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2012.08.17

DSCN9778 posted by (C)akijapan

１９８６年８月８日（土）
野本監督さんは甲子園の土を踏むことなく上尾市上町２丁目の伊藤胃腸科で他界した。
その日は浦和学院が夏の甲子園に初出場。
遺影は横田スポーツの社長（故人）さんが甲子園へ運んだ。
上尾市は夏の祇園際。
子供みこしの休憩所でもある仲町　くげの湯（野本監督経営）には、
弥次馬会の弓張提灯100本が飾られた。
喪に服そうかとのことに監督さんなら元気よく神輿渡御してくれ、と言われるだろうとのことで、銭湯横の焼きトン　弥次馬の店入口上には提灯用の櫓が組まれた。
わたしが、２６歳若衆頭の時でした。
浦和学院は野本監督さんを和田監督が代行。
それ以来、夏季大会は２回戦を突破出来ずにいましたが、本日、浦和学院は３回戦へ駒を進めました。

TKY200607050360 posted by (C)akijapan
画像をクリックいただきますと、公開アルバムに入れます。
加須の故野本監督さんの墓地画像も公開しています。

旧制の不動岡中学校(現在の埼玉県立不動岡高等学校)卒業。コロムビアを経て、1950年、西日本パイレーツ入団。1951年、西日本パイレーツと西鉄クリッパースが合併し、西鉄ライオンズになった。1953年に近鉄パールスへ。1953年現役引退。その後、東洋大学野球部、埼玉県立上尾高等学校野球部、浦和学院高等学校野球部で監督を務めた。1986年、浦和学院高等学校が甲子園初出場を決めたが、開会式当日に亡くなった。64歳没。

主な教え子としてプロ野球選手では山崎裕之、会田照夫、仁村徹、鈴木健などがおり、アマチュア野球野球指導者では谷口英規（上武大）、福田治男（桐生第一高）、森士（浦和学院高）、新井浩（伊奈学園高）、斉藤秀夫（北本高）、高野和樹（上尾高）などがいる。

上尾高校の監督から東洋大学監督に就任するとき。当時、上尾高校でエースであった会田照夫を一緒に進学させ、東洋大学を東都大学リーグの一部に昇格させる。常勝、東洋大学の野球部の基礎をつくり上げた。

〈夢をつなぐボール１〉　「無心に」野本イズム継承
2006年07月05日

　一塁線に整列した選手がグラウンドに散った。監督の森士（おさむ）（４２）がノックを始めた。部員約１００人の浦和学院。森が叫んだ。「連係がよくない。ボールだけじゃなく、言葉をつなげ」。選手が返した。「もっと声を出せ」
選手を集め、「試合で力を発揮するために練習しているんだ」と指導する森監督（左）＝さいたま市の浦和学院グラウンドで

故野本喜一郎監督＝上尾高校で、家族提供

　森はよく、バックネット裏にある監督室の２階から、グラウンドを見る。「全員にまんべんなく目配りする」。常に心掛けていることだ。

　　　　◇

　野本喜一郎監督と選手の間に、もう１週間、会話らしい会話がなかった。３時間半の練習で、野本は、ベンチに座ってグラウンドを見渡すだけ。日焼けした顔にサングラスをかけていた。

　校庭の一角にある上尾高校の野球グラウンド。

　午後７時、練習を終えた選手がベンチ前に並んだ。素っ気なく、「ご苦労さん」と一言だけ話した。

　８２年夏。上尾の甲子園出場は夏３回、選抜３回を数えていた。

　整列した選手の中に、森がいた。

　森が「上尾」を意識したのは小学５年生の時。浦和市営球場で試合を見た。試合後、球場から引きあげる上尾の選手の後ろを歩いた。ユニホームを着た背中が目の前にあった。選手の体格、監督に漂う風格、何もかも他のチームと違って見えた。

　「すげえチームだ」

　埼玉大会で優勝した上尾は、さらに森に痛烈な印象を与える。

　甲子園の準々決勝で当たったのは、スター選手原辰徳（現巨人監督）を擁する東海大相模。「勝てっこない」と思っていた試合だった。

　東海大相模２点リードの８回表、無死満塁の好機を作り、２本の適時打で逆転に成功した。その裏、東海大相模は２死一塁で打順はこの日、４打席４安打の原。３球目を振り抜いた原の打球はキャッチャーフライ。上尾が５―４で競り勝った。ベスト４に進んだ上尾で「野球をしたい」と、さらに気持ちを強くした。

　　　　◇

　野本は、旧制不動岡中学を卒業。戦時中は徴兵され、中国に送られた。戦後、社会人を経て西日本パイレーツに入団。いくつかの球団を渡り歩いた後、退団。上尾で銭湯を開業した。

　５８年、上尾高校ができると、上尾中学の生徒に野球を教えていた縁で６０年に監督に就任、高校野球の指導に携わる。

　野本の指導に、激しい怒鳴り声も、しごきもなかった。試合中、ベンチで１人、「こう打たないと」「これをやっちゃあだめだ」とつぶやく。それを周りにいた選手が聞いている。

　野本の伝達方法は独特だった。直接言うことは少ない。評価が同僚らから本人の耳に入る。野本が何を言うのか。選手はその言葉に飢えていた。

　中学時代、全国大会３位になった森だったが、高校ではひじ痛で、思うように投げられない日々が続く。レギュラーは遠い。でも、最後の夏にかけ、直接相談した。

　ブルペンでのマンツーマンの指導中、こう言われた。「フォームがいいからいい球が行くわけじゃない。いい球が行くからフォームが良くなる」

　意味がよく分からなかった。理解できるようになったのは、指導者になってからだ。

　　　　◇

　野本は８４年、浦和学院に移った。森が東洋大学２年の時だった。人づてに、野本が「上尾監督時代、一番練習したのは森」と話していたのを聞いた。選手として芽が出なかった自分をきちんと見ていてくれた。森は「いつか野本さんの下で」と思っていた。

　浦和学院は８６年夏、甲子園初出場を果たす。

　しかし、野本は夏の埼玉大会前に病床に伏す。甲子園開幕の８月８日。野本は、夢の舞台を踏みしめる選手の行進を見ないまま逝く。浦和学院は４強入りを果たした。

　森は、この年の１１月、コーチとして指導者の道をスタートさせる。

　　　　◇

　森は思っている。フォームのアドバイスは「形を意識しすぎるな。無心に投げろ」ということだったと。「あの時の自分はあせり、迷いが先にあった」

　野本の教え子で、高校野球の指導者になった選手は森のほか、大宮工の新井浩、上尾の斉藤秀夫、鷲宮の高野和樹など数多い。県外では、９９年夏、群馬県勢として初の全国制覇を成し遂げた桐生一の福田治男がいる。

（敬称略）