料】カペッリーニ(茹でる/冷水で洗う) 80g/しらす 30g/大葉(粗みじん切り) 3枚/小ねぎ(小口切り)・白ごま 適宜/【ソース(混ぜる)】オリーブ油 大さじ1/レモン汁 小さじ1/塩・にんにく 小さじ1/4【作り方】1. 【ソース】と和えたカペッリーニを皿に盛ってしらす、大葉をのせる。小ねぎ、白ごまを散らす。梅塩パスタ【材料】カペッリーニ(茹でる/冷水で洗う) 1束/梅干(包丁で叩く) 1個/大葉(千切り) 1枚/白ごま・オリーブ油 適宜/【つゆ(混ぜる)】塩 小さじ1/2/鶏がらスープの素 小さじ1/水 250ml【作り方】1. 皿にカペッリーニを盛って【つゆ】を注ぐ。大葉、梅干、白ごまを散らしてオリーブ油をかける。 ネットで色々とレシピを探ってみたのですが、どうやら多くの人が素麺や冷や麦同様の扱いをしているようで、和風のものばかりが目立ちます。今回は最後の以外はいかにもな和風のレシピ。まあ、それなりに旨いけれど、できることなら本場の食べ方を試したいなあ。生ハムとクリームチーズのカペッリーニ【材料】カペッリーニ(茹でる/冷水で冷やす) 100g/生ハム(千切る)・クリームチーズ(千切る)・イタリアンパセリ・オリーブ油・塩・胡椒 適宜【作り方】1. 全ての材料を和える。 これだけは洋風の食べ方といってもいいかな。というかこれは全くの思い付き料理。冷蔵庫に残っていた食材を使っただけなのです。まあ、これも想像以上でも以下でもない仕上がりでした。にしても盛り付けもう少しなんとかならないのかねえ。
2024/06/28
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ことわざっていうのは、時に真実を言い当てている場合もあれば、実際には全く真逆の意味となる場合もあります。例えば「人は見かけによらぬもの」と申します(ちなみに英語では、”Can’t judge a book by its cover.”というようです、なるほどね、まだしも日本語の諺よりは多少なりとも気が利いています)。当然のように反対の意味の「馬子にも衣装」なんてのもあります。一般には、こうした紋切り型の台詞を乾杯のあいさつなんかでスマートに挟み込むことができるような人がデキル人だったり、弁舌爽やかな人なんて言われちゃうんだろうなあ。でもぼくにはそういった器用な真似はできないし、むしろそんな風にはなりたくないと思っています。つっかえつっかえでも自分の言葉(っていう言い方も嘘くさい、言葉が自分だけのものでは誰にも伝えたいことが伝えられないのではないか)、いや自分の知識と記憶を動員して振り絞った上で迷いに迷って選び取った言葉で語りたいのです。それは誠実さとか真摯さといったこととは全く無関係な理由なのであって、常套句で語ると言葉に引き摺られて自分以外の何者かに喋らされているようななんともいえぬ違和感に苛まれるからなのです。実際に、結婚式なんかで朗々と声高らかに美辞麗句を語る人たちというのは,どこかしらロボットめいていて発せられる言葉に少しの熱意も感じられないのです。それがある一線を越えた人はその技術を芸として活かすことも可能になるのでしょう。ちょうどカラオケで歌自慢の人がそれなりの歌を披露したとしてもそれに聞き入る人が皆無みたいなものです。とツラツラと書いてみたけれど、実は冒頭の「人は見かけによらぬもの(”Can’t judge a book by its cover.”)」を地でいくような酒場に遭遇したのでありました。 業平橋の裏通りの2軒の酒場「のみや」と「清たき」のいずれにするか迷ったものです。外から眺める限りは失礼ながらどちらも大差はないように思えたのでした。この夜はO氏とA氏が一緒だったので、相談の結果、後者に入ることを決めました。ぼくとO氏は後者を押したのに対してA氏はどちらも余り気乗りしないといった様子で、実際多数決には加わらなかったのです。ってすでに雌雄は決していたのですけど。ところが店に入って一番喜んだのがA氏でした。店の人に聞こえそうな位の声で、外観はつまらないのに中は結構古びていて雰囲気があるなあなんてことを呟くのでした。手前にはカウンター席があって半分ほど埋まっているだけなので3人なら座れそうでしたが、奥の4人掛け座卓のある座敷に通されました。この3人で呑むのもしばらくぶりのことです。しかも大概はカウンター席で顔を見合わせることなどないから面と向かい合ってというのはいつ以来だろう。まあ、互いに顔を見合わせたいと思っているわけではないのだ。さて、品書きを眺める。酒呑みが切望する肴がズラリと揃っていて、これなら週2、3日通っても飽きることはなさそうです。しかもお値ごろなのが嬉しいですねえ。刺身類も実にちゃんとしていてまだまだ知られざるいい酒場ってあるもんだねえなどとこの3名が揃って好意的な感想を述べるのは稀有なことであります。ここで最後に一つだけ残念なお知らせがあります。なんてことを書くとこの文章がアップされた頃には、閉店しているように誤解を招きかねないけれど、そんな酷い話ではないのでご安心を。単にこちらは閉店時間が20時と極めて速い時間に設定されておるのです。なので、じっくりと腰を落ち着けて呑みたい方は早めの時間の来店をお勧めします。
2024/06/24
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亀有についてのネタもとうに尽きてしまったので、姑息にもネットでネタを仕入れようと眺めていたら、亀有と亀戸は別だということを記したものをいくつも目にしました。知っている人にとっては単に当たり前に過ぎないことであり、知らない人は勘違いするというのもまあ分からないではない、という非常に凡庸なことが記されているのです。でもこの2つの地域名ってそんなに似てるかな。例えば「せんぞく」であれば台東区の千束と目黒区の洗足があるし、読みが違いますが、調布市の仙川(せんがわ)と豊島区の千川(せんかわ)なんていう亀有と亀戸と比較にならない位には似通った地名があるのだ。なのにどうしてこの2つの町についてばかり混同してしまうといった言説が流布されるのか不思議でならないのです。さらに理解ができないのが亀有が亀戸より知名度で勝っているという記述が多いことです。ご存じのように亀戸には、亀戸天神社が安藤広重の『名所江戸百景』に描かれ、参道には葛餅で知られる船橋屋が操業しています。一方で亀有は地名こそ古くからあったもののネット上の人たちが亀有こそ知名度が高い事の拠り所とする「こち亀」が連載を開始するまではあまり知られていない町だったのではないだろうか。亀戸を知名度が低いと述べる人たちは、亀戸大根や「亀戸餃子」、「亀戸ホルモン」、「亀戸升本」をご存じないんだろうか。亀有にこれらに匹敵するだけの名物が存在するとでもいうのだろうか。 といかにも亀有をディスっているかのような書き方になりましたが、ぼくにとっては亀有がずっと馴染みのある町なのです。といっても伝説(!?)の亀有名画座に通い詰めていただけなんですけど。そんな亀有の町は、「こち亀」のみで亀有をイメージする人がイメージするほどに呑み屋さんの多い町とは思えないのですが、ちょっと個性的な店も存在するのです。偶然立ち寄った「中華食堂 食いしん坊」もちょっと変わり種の中華料理が食べられるお店でした。それはメガジョッキで注文できるサワーとお通しの辛旨ピーナッツからもうかがえるのです。オーソドックスな中華メニューに加えて、えびトーストやシラウオの唐揚げなどが混ざり込んでいるのです。今回頼んだのが大判海鮮餃子。これがピザサイズの大きな餃子でピザカッターで切り分けて食べるスタイルなのです。好みかどうか問われると、正直普通の餃子がいいかもと答えてしまいたくなるけれど、これはこれでクリスピー(クリスピーって語が適当か調べてみたら、パリパリしているという意味に加えてさっぱりしたという意味もあるそうな、この餃子の場合は圧倒的に前者であり、後者とは正反対のオイリーな風味です)好きなら一度は食べてみてもいいかも。一方で唐揚げは極めてシンプルなこれぞ鶏の唐揚げといったもの(とはいえ変わり種の鶏唐もちゃんとあったりする)で、ごついサイズで唐揚げ好きの欲望を満たしてくれるのでした。一品ごとのボリュームがあるので、4名程度で訪れるのが良さそうと、中華屋さんに行くと毎度発する感想を述べてしまうのでした。
2024/06/23
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恥ずかしながらぼくは、石川欣一という人のことをほとんど知りませんでした。唯一知っていたのは、小津安二郎監督の『お茶漬の味』でエリート社員役の佐分利信の勤める会社の社長役として出演していたという事です。Wikipediaによると他にも「東京ライオンズクラブの初代会長に、翌1953年、日本ライオンズクラブの初代ガバナー」を務めたり、「ヴァン・ウィック・ブルックス著『アメリカ文学史』の翻訳出版により、日本芸術院賞を受賞した」りといった実績の持ち主らしい。正直、その辺のことは少しも興味がないので、すぐにでも忘れてしまうはずです。でも青空文庫の以下の文章を読んでちょっと好きになりました。石川欣一著『山を思う』 山登りのお弁当にはサンドイッチにしましても、わざわざハムやソーセージを買って来ることはありません。前の晩の豚カツや魚のフライや焼魚の残ったのに、ちよっとソースか醤油をつけてはさむとか、或はじゃがいもをゆでてつぶしたものに、この様な肉類をまぜてはさむとか、色々方法はあります。一番簡単で又うまいのは前の晩、コロッケを少し沢山作っておき、翌朝これをつぶしてサンドイッチにすることです。あまいジャムサンドイッチも、少し作って持って行けば、お菓子の代りになります、但しパンはトーストにしないと、ジャムの水気をパンがすいこんで、ビショビショになります。さあ、どうぞ皆さん、この次の日曜日からでも、冬の山野にお出かけ下さい。「まず健康」――まったく我々は、大人も子供も、男も女も、丈夫で暮さなくてはいけないのであります。 ぼくの場合、「前の晩の豚カツや魚のフライや焼魚の残ったの」と記されていますが、この辺の料理を家で食べる事は極めて稀なことでありますし、そもそも残すことはまずありえません。しかし、続いての「じゃがいもをゆでてつぶしたものに、この様な肉類をまぜてはさむとか、色々方法はあります。一番簡単で又うまいのは前の晩、コロッケを少し沢山作っておき、翌朝これをつぶしてサンドイッチにすることです」。というのは分かるなあ。コロッケを作る機会もまずないけれど、コロッケサンドは日持ちもしそうだし、腹持ちも良さそうで山登り向きに思います。でも潰したじゃがいもなら面倒臭がりのぼくでもまあやれなくはないし、油分が少ない分、ヘルシーな気もします。山登りなんて久しくしていないけれど、人の少ない、そして無理のない程度の山を登ってこういうの食べたら美味しいんだろうなあとは思うのです。思うけれど、この先、実行する機会はあるんだろうか。ということで今回は外国のじゃがいも料理です。スマッシュポテト【材料】じゃがいも(茹でる/押し潰す) 1kg/オリーブ油 大さじ3/塩・胡椒 適宜/ハーブ(青ねぎ(小口切り)・香菜(千切る)・イタリアンパセリ(みじん切り) 適宜【作り方】1. クッキングシートにじゃがいもをのせてオリーブ油を塗る。塩、胡椒、パルミジャーノを散らす。オーブンで220℃50分焼いて(途中返す)皿に盛り、ハーブを散らす。 近頃流行っているらしい恐らくアメリカ発祥の調理法です。非常に大雑把な料理ですが、いかにも旨そうと作ってみたのですが、そこまでのものと思えなかったのは作り方に問題があったのか。今度は別のレシピを試してみます。ヤンソンの誘惑【材料】じゃがいも(千切り) 5個/玉ねぎ(薄切り) 1個/アンチョビ(1cm幅) 10枚/生クリーム 200ml/パン粉 大さじ2/バター・塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱して玉ねぎ、じゃがいもを炒める。生クリーム、塩、胡椒を加える。2. バターを塗った耐熱皿に1.を炒れる。アンチョビ、パン粉を散らす。3. オーブンで200℃30分焼く。 スウェーデンの今や有名料理となったこちら。たまたま目にしたのが現地のアンチョビはイタリアンアンチョビとはかなり別物らしいということ。どこぞやのレシピで現地のアンチョビ風味の味付けを見つけたのでそれを使ってみることにしました。ヤンソンの誘惑用のアンチョビ[スウェーデン]【材料】イタリアンアンチョビ(油も使用) 2缶/【漬け汁】オールスパイス 小さじ1/2/胡椒・ジンジャーパウダー・オレガノ 適宜/水 大さじ3/白ワインビネガー・砂糖 大さじ1.5【作り方】1. 鍋に【漬け汁】の材料を入れて沸かして容器に注ぐ。アンチョビを加えて一晩置く。 なるほどオールスパイスを使うのが北欧っぽいです。これを使ったヤンソンの誘惑を食べてみたら、なるほど口に入れた瞬間はそんなに違いは分かりませんが、追っかけてスパイスが香ってくるのです。これからはこの現地風アンチョビを用いることにします。カラメルポテト[デンマーク]【材料】新じゃがいも(下茹で/皮を剥く/一晩置く) 500g/グラニュー糖 40g/バター 20g/水・塩 適宜【作り方】1. フライパンにグラニュー糖を加熱する。バターを加える。新じゃがいもを加えて15分炒める。【備考】北欧のおやつとごはん 「新じゃがの季節なのでデンマークのクリスマス料理カラメルポテト」https://hokuogohan.fukuya20cmd.com/2024/05/11/12472/ 小振りの新じゃがが安かったので、購入しました。ちょうど同じ時期の上記のレシピがアップされていたのを見たからです。ちょっと慌てて作ったので、予定よりはカラメルっぽさに欠けたものになりましたが、それでもちゃんと美味しかったです。ステーキなど肉料理の付合せとしても非常に合います。
2024/06/22
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正岡子規著『病牀六尺』がどうしてだか今、静かな人気となっているようです。ようやく世間もこの随筆の真価を認めるようになったんだなあと、さも自分が見識ある人間のように振舞ってみるのでした。ぼくは日記の文章というのが好物なのでそれなりにあれこれと読んでいますが、好きな理由は多岐に及ぶのですが、最も現実的かつ合理的な理由は、一節が一日分であることが多いので短時間でも読めること、そして例外はあるけれど、概ね日々の連続性が低いため、前日読んだ内容を覚えておく必要がないことが挙げられます。それはともかくこんな理由で日記が好きなこのぼくが当の書物を覚えているというのは不思議なものであります。でも実際にある程度はっきり覚えていたのは、最終頁にあるのでした。--犬はほかの犬を見るとすぐに肛門をなめる。あるいは道傍に糞があると、すぐにそれを嗅いで見る。それがために犬の病気は直ちに他に伝染するのぢやさうな。-- これは未定校の状態で断片に留まっているので、本当の意味での絶筆であるかどうか分からないけれど、書物上は、最後の一文ということもあり、一読者としてはこれが事実上の絶筆と読めてしまうのです。これをもって短い生涯を終えるところに正岡子規という人物が気に掛かる理由ともなっています。そんな書物に次の一節があったことを思い出すことができました。--五十六○酒は男の飲む者になつて居つて女で酒を飲むものは極めて少い。これは生理上男の好くわけがあるであらうか、あるいは単に習慣上然らしむるのであらうか。むしろ後者であらうと信ずる。 女は一般に南瓜、薩摩芋、胡蘿蔔などを好む。男は特にこれを嫌ふといふ者も沢山ないにしてもとにかく女ほどに好まぬ者が多い。これは如何なる原因に基くであらうか。 男でも南瓜、薩摩芋等の甘きを嫌ふは酒を飲む者に多く、酒を飲まぬ男はこれに反して南瓜などを好んで食ふ傾向があるかと思はれる。して見ると女の南瓜などを好むのは酒を飲まぬためであつて、男のこれを好む事が女の如くないのは酒を飲むがためではあるまいか。酒は鮓の物の如き類とよく調和して、菓子や団子と調和しにくい事は一般に知つて居る所である。南瓜、薩摩芋、胡蘿蔔などは野菜中の最も甘味多き者であるので酒とは調和しにくいのであらう。酒飲みでも一旦酒を廃すると汁粉党に変る事がある。して見ると女は酒を飲まぬがために南瓜などを好むのに違ひない。-- 正直言って「酒を飲まぬがために南瓜などを好む」というのには、承服しかねるところがあります。そのことがこの書物の好悪に関わらぬとしても、納得できないことはあるのです。何せぼくはかぼちゃが大好きだからなのです。といってもホントにかぼちゃを好きになったのはここ10年程のことなんですけど。かぼちゃの煮付け【材料】かぼちゃ(一口大)・酒・みりん・醤油・砂糖 適宜【作り方】1. 鍋に全ての材料を入れて煮る。 去年の下旬位からだったと思うのですが、かぼちゃがとにかく高かった印象です。最近になってニュージーランド産のかぼちゃが比較的手頃に売られていたので買ってみました。かぼちゃは単純に蒸かすだけに留めることが多いのですが、久々に煮付けが食べたくなって作ってみました。こういう何でもないのが美味しくなってきたなあ。かぼちゃと水菜のサラダ【1枚目の写真右側,上の写真は経ち呑み屋のもの】【材料】かぼちゃ(一口大/蒸かす/マッシュ)・水菜(3cm幅)・玉ねぎ(薄切り/2等分/塩揉み)・塩・胡椒・マヨネーズ・ピクルス液 適宜【作り方】1. 全ての材料を和える。 ポテサラは大好きでしたが、かぼちゃサラダはほんのり甘いのが苦手でした。でも今は大好物。いつもの立ち呑みでも時々食べています。水菜がたくさんあったので傷む前に入れてみました。食感に変化が出て悪くないけど、立ち呑みのようなシンプルな具材の方がやっぱりいいです。かぼちゃのバター蒸し【材料】かぼちゃ 1/4個/バター 10g/醤油・胡椒 適宜【作り方】1. 耐熱皿にかぶちゃをのせて上にバターをのせる。電子レンジで600W5分加熱する。醤油、胡椒を散らす。 大原千鶴氏のレシピ。思ったより淡泊だったのですが、こういう単純明快な料理ってとても好みです。醤油風味だから焼酎とか日本酒向きかなあ。かぼちゃのメープルバター蒸し【材料】かぼちゃ 1/4個/バター 10g/メープルシロップ 大さじ2/塩・胡椒・アーモンド(スライス/炒る) 適宜【作り方】1. 耐熱皿にかぶちゃをのせて上にバターをのせる。電子レンジで600W5分加熱する。メープルシロップ、塩、胡椒、アーモンドを散らす。 これまたそっくりなレシピです。こちらもまた非常にシンプルで悪くないです。こちらの方が酒の種類を問わずに食べる事ができそうです。かぼちゃのパスタ【材料】スパゲッティ(茹でる)・かぼちゃ(一口大/茹でる)・合びき肉・にんにく・オリーブ油・塩・胡椒・香菜・粉チーズ 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱して合びき肉、にんにくを炒める。スパゲッティ、かぼちゃを加える。塩、胡椒を加える。皿に盛って香菜、粉チーズを散らす。 以前、かぼちゃのパスタのレシピを見たことがあっていずれ作ってみたいなあと思っていたのですが、レシピを調べるのが面倒なので適当に冷蔵庫のあり合わせのもので作ってみました。ちょっとモソついてしまうのが難かな。味は悪くないんですけど。
2024/06/21
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唐突ですが、昨年亡くなった松本零士氏は、「大」がお気に入りだったようです。松本氏のマンガのファンであれば敢えてぼくが語らずとも『元祖大四畳半大物語』『大純情くん』『大不倫伝』など多くの作品をご覧になっているだろうし、これらの作品中にも大喫茶店やら大酒場などなど「大」を冠した単語が頻出します。松本氏にとって「大」は接頭語というよりは固有名詞に近い単語なのかもしれません。松本氏の話はこの程度にしておいて、大東京って歌のフレーズなんかでたまに耳にすることがあるような気がします。確かひと昔には東京の都下全体を指していたと思うのですが、「大」を冠する単語っていうのはそこはかとなくユーモラスな気がします。先ほどの松本氏のマンガにしても『純情くん』はひたすら恥ずかしいし、『不倫伝』はいかがわしいばっかりだし、『元祖四畳半物語』も貧乏臭いばかりでなく、「大」付のタイトルじゃなかったら映画化されるまでのヒット作となることもなかったんじゃないかと思うのです。居酒屋では「大都会」なんてのがありますが、これはテレビドラマや歌謡曲など多くで用いられていますが、もう少し捻った店名のお店があります。 市ヶ谷駅のお堀の向こう側、市ヶ谷橋を渡ってすぐに「大東京酒場 市ヶ谷駅前店」があります。もともと市ヶ谷近辺は昼呑みのできるような町ではなかったのですが、近頃になってこの周辺に昼呑みスポットが増殖しているように思われます。もう大分前のことにはなりますが、「大衆食堂 安べゑ 市ヶ谷駅前店」などは、11時から呑めるので重宝です。ここ松本零士風のネーミングの酒場は、15時の開店。出張で早めに仕事を抜けられたので、知人と合流するまでの時間調整でお邪魔することにしました。1階に空席もあるけれどどしたものか2階に通されます。時間潰しでしかないから2階に上がるのは面倒なんですけどね。この時、季節はまだ初春だったので、外堀を眺めつつ呑めたら良かったんですが暗くどんよりとしたエリアに通されてしまいます。2階は若い人たちで大賑わいです。卒業式シーズンなんでしょうね。残り少ない自由な時間を満喫したいという気持ちは分かります。喧しいけどまあそこは大人の度量で我慢です。この先があるので、酒と肴は控え目にすることにします。なのにオーダーはスマホ経由というのが面倒です。近頃こういうQRコードを読み取ってwebサイトからオーダーするシステムが増えていて、まあ、慣れればどうってこともないのですが、やはりひと手間です。混んでたからまあ、仕方ないって気持ちにもなりましたが、空いてたら苛立つところです。まだ、4時過ぎというのにサラリーマンも訪れ出しました。こんな時間帯に呑み始めるのはどういう商売なんだと、自らを省みず不可解な思いになります。にしてもこの雰囲気からは大東京ってイメージは全く感じられず、そういう辺りは松本氏の一連の「大」付きの酒場や喫茶店と似ているように思えました。
2024/06/17
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本所吾妻橋について、何事かを語ろうとしたのですが、何一つ言葉が浮かんできません。都心部の全てとまでは言わぬまでも、そこそこ歩いていると自負するぼくにとっては、大概の場所が何らかの記憶と結び付けてそれなりには思い出話に耽ってみせるという低級なやり方もできるのですが、それが本所吾妻橋にはないのです。というか二十三区で言うと世田谷区と近しい位に墨田区には縁がなかったのです。せいぜい錦糸町の楽天地で映画を見に通った程度です。そんな身に覚えのない土地ならばさぞ楽しかろうと言えなくもないのですが、未踏の地を楽しむ程度ほどには知らぬ土地ではないのです。というか、実のところこの界隈は、結構歩き回っているし、バスで通ってもいるから、新味には乏しいのです。ところがそんな思い込みが大概過ちであることを身に染みて分かっているのだけど、新味に乏しいと思っている場所に改めて行こうと思うのはなかなか困難な振舞いなのであります。未知の経験をしたいと思っているぼくにとっては、知り尽くしはいない町よりは、全く訪れたことのない町の方がより確実かつ安全に未知なるものと遭遇できるということです。なので本所吾妻橋のような場所を訪れるのには、よほど魅力的な酒場の存在を教わったといったような情報を得た場合か仕事の都合で好むと好まざるとに関わらず行かざるを得ない場合位しかないのであって、今回は後者の理由で訪れることにしたのです。って回りくどい割には内容のない文章をまた残すことになってしまうのだなあ。 でも町中華マニアならぬ酒場マニアも泣いて喜ぶに違いないかぐわしいオーラを放つ「宝来軒」に遭遇することもあるのだから、気乗りしない町への出張もたまにはいいものであります。それなりに散策していたはずなのになあ、町が碁盤上で見通しが良すぎてあらゆる道を踏破したような気持にさせられるんだよねえという言葉を吐きたくもなるけれど、それがいかにも言い訳じみてカッコ悪いことこの上ない。ともあれ勇んで店に入ってみると外観のハードさにはかなり劣るもののちゃんと落ち着くなあと思える内装なのでありました(近頃横着になって見せの様子を描写するのが面倒になっています)。カウンター席ではすでに呑んでるお二人さん。女性一人でやっておられるのだなあ。定番の餃子にビールなんかを注文します。丁寧に作られた、普通だけど他所のものよりちょっと美味しい餃子です。店の雰囲気に流されての好意的な感想になっているのかもしれません。でももう一品のレバ焼きですけど、これがいいのだ。ニラレバでもなく単に濃い目のタレで焼き付けただけというのが酒のアテにはちょうど具合がいいのです。でもこれでごはんはちょっと違うかもしれません。レバニラはごはんにも相性がいいからどちらがいいとか悪いとかじゃないのだ。どっちもいいけど、この店のビールのお供にはレバ焼きこそがお似合いなのです。夕暮れ時に急ぎ足で帰宅する人々を眺めながら過ごす幸福なひと時についつい長居したくなるのでした。
2024/06/16
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古川緑波に『駄パンその他』という短いエッセイがあります。もしかすると以前も引用しているかもしれないけれど何度でも語りたいことがあるのです。ロッパ氏はこの文章でぼくの言いたいことを委細漏らすことなく語っているのだ。-- 僕の味噌汁好きは、相当なもので、夏の朝食は、パンにしているが、それでも、味噌汁は欠かさない。 トーストに味噌汁ってのは、合わないようでいて、まことに、よく合う。それも、豚肉や牛肉を入れたりして、味噌のポタージュと言ったものにしないで、純日本式の、いつものがいい。身は、豆腐、大根、葱、里いも――何でもいい。 あんまり同好の士は、ないようであるが、一度試みていただきたい。 トーストのバターの味と、味噌の味が混り合って、何とも言えなく清々しい、日本の朝の感じを出して呉れるから。-- 味噌汁とトーストの組合せは、みなわざわざ口に出さないだけで案外多くの人が普通にやっているんじゃないかと思っているのです。ぼくも子供の頃にはこの組合せの朝食を摂ることが少なくありませんでした。うちの実家ではごはんもパンも常備されていたから、その朝の気分次第で好みのものを食べていました。そのお供にはほぼ必ず味噌汁が添えられていました(なぜか父親の作る異様に不味いのが記憶に残っています。何度も再現を試みましたがどうもうまくいきません)。併せて、簡単なおかずも用意されていたのですが、ごはんでおかずをバウンドさせるようにトーストでも同じようにおかずをのせて食べたものです。今では朝は大概、慌ただしくてそんな優雅な朝は稀になりました。野菜炒めトースト【材料】食パン(トースト)・野菜炒め・バター・刻みのり 適宜【作り方】1. 食パンにバターを塗って野菜炒めをのせ、刻みのりを散らす。 実家の定番のおかずは野菜炒めと鮭などの焼き魚でした。だからトーストに野菜炒めをのせるのは大定番でした。野菜炒めは変に凝らずに単にサラダ油で痛めて塩コショーする程度がいいかな。食べる時に醤油をかけるのです。野菜もあまり種類が多過ぎない方がいいかも。これ、ごはんと一緒に食べるよりももしかしたら好きかも。ちなみにのりは当時は味付けのりでした。もやしトースト【材料】食パン(トースト)・もやし・ハム(細切り)・水菜(3cm幅)・塩・胡椒・ごま油・バター 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してもやし、ハムを炒める。塩、胡椒を加える。2. バターを塗った食パンに1.、水菜をのせる。 これはどこぞやのレシピにのっていたのですが、水菜はなくてもいいかなあ。まああってもいいけど、なくてもいいならない方がいいと思うのだ。天かすチーズトースト【材料】食パン(6枚切) 1枚/溶けるチーズ 大さじ2/小ねぎ(小口切り) 適宜【A(混ぜる)】天かす 大さじ3/マヨネーズ 大さじ1/めんつゆ 大さじ1【作り方】1. 食パンに【A】、溶けるチーズをのせてトースターで焼く。小ねぎを散らす。 手抜き料理の紹介サイトにあったレシピかな。溶けるチーズやマヨネーズを使ったらねえ、まあ大概それなりに美味しく食べられるんですよね。まあ、想像どおりの味です。たまチートースト【材料】食パン(トースト)・溶けるチーズ・卵・塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンに溶けるチーズを熱して溶き卵を注ぐ。食パンをのせる。皿に盛って塩、胡椒を散らす。 これも同じサイトのレシピかな。フライパンで焼いた食パンって、トースターで焼くのとも魚焼きグリルで焼いた場合とも違って独特な濃厚な風味になるような気がします。エルビスサンドなどのフライパン焼きトーストのヴァリエーションが濃厚に感じられるのも同じような効果によるんでしょうね。
2024/06/15
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昔々のぼくだったらアメリカ料理と聞いて最初に思い浮かべるのは、ハンバーガーやホットドックといったボリュームがあって(日本で売られているものとはサイズ感が全く異なることは知ってはいました)、ヘルシーさとは無縁なものでした。現在では、ヘルシー志向がザ・ニューリッチの人々に広がりを見せているらしいけれど当時はそんな印象は微塵も感じられませんでした。アメリカのテレビドラマを見るようになってからは、冷凍のミールセットや缶詰などを多用するインスタントな料理です。アメリカの子供たちが持参するランチのいい加減さ(日本人的にはそう感じられるようで、案外世界的にはこれが標準的なのかもしれません)も報道されました。小学生になるとグラハム・カーの「世界の料理ショー」が放映されるようになり、当時のぼくはこれがカナダの番組とは知らずアメリカで制作されているとばかり思い込んで、アメリカ人というのは実に多様な料理を食べるのだなあと羨望の念を抱いたものです。Wikipediaではアメリカ料理を「アメリカ合衆国で生まれた料理、アメリカ合衆国外で発生したもののアメリカ合衆国内で独自の発展をとげた料理、ならびにアメリカ合衆国で普遍的に常食とされている料理である」と見も蓋もなく要約していますが、「諸外国からの移民と先住民からなる多民族国家であり、画一的なアメリカ料理は規定しにくい」と記す一方で、「北米の植民地の基礎を作ったイギリスの伝統料理に一番近い」とも書いています。また、「チェーンストアやコマーシャル、従軍経験などの影響より、出自にかかわらずどの人種のアメリカ人も共通して食べる料理・食品もあり、画一的なアメリカ料理も形成されつつある」との記載もありどうも一筋縄では解釈が困難なようです。スペイン風ひよこ豆のシチュー【写真左下】【材料】玉ねぎ(みじん切り) 1個/パプリカ(グリーン・レッド/粗みじん切り) 1/2個/にんにく 1片/オリーブ油 大さじ1/水 630ml/ひよこ豆 1缶/じゃがいも(皮を剥く/一口大) 2個/サフラン 小さじ1/4/パプリカパウダー 小さじ1/塩・イタリアンパセリ 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱して玉ねぎ、パプリカ、ピーマンを炒める。にんにくを加える。水を加える。塩、パプリカ、サフランを加える。じゃがいも、ひよこ豆を加えて煮る。パセリを散らす。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「スペイン風ひよこ豆のシチュー」https://southern-kitchen.com/spanish-chickpea-stew/ 果たしてこれをアメリカ料理と呼んで大丈夫なんだろうか。スペイン風とあるけれど、まるっきりスペイン料理のような気もするけれど。と思ったら上記サイトでスペイン料理にカテゴリーされてますね。これは別の料理に差し替えた方がいいかな、とも思ったけれど、スペイン風の料理としてアメリカ南部の台所では作られているということでそのままアップしてしまいます。サンタフェ・チキン【材料】鶏肉(胸/【タコスシーズニング】をまぶす) 2枚/オリーブ油 /にんにく 1片/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/パプリカ(1cm角) 1個/塩・粉唐辛子 /コーン水煮 100ml/ブラックビーンズ 1/2缶/トマト水煮 1/2缶/溶けるチーズ 100ml/レモン汁・パセリ /【タコスシーズニング】チリパウダー・ガーリックパウダー 大さじ1/クミンパウダー・ドライオレガノ・オニオンパウダー 小さじ1/2/塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱して鶏肉(胸)を焼いて取り出す。にんにく、玉ねぎ、パプリカを加えて炒める。コーン、ブラックビーンズ、トマト、塩、粉唐辛子を加える。耐熱皿にのせて鶏肉(胸)を置く。ホイルで蓋をしてオーブンで200℃10分焼く。蓋を外して溶けるチーズを散らし焼く。レモン汁、パセリを散らす アメリカっていえばいかにもアメリカって料理にも思えるし、メキシコなどの中米料理って言われても不思議ではない感じ。まあ、そこがアメリカっぽいっていう感じでもあります。テックスローストポテト[アメリカ]【材料】じゃがいも(皮を剥く/くし型切り/【調味料】と和える) 1000g/香菜(or 青ねぎ) 適宜/【調味料(混ぜる)】オリーブ油 60ml/塩 小さじ1/2/パプリカパウダー 大さじ1/クミンパウダー・ドライオレガノ 小さじ1【作り方】1. 耐熱皿にじゃがいもを並べてオーブンで180℃45分焼く(途中上下を返す)。香菜を散らす。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「Tex-Mex Roasted Potatoes テックスローストポテト」https://southern-kitchen.com/tex-mex-roasted-potatoes/ テックスメックスとは何かについては、以下をご覧ください。https://www.ethicatokyo.jp/post/%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%A8%E6%9C%AC%E5%9C%9F%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84 それにしても先日香菜についてちょっと調べていたら、アメリカでは香菜を料理して食べることは少ないって読んだと思ったんですけど。実際にはこの香菜が効いていて美味しく頂きました。マリーミーチキン【材料】鶏肉(胸/塩、胡椒する/小麦粉をまぶす) 2枚/塩・胡椒 小さじ1/2/小麦粉 40g/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/にんにく 2片/ドライトマト(水で戻す/みじん切り) 4個/オリーブ油 大さじ2/ドライオレガノ・ドライタイム 小さじ1/トマトペースト 小さじ1/2/チキンブロス 120ml/生クリーム 160ml/パルミジャーノ 大さじ 2/ハーブ(イタリアンパセリ、バジル etc.) 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱して鶏肉を焼いて取り出す。玉ねぎを加える。にんにくを加える。チキンブロス、トマトペースト、ドライトマト、ドライオレガノ、ドライタイム、塩を加える。生クリームを加える。パルミジャーノ、塩、胡椒を加える。鶏肉を戻してハーブを散らす。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「マリーミーチキン」https://southern-kitchen.com/marry-me-chicken/ 三度「アメリカ南部の台所」さんの料理から。何かありとあらゆる食材を適当にぶち込んでみたら旨かったって感じがする計算ずくの料理というよりは経験と勘で色んな風味を入れてみましたって感じのかなり乱暴な料理に思えますが、これがビックリするほどに美味しかったのです。マリーミーチキンパスタ【材料】スパゲッティ(茹でる)・マリーミーチキン(鶏肉を刻む)・パルミジャーノ・イタリアンパセリ 適宜【作り方】1. 鍋でマリーミーチキンを加熱してスパゲッティを加える。皿に盛ってパルミジャーノ、イタリアンパセリを散らす。 当然、パスタと絡めても非常に旨い。この料理はリピート必至です。
2024/06/14
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偏見かもしれませんが、イタリア料理ってわざわざ外食するまでもないんじゃないの、なんてことを思うことがあります。無論、そこそこ高級店って感じのお店以上のランクになると修行もしたことのないシロウトが真似できない料理が提供されるけれど、手頃な価格帯のお店の料理は似たようなものを家庭でも作れると思っているし、むしろもっと美味しく作れたりもするんじゃないかって気もするのです。でもシロウト料理というのは、時々で仕上がりにムラが出たりしてしまうものですが、プロの料理は「サイゼリヤ」のような安いファミレスイタリアンでもいつもほぼ同じ味を提供することができるって辺りに違いがあるのかもしれません。しかしまあ概ねの場合、自分で作っても遜色のない程度の味には持っていけるものです。ただし、手間の掛かる料理、例えばラザニアなんてのは結構大変です。ミートソースとベシャメルソースの両方を作るだけでそれなりの時間を要するし、ラザニアを茹でたりオーブンで焼いたりするといった手間も含めるとソースは別々なタイミングで多めに作って冷凍するなどの工夫をしないとそうそう作る気にはなりません。その点、店では両方のソースを大量に作って大量に使い切ることができます。そういう意味では生パスタやピザ生地なんかも少量をいちいち作るのは非常に面倒ですが、まとめて大量に作って使っちゃえばいいのだから店に分があるのは当然です。だから外食ではこういう家で作れなくはないけれど、そうそう作ることのできない料理を食べることになるのです。 タワーマンションの1階にある真新しい「ピアンタ(PiaNta) 日暮里店」は、ファミレス風の気軽な雰囲気のお店でありながら、明るいバルみたいなムードも悪くありません。まあぼく好みとはちょっと違うんですけど。むしろ女子好みしそうな雰囲気というとこれまた偏見と謗られかねませんが、実際に店内は女性だらけ。今時、女子会という言葉は死語かもしれませんがそんな女性たちで店はびっしりで入店を少し待たされてしまうほどでした。実は今回、同伴した人が突如、ピザが食べたいと言い出したので立ち寄ったのですが、この人はかつて寿司屋で酒だけを注文して結局寿司を頼まず追い出された(ぼくも一緒でした)という過去があるのです。しばらくして通されたのですが、周囲は女性ばかり、店の方も女性ばかりとこれはこれで非常に楽しい気分であります。ここで恥ずかしい注文はよしてよと思うのですが、案の定、ピザ1枚とグラスワイン2杯だけを告げると黙り込んでしまうのでした。いくら何でもと思ったのでそっとオリーブを追加します。周囲のお客さんたちは我々のことはあまり気にしていないようですが、店の方たちの視線は冷ややかに感じられるのです。でもまあ、彼女たちもさほど気にはしていないのかもしれません。個人店でもそこそこの規模があって従業員も多い店では、ここの従業員は客単価がどうとかをそんなに意識していないのかもしれません。ピザはまずまず美味しかった。まあ、まずいピザってのは最近とんと出逢わなくなりましたけど。2人で1枚のピザだとあっという間になくなります。でもこれで出るのは気が引けるのでワインをお代わりしましたが、相方は早く次行きたいって様子を隠そうともしないのでした。何だかつまみ1品酒2杯程度で済ますスタイルがなぜか評判がいいらしいとあるマンガを思わせます。困った人だと思うけれど、年のせいにはしたくないけれど恥ずかしいという感情が希薄になっているんじゃないか。とこれまでピザと書いてきたけれど、これだって十分オッサンだなあなんて思わないでもないのです。
2024/06/10
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随分以前のことになりますが、赤坂見附でちょくちょく呑んでいた時期があります。でも当時はまだまだ若かったからいつだってご相伴に預かっていて身銭を切って呑むことはほとんどありませんでした。その後、酒場巡りをするようになってからは、さすがに自腹で呑むようになりましたが、世評の高い酒場だったり、安価を売りにした酒場だったりの事前に下調べしておいた酒場で呑むことがほとんどで自らの観察力と嗅覚を働かすといった酒場巡りの醍醐味を堪能することはついぞなかったのです。いやまあ、何軒かは飛び込みで入った酒場もあったけれど、それはどっちかっていうと急遽呑むことになって急場しのぎで店探しをしたといった感じで、楽しみながら店を探すっていうようなものではなかったと思うのです。その点において今回は、酒場が店を開ける以前にしばしの待ち時間があったので、のんびりと散策する余裕があったのです。そんな訳で開店時間になって目星を付けておいた2軒を訪ねてみたのです。 なんとなんと、2軒が2軒ともに予約で満席とのこと。老舗もしくは老舗風の味のある酒場はこの界隈では予約で埋まってしまうってことのようです。ふう、やっぱり赤坂見附には縁がないようだ、って思い掛けて駅方面に歩いて行くと、あらあらこんなところに赤坂らしからぬやきとん屋があるではないか。ここら辺は何度も通っているのにどうして見逃していたのだろう。 勇んで飛び込んだのが「やきとん 幸ちゃん」でした。これは酒場の充実した町、例えば新橋なんかにこのお店があったとしても思わず見返してしまうようないい雰囲気なのでした。ボロイってことはないけれど、ほとんど飾り気もなく実用一辺倒って感じの内装なのです。最近の似非レトロ調の酒場というのは、古き良き時代のムードを出さんがために必要以上に酒場らしい符牒(セピア色のポスターだったり、古いビール瓶などを飾り立てる)で演出し過ぎな感じがあるように思います。そういうのが好きな人が圧倒的な多数を占めているのかもしれません。が、ぼくは殺伐とした位に余計な装飾を削いだような店舗にこそ魅力を感じるのです。早速注文しようと品書きを眺めますが、やはりそうなんだろうなあ、お値段に関しては明らかに赤坂価格に収まっています。まあ、この先、そうは訪れることもなかろうから気にはするまい。お客さんはぼくの入った時には2名だけでしたが、2、3名の仲間同士の客でそこそこ埋まっていくのでした。幸いカウンター席はぼく独りが独占することができましたが、もう少し遅くなってくるときっとここも満席になってしまいそうです。そうなるとかなり窮屈そうだなあ。比較的早い時間に来れて良かったんだろうなあと思いつつ、混み合う前にお勘定を済ませたのでした。
2024/06/09
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ぼくはちくわには余り馴染みがありません。スーパーマーケットなんかで食料品を買い出しに行っても、まず、買うことはありません。おでんを食べに行っても盛合せになって入っていない限りは注文することもありません。呑みに行ってたまに食べるとすればそういう盛合せになっている場合か竹輪の磯部揚げ(これがぼくの一番好きな竹輪料理、特にのり弁にのってるのがダントツに好きなのです)やネギちくわ(ねぎとちくわを刻んだのをマヨネーズで和えたもの)を頼むことがある程度。お通しでたまにきゅうりやチーズなんかを詰めたのが出される場合もあるかな。嫌いかといえばけしてそんなことはないのですが、好んで食べるというほどのものではないのです。というか練り物ってもともとそんなに好きってことはなくって、蒲鉾だって正月のおせちに入っていると嬉しいかなとかそば屋で板わさで軽く一杯なんて時に頼む位で普段の生活にほとんど練り物は存在しないのであります。では、なんでたまにちくわやカマボコを買い求めるのか。いずれも食べて美味しいとかいうよりは見た目の愉快さにぼくは価値を見出すのです。今回のメイン食材であるちくわは当然のことに穴が開いているその形状に価値を見出すのですが、その割に今回作った料理はどれもその穴をちっとも活かしていないから、どうしてスーパーで手に取ったのか不思議でならないのです。ちくわのっけトースト【材料】食パン 1枚/ちくわ 1本/ごま油 適宜/【A】マヨネーズ 小さじ2/白ごま 小さじ1/醤油 小さじ1/2【作り方】1. 食パンにマヨネーズを塗って白ごま、醤油を散らし、ちくわを並べてトースターで焼く。ごま油をかける。 ayureo氏によるレシピらしいです。世の中にはちくわパンというのがありまして、ちくわの穴にツナを詰め込んだもの。だからちくわトーストはそのちょっとした工夫以前のシンプルなものです。ぼくにはちょっとしょっぱく感じられました。また、同じ作るならネギちくわを挟んだ方が手間もそうは変わらないから美味しそうに思えます。ちくわの磯辺ごはん【材料】ごはん 150g/ちくわ(輪切り) 1本/揚げ玉 大さじ2/青のり 小さじ1/めんつゆ 小さじ1/ごま油 小さじ1/2/塩 適宜【作り方】1. 全ての材料を和える。 これまたどこかのレシピで目にしました。非常にシンプルですね。磯部揚げの揚げを揚げ玉で代用するということですが、のり弁の磯部揚げだけ版と考えるなら青のりに加えて普通の板のりもあった方が良かったかも。ちくわの卵とじ丼【材料】ごはん・ちくわ(斜め薄切り)・玉ねぎ(薄切り)・三つ葉(ざく切り)・卵・だし・醤油・酒・みりん・砂糖 適宜【作り方】1. 鍋にだしを沸かしてちくわ、玉ねぎを加える。醤油、酒、みりん、砂糖を加える。溶き卵を注いで三つ葉を散らす。丼にごはんをもってのせる。 これが一番ちくわの旨味が分かり易く感じることができました。でもこれって木の葉丼(カマボコを具にした卵丼)のヴァリエーションに過ぎないですね。まあ、美味しいからいいんですけど。ちくわナポリタン【材料】ピーマン(5mm幅) 2個/玉ねぎ(横薄切り) 1/2個/ちくわ(斜め切り) 10本/オリーブ油 適宜/トマトケチャップ 大さじ3/みりん 小さじ2【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してピーマン、玉ねぎ、ちくわを炒める。トマトケチャップを炒めて混ぜる。みりんを加える。 ギャル曾根氏によるレシピだそうです。作りながら思ってはいたけれどこれはいかにも味が濃いです。これにパスタを加えてちょうどいい位。 そうそう思い出しました。きゅうりをたくさん買ったので消費に困っていたらちくわ入りのきゅうりのスープのレシピがあったからそれで買うことにしたのでした。
2024/06/08
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今年、全国26の都府県で「カメムシ注意報」が発令されているとのことです。ゾッとしますねえ。幼少期、ぼくは和歌山市内で過ごしたのですが和歌山ってところは市内であっても山ばかりで、ぼくの住んでいたのは貴志川線の駅から5分程度と比較的便利な場所に住んでいたのですが、小学校に行くには山越えするか山裾を崖沿いを沿うようにして通うしかなかったのです。前者はスズメバチ、後者はカメムシが大量発生する時期があって何にせよ厳しい道程でありましたが、帰りはともかく行きはなるべく平坦な迂回道を使うことが多かったので、朝からカメムシのムンムンする臭いに耐えつつの通学を余儀なくされたのでした。よく香菜はカメムシの臭いと言われたりするけれど、どちらもアルデヒドの一種だそうな。ぼくが小学生の頃はまだまだ香菜は一般に流通しておらず、その頃に食卓に上ったらきっと食べられなかったんだろうなあ。ところでカメムシも結構広く食用とされているらしくて日本でも食べ比べの会が開かれたりしてもいるそうです。一般にイメージされる強烈な青臭いのもあるようですが、青リンゴの香りがするものなどカメムシも様々な種類が存在するようです。かと言って食べるのは相応の勇気が求められそうです。大概の食べ物は最初の抵抗感さえ乗り越えれば案外すんなりと受け入れられるものだから、最初はちゃんとした昆虫食料理人が適切に調理したもので慣れてしまえばその後の抵抗もなくなりそうです。シンプル香菜サラダ【材料】香菜(ざく切り) 1/2束/ピーナッツ(砕く) 適宜/【ドレッシング(混ぜる)】スイートチリソース・レモン汁・ごま油 大さじ2/ナンプラー 大さじ1【作り方】1. 香菜、【ドレッシング】を和えて皿に盛り、ピーナッツを散らす。 ヤムウンセンから春雨などの食材を抜いただけの味でありますから、まあこれがうちの香菜料理のベースとなります。香菜と豆腐のサラダ[写真紛失]【材料】木綿豆腐(水切り/一口大) 1/2丁/香菜(ざく切り) 1束/白ごま 小さじ1/赤唐辛子(砕く) 適宜/【ドレッシング(混ぜる)】醤油・酢 小さじ2/ごま油 小さじ1/豆板醤 小さじ1/4/にんにく・生姜 小さじ1/2【作り方】1. 皿に木綿豆腐、パクチー、白ごま、赤唐辛子をのせる。【ドレッシング】をかける。 これはどこぞやのレシピを参照しました。改めて見ても実にオーソドックスなレシピです。捻りがないなあ。香菜オムレツ【材料】卵(香菜、ナンプラーを加える) 2個/香菜(3cm幅) 1/2束/ナンプラー 小さじ1/ごま油・スイートチリソース 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱して卵を炒める。皿に盛ってスイートチリソースをかける。 玉子焼きの具にしました。他の青菜だと甘味なしでもイケますが、香菜は甘味のある方がずっと美味しく感じられます。ピーマンと香菜の生姜炒【材料】ピーマン(千切り) 4復路/香菜(茎/1cm幅) 1束/生姜(千切り) 2片/ごま油 大さじ1/【調味料】ナンプラー 小さじ2/オイスターソース・砂糖 小さじ1/胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱して生姜を炒める。ピーマン、香菜を加える。【調味料】を加える。皿に盛って胡椒を散らす。 エダジュン氏のレシピを参照。ピーマンと香菜って意外な組合せで面白いと思って試してみましたが、案外平板な味わいだったなあ。炒めると量がガクンと減ってしまうのも寂しいかな。
2024/06/07
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松戸と池袋とは似ても似つかぬ町だと思われるかもしれませんが、不思議な縁があるみたいなのです。実はこれと似たようなことをかつて書いたことがあります。その時には、松戸と駒込には縁があるって話を書いたのですが、それは主に東葛地域に店舗を構える「大衆酒蔵 日本海」が松戸は当然のこととして、なぜか駒込にも存在するからなんですね。実際の店は前者は繁盛している一方で後者は閑散としているところにあります。前者では喧騒が酷いから何をしゃべっても平気、逆に後者は他人がいないから秘密の会合を行っても支障がないのです。それとやはり東葛地域を中心に多くの店舗があった「鳥孝」がどうしたものか駒込にあったのです。これは今ではいずれも閉店してしまい寂しい限りです。じゃあ、池袋はどうか、って実は持ち合わせている共通点は皆さんご存じの「大都会」のことです。どちらも似ているようでやっぱり大分違っているようでもあり、関連はよく分からないのですが、その安さと営業時間の長さで一部愛好家すら存在するようです。その松戸店は一度は店を閉めたはずなのにほどなく復活を遂げています。閉まっている様子を目撃していないからもしかするとその情報はがせだったと感じる程なのです。いかにも共通点がこれだけじゃ寂しいことと思っていたら、思い掛けない店の支店がいつの間にかオープンしていたのでした。 池袋の駅北口エリアはネオ中華街(?)として話題になっているけれど、池袋にはそれなりに縁のあるぼくにとっては、今更何を騒いでいるんだって感じではあります。なんて昨年久々に何度か北口で呑みましたが、その変貌ぶりにちょっと驚かされたのですが。その際に訪れたのが、中華食材スーパーとそこに併設されたフードコートでした。その支店なのか系列店と呼ぶのが適当なのか定かではないけれど、「友誼食府 友誼商店 松戸店」というのが開店していたのです。池袋の雑然、荒廃然とした中華街的な町並と違って、松戸駅西口駅前のじわりじわりと町としての役割を終えていくかのような衰退途上の雰囲気に果たしてしっくりとくるのか疑問ではありましたが何にせよお邪魔してみることにしました。店の構えは巷に数ある中華食材店とは一線を画したピカピカの店舗で、実用一点張りの他店に比べると随分レイアウトにも気遣いを感じます。色々と気になる食材もありますが、量が多かったり思った以上に値段が張ったりで結局見送ることにしました。目的は買い物ではなく飲食にあります。まずは勝手知ったる表情でスーパーにて種類を購入。店の奥がフードコートになっていて、5、6店舗ほどが並んでいるような装いではありますが、従業員は2名の女性のみです。ずっと食べたいと思っていたザリガニや長らく口にする機会のなかったアヒルなどを注文します(このカードを受け取って都度勘定を済ますスタイルが、まだその意味するところが理解できていないのです)。いずれもちょっと物珍しくて食べたことに後悔はありませんが、とにかくしょっぱいのが辛い。またザリガニは予想していた以上に食べるのが面倒で、ひたすら食べる事に集中してしまい、手指も油でギトギトになるので酒もなかなか進まないのでした。前回も思いましたが、こういうお店では食事寄りの麺類なんかの方がむしろ美味しくいただけるのかもしれません。しばらくして訪れていた中国人カップルはやはり食事系メニューだけを頼んでいたからきっとそうなんだろうけど、それでも普段食べられないものが食べたいもんなんですよね。
2024/06/03
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ぼくは、刺身と焼肉が嫌いじゃありません。その割には、口にする機会が少ないのでありますが、それがどうしてなのかを語ってみてもつまらない。それより、これを書いていて、あれ、こんな文章どこかで読んだことがあるなあ、と思ったのです。googleなどで検索してみるが、ざっと眺めた範囲ではどうもそれらしい結果が表示されることはなかったのです。そこで思い付いて、青空文庫で「刺身と焼肉」で検索すると首尾よく引っ掛かりました。伊藤左千夫著『歌の潤い』 刺身と焼肉、それを予は決して嫌ではない。けれども刺身と焼肉が何より美味いという人には、到底真の料理を語ることは出来ない如く、芸術の潤いを感取し得ないような人に詩趣を語ることは出来ないと思ってる。 なんていう素朴で愚鈍な意見なんだろう。まあ、小説なんてものは、そこで語られる思想なり主張鳴りがいかに愚劣だったり非論理的であろうが小説としての価値にはさほどの影響を及ぼすものではないと思うのです。無論、ダメな哲学を朗々と語る人というのは、結構で本気で信じていることがあるから、やはり小説自体も愚作である場合がほとんどであると思われます。そもそも「刺身と焼肉が何より美味いという人」っていうのは案外少ないと思うのだ。例えば「刺身か焼肉」であればそこそこの割合で存在しているんでしょうけど。あまりにもツッコミどころだらけの文章でいちいち批判する気にもなれない。なんてったって、「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」 という何が「道理で」なんだか全く理解のできない文章を書いてしまえるような人であります。 とまあ、ぼくも刺身の事は全く捨て置いて焼肉だけを切り出してしまうのです。訪れたのは、「焼肉 上野 太昌園 別館」です。ぼくは自分がケチ臭いせいか、たまにご馳走してもらうことがあっても大概はそこそこ美味しい物って程度のことが多くて、今回の焼肉店は食べ物屋のクラスとしては一流未満といったところでしょうか。こういう焼肉店としては結構なレベルのお店ではどういう料理が並ぶのだろうと期待を抱いて参加したのです。店内は内装もまたなかなかにラグジュアリー感が漂っています。と眺める間もなく会合がスタートです。しかし、しょっぱなでその期待はあっさりと裏切られたのです。ここはなんとセルフの吞み放題なのです。ぼくのような愚かな呑兵衛はいくらでも呑めるとなると本当にいくらでも呑んでやろうって気分になるのです。これで肉、いや料理の量を減らそうということだろうか。ならば呑めるだけ呑むのが正解かもしれない。という気持ちももたげるのだけれど、最初から立て続けに料理が運ばれるからしっかり食べつつ呑むことができるのです。しかし焼肉はなかなか登場しない。焼肉だから呑み過ぎては食べられなくなるではないか。それは間違いでした。ここはいい肉を少ないポーションで提供するタイプのお店だったようです。というか高級な料理店ってのはそんなものなのかもしれないなあ。しかしまあこういう店って料理の出てくるペースがゆっくりだから必然的に摂取した酒量も多くなっているわけで最後の方のごはん物はよく覚えていないし、デザートも同様です。でも肉に比べるとイマイチだったというぼんやりした記憶だけは残っていて、だったら作戦としてはそう間違ってはいなかったかもと思うことにしたのです。
2024/06/02
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ヨーロッパにもチャイブやリーキがあるからてっきりねぎ類って世界的にみてもポピュラーな食材だと思っていたのですが、以下のサイトを見ると、東アジアや中米、北アフリカ、中東なんかがその生産量の大部分を占めています。特に東アジアで収穫が多いようです。野菜ナビhttps://www.yasainavi.com/graph/worlddata/item=onionsgreen というかチャイブなどもあるのにベスト50にヨーロッパ諸国がひとつも含まれていないというのは驚きです(見落としがあるかもしれない、あっ、ウクライナはヨーロッパの国でしたね)。このランキングにはニラも含まれているということですが、それこそニラはほとんどが東アジア(インドやその周辺諸国でも食べられてはいるようですが)で生産され消費されているみたいです。思い返してみると確かにニラって中華、台湾、韓国料理以外ではインド料理のレシピで見たことがある程度だなあ。ニラは臭いが強過ぎるってことなんでしょうか。でも同じように臭う食材であるにんにくは盛んに使われていることを思うと、けして嫌いじゃないはずなんだと思うんですけどね。海外コレできる部https://koredekiru.com/nira/ ガーリックチャイブなんていう似た野菜があるみたいですが、そう多く収穫されているものではなさそうです。ということは今回のようにパスタとニラを組み合わせるってのは、イタリアなんかではきっと食べられてはいないんだろうなあ。美味しいんだけどなあ。ニラパスタ【材料】スパゲッティ(茹でる)・ニラ(4cm幅)・もやし・ハム(細切り)・ごま油・塩・胡椒・刻みのり 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してニラ、もやし、ハムを炒める。スパゲッティ、塩、胡椒を加える。皿に盛って刻みのりを散らす。 そのせいか、ニラを使ったパスタ料理のレシピってだから醤油を使うなどの和風のレシピが多いみたい。でも和風の食材や調味料がなくたって、ちゃんと美味しく仕上がるんですね。これ一度でいいからイタリア人にも食べさせてみたいなあ。ニラと水菜のパスタ【材料】スパゲッティ(茹でる)・ニラ(4cm幅)・水菜(4cm幅)・にんにく・赤唐辛子(砕く)・ごま油・塩・胡椒・刻みのり 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。スパゲッティ、ニラ、水菜、塩、胡椒を加える。皿に盛って刻みのりを散らす。 ほぼ水菜だけ加えたパスタも作っていたようです。水菜はシャキシャキした食感だけがちょっと変わっただけで、味の面でhさほど変わり映えはいませんでした。ニラ玉スパゲッティ【材料】スパゲッティ(茹でる)・ニラ(5cm幅)・卵・ごま油・オイスターソース・塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱して溶き卵を炒めて取り出す。ごま油を熱してスパゲッティ、ニラを炒めて卵、オイスターソース、塩、胡椒を加える。 ニラと卵の組合せってよくできてますよねえ。これに豚肉を加えたり、ちょっとあんかけしてみたり、ヴァリエーションも無数に考えられます。パスタではどうか。やはり美味しいのでありました。ニラバターしょうゆパスタ【材料】スパゲっティ(茹でる) 100g/ニラ(4cm幅) 1/3束/にんにく 小さじ1/2/赤唐辛子(砕く) 1本/醤油・大さじ1/みりん 小さじ1/バター 小さじ1+1【作り方】1. フライパンにバターを熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。スパゲッティ、ニラを加える。醤油、みりんを加える。バターを加える。 バター醤油風味に作ってみました。これまた旨いなあ。でもニラの料理ってパターンが限定されるような気がします。にんにくもまたにんにくが主役となる料理が少ないのと同じって気分で捉えるのが良いのかもしれません。
2024/06/01
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世の中で最もリベラルなのは、日本の若い女性かもしれないなんと思ったりすることがあります。というのも韓国に対する偏見など微塵も感じさせない言動が様々な報道から見られるからです。しかしそれってちょっと考えてみると疑問も浮かび上がってきます。まず、韓国に対しての好感を隠そうともしない彼女たちが好きな韓国というのは、例えば韓国のアイドル達だったり、食文化だったりと極めて限定されたベクトルでしか韓国について認識しておらず、それ以外については、そもそも知りもしないし知りたくもないようにも思えるのです。無論、日本の若い女性の全てが韓国を好きな訳でもないだろうし、自分の好きな韓国以外を見ていないというのはそれこそ偏見であろうとは思うのです。でも日本の男性に韓国が好きと明言する人はまずほとんど存在しないんじゃないだろうか。ぼくなんかもそうした感情に近いものを抱いていることは確かでありまして、好きな韓国映画があったり、好きな韓国料理もあったりするけれど、それに起因して韓国を好きだとはとても口にする気にはなれなかったりするのです。他国に対しては、一部はっきり嫌いと言い切れる国もあるけれど、韓国に対するようなややこしい感情を持つことはないのでした。その理由は何となく分かっていて、一部のぼくの嫌いな国の国民は日本のことをハナから知らない、もしくは相手にしていなかったりするのでしょうが、韓国の人は日本のことを明らかに最も憎むべき国と思っているように感じられるのです。彼らが日本という国家を憎んでいて、日本人や日本の文化などを嫌っているわけではないというような意見を見ることもあるけれど、どうも真実に思えないのです。とつらつら書いていてどうもそうではないんじゃないかって気がしてきました。まだまだぼくには韓国に対する感情が定まってはいないようです。でも好きな料理が韓国にはあるので、そのレシピを4種。塩スンデゥブ【材料】寄せ豆腐 350g/アサリ(冷凍) 150g/干しエビ 大さじ1/水 2カップ/にんにく(薄切り) 2片/青唐辛子(斜め薄切り) 3本/鶏がらスープの素・塩・青ねぎ(小口切り)・粉唐辛子 適宜【作り方】1. 鍋にアサリ、干しエビ、水、にんにくを入れて中火で4分煮る。塩、青唐辛子、鶏がらスープの素を加える。青ねぎ、粉唐辛子を散らす。 スンドゥブはとても好きで手軽でいい料理だと思うのですが、自宅で作ってみてもどうも味が決まらないのです。以前、韓国の人がやっている居酒屋でスンドゥブを食べたことがあるのですが、いろんな具材や調味料をただただ足して煮込んでいるだけだったから簡単なはずなのに、どうも自分で色んなレシピを試してみてもピンとくるものに近付けずにいるのです。これは比較的旨いと思えたレシピです。でもちょっと物足りない。何か秘密の食材を入れてるんじゃないかと疑ってみたくなるのです。スンドゥブ(栗原心平)【材料】絹豆腐(水切り/4等分) 1丁/ニラ 2本/キムチ 100g/鶏がらスープの素 大さじ1/2/コチュジャン・酒・醤油 大さじ1/豆板醤 小さじ1/水 600ml【作り方】1. 鍋に湯を沸かして鶏がらスープの素、酒、醤油、豆板醤、コチュジャンを加える。絹豆腐、キムチを加える。ニラを加える。 突き詰めるとぼくは韓国料理で好きなもはキムチということになりそうです。ちゃんと真面目に作った美味しいキムチがあれば、それ以外は何もいらなかったりする。酒の肴にもごはんのおかずにもとても合う。非常に優れた食品だと思いますが、市販品だと当たり外れが大き過ぎるのが難点だなあ。今回使ったキムチは当たりのキムチだから美味しく出来上がりましたがダメなキムチだときっとガッカリな仕上がりになったのだろうなあ。もやしとニラのジョン【材料】もやし 1/2袋/小麦粉 大さじ2/卵 1個/ニラ 1/2束/白ごま・塩・胡椒・赤唐辛子 適宜【作り方】1. ボウルにごま油以外の全ての材料を入れて混ぜる。フライパンにごま油を熱してスプーンで少しづつ焼く。 ジョンってのも好きな料理ですが、手軽な割に店で食べると結構な値段を取られてしまうのですね。でもやってみると分かるけれど、案外面倒なんですね。作り始めるとあっという間なんですが、なかなか作る気になれないのです。きっと多くの野菜でジョンは作れそうですが、もやしのはどうやって作ってもどこかで食べた味だし、やっぱりもやしでしかないって感じでもあります。オイコッチョリ(きゅうりの浅漬けキムチ)【材料】きゅうり(4cm長/縦4等分/塩をまぶす/水洗い) 2本/塩 適宜/【タレ(混ぜる)】コチュジャン・砂糖・醤油・酢 大さじ1/にんにく 1片/ごま油 小さじ1/白ごま 適宜【作り方】1. 全ての材料を和える。 きゅうりのコチュジャン風味の浅漬け。悪くないんですが、やはりちゃんとしたオイキムチの美味しさとは全くの別物ですね。でもまあきゅうりって案外持て余してしまうことがあるからこういう手軽なレシピを知っておいて損はなさそうです。
2024/05/31
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基本的にぼくは飽きっぽいのです。特に同じ食べものが連続するとうんざりしてしまい、そのせいで数カ月や数年単位で食べられなくなるなんてことがあるのです(実のところはカレーライスとラーメンであればほとんど毎日食べたって飽きないと思うんですけど。さすがに3食すべてがカレーかラーメンっていうのはちょっと無理かもしれませんけど)。だから家で食べる食事は余程に忙しいとか疲労困憊しているとかでない限りはできれば毎回違ったレシピが必要になるのです。無論、手間の掛かる料理や食材を揃えるのが難しいものなんてのもできれば避けたい。時間と予算がある場合であれば、そうした料理を作るのはたまになら構わないのですが、できれば短時間に冷蔵庫に常備したものだけで作れるのが理想です。そしてそうした意向にそった料理を30種類位はマスターして、レシピなど参照せずとも作れるようになるなら,今後はその30種類をルーティンで作ればいいだけです。月に1度食べる程度であればそうそう飽きないでしょうし。とまあ、普段の食事はマンネリを嫌う癖に外での吞みに関しては肴にさほどの拘りはないのです(というか一人だったり立ち呑みではあまりつままない)。コレクター根性の抜け切らないぼくは、居酒屋巡りをスタートした当初こそ、ほぼ毎晩のように数軒の未訪店を訪ねることを日課としていたけれど、今ではそうした欲求も収まりつつあるのはやはり以前以上に飽きっぽいことの証左なのでしょうか。それとも同じ立ち呑みで呑み続けて平気なのは案外まだまだ飽きっぽいという次元には至っていないのだろうか。 でもしっかり呑みもするけれど、むしろ食に向けての欲望を満たすことを目的とする機会がたまにあります。すでに長々と書いたように食に対しては確実に飽きっぽくなっているのでそうしたタイプの店に繰り返し訪れることは極めて稀なのです。せいぜい数カ月に1度訪れるか訪れぬかといった程度。でも西日暮里の「蕎麦吉里 童心舎」にはこのところ月1回以上のペースで通っているのでした。それは普段の独り呑みや仲間呑みとは違ったオフィシャルとまではいえぬまでもそこそこちゃんとした呑み会の機会があったからというのが理由の一端を占めているのだけれど、店選びを任されている身としては選択肢は無数にあったはずなのだから,やはりぼくもかなり気に入っているということなのだ。なんといってもここはそばが旨い。もっと上等なそばもきっとあるんだろうけれど、値段と質のバランスが格段に優れていると思うのです。肴も余技で作っているとは思えないほどだし(欲を言えば日替わりの品が1、2品あるとなお嬉しい。)、酒も種類こそ少ないけれどお手頃で気が利いてるのだ。そして店も混みもせず空きもせず、程よくお客さんが入っていて、皆さん実に品よく過ごしておられる(実はこの後に訪れた際にとんでもなく嫌な客もいたことがあるのだけれど、奴らは恐らく一見客であります)。雰囲気はまあ普通の小奇麗なそば屋の構えでありますが、快適であることは言うまでもないのです。そして近頃こちらで重視しているのが店の方たちの人柄にあります。主人の姿はほとんど目にすることはないけれど、奥さんはテキパキして気分がいいし、息子さんはいつもニコやかで愛想も抜群にいいのです(実は、この彼と昨日、店の外の某呑み屋で遭遇したのですが、彼の多面性を目撃するに至ったのです)。これからもちょっとした集まりがあったらまた訪れたいと思える使い勝手のとてもいい大好きなお店になりつつあります。
2024/05/27
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池袋駅の南東東通りの裏手の通りにいつの間にやら一軒のもつ焼き店が開店していました。どこかで見たことのある名だからきっとチェーン店なんだろうなと思って、さほど関心も抱くことなくスルーしていました。今、調べてみたら練馬区を中心に4店舗が存在する程度のようです。だったらどうしてここまで印象に残っていたのか。恐らくは、店名がやけに印象に残っていのだろうか。これを見てまず思い浮かべたのが、ダイダラボッチのことです。でもダイダラボッチをダイダラと省略するってありなの? すぐにWikipediaで調べることにしました。結果として、様々な名称・呼称があるけれど、「ダイダラ」のみの表記は見られません。もしかすると「ダイダラボッチ」と思い込んだのが誤りではなかったかと、今度は「ダイダラ」のみをキーワードに検索すると以下のサイトにヒントがありました。紀州よいとこhttps://myamato.exblog.jp/16521489/ なるほど、「大多羅大明神」に縁がありそうです。でも「大明神」が神様に向けての尊称である以上、それを省略するのは常識的にはあり得ないように思えます。さらに調べると「大多羅」を尊称なしで表記した地名及び駅名がありました。国史跡である大多羅寄宮跡のあった岡山県岡山市東区大多羅町と最寄りの大多羅駅であります。これなら例えばこの地域出身の方が「だいだら」と店名を名付けてもおかしくはなさそうです。と言いたいところですが、この読みは「おおだら」なんですね。何のことはない、店で尋ねればいいだけのことなんでしょうね。 と今更ですが、お邪魔したのは、「やきとん だいだら 南池袋店」でした。東通りの周辺のお店って結構短命なところが多くって、東通りを制覇する勢いのイタリアンをはじめ他業種を展開するグループやうどん店2軒、中華屋さんなどは善戦しているものの夜は客の入っていない店も少なくないのです。駅からちょっと離れているというのも敬遠される理由なんでしょうか。ぼくはこの界隈まで来ると多少は喧騒から遠ざかった気がしてちょっとホッとはするのですが、いかんせん足繁く通いたいと思える酒場が少ない土地柄なのです。って混んでる店はやたらと客の入りがいいみたいで、今では多くの人々が全くもって自分の勘を頼りに酒場を選ぶなんてことは稀になっているのかもしれません。でもこの夜のぼくは、ネットの情報に頼る訳でもなくここを訪れることにしたのです。というのが、たまたま他所で呑んでいて、結構な距離を歩いたので、ちょうど駅に向かいがてらここらを歩いていたらここを思い出したまでなのです。お客さんの入りは半分ほどで開店してそう日が絶たないことを思うとちょっと寂しいかなと。今時ありがちなもつ焼き屋で、この系列にお邪魔したのははじめてですが、結論としては特筆するべき点は何もなかったのです。あっ、そういえば店の人たちが外国の出身者らしい人が多いことは珍しくもなくなりましたが、それよりも若いスタッフばかりなのです。ぼくの視線が届かぬところにベテランスタッフがいたのかもしれませんが、大部分は若い方でした。そういう意味ではこれでよく店が回っていると感心すべきかもしれません。が、この土地柄は余程気張らないと、あっという間に淘汰されることになるので、もう少し奮起してもいいんじゃないかと思った次第です。
2024/05/26
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この頃は、話の取っ掛かりとするためにお決まりのように青空文庫をチェックします。書きたいことがあっても何となく見てしまいます。ぼくは案外、思っていたよりも文学好きなのかもしれないなあ。こうしたクリッピングによる読書は、オーソドックスな読書方法(ここでは書物の冒頭から最終頁まで律儀に辿る読み方を意図しています)というのは、物語の呪縛に囚われてしまい、つい先へ先へと意識が向かいがちで、文字そのものと戯れる余裕を見失いがちです。特定の単語が含まれるセンテンスに集中すると物語を読み取ることに重点を置いた読み方では見落としてしまう何ものかが思い掛けなくも面白く思えてくることもあるのです。里村欣三『放浪の宿』 この寺院と斜かいになった十字路の角は、ロシヤ人の酒場(バア)だった。酒場と云ってもそれは、馬糞よりも下等な馭者や、もっとそれよりもひどい下層労働者達が、未製のカルバスや生胡瓜を噛って、安酒を呷ったり、牛の臓腑を煮出したスープを啜って飲み食いする劣等な飲食店であった。 里村欣三って実は全く知らない作家だったのですが、プロレタリア文学の作家だそうです。まあ、このたった2つのセンテンスを読むだけでもそれはうかがい知れます。これを読んでまず思ったのが、最下層民たちでもカルパスや胡瓜なんかで安酒を呑めるものなのだなあといった、至極素朴なものでした。でもそれだとぼくは最下層民なんだろうか。だってねえ、ぼくだって毎晩ほぼ似たような肴で安酒を呑んでるんだから。でも、ぼくは普通に稼いでいて平均的な所得は得ているはずだからもしかすると日本国民は未だにかなりの割合が最下層民ということなのかもしれません。 しかも、「そうか。そこの新聞紙をめくって見ろよ。胡瓜と黒パンがあらあな」 とか、「黒パンに、生胡瓜か。見っともない真似はよせよ! まさかにどぶ鼠じゃあんめえし……」 といった会話文を読むと黒パンと胡瓜が貧しさの象徴のように書かれているけれど、これってどっちもぼくは好物なんですよねえ。ということで今回はきゅうりレシピを4品。きゅうりとあさりのレンジ蒸し【材料】きゅうり(まだらに皮を剥く/乱切り) 1本/アサリ 200g/酒 大さじ3/顆粒だし 小さじ1/塩 適宜【作り方】1. 耐熱皿にきゅうり、アサリ、酒、顆粒だしを入れて混ぜ、電子レンジで600W7分加熱する。冷めたら塩をふる。 きゅうりに火を通すということに昔のぼくは忌避感を抱いていました。煮たり、炒めたり、色んな調理法のレシピがあって試してもみたけれど、今のところ忌避感はなくなったものの積極的にまた食べたいと感じた料理も存在しないのでした。これまたそうした料理の一品に連なることになりました。山形流冷やしタヌキそば【材料】そば(茹でる/冷水で洗う)・きゅうり(千切り)・揚げ玉・白ごま・そばつゆ 適宜【作り方】1. 皿にそばを盛って天かす、白ごま、きゅうりをのせる。そばつゆをかける。 ぼくがどうしても好きになれないマンガ家に柳沢きみおがいます。この人の絵を見ているとサブいぼが出そうになるのです。でもそれは実はこの絵に他に類例のないオリジナルな証なのかもしれません(『原宿ファッション物語』(原題『SEWING』)だけは例外的に好きでした)。その作家の手になる『大市民日記』で紹介されていたという山形風の冷やしタヌキそばでありますが、これってホントに山形の食べ方なのかね。まあ、当たり前に美味しいけどね。棒棒鶏(バンバンジー)【材料】鶏肉(胸) 1枚/生姜(叩き潰す) 1片/長ねぎ(青い部分) 1本分/紹興酒 大さじ1/きゅうり(3等分/千切り) 2本/【ごまだれ(混ぜる)】練りごま 50g/醤油・砂糖 大さじ2/酢 大さじ1/長ねぎ(みじん切り) 大さじ2/にんにく 小さじ2/生姜 小さじ2/ラー油 適宜【作り方】1. 鍋に湯、長ねぎ、生姜、紹興酒を沸かして鶏肉を入れ、火を止めて蓋をし、30分置く。鶏肉を取り出して裂く。2. 皿にきゅうりを盛って鶏肉をのせ、【ごまだれ】をかける。 棒棒鶏にはきゅうりが必須であります。たまにきゅうりなしの茹で鶏だけのものが出されたりしますが、いかにも物足りません。色んなレシピがありますが,まだまだ美味しく作れそうです。といってもそうしょっちゅうは作んないんですけど。砕黄瓜【材料】きゅうり(包丁の背で叩く) 2本/にんにく・生姜 適宜/【調味料】ごま油・醤油・塩 適宜【作り方】1. 全ての材料を和える。 台湾の調理法らしいのですが、特段代わり映えしないですね。とりあえずネットで見つけたまんま作ってみましたが、酢を加えたくなります。あとごま油をラー油に変えたくなるかな。まあ、実際のところきゅうりはこういう単純な食べ方が美味しいのかもしれません。
2024/05/25
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林芙美子という作家は、ぼくにとって映画監督、成瀬巳喜男のいくつかの忘れ得ぬ作品の原作者としての興味しか抱いていなかったのです。今だって原作を手に取ってみようとはなかなか思えないけれど、「朝御飯」というエッセイを知り、その食いしん坊ぶりを知ると多少の関心を持つようになったのです。貧しい幼少期を経て、流行作家となった後には海外を含めた旅を重ね若くして夭折したことは知識として知ってはいたけれど、今回Wikipediaで急逝した夜に取材で料亭2軒をハシゴしていたと知って驚かされました。結果としてそれが彼女にとって良かったのか悪かったのか誰にも知ることが叶わないけれど、仮に長寿を全うしたとしたら晩年にとんでもない作品をものすることができたんじゃないかなんて想像してしまうのです。老いた作家の文章というのは若かりし頃の作品と読み比べてみると、全く別の人間が執筆したんじゃないかと思わせることが少なからずあります。でも先ほどの想像をすぐに裏切る発言となりますが、この精力的な女性は年老いていたとしても変わらずエネルギッシュであり続けたのではないかと思ってしまうのです。彼女の先述したエッセイに酢漬けの胡瓜の記述があるけれど、バタ臭い朝食を食べていた彼女の事だからきっとザワークラウトなんかも気に入って口にしていたんじゃないかなあ。と本当は別の食材で書くつもりだったのだけれど、気が変わってザワークラウトのレシピとすることにします。 ビゴス【材料】牛塊肉(一口大) 250g/キャベツ(千切り)・ザワークラウト・ソーセージ(一口大) 100g/赤ワイン 90ml/にんにく 1片/玉ねぎ(薄切り) 1/2個/ポルチーニ(乾燥) 10g/トマト水煮(潰す) 1/2缶/ローリエ 1枚/オレガノ・キャラウェイシード 適宜.ジュニパーベリー 4粒/オリーブ油 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにく、玉ねぎを炒める。キャベツ、ザウワークラウトを加える。牛肉、ソーセージを加える。赤ワインを加える。香辛料を加えて30分煮込む。 ポーランドのレシピだそうな。これだけのためにジュニパーベリーを購入してしまったが、果たして本当に必要だったのか。ポルチーニもなんかもったいないなあ。それ以外の材料だけでもいいかも。ザワークラウトとじゃがいもの炒め【材料】じゃがいも(細切り) 2個/玉ねぎ 1/2個/ザワークラウト 100g/ハム(or ベーコン/細切り) 1枚/にんにく 1片/オリーブ油・キャラウェイシード・塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。じゃがいも、玉ねぎ、ハムを加える。ザワークラウトを加える。キャラウェイシード、塩、胡椒を加える。 これは間違いないだろうと作ってみました。肉類はぼくにはない方が口に合うかも。ザワークラウトとじゃがいもの炒め【材料】じゃがいも(茹でる/皮を剥く/銀杏切り) 2個/玉ねぎ(薄切り) 1/2個/ザワークラウト 100g/生ハム(細切り) 1枚/ラディッシュ(薄切り) 3個/にんにく 1片/オリーブ油・塩・胡椒・パセリ 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。じゃがいも、玉ねぎ、ハムを加える。ザワークラウトを加える。キャラウェイシード、塩、胡椒を加える。 といいつつ今度は生ハムで作ってみました。これの方がしっくりくるかな。ザワークラウトとじゃがいもの炒めトースト【材料】食パン(トースト)・ザワークラウトとじゃがいもの炒め・マヨネーズ 適宜【作り方】1. 食パンにマヨネーズを塗ってザワークラウトとじゃがいもの炒めをのせる。 食パンにのせてみました。そのままより美味しいかも。マヨネーズのチープさが案外この料理には合っているように思えました。って基本的にレシピは2種類だけでした。今後何か作ってからにすればよかったかな。でもまあ書き終えたから良しとしよう。
2024/05/24
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ファーストドリンクが安いって売り文句につられるなんて、我が事ながらさもしいなあと思ったりもする。よくよく考えるまでもなく、1杯目がそこそこ安くても2杯で打ち止めできるようなまだしもさすがにそれじゃ済まないから、元値を確認位はしておくべきなんでしょう。一軒2杯のルールで呑み歩くなんてことができれば、そこそこ安上がりで済むだろうし、数多くの酒場をハシゴしてこういうブログなんかのネタに困ったりすることもないのでしょうが、最近は呑み出すと億劫になって動くのがかったるくなってくるんですね。寡黙なOLさんが仕事上がりに美味しい肴と酒でチビチビやるってマンガがありますが、あんなにケチ臭い呑み方されると店側も迷惑なんじゃないかなあ。でもそんなのがテレビドラマ化されたみたいだから分からないものです。とか言ってぼくも一人だと肴はほとんどいらない方で、思い出してみると昨夜もお通しちょっぴりと軽い揚げ物と乾きもの程度で6杯吞んでいるから似たようなものかもしれないけど。でもまあ酒が稼ぎどころという話も聞くから6杯吞めばまあいいところなんじゃないかと。ともあれ、ファーストドリンク無料のお店だっていくらでもあることを考えると撒き餌としては店側にとっては手軽なやり口でしょうけど、ぼくのように簡単に引っ掛かる客がいるってことは結構な効果が期待できるもののようです。「居酒屋 待家」に入りました。店名については、特に何も申し上げるまい。店の男女どちらからも笑顔はなく、いらっしゃいもなかったように記憶します。席を指してくれたから全くの無口だったということはなかったはずですが、第一印象は余り芳しいものではありませんでした。いまさっきネットで確認したら店主の満面の笑顔の写真を見掛けることができたから、この日はたまたまご機嫌が芳しくなかっただけだったのかもしれません。何か嫌なことでもあったのかねえ。こうなると実際はともかくとして何もかもが不愉快に思えてくるものです。二人が店の奥で交わしている言葉が何やら我々に対する悪口なんじゃないかと疑心暗鬼となり、こんなんだから他にお客がいないんだよなんて思ったりもするのです。今、冷静に思い出すと、不愛想な点以外は普通にちょっと使いやすいお店ではあったなあと思われるのですが、最初が悪いとそのイメージを払しょくするのは非常に困難であるようです。正直、割引のファーストドリンクを呑んだらそのまま店を後にしたい気持ちにもなったのですが、焼き魚を頼んでしまい焼き上がりに時間を要することになったからそうもいかぬのでした(カマスを頼んだら1尾ですけどって怪訝そうに言われたのも、こちらが非常識な注文をしたみたいで身が縮むような気持になるのでした)。色々悪く書いてしまいましたが、店の人だって気持ちが落ち込んだり、不機嫌なこともある訳で、それを隠し切れない日もあったりするのかもしれません。そういう意味では客商売ってのはなかなか大変であるなあとは思っていますのであしからず。
2024/05/20
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亀有には「江戸っ子」をはじめとする都内でも指折りの名店と評される酒場もありますが、こうした有名酒場はどうしたって混み合っていて居心地という面では、余り好きになれません。仕事を終えての息抜きで酒を呑みに行って満員電車みたいな混雑した環境で過ごすのは、どうにも気乗りのしないことです。そりゃまあ、ぼくだってもともとはこうした酒場を狂ったように巡っては、それなりの満足を感じてもいた訳ですが、相応のストレスが身に掛かっていることは常に感じていたのです。思えばかつてやはり狂ったように通い詰めた映画にしたって、シネフィルたちが挙って押し寄せる上映ってのがあって、また開始時間のどのくらい前に行けば入れるのだろうか、それだけの時間を立ったまま並んで待つのは辛いだろうなあとか、そもそも入れるかどうかすら危うい場合も少なくなくて、辛うじて入れても立ち見だったりととにかく行く前も行ってからもストレスが終始付きまとっていたのでした。酒場巡りもそんなストレスを覚悟しなくてはならない場合もあって、少なくとも映画の場合は最低限、会場が閉まっているということはなく、かつては稀にプリントの状態が良くなくて上映中止もしくは上映作品そのものが別な作品に変更になったり、16ミリフィルムや酷い場合はDVD上映となったりする場合もあるけれど、酒場の場合は予告もなく平気で休んでいたりすることもあったりで、今ではそんなに遠征して呑むことも少なくなったから初めから余り強い期待感を抱かずに済ませられる程度の心の余裕を持てるようになりました。 ってな訳で、財布の問題さえ気にしなければ目当ての酒場がやっていなくたってそうそうにはへこまなくなっています。しかも目当ての酒場がやっていなかったりしてもむしろ予定外に好みに合った酒場に巡り合うこともあるのです。「小料理 梓」もそうした軽い気持ちで暖簾をくぐったのですが、店内の古びてはいるけれど、こざっぱりとしていていい雰囲気です。店の方も実に感じがいい。父娘なんでしょうか、オヤジさんは寡黙ですが注文したホタルイカが大量らしいなんて話をしているとそれに乗っかってきてくれて、でも邪魔にならない程度でスッと身を引いて仕事に戻るというできたお方なのだ。娘さん(?)もまた、明るく終始笑顔を絶やすことはなく、客たちとの会話も楽し気に交わしはするけれど、仕事の手を休めることもなく、父(?)とも良好な関係であることを匂わせる仕草や会話が微笑ましいのです。肴もシンプルな魚介中心ながらとても丁寧な仕事がされていて(と気取って書いてみる)、酒も種類は限られてはいますが、渋いところが用意されています。ぼくの財力では毎晩は無理だけど、時々通ってきたいなあと思わせてくれる良店でした。事実、その翌週にはまた訪れることになるのだから、ぼくもこういう目立たないけれど、ちゃんとしたお店がいいと思える年頃になったのかもしれないなあ。
2024/05/19
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北大路魯山人に『狂言『食道楽』』というアホらしい文章があります。大名、目、鼻、口、手、心、耳の面々が食い物について語る、ごく他愛のないものです。引用したのは、「目」の語った箇所です。料理は目で楽しむことから始まるといった程度の話であろうと想像されるかと思いますが、まさしくそのままなのであります。「かしこまってござりまする。たとえ、各地の名産が、あつまったとて、きいたとて、次に食べるのはこの目でござりまするぞ。まずは料理のいろどりでござります。まぐろのさしみにトマトの[#「トマトの」は底本では「とまとの」]輪ぎり、赤貝の酢のものにチキンライスと、こう赤いものづくめでは、共産党の店だしのようではござりませぬか。 また、そうかというて、黒だいの塩焼きに、たにしの味噌あえ、なすびの煮つけに、いかのすみ、ごはんのおこげに、黒いまめ、塩こぶ、ぼたもち、ちょうちんもちと、こう黒ずくめでは陰気でならず、箸をもったら念仏の、一つもいわねばなりませぬ。 そこで申すなら、いかのさしみによくきくわさび、おしたしものにはごまなどふって、野菜の色の失せぬよう、まず、目に物みせて楽しませ、それにて味もひきたちまする。まだまだ申せばうつわの好み。料理にとって、食器というものは、それこそ料理のきものでござりまする。 いくら美人でも、着るものの好みがわるくては美人も台なし。高価なものではござりませずとも、よくそのものに調和した、きものを着せるのは理の当然、きものと帯が不調和でも、こまったものでござります。顔はうしろで見えずとも、帯の結びようでちょいと惚れる。食器は料理のきものゆえ、うつわも大事でござりまする。 と、こう申せばお料理は、まず目で食べるという道理、なんといかがでござりまする」 つまんないですねえ。でも色彩に拘って料理するのは楽しそうです。特に本気の黒い料理はやってみたいなあ。魯山人の揚げる黒い食材は、いかのすみ、黒いまめ、塩こぶはいいとしても、黒だいの塩焼きに、たにしの味噌あえ、なすびの煮つけに、ごはんのおこげに黒を見出すのはいささかに無理があるというものです。ちょうちんもちってのはそもそもそんな食べ物があるのだろうか。のり、ヒジキなどの海藻類や黒ごまなどもあるのに魯山人の「目」には「黒」と映らないのだろうか。キャビアやトリュフ、キクラゲなんかもごはんのおこげよりは余程黒く思えるんだけどなあ(「赤」にしたって、トマトとチキンライスを並べるなんて苦し紛れもいいとこだ)。とまたもイカスミを使った料理(4種)です。イカスミはスミというだけあって、どんな料理でも加えれば黒い料理に変えちゃうのだから最強の「黒」食材といえましょう。イカスミチャンプルー【材料】イカ(細切り) 1杯/もやし 1袋/ニラ(ざく切り) 1/2束/玉ねぎ(薄切り) 1/2個/ラード 小さじ2/にんにく 1片/赤唐辛子(輪切り) 1本/イカスミペースト 4g/泡盛 大さじ3/砂糖 大さじ1/薄口醤油 大さじ2/塩 小さじ1/3/白胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにラードを熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。イカを加える。玉ねぎ、もやし、ニラを加える。イカスミペースト、泡盛、砂糖、薄口醤油、塩を加える。白胡椒を加える。 日本の料理でイカスミを利用するのは稀であります。でも沖縄料理ではイカスミレシピがちょくちょく登場します。いかすみ汁なんかが代表格でしょうか。イカスミって見掛けのドギツサと違って味は非常に穏やかだからもっといろいろ活用できそうです。イカスミチーズトースト【材料】食パン 1枚/バター・イカスミペースト・溶けるチーズ・胡椒 適宜【作り方】1. 食パンにバター、イカスミペーストを塗って溶けるチーズを散らし,トースターで焼く。胡椒を散らす。 ネットで見掛けたので試してみました。果たしてイカスミが見た目以外にどれほどの効果を及ぼしているのか、ちょっと疑問でした。イカスミTKG【材料】ごはん(【イカスミソース】を和える) 1膳/卵 1個/【イカスミソース(混ぜる)】オリーブ油・コラトゥーラ・イカスミペースト・にんにく・イタリアンパセリ 適宜【作り方】1. 茶碗にごはんを盛って卵をのせる。 食パンよりは、ごはんの方が味がのりやすいようです。でもコラトゥーラやイカスミペーストを加熱せずに食するのはどうも抵抗があったので、ごはんと混ぜてから軽くレンチンしました。器が汚れてしまいましたが、この方がきっと美味しく食べられるんじゃないかと思っています。イカスミフィデワ【材料】極細パスタ(3cm長) 120g/シーフードミックス 200g/アサリ 150g/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/パプリカ(細切り) 1個/白ワイン 大さじ2/魚介スープの素 1個/水 200ml/オリーブ油 大さじ3+1/イカスミペースト 大さじ1/にんにく 1片/パプリカパウダー・塩・胡椒 適宜/【ピカーダ】にんにく 1片/パセリ 1枝/アーモンドパウダー 大さじ1/【アリオリ風マヨネーズ】マヨネーズ 大さじ3/にんにく 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにく(【ピカーダ】用)、極細パスタを炒めて取り出す。にんにく、パセリ、アーモンドパウダーをすり混ぜる。2. オリーブ油を熱してにんにく、玉ねぎを炒める。シーフードミックスを加える。白ワイン、魚介スープの素、水、1.の【ピカーダ】、アサリ、イカスミペースト、トマトペースト、パプリカパウダーを加える。塩、胡椒を加えてアサリを取り出す。1.のパスタを加えてパエリア鍋に移して水分を飛ばす。アサリ、パプリカをのせてオーブンで180℃5分加熱する。【アリオリ風マヨネーズ】を添える。 以前、サフラン風味のフィデワを食べたのですが、ちょっと物足りなさを感じました。ネットで見掛けたこちらで久々にフィデワを作ったらこれがなかなかに美味しく出来上がったのでした。イカスミペーストの効果なのか、ピカーダに含まれるアーモンドパウダーが案外陰で活躍しているんじゃないかとも思ったりしました。
2024/05/18
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世の中には色んなカレーがあるけれど、ぼくを驚かせてくれるカレーは、ないんだろうか。ここで驚かせてくれると書いたのは、驚くほどに旨いカレーを意味してはいないのです。きっと驚くほどに旨いカレーはいくらだってあるはずだし、ぼくが自分で作るにしても金に糸目を付けずに素材を吟味し、徹底的に調理に時間を確保したら、今よりずっと美味しいカレーを作る自信はあるのだ。そんなのは当たり前のことなのだ。だからここで驚かせてくれるというのはあくまでも見た目に特化した話なのです。実際にとんでもなく大盛のカレーを見たらそりゃまあビックリするかもしれないし、カレーとは思えぬ色彩のルーが掛かっていたら気色悪いって感じもするだろう。前者を試そうとは思わぬけれど、後者は通常使う食材でそれが可能なら試してみてもいいけれど、大概の場合、味はカレーでしかないはずなのだ。トッピングもあれこれ試してはいるけれど、ほぼありとあらゆるものを受け止めるだけの包容力があるのがカレーだから、果物やケーキなどの甘味類もやはりヤバい感じがするけれど、煮込んだり、しっかり混ぜ混みさえすれば案外食べられるんじゃないかとも思っています。また、近頃肉じゃがだったり麻婆豆腐なんかの別種の料理とハイブリッドさせるなんてことも試していますが、これまた思いの外に違和感なく、というかむしろ美味しく食べられちゃうように思うのです。あえ挙げれば刺身カレーなんてのはある意味でインパクトありで実際提供している店もありそうですが、あまりゾッとしないといのがぼくの印象であります。とかなり無理矢理感がありますが、刺身ののっていない寿司屋のカレーの模倣を試みてみました。今回の4品は、実際に提供されているもしくはされていた各種カレーの模倣になります。ちなみに情けないことにいずれも実食経験なしなのでした。くら寿司風シャリカレー【材料】ごはん(すしのこを混ぜる)1膳分/すしのこ(タイマイ) 適宜/野菜(玉ねぎ・ピーマン(赤)・かぼちゃ・じゃがいも・白ねぎ・ズッキーニ・セロリ・ニンジン・りんご・生姜・にんにく・フライドオニオン/ミキサーにかける)・サラダ油・砂糖・小麦粉・カレー粉・チャツネ・固形ブイヨン・塩・トマトペースト・醤油適宜【作り方】1. 鍋にサラダ油を熱して小麦粉、カレー粉を炒める。残りの全ての材料を入れて煮る。2. 皿にシャリを盛って1.をかける。 シャリはすしのこでお手軽に作成。ルーは、くら寿司のHPを参考にできるだけ忠実な再現に勤めてみました。とそこそこの手間を掛けて作ったんですが、まあ普通だったかな。シャリは悪くないと思ったんですけどね。今度はシャリカレーチャーハンなんかを試してみたいかな。やたがいカレー(閉店:日吉屋)【材料】ごはん1膳分/福神漬 適宜/【黄色いカレー】豚肉・ニンジン(半月切り)・玉ねぎ(くし型切り)・ラード・カレー粉・小麦粉・水・鶏がらスープの素・塩 適宜/【黒いカレー】豚肉・長ねぎ(斜め薄切り)・油揚げ(短冊切り)・酒・みりん・醤油・顆粒だし・水・カレー粉・片栗粉 適宜【作り方】1. 鍋にラードを熱してカレー粉、小麦粉を炒めて取り出す。鍋に湯を沸かして豚肉、ニンジン、玉ねぎ、鶏がらスープの素を加えて煮る。カレールー、塩を加える。2. 鍋に湯を沸かして豚肉を茹でる。長ねぎ、油揚げ、酒、みりん、醤油、顆粒だし、カレー粉を加えて煮る。水溶き片栗粉を加える。3. 皿にごはんを盛って1.、2.を半分づつかけ、福神漬を添える。 黄色と黒の相掛けになります。このために2種類のルーを作るのはかなり面倒でありますが、一度訪れただけで閉店してしまった「日吉屋」の思い出を風化させぬよう頑張って作ってみたのです。それぞれ趣きが違って悪くないのですが、混ぜてしまうと非常に凡庸な味わいになるのが難点。でもこれは単に2種のカレーを食べたということではないのだ。一皿に2種を盛り付けるところに妙味があるのである。ダブルカレーせいろそば(やぶ茂)【材料】そば(茹でる) 1人前/【黄色いカレー】豚肉(1cm幅)・じゃがいも(皮を剥く/拍子木切り)・玉ねぎ(くし型切り)・ラード・カレー粉・小麦粉・水・鶏がらスープの素・塩適宜/【黒いカレー】豚肉(1cm幅)・長ねぎ(斜め薄切り)・酒・みりん・醤油・顆粒だし・水・カレー粉・片栗粉 適宜【作り方】1. 鍋にラードを熱してカレー粉、小麦粉を炒めて取り出す。鍋に湯を沸かして豚肉、じゃがいも、玉ねぎ、鶏がらスープの素を加えて煮る。カレールー、塩を加える。2. 鍋に湯を沸かして豚肉を茹でる。長ねぎ、酒、みりん、醤油、顆粒だし、カレー粉を加えて煮る。水溶き片栗粉を加える。3. 皿にそばを盛って1.、2.をそば猪口に入れて添える。 実体としては、やたがいカレーのごはんをそばに変えただけ。でもそばに直にかけずそば猪口(うちにはそば猪口などないので適当な器なのが決定的にダメダメ)に付けて食べるのが大事なポイントなんでしょうね。これまた極めて想像通りの味わいでありますが、やはり見た目がいかにも残念です。カレーライスそば(招福庵)【材料】そば(茹でる) 1人前/ごはん 1/2膳分/【カレー】豚肉(1cm幅)・じゃがいも(皮を剥く/一口大)・玉ねぎ(薄切り)・酒・みりん・醤油・顆粒だし・水・カレー粉・片栗粉 適宜【作り方】1. 鍋に湯を沸かして豚肉、じゃがいも、玉ねぎを茹でる。酒、みりん、醤油、顆粒だし、カレー粉を加えて煮る。水溶き片栗粉を加える。皿にそば、ごはんを盛ってかける。 これまた一皿に2種を盛り付けるところのみに妙味を見出すべきレシピであります。作るのがさほど面倒ではないのにそれなりに異色な見た目になるのでビジュアル派の人には面白いかも。中華麺や焼きそば、うどんなど応用範囲は広いと思うけれど、一度試すと新鮮味が失せる気がします。
2024/05/17
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突然に職場を去らねばならなくなった人がいたので、急遽お別れの宴会をすることになりました。開催の日取りがGWの狭間の最終日。翌日からの4連休前に駆け込み呑みする人がいそうな一方で、最大10連休を持て余して呑みに繰り出す人がいそうでもあり、いずれにせよ、店の確保には難渋しそうであります。日取りが決まったのはその前日だったから迷っている暇もないのです。加えて、困ったのが会費の事で、たまたまその会のメンバーでぼくが一番エライ人であったのです。我が社では会費は傾斜配分するのが決まりごとのようになっているので、ぼくの財布に相応の負荷が掛かってくるのでした。そこでまずは店選びの前提条件を設定することになるのでした。考えるまでもなく浮かんだ条件が安くて、チェーン店ではなく、職場からそう遠くないことでした。これがねえ、なかなかありそうでないんですね。それと面々がぼく以外にガブガブ酒を呑むのがいないといのも悩みの種でした。呑み放題を条件に加えるのが憚られてしまうのです。実はすぐに綾瀬の例の居酒屋の存在を思い付くに至ったのです。が、普段でさえ繁盛しているその居酒屋が容易に予約できるとは思えぬのです。話は違うけれど、ぼくは電話を掛けるのが苦手、というか嫌いなので電話の無駄打ちは避けたいところです。でも迷っている暇はなく、ぼくには珍しくすぐ様に電話を掛けたのでした。すると何という僥倖か、すんなりと予約が確保できたのでした。これは嬉しい誤算驚。 ということで意気揚々と訪れたのは、ご存じ「串のこたに」です。ご存じと書いたけれど、2名は以前連れてきたことがあったけれど、残りの2名はここどころか、綾瀬で下車するのも初めてとのこと。そういや金町在住の呑兵衛が先日、初めてここで呑んで驚愕したと語っていたなあ。案外、世の人は決まった駅でしか下車しないもののようです。そこには行動範囲の広い狭いは余り関係しないようで、とにかく行くべき駅、町が決まっているようなのです。さて、ここのちょっと面倒なのは2階席より上は靴を脱いで上がらねばならないところです。穴だらけの靴下の件はさっさとカミングアウトし、足の臭さは準備万端な参加者Kから消臭スプレーの提供を受けて参加者全員が無事招集されたのであります。で、まず驚いたのが、やはりかなり混み合っていたものの、案外広めの個室が用意されていたのです。ここの座敷は他の客たちの様子を眺めることができて楽しいのですが、結構窮屈なので段々着座姿勢が辛くなってくるのです。が、個室はかなりゆったりしていて足も伸ばせて非常に快適でした。席にはすでに刺し盛など4皿が用意されていました。祝日前日は席の予約をすると3,000円コース(呑み物別)を頼まないとならないのです。普段ならこれはデメリットになりますが、宴会ならこの方がありがたい。呑む物を取りまとめて内線で注文を入れようとするとなんということでしょう、瓶ビール(大瓶!)5本が予約としてサービスしてもらえるというのです。これはもう実にありがたいのです。この予期せぬサービスで気分が非常に盛り上がってしまい、写真も2枚しか残っていませんが、この後も〆のうどんやデザートも出てきたような気がします。いやはやさすがにこちらは充実しておるなア。とそのお得さに驚かされつつも、彼らは気分に任せて好きなものを呑んでいたけれど、ぼくはひとりこたにサワーを繰り返し注文していたことに気付いていたのだろうか。とにかく宴会の際、毎度という訳にはいかないまでも2回に1回はここでもいいかも。
2024/05/13
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これまでも繰り返し書いていることですが、東京ばかりではなくそこそこに大きいと言われるような町でも賑わうエリアには偏りが生じているものです。エントロピーの増大の法則がこの場合は必ずしも働いていないようです。特に集客力のある大型施設のある地域の場合はそれが顕著です。都心部の昼夜の人口推移に極端な偏差があるといった報道を目にすることがありますが、都心部のオフィス街もそうですが、それを遥かに凌駕する落差が大型施設周辺の町では認められるのです。こうした施設では施設それ自体がひとつの町として機能していると考えることもできそうです。こういうイベント施設のテナント物件で飲食するのもたまには楽しいと思えることもあるのですが、でもそれを楽しく感じるのはイベントそのものがもたらす高揚感に躍らされているだけなんじゃないだろうか。にしてもイベント後、そうした施設を訪れた多くの客たちは、高揚感を抱いたままで家路を急ぐものなのだろうか。ぼくだったらそうはいかないけどなあ。せっかく沸騰した高揚感を昇華させるためにもさらなる高揚を求めて呑みに行きたくなるのです。ひと昔の例えば公営ギャンブル場なんかの周辺には、開催に合わせて多くの酒場が店を開けたはずだけれど、近頃はそうした呑み屋も過去の遺物となりつつあるようです。こうした施設はもともと多くの敷地面積を要する以上、広い空き地に設けられるものなのでしょう。実際に施設が稼働するとここでひと儲けしてやろうという有象無象が屋台などをゲリラ的に設置したりもしたのでしょうが、やがてはかつての周辺の空き地も宅地へと侵食され、後からやって来た人たちに近所迷惑なんて言われて町を追われたんじゃないかなどと想像してしまうのです。仕方がない側面もあるけれどまったくつまんないものです。 さて、後楽園も実は施設周辺はかなり退屈な場所で、巨大ビルヂングの1階にテナントとして入っている「阿字観」なる密教用語を店名に掲げた居酒屋は、ここが例えば新橋だったりしたら確実に見逃していただろうなといった地味な風情のお店でありました。しかし、呑み屋どころか飲食店すら希少なこのエリアでは存分にその存在をアピールしているように思われたのです。好んでこの辺を訪れる機会はそうなさそうであるからには、ここをみすみす通過する訳には参らぬのでした。てなわけで早速入店するのですが、先客はなくそれなのに店内は相当な客席があるのであって、これはこれで悪くない雰囲気なのです。いやまあ、混み合う酒場を礼賛する人が多い中にあって、閑散静寂たる酒場を愛する身としてみたらむしろ大いに歓迎するべき状況なのでした。品書きを見るとこれがなかなか気の利いた肴がズラリとラインナップされているのであって、しかも値段こそ失念しましたが、頼んだホッピーのナカの量が立派でかつ格安であったのには大いに嬉しくなったのです。万が一、ぼくがこの界隈の勤め人であったなら間違いなく通っちゃいそうです。でもあまりにも静かであったためか、泥酔した訳でもないのにうっかり眠り込んでしまったのでした。この夜一緒だったS氏には申し訳ないことをしたなあ。と思いつつも、眠りに落ちたのはきっと束の間であったのでしょうが、目が覚めるとS氏と目が合ったのですが、もしかして彼はぼくが眠っている姿を見つめ続けていたなんてことはないだろうなあ。
2024/05/12
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村井政善著「蕎麦の味と食い方問題」という文章があります。これがまたいらんお世話だと言いたくなるような不愉快なことがつらつらと記されているのだ。そんなに不愉快なら読まなければ良さそうなものだけれど、不愉快な文章というのは不思議と退屈を余り感じることもなく読めてしまうもののようです。村井氏なる人物が何者か知らぬので、ちょっと調べてみたら昭和初期の料理研究家であるらしい。全くなんだって料理研究家っていう連中は鼻持ちならないのだろうとまたも思い知らされるのです。-- 近来椅子に腰をかけて蕎麦を食べている客の大半は、蕎麦を食べることを知らぬ人が多い。稀に真面目に食べている客もあるが、実際は知らぬのである。前にも述べたごとく、ざぶざぶと汁をみんな猪口に入れ、それへ葱も大根もごたごたに打ち込んで蕎麦を入れると、その猪口の中を箸でこね廻し、そのままかき込むといった風で、甚だしい客になると、ここの家は馬鹿に「ケチ」で汁が少ないなどと小言をいいながら、すまないが少し汁の代りをくれなどといっていることも見受けます。こんなことであるから旨い蕎麦も食べられぬし、また蕎麦屋泣かせにもなる。であるから、こんな客の多い家では、蕎麦も汁もまずいが盛り沢山であります。-- うるさいのだ。全くもって余計なお世話なのだ。本当に真剣に蕎麦と対峙しているというのなら、他人の振舞いなんかに視線を送ることはないはずだ。じっと職人の所作を注視するのが適切な態度というものであろう。ここに堀内中将なる人物の文章が引用されています。遺憾ながらこの堀内中将なる人物も知らぬので調べてみたが恐らくは日本スキー界の草わけ的存在とかいう堀内文治郎がその人であろうとひとまず結論付けることにしました。この人の文章は以下の如くであります。-- お国自慢、信州蕎麦。あれには昔から食い方があります。大根をおろした絞り汁に味噌で味をつけ、葱の刻みを薬味とし、それへ蕎麦をちょっぴりとつけて食うのであります。ただし蕎麦は勿論、大根、葱、それぞれに申し条があります。(中略) 大根をおろす時は「頭をぶんなぐれ」という諺がある位で、腹を立てて、うんうんいっておろす位の硬いものがいいのです。軟らかいものは甘くて蕎麦の味とぴったりとこないのです。この大根、この葱で拵えた汁の辛いというものは眼の玉がとび出るほどで、従って汁をたっぷりつけたくともつけられないのであります。 大根は皮つきのまま、必ず尻っぽの方からおろすとよいのです。これを逆に頭の方からおろすと、ぐっと辛味がなくなってしまう、不思議なことです。-- この人の文章は同じ蕎麦について語っていてもちっとも嫌味じゃないなあ。こうして読んでいると人柄って文章ににじみ出るものなんですねエ。とタラタラ書いていますが、今回はそばではなく大根のレシピなのです。ふろふき大根 2種の味噌【材料】大根(皮を剥く/4cm厚/面取り/十字に切込) 16cm/水 適宜米 大さじ1/水 2カップ/だし昆布 6cm/【練り味噌】赤味噌 65g/砂糖 20g/みりん・酒 大さじ1/【辛子肉味噌】豚ひき肉 20g/赤味噌 65g/砂糖 20g/みりん・酒・練り辛子 大さじ1【作り方】1. 鍋に大根、水、米を入れて蓋をし、弱火で30分煮る。鍋に昆布を敷いて大根、水を入れ、中火で10分煮る。2. 鍋で【練り味噌】、【辛子肉味噌】の材料を中火で練る。3. 器に1.を盛って2.をかけて【練り味噌】、【辛子肉味噌】をのせる。 定番中の定番であります。たま~に,料理屋で食べたりすると非常に美味しくて、料理する気力がない時などに自分で作ってみたりもするのだけれどどうもうまくいかぬのだ。今回はレシピを見ながらぼくにしては丁寧に作ったのだけれど、やはり余り旨くないのでした。大根がよくないのかなあ。大根のミネストローネ【材料】ふろふき大根用の大根・玉ねぎ(1cm角)・セロリ(1cm角)・ニンジン(1cm角)・じゃがいも(1cm角)・トマト水煮・オリーブ油・にんにく・水・顆粒コンソメ・ドライタイム・塩・胡椒・粉チーズ 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにくを炒める。玉ねぎ、セロリ、ニンジンを加える。じゃがいも、トマト水煮、水、顆粒コンソメ、ドライタイムを加えて煮る。大根を加える。塩、胡椒を加える。皿に盛って粉チーズを散らす。 ミネストローネなんてきっと冷蔵庫の残り野菜を何を入れたって構わぬだろうなどというと本家イタリアの人は黙ってはいないかもしれないけれど、きっと大根ならダメとは言わないんじゃないか。でもふろふき大根の残りをそのまま使うことには異論が噴出するかもしれません。でもぼくは日本人だから何だって試してみるのだ。想像通りでしょうがなかなかこれはこれでよかったのでありました。ふろふき大根カレー【材料】ごはん・ふろふき大根・カレールー【作り方】1. 鍋にカレールー、ふろふき大根を入れて煮る。皿にごはんを盛ってかける。 はい、すいません。何の工夫もなくふろふき大根をそのままカレーにぶっこみました。これまたこれで美味しいのです。でも大根はしっかりしているから切り方一つ、火の入れ加減一つで食感は千差万別ということになりそうです。大根のペペロンチーノ【材料】スパゲッティ(茹でる)・大根(棒状) 100g/にんにく 2片/オリーブ油 大さじ1.5/赤唐辛子(輪切り) 適宜/水 80ml/塩 小さじ1/2/酒 大さじ1【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。赤唐辛子、大根を加える。水、塩、酒を加えて蓋をし、弱火で3分蒸す。火を止めて3分蒸す。パスタを加えて加熱する。塩、オリーブ油を加える。 江部敏史のレシピによる大根入りのペペロンチーノです。正直余り期待していなかったけれど、やはりその通りの物足りなさでした。大根パスタはありだと思うけど、ぼくにはもうひと工夫欲しいところでした。
2024/05/11
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北大路魯山人に「椎茸の話」というごく短いエッセイがあります。-- しかし、そうはいっても、大分県あたりで採れる椎茸は実に見事で、日本一と叫んでもいいだろう。大分の椎茸は本当の椎の木にできた椎茸なので、かさが黒くなめらかで、香りや味がすばらしい。関東で賞味している椎茸は、実は椎の木にできたものではなく、櫟くぬぎの木にできたものだから本当にうまいとはいえない。椎茸のかさは、そのできる木の皮に似る性質があるので、櫟の木にできた椎茸のかさは櫟の皮と同じようになっており、椎の木にできた椎茸は椎の皮に似ている。-- うんうん、これは知識としては知っていました。でも現在主流である原木栽培では主にクヌギ、コナラ、ミズナラが用いられているそうです。カシや当然にシイでも栽培可能らしいのですが、魯山人が言うように椎の木で作るのが格別に美味しいというのであればどうして現在の原木の主流が椎の木ではなくなったのだろう。分かり易いのは、日本に椎の木が少なく貴重だからというものですが、Wikipediaを見るとどうも違うようです。--日本のシイ属には、以下の2種が分布している。両者は共通点が多く、また交雑により区別が困難な場合や、中間と思われるものもある。両種とも暖帯の平地における普通種で、琉球列島・九州から本州(福島・新潟県以西)にかけての照葉樹林の代表的構成種で照葉樹林で多く見られ、また都市部でも神社などによく残っている。-- ということは、椎の木よりクヌギ、コナラ、ミズナラが多くホダ木として用いられるのは、椎の木以上に植栽されているからか、椎の木の椎茸が実は余り美味しくないからなんじゃないか。山内診療所 てるてる農場 「シイタケの菌を椎の木に植え付けました。」https://clinic-yamauchi.hatenablog.com/entry/2020/02/12/173027 でも、これを見ると椎の木で育てた椎茸も美味しいみたいですね。究極の椎茸バター【材料】椎茸(一口大) 8個/バター 30g/だしパック 1個/塩 小さじ1/4/砂糖 小さじ1/2/水 400ml【作り方】1. 鍋に水を入れて沸かす。だしパックを加える。椎茸、塩、砂糖、バターを加えて弱火で煮る。 究極のじゃがバターの援用レシピです。まあ濃厚なだしとバターの組合せは大概の場合、強烈な旨味を感じるものなんでしょう。これもまた当然に旨いのです。でも旨味が強過ぎるからか椎茸でやんなくてもいいかもなあかんて思ってしまったのです。焼きしいたけスパイス塩添え【材料】椎茸 2枚/フェンネルパウダー(塩を混ぜる) 大さじ1/塩(マルドン)・オリーブ油 適宜【作り方】1. 椎茸にオリーブ油をかけてグリルで焼く。皿に盛ってスパイス塩を添える。【備考】ELLE GOURMET 人気の料理レシピ 「焼きしいたけスパイス塩添え」https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-recipes/a40712632/7800/ 半信半疑で試してみたらこれが美味しいのです。フェンネルと椎茸って抜群のカップリングだったのですね。フェンネルの清涼感が思い描いたことのない味覚の世界を繰り広げてくれたのでした。 沼るしいたけ【材料】椎茸 6個/バター(にんにく、醤油を混ぜる) 20g/粉チーズ・塩・胡椒 適宜/にんにく 小さじ1/2/醤油 大さじ1/2【作り方】1. 耐熱皿に椎茸をのせてバター、粉チーズを散らし、トースターで8分焼く。塩・胡椒を散らす。 そりゃまあ美味しいよね。誰かのレシピを一応は参考にしてますが、誰にでも思い付けそう。これにマヨネーズなんて足しても良さそうですが、ちっとも面白くはないですね。椎茸の辛子肉味噌焼き【材料】椎茸 4枚/溶けるチーズ/【辛子肉味噌】豚ひき肉 20g/赤味噌 65g/砂糖 20g/みりん・酒・練り辛子 大さじ1【作り方】1. 鍋で【辛子肉味噌】の材料を中火で練る。椎茸に【辛子肉味噌】、溶けるチーズをのせて焼く。 これ食べたらしいのですが、なぜかちっとも覚えていません。材料とその量を眺めて想像するにぼくにはちょいしょっぱく感じられそうです。
2024/05/10
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ぼくは、寿司屋にはとんと縁の薄い人間です。回転寿司にすら年に1度行けばいい方で、高級寿司店は当然ですが、町場の個人店舗となるとさらに稀なことなのだ(と書いたけれど、よくよく考えると知人に誘われたり、職場の呑み会だったりで実はたまには行ってる気がしてきたなあ)。違う、違うのだ、ぼくのイメージする寿司屋ってのは銀座の店のような気取ったのではないけれど、商店街の片隅にひっそりあったりするようなカウンターだけの普通の町の寿司屋のことなのです。と書くといかにも寿司屋で呑んだって話に流れ込みそうでありますが、そんなことにはならないのでした。寿司屋に滅多に行かないって話はどうも有耶無耶になってしまいましたが、たまには持ち帰り寿司を買って帰ったりはしています。そんな際に巻き物が入っていると、先に食べてしまう(ぼくは好きなものは後までとっておくタイプです、無論、大人数向けの寿司桶なんかから食べる場合は好きなものから攻めることになります)、つまり、余り好ましいネタではなかったのです。ここで過去形を用いたのは他でもない、とあるテレビ番組で江戸っ子は干瓢巻で〆るということを聞いたからなのです。いやいや、今更江戸っ子なんて見栄を張ろうなどという下心はないのですが、握り寿司の本場の人がそうするには然るべき理由があるのだろと試みにやってみたらこれがなかなか良かったわけです。甘いというのも理由ではあるのでしょうが、同じ甘いといっても玉子じゃないんですよね。とにかく〆の干瓢巻は「あり」であるということに目覚めたのです。 ということで、先般西日暮里の「刺身屋 新太郎 本店」で呑みの〆に巻物を食べたから前段のような話をしたわけですが、今こうして書いている時点で幾種類か頼んだ巻物に干瓢巻が含まれていたかどうかはしっかり失念しているのです。だらだら書いた事が反故になってしまいますが、酒の〆には握りよりも巻物がいいと言い切ってしまいます。のりで手が汚れないし(ごはんのぺとぺとが服に着いちゃうとなかなか落ちない)、サイズもコンパクトで口元のだらしなくなった酔っ払いでも品よく食べられ、食べ過ぎにならずに済むからです。にしてもここは実に客の入りが良いですねエ。4名でお邪魔したのでぼくには珍しく予約して伺ったのですが、それでもどういう訳か入口付近で待たされてしまいました。4人卓の客が席を移動させられていたので、時間ギリギリまで空席を設けないということなのでしょう。それって結構な手間だし、オペレートも大変と思いますが、その点実によく頑張っていると思います。とある酒場で聞いた話ではこちらにはなかなかユニークな従業員の方がおられるとのことで、その方の接客が抜群との評判でした。でも2軒目だったということもあり、そんな話はすっかり失念してしまっており、確認はできなかったのです。酔っ払って余り記憶にない居酒屋のことを語ろうなんてのがまあ実に乱暴な話なのです。しかもこちらは刺身全般がお勧めのようですが、特に売りにしているのが鮪料理でありますが、なぜか誰一人として頼もうとしなかったのです。いや、もしかすると巻物に鉄火巻が入っていたかもしれないけれど、やはり確たる記憶もないのです。さらには〆にいいはずの巻物、頼んでいるのは覚えているけれど食べたって記憶は皆無なのでした。ここは魚介系の質が良くって量が多い事で知られているらしいのにほぼ覚えていないのはなんともお恥ずかしいことです。次回は1軒目に来ることにしよう。(今、写真を見たら干瓢巻はなしですが、鉄火巻は映ってますね)。
2024/05/06
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芥川龍之介に『格さんと食慾―最近の宇野浩二氏―』なるエッセイがあります。これがまた相当にけったいな内容でありまして、タイトルを読むと宇野浩二がすごい食欲旺盛であるとか宇野と食欲との関りを綴っているように思えます。ところが、述べられるのは仰天するような話だったのです。-- 次手に顔のことを少し書けば、わたしは宇野の顔を見る度に必ず多少の食慾を感じた。あの顔は頬から耳のあたりをコオルド・ビフのように料理するが好い。皿に載せた一片の肉はほんのりと赤い所どころに白い脂肪を交えている。が、ちょっと裏返して見ると、鳥膚になった頬の皮はもじゃもじゃした揉み上げを残している。――と云う空想をしたこともあった。尤も実際口へ入れて見たら、予期通り一杯やれるかどうか、その辺は頗る疑問である。多分はいくら香料をかけても、揉み上げにしみこんだ煙草の匂は羊肉の匂のようにぷんと来るであろう。-- つい先日も芥川の文章を引用したけれど、実にとんでもない人物であることを思い知らされるのです。よりにもよって、知人の顔を見て食欲を覚え、さらにはその調理法まで記すのにならず、料理の感想までさも実際に食べたかのように語っているのですからね。とりわけ最後の一文にはゾッとするとかいうより実際に想像してみちゃうのでありました。羊肉の匂いを揉み上げにしみこんだ煙草の匂いと比較するとは思ってもみませんが、何となく首肯させられもするのでした。 さて、話は日暮里の中華屋さんに移るのですが、ちょっと強引ですが、ここは羊肉を中心にした中華屋さんです。中華屋さんであるのに「食彩 清真小厨 ハラールキッチン」とはいかなることか。ハラールとはイスラム教で神がムスリムに対して許可したものを意味する言葉だったはずですが、だとするとハラール食材で作った中華料理を意味するのだろうか。いやいや、ここは入れ替わりの激しい中華屋さんで何度も店が変わっているけれど、店の方がひとつ前の店の人と同じような記憶がある。それが当たっているとすれば、彼らは単に羊肉をメインに据えた中華料理を提供しようとしたんだと思うのです。で、どこぞやで聞きかじったハラール料理店で羊肉が提供されているのを知って、羊肉の料理をハラールと勘違いしたんじゃないかと思うのだ。それともイスラム教国家の出身の中華料理人ということも考えられなくはないけれど、それにしてはいかにも顔立ちが中国の人っぽいんですけどね。にしても入店した当初はガラガラでしたが、そのうち続々とお客さんがやってくるのです。しかもそれが実に多様なお国の人たちのようにお見受けしたのでした。お隣の南アジア系と思しきお嬢さん2名は手づかみで食べるラムスペアリブ(羊のスペアリブを茹でたの)にライスという羊食いの極北のようなシンプルな構成でオーダー。余り表情の変化は認められないものの嬉々として食べているようで、ほとんど会話もなくむしゃぶりついていました。我々は干し豆腐は羊ではないけれど、ラムハチノスのネギ和えとラム肉のクミン味炒めを頂きました。なるほど、味は普通に美味しいけどボリュームがあるのが嬉しいです。羊肉って業務系のスーパーでもけして安くないんですよね。脂身もすごいし。そういう意味では手頃に羊を楽しめるいい店です。ところで、クミンと併せた羊肉は煙草の香りが染みついた揉み上げっぽいなあと思ったりもするのです。
2024/05/05
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気に食わないという割にはたびたび引用という形で厄介になっている北大路魯山人の文章に「三州仕立て小蕪汁」というのがあります。これは疑問を抱くことの多いこの人の文章では、かなり真っ当なものと思っています。尊大な語り口は相変わらずでありますが。-- 味噌汁は簡単にできるものでありながら、その実が、日常どこの家庭でも美味くつくられてはいないようなので、一言申し上げようと思う。味噌汁は、中身の如何にかかわらず、時間をかけて煮てはいけない。まずだしをとり、次に中身がよく煮えてから、最後に味噌を落とし、沸騰したら直ちに椀に盛るという加減のところがよろしい。-- ふんふん、これには全く異論がない。-- 要は、味噌を生かしているか、殺してしまっているかということなのである。殺してしまっては、意義を失うのであって、いい出来栄えは得られない。反対に、いい出来栄えのものは、味噌を生かしている場合なのである。生きているという場合は、つくる人が生きているということなのである。 生かしているか殺しているかということは、つくる人が生きがよいか悪いかということである。つくる人が生きが悪くては、生きのいい味噌汁はできない。(以下略)-- この2節は正直なところ何を言っているのかよく分からないのです。何となく言わんとするところは察せられるけれど、いかにも乱暴な理屈であります。--ふつうの朝の味噌汁だと、大根とか蕪とか、中身と味噌汁とが最もよく調和するという塩梅に計らってやるのがよい策で、料理屋というものは体裁ばかりを考え、見掛けをきれいにすることばかりに専念しているから、味の方はたちまち第二段になる。料理屋もぞんざいなのになると、汁に入れる大根を別に煮たり、あるいは中身が冷たくて汁だけが熱かったり、変なことをやるが、心ある者のすべきことではない。-- ははは、ここのところはよく分かるなあ。何か手の込んだことをやってるようだけど、食べてみるとアレレと思いつつも口では美味であるなあなんて語ったりしそうであります。-- 大根とか蕪などの野菜の場合は、持ち味を絶対に捨てぬことである。魚の場合だったら、味噌汁は味噌汁の味のままにしておいて、魚は魚で別につくって、汁を出すとき入れるようにする。青い魚、さばとか、あじとかは、ことにそうしなければ、汁の味がくどく、下品になっていけない。(以下略)-- おやおや、この人は矛盾などまったく意に介さないようです。ところで、大根や蕪ですが、ぼくにはその持ち味が実のところ掴み兼ねているのです。好んで食べるから当然美味しいと思ってはいるのですが、その美味しいが万人が感じる美味しいと一緒なのか自身が持てないのです。ことに蕪というものの持ち味が本当はどういうものなのか、未だに捉えかねているのです。もっと食べてより深く知るしかないのだろうなあ。ちなみにぼくは"カブ"という表記が好みです。カブの肉詰め【材料】カブ(上部を切り取る/中身をくり抜いてみじん切り) 3個/合びき肉 150g/塩・胡椒 適宜/醤油 小さじ1/固形コンソメ 1個/水 600ml/バター・ディジョンマスタード 適宜【作り方】1. ボウルにカブ(みじん切り)、合びき肉、塩、胡椒、醤油を入れて混ぜる。カブに詰める。鍋に水、固形コンソメ、カブを入れて蓋をし、弱火で20分煮る。バターをのせてディジョンマスタードを添える。 相場マナブで紹介されていたレシピです。和洋折衷の味付けがわるくないのですが、おでんの一品として食べるなら悪くないけれど、これだけだとパンチが弱いかも。鶏肉とカブ、ほうれん草の粒マスタード煮【材料】鶏肉(胸/8mm厚そぎ切り) 1枚/カブ(実:8等分/葉:3cm長) 2個/ほうれん草(下茹で/4cm幅) 1/2杷/にんにく 小さじ1/2/オリーブ油 大さじ1/白ワイン 大さじ2/水 大さじ3/顆粒コンソメ 小さじ1/塩 小さじ1/2/胡椒 適宜/粒マスタード 大さじ1/生クリーム 50ml【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してカブを炒める。カブ(葉)を加えて取り出す。オリーブ油を熱してにんにく、鶏肉を焼く。白ワインを加える。水、顆粒コンソメを加える。カブを戻して塩、胡椒、粒マスタードを加える。生クリームを加える。 蒸したカブに続いて、今度は焼いたカブ。調理法でこれほどまでに印象の変わる食材は珍しいんじゃないかなあ。生クリームとマスタードがあればとりあえず御馳走感が出るのですよね。淡泊なカブもよく合います。カブ、トマト、生ハムのマリネ【材料】カブ(8等分/塩をまぶす) 2個/トマト(縦2等分/8等分) 1個/生ハム(一口大) 適宜/オリーブ油 大さじ3/レモン汁 大さじ2/塩・胡椒・ドライバジル 適宜【作り方】1. すべての材料を和える。 これは生のカブ料理。つるんとした舌触りと独特の食感が生のカブの魅力です。丸ごとを味噌を付けて食べるのも美味しいけれど、どうしても味が単調になるので、こうしていくつかの食材を混ぜてサラダ仕立てにする方が飽きずに食べられます。カブとトマトのガーリックチーズパン粉焼き【材料】カブ(2等分/1.5cm幅) 1/2個/トマト(薄切り) 1個/オリーブ油 大さじ1.5/【A(混ぜる)】パン粉 大さじ1.5/粉チーズ 大さじ1/にんにく 小さじ1.5/塩・胡椒 適宜【作り方】1. 耐熱皿にカブ、トマトを広げて【A】をのせ、オリーブ油をかけてトースターで焼く。 これはオーブン焼きのカブです。ぼくが子供の頃にはカブは煮るか漬物にするかっていう程度の使い方だったと思いますが、こういう美味しい食べ方は早く教えて欲しかったなあ。
2024/05/04
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前も書いたような気がするけれど、うちの両親は年がら年中3度の食事を欠かしたことがなかった。記憶にはきれいさっぱり残っていないけれど、恐らく彼らもたまには病気だってしただろうからそんな時には食事を抜いたりすることもあったのかもしれません。家族旅行中に渋滞で目的地まで辿り着けるのか気持ちが急かされていたりしてもその習慣は変わることなく、サービスエリアなどに立ち寄っては、お気に入りの店でそばなんかを食べていたことを思い出されます。ってまるで死人扱いですが、いずれも健在なのです。きっと今でも当時ほどの健啖家ではなくなっているだろうけれど、ちゃんと3食きっちり食べているんじゃないか。そんな姿を見ながらぼくは、食に縛られるなんてなんと見苦しいことだろう、こんな風にはなりたくないものだとずっと思っていたのです。ところが今のぼくはどうか。一食当たりの食事量が減ったから3度3度決まって腹が減り、だから3度の食事を取ることの意味がようやく分かったなんて人には語ってみせるけれど、これでいいとは正直思っていないのだ。ぼくの理想としては食事は夜の1回だけ。これを満足するまでじっくり時間をかけてしっかり取るというのが理想なのです。酒呑みの風上にも置けぬかもしれぬけれど、ぼくは朝とか昼に酒を呑むのが余り好きじゃないのです。眠くなって一日を棒に振ることがあるからです。この理屈でいくと隠居したら時間を気にする必要もなくなるから構わないということではないかと言われるとそうかもしれないなあなんて思ったりもするけれど、やはり酒は暗くなってから呑む物なんだと思うのです。だから今の朝食では瞬く間に嚥下することもできるそばを好んで食べているのでした。今回はあえてごくスタンダードなラインナップです。おろしそば【材料】そば(茹でる/冷水で洗う)・大根(おろす)・揚げ玉・めんつゆ・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 器にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、大根おろし、揚げ玉をのせて一味唐辛子を散らす。 大根おろしでそばを食べるのが大好きなはずなのに、どうしたものか自分で作るとさほど美味しいと思えないのです。不思議だなあ。なめこおろしそば【材料】そば(茹でる)・なめこ(茹でる)・油揚げ(短冊切り)・だし・味噌・大根(おろす)・揚げ玉・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 鍋でだしを沸かしてなめこ、油揚げ、味噌を加える。2. 丼のそばを盛って1.を注ぎ、大根おろし、揚げ玉、一味唐辛子を散らす。 なめこおろしって居酒屋のお通しで出される場合があるけれど、あれって本当に美味しいのかねエ。大根おろしもなめこも好きなんですけど。ちなみにこのレシピ、ぼくが自ら味噌で味付けするとは思えないからどこかで見掛けたんですかねえ。なめこはやはり味噌汁が一番だから、これはこれでまあ美味しいのでした。とろろそば【材料】そば((茹でる) 1人前/長芋(おろす) 30g/イクラ 大さじ1/めんつゆ 120m/青ねぎ(4小口切り) 適宜【作り方】1. 丼にそばを盛ってとろろ、イクラ、青ねぎをのせ、めんつゆを注ぐ。 おろしそばと同様。家で食べるとなんか美味しくないんですよね。長芋じゃなく山芋を使うと粘りが出て多少は良くなるかもしれないけど、決定的な解決にはならない気がするんだなあ。けんちんそば【材料】そば(茹でる) 1人前/鶏肉(一口大)・ニンジン(銀杏切り)・ごぼう(ささがき)・大根(銀杏切り)・里芋(皮を剥く/茹でる/1cm幅)・油揚げ(短冊切り)・こんにゃく(短冊切り)・絹豆腐(1cm角)・長ねぎ(小口切り)・サラダ油・だし・醤油・みりん・塩・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 鍋にサラダ油を熱して鶏肉を炒める。ニンジン、ごぼうを加える。残りの材料(そば、長ねぎ以外)を加えて煮る。丼にそばを盛って注ぎ、長ねぎ、一味唐辛子を散らす。 家で食べるなら岡山県なんかで食べられているこういうごった煮にそばを入れたもののようなものの方が美味しい気がします。限られた材料で作ったストイックなものより、カレーそばや豚汁などにそばを入れて食べる方がよほど美味しいかも。
2024/05/03
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若い頃、今はなき(といっても物件跡は未だ当時のまま)飯田橋ギンレイホール(及び併設のピンク映画館のくらら)に足繁く通ったものです(カッコ内のくららはあまり気の利いた作品が上映されることがなかったたま指折り程度)。当時は相当に貧乏生活を送っていたので、映画と映画の合い間に時間を潰そうと思っても喫茶店などで浪費するようなことはできなかったのだ。図書館などの公共施設で過ごそうとはなぜか思わなかったのですね。じゃあ何をしていたかというと、ひたすら歩いていたのでした。映画漬けの日常で足腰の衰えをどこかで不安に感じていたのかもしれません。とにかくただただ歩いていたのです。でも人というのは闇雲に盲滅法歩くなどできるはずもないのです。ぼくの場合は、とにかく朝は早朝から開館する、例えば桜木町にあったヨコハマニュース劇場なんかに向かい、次に川崎の川崎国際劇場、そして次が大井町の大井武蔵野といったスケジュールをこなすわけですが、こういう京浜東北線の沿線でハシゴするとなるとどうしたって沿線沿いを繰り返し歩くことになり、多少脱線しても意識としては常に京浜東北線の線路に沿って歩こうという意思が働く訳です。例外的には多少脱線が過ぎてしまうと持ち前の方向感覚の乱れからとんでもない場所を進んでいることに気付くこともあるけれど、そうなると次の上映開始時間が気になって風景煮など目がいかなくなるのです。純粋に行き先を決めずに散策できるようになるには公共交通機関の縛りから脱するしかないのかもしれません。というか、散策者としてあるまじき蛮行ではありますが、タクシー利用に躊躇しないようになれない限りは自由に町歩きできるようにはなれないんじゃないかなんて思ってしまうのです。 と当初想定していた話から逸脱してしまいましたが、飯田橋も散々歩いている割には首都高速5号池袋線沿いというか神田川沿いを歩くことはほとんどなかったようです。いや、北岸はそこそこ歩いているはずですが、なぜか南岸側を歩いた覚えがあまりないのです。というのが、「中華 アオキ」を目撃した記憶がなかったからで、単にこの渋い中華屋さんを覚えていなくてもまあ仕方のないことですが、以前は恐らくこの通りには居酒屋などの飲食店が立ち並んでいたように思われるから、記憶の琴線に触れることがあっても不思議ではなさそうなのです。ともあれこの外観を目にしてしまっては、いくらお腹が空いていなくても立ち寄らざるを得ないのでした。昼下がりではありましたが、幸いにもまだ営業中です。調べるとこちら、11時から16時までの営業時間と訪れる機会はそうそうなさそうだったので、改めて入っておいてよかったなあと思ったのです。しかしまあ、店の方たちを見るとまだまだ現役世代が活躍されているので、当分は変わらず営業を続けられるように思われます。取り急ぎビールをもらったら、ビールしかないというお答え。特に意地悪だった訳じゃなくて、以前は清酒も提供していたからそう仰っただけと理解します。さて、すでに書いたとおりすでにそれなりにお腹は満たされていたので、まるまる1食分を食べ切るのはちょっと自信がありません。こういう場合2名だと助かるなあ。餃子とソース焼きそばをもらうことにしました。どちらも普通よりちょっと美味しいかな。というかコチラの料理は値段もそこそこするのですが、とにかく盛りがかなりのものなのです。だからでしょうか、腹を空かせたお客さんたち(いかにも食欲旺盛って感じの人ばかりだったような)がポツリポツリと訪れるのでした。今度来る機会があったらやはりしっかり歩いて腹を空かせてから訪れるべきでありましょう。
2024/04/29
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都心部には、案外暗いエリアが存在していますが、護国寺界隈は都心の暗部エリアでも相当にハイレベルな場所と思われます。特に夜になると街灯も少なく、小篠坂ないしは日出通り(夜中にこの通りを歩いて日出というネーミングに思い至る人など皆無ではないだろうか)と呼ばれる通りは自動車の往来は激しいけれど、人の姿を目にすることはほとんどなかったりします。そりゃまあ護国寺と雑司が谷霊園という都内でも有数の墓地に挟まれた通りなのだから寂しいのは当然のことかもしれません。寂しいにもかかわらず、雑司が谷霊園を暗闇にジョギングする人や通り抜けする人がかっぱらいに遭ったといういう話は余り聞いたこともないから、これは日本の治安の良さというよりは、余りにも人気がないからかっぱらいが狙い目とすることもないというのが正しそうに思えるのです。でもこういう暗部にも酒場が存在するのです。住宅がそれなりにあるから住民もそこそこ存在するのでしょうが、住民だけで酒場が成立するのはなかなか困難に思えます。それこそスナックなんかだと辛うじてやっていけそうにも思えますが、純粋な居酒屋ではかなり商売として厳しいのではないだろうか。そういう謎めいたところがあるから、こうした場所にある酒場がぼくの好奇心をくすぐってやまないのであります。 ということで今回訪れたのは、「居酒屋 六角牛」です。以前、すぐそばの「焼鳥屋 いいね」というテイクアウトメインで店舗の一画が立ち呑みになっているお店にお邪魔したことがあります。その脇の細い路地の蕎麦屋「松栄庵」にもお邪魔しています。でも「居酒屋 六角牛」のことはずっと気になりながらもなかなかお邪魔する機会がなかったのです。というのもこの辺を歩くのは大概そこそこ酔っ払っている時が多くて(こんな暗く寂しい通りを酔っ払って千鳥足で歩くのもどうかと思うけど)、なんとか池袋駅まで辿り着こうと思っているから、さすがにこんな半端な場所でゆっくりと寄り道している暇などなかなかお膳立てできぬのでした。この日はどうにも気力が湧かない割に未知の酒場に行きたい気分が高じていたことから、近頃10数年のブランクを置いて仲良くしているK氏と一緒になったので、伴って出向くことに決めたのです。家の方向が同じということもここを訪れるきっかけではあったのです。ということで見慣れてはいるこの酒場の戸をいよいよ開く時が訪れました。ガラリ、と開いた先に待ち受けていたのは、まるで家じゃん、だったのです。いやいや、内装はごちゃついてはいるけれど居酒屋の体裁を一応は保っているのです。普通の居酒屋と比較して"家じゃん"ってなったのは、客たちのそのリラックスぶりにあったのです。だって、ちょっと若い人はカウンターと一体になった小上がりで横たわってテレビを見ているんだからね。初老の方は座ってはいるけれど、明らかにくつろぎ切っているし、店の女将さんは一応カウンターの中にいるけれど、やはり少しも商売っ気がないのです。ここが居酒屋でなければ、このお三方、両親とその息子にしか見えないんです。そんななのに未知なる客のわれわれもあっさりと受け入れてくれるのが面白い。品書きはなくて、女将さんがお通しにポテサラを出してくれました。あるものなら適当に調理して出してくれるようではありますが、まあ酒が呑めれば文句はないのです。で、かなり独特なこの雰囲気でありますが、すぐにわれわれも馴染んでしまって、案外心地良く思ったよりも長く過ごさせてもらったのでした。まあ、こういう商売っ気なしの酒場ってたまにあるんですよね。そしてこれはこれで悪くなかったりするんですね。
2024/04/28
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「4月29日はナポリタンの日!」なんだそうな。macaroni 「究極のナポリタンマニアが教えるおいしい作り方。3つのコツで自分史上最高の味」https://macaro-ni.jp/100197#heading-1588790 どうして4月29日なのか、ちょっと気になった。検索すればその回答はすぐに明らかになるとは思うのだけれど、まるっきり考えもせずに調べるのは解決策として安直に過ぎるだろう。ということでたまには必死になって考えてみることにしたのです。「4」「2」「9」という数字で語呂合わせを考えてみたのです。その思考過程は割愛するけれど、結論として正解らしきものを得ることはできなかったのです。やむなくウィキペディアで「4月29日」を調べることにする。https://ja.wikipedia.org/wiki/4%E6%9C%8829%E6%97%A5 できごと、誕生日、記念日・年中行事、フィクションのできごととつらつらと目を凝らして「ナポリタン」との関連を読み取ろうとするのだけれど、どうしても回答には辿り着けなかったのです。もう少し粘ってみても良さそうなものですが、この頃にはすでにほとんどの興味を失っていたのです。回答は、以下にありました。chrome-extension://oemmndcbldboiebfnladdacbdfmadadm/https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2018/img/2018040400001.pdf 世の中には知らずにいた方がいいこと、いや、知らずにいても一向に差し支えないことがあるのだなあと思い知らされたのです。ナポリタンサンド【材料】バゲット(トースト)・スパゲッティ(茹でる)・ベーコン(みじん切り)・玉ねぎ(みじん切り)・ピーマン(みじん切り)・トマトケチャップ・バター・粉チーズ・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してベーコン、玉ねぎ、ピーマンを炒める。トマトケチャップを加える。スパゲッティを加える。バゲットにのせて粉チーズ、タバスコを散らす。 パンとナポリタンの組合せならコッペパンが定番ですが、ロールパンでも食パンだってソフトフランスだって構わないわけです。どのパンに挟んでもちょっと食感に違いがあってでも味はそう変わらないのです。肝心なのは高級なものではなく、大手メーカーの安価なものの方がナポリタンとの相性はいいようです。グラナポトースト【材料】食パン(トースト)/溶けるチーズ/【ナポリタンの具】ソーセージ(斜め薄切り)・玉ねぎ(くし型切り)・ピーマン(横5mm幅)・トマトケチャップ・トマトペースト・バター/【ホワイトソース】バター・小麦粉・牛乳・塩・白胡椒・ナツメグ/【トッピング】タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してソーセージ、玉ねぎ(、ピーマンを炒める。トマトケチャップ、トマトペーストを加える。2. 鍋にバターを熱して小麦粉を炒める。牛乳を加える。塩、白胡椒、ナツメグを加える。3. 食パンに1.をのせて2.をかける。溶けるチーズを散らしてトースターで焼く。タバスコを散らす。 たまたま冷蔵庫にナポリタンの具材とホワイトソースが保存されているなんてことあるはずがなさそうですが、あるのです。ぼくはパン好きではありますが、毎朝食べるから常に食パンを切らさないってほどではないのです。だからこの3者が揃ってあるのはかなり珍しいのですが、ぼくには起こり得たのです。これを作るためにわざわざ両方を用意するようなマメな人は存在しないと思いたい。大量に作り置きでもある店の賄いとかだったら食べる機会もないとは言わないけれど、自宅でいちいちこれを作るような人とはぼくはとても付き合えそうにありません。マカロニナポリタン【材料】マカロニ(茹でる)・玉ねぎ(みじん切り)・ピーマン(みじん切り)・ベーコン(みじん切り)・にんにく・バター・トマト水煮・トマトペースト・トマトケチャップ・ウスターソース・塩・胡椒・白胡椒・粉チーズ・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱して玉ねぎ、ピーマン、ベーコン、にんにくを炒める。トマト水煮、トマトペースト、トマトケチャップを沸かす。マカロニ、ウスターソース、塩、胡椒、白胡椒を加える。皿に盛って粉チーズ、タバスコを散らす。 多分、覚えていないだけで以前も作ったことがありそうです。スパゲッティをマカロニに置き換えてみたらどうなるか、試してみたくなりました。結論としては、思った通りの味ですけど、やはりスパゲッティがいいかなってなったのでした。ナポリタン厚揚げ【材料】厚揚げ(縦2等分)・溶けるチーズ・玉ねぎ(みじん切り)・ピーマン(みじん切り)・ベーコン(みじん切り)・にんにく・バター・トマト水煮・トマトペースト・トマトケチャップ・ウスターソース・塩・胡椒・白胡椒・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱して玉ねぎ、ピーマン、ベーコン、にんにくを炒める。トマト水煮、トマトペースト、トマトケチャップを沸かす。マカロニ、ウスターソース、塩、胡椒、白胡椒を加える。2. 厚揚げに1.、溶けるチーズを挟んでグリルで焼く。皿に盛ってタバスコを散らす。 厚揚げのレシピって色々あるけど、まあ厚揚げも炭水化物同様に強い個性のある食材ではないからまあ和洋中、どんな味付けでも大概受け止めてくれます。だからこれまた合うのは分かっているけれど、もう一度食べたいかと言われるとそこまでではないという答えになるのです。
2024/04/27
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懲りずにチェーホフの「揚げた玉ねぎ」の正体に迫ってみることにします。「揚げた玉ねぎ」として考えられるのはオニオン・チップもしくはフライド・オニオンってことになるでしょうか。前者はスナック菓子だからきっと違いそう。Wikipediaによると「フライドオニオンは、タマネギの薄切りをフライパンで炒めたり、揚げたりしたもの」が正解であるというのが蓋然性が高そうです。しかし、チェーホフの「揚げた玉ねぎ」が仮にフライド・オニオンであったとして、これをどうやって食べたんだろう。そりゃまあ塩をふってそのままで食べられなくもないだろうけれど、アメリカの南部料理の大定番インゲン豆のキャセロールに散らして食べるし、ビリヤニ、ホットドッグ、魯肉飯、コシャリ、ムジャッダラなどいずれもトッピングとして用いられています。するとこんな料理が見つかりました。「伝統的なウクライナの varenyky は、粘土皿にキャベツと揚げた玉ねぎを詰めた ウクライナ料理」だそうです。https://jp.freepik.com/premium-photo/traditional-ukrainian-varenyky-stuffed-with-cabbage-and-fried-onions-in-clay-dishes-ukrainian-cuisine-close-up_38140495.htm でもなあ、ウクライナってロシアに隣接しているといっても広大なロシアの最西端で接しているだけだからねえ。一般的なロシア風餃子のペリメニはヴァレーニキ(varenyky)とはかなり違ったものみたいだからねえ。ふと思いついてチェーホフの生誕地を調べると、なななんとタガンログのあるロストフ州ってウクライナに接していたのですね。となるとウクライナで食べられている料理が共有されていたとしてもおかしな話ではありません。つまり、「揚げた玉ねぎ」はきっとヴァレーニキに用いられたんじゃないかと考えた訳です。どうでしょう? なかなか真実に迫っているような気がします。にしても「粘土皿」って何なんだろうなあ? 疑問は尽きるところを知らぬのでした。オニオングラタンスープ フランス式【材料】玉ねぎ(薄切り) 300g/バター 20g/固形ブイヨン(ビーフ) 1個/水 α+500ml/白ワイン 50~70ml/好みのハーブ((タイム or ローリエ)・ナツメグ・塩・胡椒・バゲット(トースト/にんにくの切り口で擦る) 適宜/にんにく 1片/チーズ(グリュイエール or エメンタール) 100g【作り方】1. 鍋にバターを熱して玉ねぎを炒める。白ワインを少しずつ加える。水を少しずつ加えて20分炒める。水、固形ブイヨンを加える。ハーブを加えて20分煮る。ナツメグ、塩、胡椒を加える。2. 耐熱器にスープを注いでパンをのせ、チーズをかけてオーブンで200℃10分焼く。【備考】dancyu 「辻 仁成の"パリ・スープ"|第十四回"オニオングラタンスープ"」 https://dancyu.jp/recipe/2020_00003921.html 何か写真が違ってる気もするなあ。子供の頃、親に連れて行かれたファミレスにオニオングラタンスープがありました。すごい憧れて、たった一度だけ食べさせてもらったことがありました。感動しました。でも今ではその感動を失ってしまいました。大根のオニオンスープ煮【材料】大根(下茹で)・オニオンスープ・溶けるチーズ 適宜【作り方】1. 耐熱器に大根、オニオンスープ、溶けるチーズを盛ってオーブンで焼く。 写真行方不明。随分地味な料理を作ったものです。こういうの滋味深いとか言ったりするけれど、大概の場合は地味と同義な感じがあります。こういうシンプルな料理はすぐに飽きるので作り過ぎは禁物。オニオンスープカレー【材料】ごはん・オニオンスープ・カレーフレーク・鶏肉(一口大/炒める) 適宜【作り方】1. 鍋でオニオンスープを沸かしてカレーフレーク、鶏肉を加える。耐熱皿にごはんを盛ってかける。 アホみたいな料理ではあります。一般的なカレーでも焦がし玉ねぎを使ったりもしますしね。でもぼくはインド式というか中華式というか余り炒めない玉ねぎのカレーを食べる事が多いのでこれはこれで新鮮です。玉ねぎの味噌汁【材料】玉ねぎ(4等分/横1cm幅) 1個/豆腐(1.5cm角) 1/2丁/ だし・味噌 適宜【作り方】1. 鍋にだしを沸かして玉ねぎを煮る。豆腐、味噌を加える。 子供の頃、ぼくは初心でした。そりゃまあガキの時分から枯れていてはおかしいですね。その当時のぼくは友人だったか誰だったか忘れてしまったけれど、味噌汁の具について語っていて奇異に感じました。奇異に感じた具材の一つが卵で、もう一つが玉ねぎだったのです。今ではどちらも好物になりました。
2024/04/26
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酒場巡りは、楽しい。けれど、時間も予算も限られる中で無理矢理に行っているとどうしたって無理が生じるものです。予算はいうまでもないけれど、時間に関してもせっかく交通機関を乗り継いで辿り着いてみても、じっくり町を散策しつつ酒場を物色するのが楽しみなのにそれをしている暇がないのが非常にもどかしいのです。といって旅先の場合でもそこに宿を取っていたらいいのですが、日帰りでハシゴする場合だと呑みくたびれて休みたいと思ってもなかなか思うような休憩場所がなかったりして時間調整に苦慮することも少なくないのです。インターバルなしにひたすら呑み続けるだけの気力は今のぼくにはもはや残ってはいないのです。以前なら列車で乗降を繰り返しつつ、下車した時間を呑みの時間に充てるという移動中を休息時間とするスタイルを多用しました。でも年齢が増すにつれ、用便のことも考慮に入れて行動する必要が生じています。年を取ることは子供の頃に思っていたより悪くはないみたいですが、それでも気を配るべき事項も増しているように思えます。それはともかくとして、都内でも酒場不毛地帯ってのが結構残っていて、その典型は住宅街です。住宅街ってのは大概繁華街の外周にある場合が多いから、案外行くのが大変だったりするんですね。行きはよいよい帰りは辛いというのは酔っ払いには必ずしも当てはまらないことが多くて、行きは遠いと思っても酔ってるからという理由だけでなく帰りは案外近く感じられるものです。恐らくは帰りの道中にあるということは予定の半分以上を終えているってからなんでしょう。そういう不毛地帯の酒場ってのは不思議なことに数軒が軒を連ねていることが多い気がします。ハシゴを念頭に据えて連帯して店を出してるようにすら思えます。 業平橋の「のみや」は駅からは近いけれど、清澄通りの裏手の通りだから人影もまばらで民家の灯りがあるだけの寂しい立地であります。でも道を挟んで至近にもう一軒酒場があって、実はそこの帰りに立ち寄ったのです。そこは営業時間が8時までとかなり攻めの経営をしているのです。そこのことはまた今度書くとして、先にこちらのことを書くことにしたのには大した理由などないのです。店に入ると店内は静まり返っていて店主も何だか暗い表情を浮かべて出迎えたのです。店の雰囲気は小奇麗でかつあり触れていて、ここはもう一緒に行った旧友との再会を楽しむに徹することにします。すでにそこそこ呑み食いしていたので、肴は簡単なものでいい。と注文したのはポテトフライと何か。なんだそりゃって感じではありますが、とにかく記憶に残っているのはポテトフライがとんでもなく強烈だったからなのです。どう強烈だったか、無茶苦茶しょっぱいのです。どうやったらここまでしょっぱくすることができるのだ。揚げたポテトフライに塩ケースを丸ごと落としてしまったといった程度にしょっぱいのです。皿に塩は落ちていませんが、少なくとも皿に残らぬ程度には塩を払っているようではありますが、それが意味がないと思われるほどに塩辛いのだ。可能性としては、うっかり塩をまぶし過ぎた(普通にまぶしてここまでになるとは考えにくいけれど)、もしくは店主がポテトフライの塩加減がこの程度であると思い込んでいるというものです。いやいやどちらもなさそうだなあ。でもわれわれは成人病などどこ吹く風としっかり完食したのです。当然ながら塩味を呑み込むために結構な量の酒の力を借りたことは申すまでもありません。てな訳で、思ったより長居してしまいましたが、店は入店当時の静寂を保ったままです。お隣の酒場と連携して二軒目酒場としてのポジションを確保したらもっと繁盛しそうなんだけどなあ。そしたら肴も種類ももっと減らして省力化してもやっていけそうですけど。
2024/04/22
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赤坂にはとんと縁がありません。なんて書いてみましたが、実はひと頃、赤坂大好きな知人に連れられて、赤坂の夜を過ごすことも少なくなかったのです。なかなかハイクラスなお店に連れていかれることが多かったのです。その人はTBSに就職するのが小さな頃からの憧れだったのです。一方で弁護士にも強い羨望を抱いていて、界隈に弁護士事務所が数多く存在することから一ツ木通りを闊歩してみることで、念願通りTBSマンや弁護士になった自身の姿を町に投影していたようなのです。逆に将来に対する野心の少しもなかったぼくが自らの足や勘に頼って赤坂の酒場探しをしたのは、そのしばらく後の事でしかもここぞという酒場に遭遇した覚えがないのです。そういう訳で、縁がないというのは必ずしも地縁がないということではなくて、ぼくの庭にはなり得ないといった程度に理解いただきたいのです。ところで、例によって青空文庫で赤坂をキーワードに検索してみたら、江戸川乱歩著『魔法人形』なる小説が引っ掛かってきました。聞き覚えないなあと思ったら、ポプラ社「江戸川乱歩・少年探偵団」シリーズでは『悪魔人形』と改題されていたようです。その一節に、--赤坂見附に近いルミちゃんの家では、ルミちゃんが夜になっても帰らないので、大さわぎになっていました。 ルミちゃんのおとうさんの甲野光雄こうのみつおさんは、ある大きな会社の重役で、たいへんお金持ちでした。-- という一文がありますが、これだけでぼくが好きになれない理由はお察しいただけるでしょう。 それなのにこの日、赤坂で呑むことにしたのには、ちょうど出張で赤坂を訪れたからといういうだけのことなのでした。赤坂を振り出しに縁の薄い地域を訪れることも考えたのですが、慌ただしい日々が続いたのでリサーチしている暇もなかったのでした。4時前という夕方というにも早い時間に解放されたのでさてこれは困ったと思ったら、何のことはない赤坂見附駅の改札を上がったところに「やき鳥 おでん 千成」なる酒場が営業していたのです。この時間で居酒屋が営業しているとはありがたい。外観にそそられる要素はありませんが、贅沢は言ってられません。店内では若者が一人で食事をしている他にご隠居3人組がすでにいい具合に出来上がっています。おでんのセットとチューハイを注文します。彼らの会話を盗み聞きしていると本来放流する予定のもう1人が約束を失念していたらしく今から向かうということのようです。あらあら彼らはついさっきご機嫌に〆のおにぎりを注文していたのにね。結局、しばらく時間を潰してから合流することにしたようですが、昼間っから愉快に呑み食いしてブラブラしていられる彼らに深く嫉妬してしまったのです。それにしても彼らはどういう理由で赤坂に集ったのだろう。昼間から呑むなら上野なんかに行った方が店探しには事欠かないはずで、赤坂にいきなり来てみて日中から営業している酒場を見つけようというのは大間違いに思えるのです。現役時代からこの酒場をしばしば利用していたとかで、ここの存在を認知していたのであればそれはそれで納得できるのですが、彼らの会話を漏れ聞いていると偶然遭遇した店らしいのだ。これから合流しようという1名は間もなく家を出るので1時間後には着けるといったやり取りから想像すると、立地的には都心の中の都心である浅坂まで電車で30~40分もあれば辿り着けるということだから山手線演繹ないしはその広くない外周の範囲に収まるはずです。無論、この1名だけが特に近隣に在住している可能性もあるけれど、彼らの集合し易いのが赤坂だったということか。いやいやその割にはゴルフなどでちょくちょく集まっているらしいから、たまには赤坂でってことになった程度の事なのかもしれません。といったような店の事より他の客の様子が気になるといった程度のごく普通の店ですが、ファミレスなんかじゃなく普通の居酒屋で昼間から呑める店があるのは有難いことです。
2024/04/21
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今更ではあるけれど、ぼくはスパゲッティが好きです。最悪、オリーブ油に塩だけだったり、醤油だけでも食べれてしまう。単に塩だけとか醤油だけでも食べられなくはないけれど、オリーブ油があると圧倒的に美味くなります。そういう意味では米というか米飯の方が勝っているともいえるかもしれない。塩だけの塩むすびや味噌や醤油を塗っただけの焼きむすびで上等なんだから、私見ではやはり米が実力で上回っていると思うのです。でも塩むすびでも焼おにぎりでもそれで酒の肴にできなくはないけれど、スパゲッティの方がより酒のアテには向いていると思うのですが、いかがでしょう。でも焼きおにぎりにバターの一片でものせたらそれはそれで立派な酒の肴となり得そうだから、一概にどちらが上とは言えないかもしれません。でも少なくとも、うどんやそばに塩だけとか醤油だけとかで食べ続けるのはキツいからこの辺よりは汎用性が高いとはいえそうです。ところで、スパゲッティ好きというとぼくはどうしても古川緑波を思い浮かべます。『古川ロッパ昭和日記』を紐解くとそこら中にスパゲッティという単語を見出すことができます。きっちり確認した訳じゃないですけど、特に昭和九年頃はとりわけ好んで食べていたように思えます。日を開けずに食べる事もあったようです。ということで今回はスパゲッティなのです。話の流れから貧乏系スパゲッティを数種。ちなみにロッパ氏は、スパゲッティ、スパゲティの綴りには余り拘りはないようです。魚醤のトマトスパゲッティ【材料】スパゲッティ(茹でる) 150g/トマト水煮 1缶/魚醤 大さじ1.5/オリーブ油 小さじ1.5/にんにく 1片/白ワイン 80ml【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。トマト水煮を加える。白ワインを加えて煮る。魚醤を加える。茹で汁(80ml)を加える。スパゲッティを加える。胡椒を散らす。【備考】dancyu 「トマトのコクが深まる"魚醤のトマトスパゲッティ"」https://dancyu.jp/recipe/2023_00007685.html 恥ずかしながらパスタに魚醤(イタリアのコラトゥーラ)が合うなんてつい最近まで考えてもみませんでした。でもこの美味しさを知るとヴァラエティーが一気に増えます。これはレシピ有の一品ですが、これなら大概自宅に揃っていていざという時でも簡単に作ることができます。スパゲッティ デル ポヴェレッロ(貧乏人のパスタ)【材料】スパゲッティ(茹でる) 80g/オリーブ油 15ml/にんにく 1/2片/卵 1個/卵(目玉焼き) 1個/パルミジャーノ・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。卵を加えて混ぜる。茹で汁を加える。スパゲッティを加える。皿に盛って目玉焼きをのせ、パルミジャーノ、胡椒を散らす。【備考】料理リレー レシピ集 「【スパゲッティ デル ポヴェレッロ】」http://cookingrelay2020.jp/2020/06/16/post-11780/ イタリアでは卵系とパン粉系の貧乏人のパスタがあるみたいですが、後者はともかく前者はちっとも貧乏臭くないですね。ぼくには贅沢だけど一度は食べてみたいと作ってみることにしました。確かに旨いけどぼくならついつい卵の仕上げをオムレツ上にしたりスクランブルエッグにしたりと余計な工夫をしちゃいそうです。贅沢品なのに写真無し!馬車引き風パスタ【材料】スパゲッティ(茹でる) 110g/パン粉(細かく砕く) 25g/塩 適宜/アンチョビ 1枚/イタリアンパセリ小さじ2/オリーブ油 適宜/【A】オリーブ油 大さじ1/2/にんにく 1/4片/【B】オリーブ油 大さじ1/にんにく 1/2片【作り方】1. フライパンで【a】の材料を炒める。パン粉を加える。塩を加えて取り出す。2. フライパンに【b】の材料を炒める。アンチョビを加える。イタリアンパセリ(半量)、茹で汁(1/2カップ)を加える。スパゲッティを加える。1.(半量)を加える。皿に盛って1.(半量)、イタリアンパセリ(半量)を散らしてオリーブ油をかける。 こちらがもう一つの本場風ビンボー系パスタ。むしろ卵より美味しいんでないのと思ってもいなかった感想を漏らしてしまいました。でも小麦の害が喧伝されているのを思うとつい躊躇っちゃうレシピではあります。ビーゴリ・イン・サルサ【材料】ビーゴリ(or スパゲッティ/茹でる) 200g/アンチョビ 6尾/玉ねぎ(みじん切り) 1個/オリーブ油 適宜/バター 10g/胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱して玉ねぎを炒める。アンチョビを加える。ビーゴリ、茹で汁、バターを加える。皿に盛って胡椒を散らす。 さっきのパン粉を玉ねぎに置き換えたみたいなもので、まあ悪くはないけれど、想像したまんまではあります。ここでは玉ねぎをみじん切りにしてますが、くし型切り位が適当かも。
2024/04/20
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同じイモでも種類によってかな/カナ/漢字など色々と表記の仕方があって、いつでも迷ってしまいます。じゃがいもひとつ取ってみても、平仮名で「じゃがいも」と書く場合もあれば、「ジャガイモ」「じゃが芋」といった記載もあります。ぼくにとってしっくりとくるのは、「じゃがいも」とかな表記になります。がさつまいもの場合は、かなよりも片仮名で「サツマイモ」と書くのが馴染みがいいのです。さつま芋でも薩摩芋でもないのです。同様に「里芋」や「山芋」はどちらも漢字で記すのが馴染みがよかったり、これはもう理屈もへったくれもなく好みの問題でしかないようです。拘るまでのことではなさそうですが、ぼくにはどうにも気に掛かるものなのです。小説家でも拘りのある人ない人様々であり、現代作家であからさまに拘りのある作家としては川上弘美を挙げることができそうです。それはさておき、ぼくには「芋」という感じに各種イモ類を重ねることがどうにもできないのです。里芋や長芋などの日本で古来から食べられていたイモいもに充てるのはまだしもじゃがいも、サツマイモには、どうしてもこの字を充てるのは不適当に思えるのです。ちなみに「芋」の字の成り立ちは以下の通りとのこと。漢字/漢和/語源辞典https://okjiten.jp/kanji307.html う~ん、何か文字面とはどうもイメージが違っているなあ。ということで今回はじゃがいもです。貝ひもとじゃがいものバター炒め【材料】貝ひも 50g/じゃがいも(茹でる/一口大) 2個/バター 小さじ2/白ワイン 大さじ1/にんにく 小さじ1/グリーンオリーブ(2等分) 6個/大葉(千切り)・塩・胡椒・醤油 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してにんにくを炒める。貝ひもを加える。白ワインを加える。じゃがいも、グリーンオリーブを加える。塩、胡椒、醤油を加える。皿に盛って大葉を散らす。 じゃがいもと合わせられないものなどほとんどなさそうですが、貝ひもと併せたら予想通りに美味しかったので一応書き残します。でもうちの近所のスーパーでは最近になって貝ひもの取り扱いを始めたけど、簡単に手に入るものなんだろうか。じゃがいものソースのパスタ【材料】パスタ 140g/じゃがいも(2cm角) 1個/ローズマリー 1本/粉チーズ 適宜/赤唐辛子 1/2本/オリーブ油・水 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにくを炒める。ローズマリー、赤唐辛子を加える。じゃがいもを加える。水、塩を加えて煮る。パスタを加える。【備考】料理リレー レシピ集 「【じゃがいものソースのパスタ】」http://cookingrelay2020.jp/2020/05/29/post-9785/ 炭水化物にじゃがいもというのはちょっと面白いかな。ポテサラにパンなら普通ですが、ポテサラごはんとかそばはちょっと変わってるかも。あんまり食べたいとは思いませんが。パスタはまずまず好相性。コルキャノン【材料】じゃがいも(皮を剥く/2cm角/蒸かす) 4個/キャベツ(1cm幅/蒸かす) 4枚/牛乳100ml/バター 20g/塩・胡椒・パセリ 適宜【作り方】1. 鍋で牛乳を沸かす。じゃがいも、バターを加えて潰す。キャベツ、塩、胡椒を加える。パセリを散らす。 グレートブリテン島では定番らしい料理。若い頃は簡単なので時折作って食べてましたが、ある時期からぱったり食べなくなったのを近頃は残った牛乳の消費レシピとしてたまに作るようになりました。コルキャノンパスタコルキャノンそばコルキャノングラタン コルキャノンをそのまま食べるのも飽きちゃうので、パスタ、そば、グラタンにしました。どれもまあ悪くはないのですが、なんだか満足感がいまひとつ感じられない仕上がりとなりました。あんまり余計な食材を加えたらコルキャノンとは全く別物になっちゃうんだろうなあ。
2024/04/19
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何度となく書いてきたけれど、ぼくは本質的にぐうたらな人間なのです。いざ出掛けるってなるととにかくちょこまかマメに歩き回ったりもするけれど、逆にこの日は家でゴロゴロするんだって決めた日にはコンビニに買い物どころかゴミ捨てに行くのすら面倒に思えるのです。脱線になりますが、子供の頃からテレビが好きで見る見ないに関わらず電源を付けっぱなしにしていたものですが、最近はテレビの音声のみならず画面のちょこまかとした編集が及ぼすチカチカしたところが目障りで電源を切っている時間がとても長くなりました。でもニュース番組を中心にいくつかの番組位は見るのですが、ニュースを見ていると休みの日にはとにかく家でのんびり過ごすことができない人がとんでもなく多いことに驚かされます。ぼくには何が面白いかまるで分らぬイベントにどっと人々が押し寄せているのを見ると、ホントにそんなことに興味あるのかよと思うと同時に、そうまでして混み合う中、出掛けることに怪訝な気持ちを抱かざるを得ないのでした。ぼくは混雑する場所は余程のことがなければ回避したいと思っているし、のんびりする時は徹底的にのんびりしたいと思っているから、鮪や鰹みたいに、立ち止まると死んでしまうとでも思っているんじゃないか。と、活動的な人たちを嘲るような文章を書いたらしいのだけれど、どうしてこんなことを書こうと思ったのかどうも思い出せません。しかも嘲るようでいて、単に怠惰に陥っている自身のあり様を擁護しようとしているようにしか思えぬのです。カッコ悪いなあ。 と何やら意味不明な導入となりましたが、志村三丁目の「大衆酒場 巴」にお邪魔しました。目にした瞬間にこれは入らねばなるまいという使命感すら抱かされてしまったのです。というか志村三丁目は初めてではないから、万が一にも以前この酒場を目撃していたらどんなに終電が迫ろうが、酔っ払っていようが間違いなく立ち寄っていたはずです。最近の体調の芳しからざる状態でもやむなしとして見送ることなどできなかったはずです。それだけの風情を讃えていたわけであります。帰宅してからメモを見てやはり以前訪れていることを確認して安堵したりもしたわけです。でも、よくあることなのでまたかという感じですが、返す返すもまるきり覚えていないというのが不可解かつ不安になるのです。こんなにあからさまにいい感じの酒場を忘れてしまうんだからなあ。いつもなら何度でも初体験を味わえるなんてラッキーなことだなどと開き直ってみせたものですが、実のところ、世間の酒場の近い将来に対しての不安が日毎に増しているのでした。不安がる暇があれば行動せよといった言い方がありますが、そういう言い方ってのは自分が頑張ればなんとかなることに対して用いるべきで、いくら自分がせっせと通ったところでその酒場の延命にはさほど寄与しないであろう場合には有効ではなさそうです。だからこの先ぼくも含めた酒場好きは、常に不安を抱きながら酒場通いを続けることを余儀なくされるのではないか。と暗澹たることを思いつつカウンター席に着くなんてことは実際はなくて、席に落ち着くと気持ちは多幸感に埋め尽くされるのです。そうでもない場合も少なくないけれど、大概は楽しい気分へとすぐに切り替わるのです。具ナシのおつまみ焼きそばなんてのも自宅で食べても旨くもなんともないはずなのに、酒場で食べるとオツなものに思えるのだから酒場の謎めいた潜在力の一端でも会得して、将来の酒場のない時代を乗り切れるように備えることにします。
2024/04/15
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タイトルに「家に帰ったみたい」なんて書いてしまったけれど、もうその時点でホントにそれでいいのかなんてことを思ってみたりするのです。ってまあこんなことを書いたらもうこの先、何を言わんかなどということはとっくにご承知いただけてしまったはずです。全員が全員そうとは言わないけれど、かなり多くの人たちは真っ直ぐ帰宅したくないからわざわざ寄り道して呑みに行くのだろうと想像されるのです。逆に家に帰っても待ち人などいないからこそ呑みに行くという人もいるかもしれません。いずれにしても実際に住んでいる家に帰るのが嫌だと考える人が居酒屋に寄り道して帰るのであって、そこが居心地良かったりすると、そここそが真の家よりも好きってなるから家みたいなんて言ってみたりするのかなあ。ぼくはどうかというと毎晩のように通っている酒場に家を感じることはないかなあ。それは実際の家が好きで好きで仕方ないとかいった話ではなくて、いくら家族のような付き合いをしたところで、店に集まる人たちは結局のところ他人でしかないのであります。実の家族も他人ではないかという人もいるかもしれませんが、家族というのは好き嫌いに関わらず相互に何某かの責任などと無縁ではいられないものです。その点、居酒屋の常連たちは、仮に実の家族以上に長く過ごして会話を交わしていたとしてもその場限りの関係であります。責任という見えない糸でどこにいても責任から逃れられぬ家族とはやはり別物なのです。だからある日を境にフッツリと消息を絶ってしまう人というのがいたりする。それは寂しいことではある。だけど、それは当たり前のことです。そのことに酷く喪失感を覚える人もいるようですが、それは悲しかったり残念だったりするけれど、やはり居酒屋は所詮、仮初の家庭でしかなく、人は結局は本来いるべき場所に帰っていくものです。 なんてつらつらともっともらしいことを書いたけれど、ぼくはどちらかといえば酒場の付き合いを酒場の外部に拡大することを避けたいと思っています。親しい人が増えるということは、その分、将来失う人が多くなるという事であって、出会いの場を酒場に限定するなら、もしその酒場が閉業したとしてもまたどこかで出会えるかもしれないという希望が残せるんじゃないか。と書くと割り切った考えの持ち主のようであるけれど、そんなことは今ではなかなかあり得ない。ぼくもいつ登録したか全く覚えがないのですが、lineを交換していたりして時折でしかないけれど、やり取りしたりすることもあるのです。店の仕舞いが縁のとりあえずの終いであるというのはむしろ健全なのかもしれないなあ。といった感想を漏らしたくなるような酒場が赤羽岩淵にありました。店名がそのままズバリ、「居酒屋 仲よし」なんだからねえ。そういえば居酒屋って仮初の家族関係や交友を暗示する店名が多いですね。「おふくろ」、「親爺」、「姉妹」、「友」、「悪友」などなど。誰しも第二の家庭を切望しているってことなんでしょうか。さて、こちらはカウンター席だけのお店だったような。ほぼ満席で辛うじて入れてもらえたものの、皆が揃いも揃って顔見知り。家族ぐるみの付き合いの方もおられると耳にしたような気がします。酒はちょいお高めの値段設定になっているけれど、常連の店というのはボトルをキープしてお得さを享受できるというシステムになっていることが多いから、一見にはちょっと残念な染み皆事が多く、ここもそれに倣っています。一方で肴はお手頃な点からもその経営理念があくまで常連重視という点の証左ともなっているようです。こうした店で一見になることが必然的に多いぼくはいつだってどうして毎夜のように彼らはここに通うのだろうかと思うのです。でもそんな疑問を抱きつつ10回も通うと(もうひとつの)家庭に帰ってきたといった気分になってしまうんだろうなあ。
2024/04/14
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北大路魯山人が『日本料理の基礎観念』なる御大層な文章を残しています。学術論文調の大仰な標題ではありますが、書かれていることはいつもとさほど変わらぬもっともらしいご高説ばかりなのです。もともと美味いものは、どうしても材料によるので、材料が悪ければ、どんな腕のある料理人だって、どうすることも出来ません。里芋でいっても、ゴリゴリした芋だったら、どんな煮方をしたって、料理人の手に負い切れないのです。 と語ると思ったら、 里芋でありますなら、掘る洗う煮るという具合に続けますと、その芋が少々性のよくないものでも、相当に食べられる。性がよければ、この上、美味いことはないのであります。 なんてことを書いてみたりする。誠に勝手なことばかり書いている。その点、古川緑波は分かり易い。『八の字づくし』で里芋のことを書いています。筆者は、戦前から戦争中にかけて名古屋のことを嫌いだったそうだが、戦後になって食いもの屋が増えて大好きになったそうなのです。まず、宿へ着いたら、八丁味噌の汁を、ふんだんに、と、たのむ。それも、身は、他のものでは、いけない。里芋に限る。それも、東京式に、小さな里芋を、まるごと入れたんでは駄目、短冊(?)に切った奴。朝食には、その八丁味噌汁の三杯汁だ。 こりゃいかにも旨そうです。確かに赤だしに里芋というだけでも旨そうですが、丸のままじゃなく短冊とか拍子木に切った里芋ってのがすごいそそられます。こりゃ早速試してみないといけないなあ。スキアルビキサブジ[インド]【材料】里芋(2cm角/茹でる) 6個/にんにく 1片/赤唐辛子 1本/オリーブ油 大さじ1/クミンシード 適宜/フェヌグリークシード 5個/胡椒 小さじ1/8/ターメリック 小さじ1/2/カスリメティ 小さじ1/カイエンペッパー 小さじ1/8/塩 小さじ1/4/水・マンゴパウダー 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱し、クミンシード、フェヌグリークシード、赤唐辛子、にんにくを入れる。里芋、胡椒、ターメリック、コリアンダーパウダー、カスリメティ、カイエンペッパー、塩を入れ、水、マンゴパウダーを入れる。蓋をして5分煮る。 インド料理に里芋を使ったレシピはたくさんあります。きっと日本の里芋とはちょっと違っていたりもするんでしょうね。近頃インド料理店に行く機会がめっきり減っていますが、今時は店でも里芋を使ったカレーなど出してくれるんでしょうか。このレシピはカスリメティやマンゴパウダーなど登場機会の少ないスパイス・ハーブを使うことができて重宝しそうです。里芋のコランブ[インド]【材料】里芋(8mm角) 2個/カレーリーフ 6枚/ヒン 適宜/ココナッツミルク(炒る) 50ml/塩 小さじ1/2/クミンシード(炒る/潰す) 小さじ2/3/胡椒 小さじ1/4/ココナッツファイン 大さじ2/水 適宜【作り方】1. 鍋に里芋、カレーリーフ、ヒンを入れ、水を入れて熱する。弱火で蓋をして煮る。2. 残りの材料をすべて入れて混ぜる。 一転してこちらはココナッツ風味のレシピです。いかにも南インド料理らしいレシピでシンプルながら美味しいですね。サンコーチョ[パナマ]【材料】玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/パセリ 大さじ2/鶏肉(骨付) 500g/オリーブ油 大さじ2/里芋 500g/水 1L/塩 小さじ1/チキンコンソメ 小さじ1/オレガノ 適宜/香菜 大さじ2【作り方】1. 鶏肉、玉ねぎ、パセリをボウルに入れよく混ぜ、30分置く。2. 鍋にオリーブ油を入れ、1.を加えて炒める。水、塩、チキンコンソメを入れ、沸騰したら中火で煮る。3. 鶏肉が煮えたら里芋を入れ、弱火で煮る。オレガノ、香菜を入れる。 オレガノと香菜が入っているのが特徴といえば特徴ですが、非常にさっぱりとしたスープで食べやすいです。でもなんか満足感が薄いんですよね。ヤム・ライス[マレーシア]【材料】ジャスミン米 1合/里芋 10個/椎茸(細切り) 4個/長ねぎ(小口切り) 1/4本/生姜・にんにく 1片/醤油・みりん 大さじ1/五香粉 小さじ1/2/塩・水 適宜【作り方】1. 全ての材料を炊飯器(内釜)に入れて炊く。 里芋のエスニック風な炊き込みごはんでありますが、これがなかなか美味しいのでした。米に別な食材を加えて嵩増しするのってダイエット向けでよくありますが、イモ類にしてはカロリー低めのこれはなかなか有望なレシピではなかろうか。和風に作っても無論イケそうです。
2024/04/13
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芥川龍之介著『LOS CAPRICHOS』という掌編があります。ありますなんてさも知っていたかのような振舞いは時間の無駄だからやめておくことにします。実は今回青空文庫で“香菜”をキーワードに検索したらたまたま引っ掛かったのでした。これがまた奇怪なシロモノでありまして、何故に芥川が斯様な文章を執筆したのか、こそが謎に思えるのでした。眼―中華第一の名庖丁張粛臣の談― 眼をね、今日は眼を御馳走しようと思つたのです。何の眼? 無論人間の眼をですよ。そりや眼を召上がらなければ、人間を召上つたとは云はれませんや。眼と云ふやつはうまいものですぜ。脂があつて、歯ぎれがよくつて、――え、何にする? まあ、湯(タン)へ入れるんですね。丁度鳩の卵のやうに、白眼と黒眼とはつきりしたやつが、香菜(シヤンツアイ)が何かぶちこんだ中に、ふはふは浮いてゐやうと云ふんです。どうです? 悪くはありますまい。私なんぞは話してゐても、自然と唾気がたまつて来ますぜ。そりや清湯燕窩だとか清湯鴒蛋だとかとは、比べものにも何にもなりませんや。所が今日その眼を抜いて見ると、――これにや私も驚きましたね。まるで使ひものにやならないんです。何、男か女か? 男ですよ。男も男も、髭の生えた、フロツク・コオトを着てゐる男ですがね。御覧なさい。此処に名刺[#「名刺」は底本では「名剌」]があります。Herr Stuffendpuff. ちつとは有名な男ですか? 成程ね、つまりその新聞や何かに議論を書いてゐる人間なんでせう。そいつの眼玉がこれぢやありませんか? そら、壁へ叩きつけても、容易な事ぢや破れませんや。驚いたでせう。二つともこの通り入れ眼ですよ。硝子細工の入れ眼ですよ。 香菜が泳ぐ中華スープに目玉がプカリプカリと浮き沈みするなんてのは、ゾッとしませんし、さすがに唾気が湧き出るなんてこともありません。当時はこの程度のアイデアやオチなんかでもそれなりに目新しさがあったのかもしれませんが、すれっからしの現代人にとってはいささかに退屈とも思えるものです。それでも澄んだスープに浮き沈みする香菜と目玉のイメージはそれなりに鮮明で悪くないなあなんて思ったりもするのでした。でも、こんな話を読んだところで、香菜への嫌悪感は少しも沸き立たないってことは小説というジャンルの凋落と見るべきか、それとも読者たるわれわれの読書力の低下にこそ理由を見出すべきなんでしょうか。パクチーとベーコンのパスタ【材料】スパゲッティ(茹でる) 80g/香菜(4cm長) 50g/ベーコン(3cm長) 1枚/にんにく 1片/赤唐辛子(砕く) 1本/オリーブ油 大さじ1.5/塩 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。ベーコンを加える。香菜((茎)を加える。スパゲッティ、茹で汁を加える。香菜(葉)え、塩を加える。【備考】ELLEgourmet 「パクチーとベーコンのパスタ」https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-recipes/a51257/gco-2058/ 特段にレシピがなくてもいずれはきっと試していたはず(というかすでに食べたことがありそう)。香菜の根っことかをちゃんと炒めて、葉の部分は生のままっていうのも良さそうです。香菜そば【材料】そば(茹でる) 1人前/香菜(4cm長/茹でる) 50g/そばつゆ・ナンプラー・揚げ玉・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 丼にそばを盛ってそばつゆ、ナンプラーを注ぎ、香菜、揚げ玉をのせて一味唐辛子を散らす。 そばに香菜は邪道な気もしますが、実はちょくちょくやっちゃってます。三つ葉替わりなんですけど、香りの強い野菜とそばの組合せは悪くないんですねエ。香菜そば【材料】そば(茹でる) 1人前/香菜(5cm幅) 5本/めんつゆ・ナンプラー・スイートチリソース・ピーナッツ(砕く) 適宜【作り方】1. 皿にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、ナンプラー、スイートチリソース、ピーナッツを散らす。 こちらはさらにエスニック色を鮮明にしています。これはこれで美味しいのだ。アメリカとかではこれのめんつゆ抜きみたいなので食べちゃう人がいそうです。香菜ラーメン【材料】中華麺(醤油/茹でる)・香菜(4cm幅)・白胡椒 適宜【作り方】1. 丼に中華麺を盛って醤油スープを注ぎ、香菜をのせて白胡椒を散らす。 香菜には白胡椒が合うと思うんですね。ラーメンも同様。ということで白胡椒が合う香菜とラーメンに白胡椒をふるとそりゃまあこんな簡単なのに美味しくなるのです。 香菜っていうのは気に入って良く食べているんですけど、本当のところこれぞという食べ方がないんですねえ。強いて挙げれば香菜ドレッシングで食べる香菜サラダってことになりますが、それを上回る食べ方があるように思うのです。時間に余裕が出てきたらまたレシピ探しを再開したいものです。
2024/04/12
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もう一つこの3日に及ぶ闘病の日々で自らを驚かしたのが、ちっとも食事を体が欲しなかったこと、そして何より酒もちっとも呑みたいと思わなかつたことです。初日がそば少量とピノ6粒、2日目がキムチのせそば少量とピノ3粒、3日目がそば少量、おにぎり1個、サンドイッチ1.5個と最終日には多少増えはしましたが、それでも普段のぼくにとっての1食分半から控え目な2食程度分です。だから当然といえば当然のことにその余得として、ベルトの穴ひとつ分位はダイエットに繋がったのです。これが1週間続けばなどと想像したくもなりますが、そう上手く事は運ばないだろうなあ。そうそう、足が僅かの館で痩せちゃって、回復後に靴を履いたらブカブカになっていたのも新しい発見でした。もっともこれは単に塩分とアルコール摂取量の減少でむくみが取れただけのことなのかもしれません。そんなストイック状態なのに仕事復帰したその夜、いつもの立ち呑み屋に行っちゃったんですね。アホですねえ。いつもの調子でお通しのちくわの煮付けを摘まむこともせずにチューハイ1杯を呑み干し、お替りしたところに注文していた鶏竜田揚げが登場。ようやくお通しを口に運び調子よく2杯目を呑み始め、竜田揚げを口にして3杯目を注文した辺りで体調の異変を感じたのです。チューハイも肴も喉を通り抜けてくれなくなったのです。一方で顔面は蒼白になり(と後で指摘される)、妙な脂汗も噴出して、腹具合も悪くなり、一度外の空気を吸いに荷物も財布もそのままに(これが馴染みの店のいいところ)店を出て便所で軽く用を足して戻るものの食欲、呑欲が戻ることはなく、竜田揚げだけ持ち帰りにしてもらったらの常連さんの言葉に従うつもりがそれを待つだけの気力もなく店を後にすることになったのです。その後の自宅の最寄り駅までの車中は地獄の苦しみでした。いよいよ駅が近付いたと思った僅か30秒すらもう立っていられない位のこれまで感じたことのないような不快感に見舞われ、とうとう列車の非常ベルが押されてしまうことになるんじゃないかという情景だけは想像することができたのです。辛うじて持ち堪えて列車を出ると噴き出すことのやまない脂汗を拭うこともままならない常態で何とかベンチにへたり込み10分程度休まざるをえないといった体たらくであったのです。断食だろうとプチ断食だろうと重湯からゆるゆると通常食へと身体を慣らすというのは重要なことなのだなあと感じたおっさんの春だったのです。 このところ立て続けに訪れているけれど、ぼくはここ「蕎麦吉里 童心舎」の事が大いに気に入っているのです。気に入ってるって言い方、何か上から物を言ってるみたいで何か感じ悪いかな。例えばぼくが女性に向かってに向かって君のこと気に入ったよ、なんてことを耳元で囁やこうものなら、確実にウザっとかキモって思われるに違いないのだ。店の方もきっと同じように感じると考えるに越したことはないのだ。つまり気に入るなんて回りくどい言い方はこうした私的(?)文章に留めて、当の相手には好きだと単刀直入告げるべきではないか。さて、この晩もまた知人3名と一緒だったのですが、以前の面子より歳は若くとも大人な人たちなので、一気に揚げ物や肉料理に向かったりはしないのだ。というか注文も慌てず騒がすじっくり吟味する。ぼくはさすがに見慣れているので、初めての3名に敢えて委ねることにしたのです。するとそのオーダーがすごもり、そば味噌、そばしんじょ、そしてずっと食べたかったそばがきにいってくれたのでした。やったね。すごもり、そば味噌は間違いない。そしてそばしんじょはふっくらもっちりでこれまたよろし。さて肝心のそばがきに箸を伸ばす。期待一杯で口に入れるのだがあれれ、春日に粉っぽさが残るしそばの風味もちょっとイマイチかも。他のそば料理のレベルを思うとまだまだレベルアップを目論んで頂きたい。それとここのお通しのそばの切れ端がもう最高に旨いのだから是非そば切りも提供して欲しいものです。麺とはまた別の旨さがありますからね。でもまあ最後は麺を食べるんですけどね。やっぱりここはいい。
2024/04/08
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