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令和３年２月２２日付２福保子育第２９３８号
一部改正令和３年５月３１日付３福保子育第６１１号
一部改正令和４年４月６日付４福保子育第５７号
１目的
この事業は、様々な困難を抱えた若年女性について、公的機関と民間団体が密接に連
携し、アウトリーチから居場所の確保、公的機関や施設への「つなぎ」を含めたアプロ
ーチを実施することにより、若年女性の自立の推進に資することを目的とする。
２実施主体
本事業の実施主体は東京都とする。
なお、都は、事業の一部（４（２）を除く。）について、年間を通じて若年女性の支援
を行う社会福祉法人、特定非営利活動法人（ＮＰＯ法人）等（ただし、宗教活動や政治
活動を主たる目的とする団体、暴力団及びその統制下にある団体等を除く。以下「社会
福祉法人等」という。）に委託等して行うことができる。

３対象者
本事業の対象者は、性暴力や虐待等の被害に遭った又は被害に遭うおそれのある主に
１０代から２０代の女性であって、都が本事業の対象とすることを適当と認めた者（以
下「若年被害女性等」という。）とする。
４事業内容及び実施方法
本事業においては、都は、以下の（１）から（４）の事業を行う。
なお、各事業実施の過程において、１８歳未満の対象者で親等からの虐待を受けたと
思われるなど要保護児童として把握した場合は、児童福祉法第２５条の規定に基づき、
区市町村、都が設置する福祉事務所又は児童相談所等に速やかに通告するものとする。
（１）アウトリーチ支援
本事業では、困難を抱えた若年被害女性等に対して、主に夜間見回り等による声
掛けや、相談窓口における相談及び面談等の以下の支援を実施する。
① 夜間見回り等
困難を抱えた若年被害女性等の被害の未然防止を図る観点から、深夜の繁華街
などを巡回し、夜間徘徊など家に帰れずにいる若年被害女性等に対して、声掛け
や相談支援を原則として週１回程度実施する。または、都内繁華街などに常設の
相談場所を設置し、原則週１日以上若年被害女性等の相談などに応じる。
また、ＩＣＴを活用したアウトリーチ支援や、出張相談など若年被害女性等の
状況に応じた支援を行うとともに、必要に応じて関係機関や居場所等への同行支
援を行う。
② 相談及び面談
若年被害女性等からの様々な悩みや直面する課題に対応するため、相談窓口を
設置し、電話及びメール、ＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）等
による相談や、必要に応じて面談を実施する。また、アウトリーチ支援において
声掛け、相談支援等を行った若年被害女性等や居場所を利用していた若年被害女
性等からのその後の相談に対応するとともに、必要に応じて面談を実施する。
なお、アウトリーチ支援や面談等の際に緊急的に福祉サービスが必要となった
場合は、国要綱４（1）②に基づき、アウトリーチ支援若しくはや面談等の実施場
所又は若年被害女性等が居住する地域の区市町村が、都又は都が事業の一部を委
託等する社会福祉法人等からの連絡を受けて、若年被害女性等に提供する福祉サ
ービスの実施機関として必要な支援を行うこと。ただし、福祉サービスの内容等
により、多摩地域の町村においては西多摩福祉事務所が、また、島部の町村にお
いては管轄する支庁が、実施機関となるよう調整する場合がある。
また、都は、相談対応職員が、若年被害女性等が抱える様々な困難な問題に適
切に対応できるよう、相談技能向上のための研修受講機会の確保に努める。
（２）関係機関連携会議の設置
都は、行政機関、民間団体、医療機関等で構成する関係機関連携会議を設置する。
会議は原則として月１回程度開催し、若年被害女性等に対する支援の内容に関す
る協議、公的機関等へのつなぎ方の協議や事例検証などを行い、公的機関と民間団
体とが密接に連携し相互に情報共有を図る。
（３）居場所の提供に関する支援
本事業では、若年被害女性等の身体的・心理的な状態や家庭環境等により、一時
的に安心・安全な居場所での支援が必要と判断した場合は、居場所を提供し、食事
の提供など日常生活上の支援、不安や悩み等に対する相談支援を以下により実施す
る。
① 居場所の提供期間
居場所の提供は一時的な保護（１日から２日程度）を原則とするが、利用者の
状態やその後の支援につなげるまでの間やむを得ず長期化する場合は、都の判断に
より引き続き居場所での支援を実施することができることとする。なお、保護が２
週間を超える場合は、自立支援計画を策定する。
② 居場所の提供体制
（ア）居場所の提供に当たっては、基本的な感染症拡大防止対策を行い、利用者
の安全及び衛生の確保並びにプライバシーの保護に配慮した設備を有し、夜
間を含め、速やかに利用者と連絡が取れる体制を確保する。ただし、利用者
が未成年者であって、夜間における一時的な保護が必要な場合は、支援員に
よる相談、見守りの体制を確保する。
（イ）若年被害女性等の中には、性暴力や虐待等の被害に加え、何らかの障害あ
るいは疾病を複合的に抱えているケースもあることから、特に個別の対応が
必要な若年被害女性等を受け入れる場合には、婦人保護事業や社会福祉事業
に従事した経験のある者等を個別対応職員として配置した上で、きめ細かな
支援を提供すること。
ウなお、居場所の提供に当たっては、公共施設等の既存の建物を活用すること
も可能とする。
③ 利用者負担
支援が長期化する場合、食事の提供及び居住に要する費用その他日常生活で通常
必要となるものであって利用者に負担させることが適当と認められる費用につい
ては、利用者に負担させることができるものとする。
利用者に負担させることができる金額は、自立支援計画において明確に定めるこ
ととし、あらかじめ利用者に知らせ、同意を得なければならない。また、当該金
額は、利用者の経済状況等に十分配慮した金額とする。なお、利用者に負担させ
た場合は、適正に会計処理を行うとともに、これに関する諸帳簿（書面に代えて、
当該書面に係る電磁的記録（電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては
認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処
理の用に供されるものをいう。）により行うことができる。）を整備しなければな
らない。
④ 留意事項
（ア）居場所を提供し支援を行う場合は、利用者本人の同意を得ることとし、利用
者が未成年者の場合は、親等親権者へ連絡した上で実施することを原則とする。
親等親権者への連絡に当たっては、必要に応じて児童相談所又は弁護士に依頼
するなど、親子関係等に十分配慮した上で実施する。ただし、親権者に連絡す
ることにより、利用者の生命及び身体等に危険が生じるおそれがある場合等は、
児童相談所や女性相談センター、警察等の関係機関と十分連携・協議した上で、
利用者の安全・安心の確保に最善の対応を決定し、実施すること。
（イ）居場所で支援した後、自立に向けて福祉サービスが必要な場合は、当該居場
所の所在地又は利用者の居住地の区市町村が、国要綱４（3）④イに基づき、利
用者に提供する福祉サービスの実施機関として必要な支援を行うこと。ただし、
福祉サービスの内容等により、多摩地域の町村においては西多摩福祉事務所が、
また、島部の町村においては管轄する支庁が、実施機関となる場合がある。
（ウ）既に福祉サービス（生活保護や障害者手帳等）を利用している者を居場所で
支援した場合は、居場所がある所在地の区市町村につないだ上で、国要綱４（3）
④ウに基づき、当該区市町村が既福祉サービス提供区市町村との調整等を行う
ことにより、福祉サービスの利用が途切れることのないよう、当該区市町村と
調整する。ただし、福祉サービスの内容等により、居場所がある町村のうち、
多摩地域の町村においては西多摩福祉事務所が、また、島部の町村においては
管轄する支庁が、既福祉サービス提供区市町村との調整等を行うよう、当該町
村と調整する場合がある。
（エ）居場所で長期に支援する場合の自立支援計画の策定に当たっては、事前に利
用者と話し合う等により、利用者の意見が十分反映されるよう留意すること。
また、女性相談センターは当該計画策定への助言や策定会議への出席等により、
都又は都が事業の一部を委託等する社会福祉法人等との間で利用者に関する情
報を共有するとともに、当該計画内容の的確性を確認すること。
（オ）性暴力被害や虐待等による心理的ケアや、感染症検査等が必要となる利用者
については、医療機関と十分な連携を図った上で支援すること。
（４）自立支援
累次にわたる相談支援を提供しつつ、一定期間、継続的な支援が必要と判断され
る利用者や、居場所での支援が長期化する利用者については、自立支援計画等に基
づき自立に向けた以下の支援を実施する。
なお、女性相談センターは、都又は都が事業の一部を委託等する社会福祉法人等
と協議し、利用者の状況を踏まえ、一時保護（一時保護委託を含む。）や婦人保護施
設への入所等が必要と判断される場合には、これらに積極的に対応すること。
① 利用者の新たな居住地に関して、利用者に対し情報提供や助言を行い、併せて関
係機関への同行支援及び連絡調整等を図る。
② 利用者が自立して生活するために、就業についての情報提供や助言を行い、ハロ
ーワークなど関係機関への同行支援及び連絡調整等を図る。
③ 生活資金を確保するための福祉サービス（生活保護等）についての情報提供や助
言を行い、福祉事務所などの関係機関への同行支援及び連絡調整等を図る。
④ 性暴力被害や虐待等による心理的ケアや感染症検査等が必要となる利用者につ
いては、医療機関と十分な連携を図った上で支援すること。
⑤ その他の利用者の自立に向けた必要な支援を行う。

５留意事項
本事業においては、国要綱５に基づき、都は、効果的な支援の実施のため、個人情報
の適切な管理に十分配慮した上で関係者間での情報の共有に努めるとともに、業務上知
り得た情報を漏らすことがないよう、関係者に対し、個人情報の取扱いについて守秘義
務を課すこととする。また、事業の一部を委託して実施する場合は、委託先との契約に
おいて守秘義務を定める。
なお、関係機関連携会議等において、関係機関の間で利用者に関する情報の共有を行
うことについて、支援開始時点等に利用者から同意を得ることとする。ただし、利用者
個人を特定できる情報の共有については、当該利用者の生命・身体等に危険が生じるお
それがある場合等であって、関係機関の間で情報を共有した上で連携して支援を行うこ
とが最善と判断される場合に限るものとする。
６経費の補助
他の国庫補助金や都補助金等の補助を受けて実施している既存事業を活用して４の
（１）の②、（３）及び（４）の事業を実施する場合は、本事業の補助対象とならない。
７その他
本事業の実施に際して必要な事項については、別途定める。
附則
この要綱は、令和３年４月１日から施行する。
附則（令和３年５月３１日付３福保子育第６１１号）
この要綱は、令和３年５月３１日から適用する。
附則（令和４年４月６日付４福保子育第５７号）
この要綱は、令和４年４月１日から適用する。