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サンガンピュールの物語(成長編)9話

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 そして迎えた土曜日。期末テストの勉強の心配もさることながら、サンガンピュールはKと共に市役所に向かった。市長の出迎えを受けた2人は、市長の公用車でつくばの郊外にある大学の研究センターに向かった。

 市役所を出てから30分。着いたのは筑波研究学園都市にある、有名な国立大学の最先端技術研究所。ここがサンガンピュールの新たな秘密兵器を開発している場所なのであると言うのだ。3人が車から降りると、市長の友人である鬼塚が出迎えた。彼は優秀なエンジニアだ。市長は鬼塚と軽く抱擁した後、サンガンピュール、Kと握手した。鬼塚は言った。
 「会えてうれしいです、サンガンピュールさん」
 「こちらこそ、お会いできてうれしいです」
 とサンガンピュールも挨拶した。
 Kも一言挨拶した後、3人は鬼塚に付き添われて施設の中に入っていった。その中には科学技術を応用した近未来的な道具がいっぱい並べてあった。

 「さすが科学万博が催された町。すばらしい施設ですね、鬼塚さん。私は生まれてからずっと土浦で生活してきましたけれども、こんなに立派なものがあったなんて…。地元に近いのに知りませんでしたよ」
 とKは言った。これに対して鬼塚は答えた。
 「そうでしょうね。もともと科学万博が終わってから、わが国の科学技術をさらに発展させる使命を持ってこの施設は誕生したわけですから」
 「面白いですが、土浦市長として私は悔しいですな」
 と市長は苦笑いした。
 「科学万博って何ですか?」
 と、サンガンピュールは聞いた。つくば科学万博が開催されたのは1985年のこと。彼女はまだ生まれてもいなかったし、スーパーヒロインになるだろうという想像もつかない時代であった。彼女の質問に対し、鬼塚が科学万博について説明している間、サンガンピュールは周りをキョロキョロしながら、奥に進んでいく。そして奥の部屋にたどり着いたとき、彼女とK、市長の3人は思わず驚いた。

 そこには「ジェットパック」なるものが置いてあった。リュックサックみたいな形をしていて、一番下にはブースターが設置されている。このブースターから火が出て、彼女が空を飛ぶ際の原動力となる。そして右手側には出力を調整するためのハンドルがあった。
 「何ですか、このリュックみたいなものは…」
 と、サンガンピュールは言った。鬼塚は、
 「何って、これはあなたが空を飛べるようにするための機械ですよ。リュック型なら使いやすいだろうと思いまして。20年近く前の科学万博で披露された、空を飛べる機械を改良したものですよ」
 と説明した。すると彼女は、
 「そうなの!?わーーーい、やったあーーっ!早速使ってみよう!」
 と冷静さを失い、ジェットパックに近づこうとするが、
 「待ってください!まずはちゃんと説明を聞いてください」
 とエンジニアの鬼塚に止められた。
 「彼の説明をきちんと聞いたほうが、身のためですよ」
 と市長からも忠告された。

 ( 第10話 に続く)


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