ある日どこかで

ある日どこかで

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2005.06.18
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カテゴリ: フランス映画

≪フランス宮廷の愛憎劇、宗教戦争を背景にマルゴの愛を濃厚な内容で描いた作品≫


デュマの小説の映画化です。



16世紀のフランス。シャルル9世は国王だが実権は母親のカトリーヌの手にあった。シャルル9世のヴァロワ家のカトリックとブルボン家のプロテスタントの内乱が起きている。
ヴァロワ家の娘マルゴは知性と美貌を兼ね備えた女性だが、気に入った男性はもとより兄弟達をも誘惑する色情狂のレッテルを貼られている。
母の画策でプロテスタントのブルボン家ナヴァ-ル王アンリとの結婚をする事になったマルゴ。しかしその結婚式は”聖バルテルミーの虐殺”と呼ばれる悲惨な結果を導いてしまう。



アンリとマルゴの結婚式で始まりますが、このセットの豪華絢爛さ、衣装の素晴らしさにまず目を奪われます。しかし、話しはのっけから両家の、カトリック対プロテスタントの争いを前面に打ち出し観ている側も少しも気が休まりません。

愛のない結婚でマルゴはアンリにベッドを共にしない事を言い渡します。そのくせ男性無しには生きられないマルゴ。そこで街に出て出会うのがラモール。彼との出会いはアンリを愛していなくてもアンリを救い出す事へマルゴを導いていきます。

虐殺された後のパリの街の様子は、死体、死体、死体。カトリック信者達はプロテスタントと見ると次から次へと首をかき切り、腹を指し、銃で撃つ。それはとてつもなく恐ろしい光景で、こんな虐殺のシーンの映画は滅多に観ないというほどです。


陰謀、愛憎渦巻くフランス宮廷で政治的に利用された悲劇の女王マルゴにイザベル・アジャーニが扮していますが、本当に美しいです。多分これは彼女が40歳前後の作品だと思いますが嘘のように若くて美しい。『アデルの恋の物語』の頃からファンですが何だかデビュー当時と変わらないと思えるほどです。
最初はただの淫乱女かと思われる描き方ですが、次第にアンリと同士といった形で絆を深め、情の深い献身的な女性の様子が伺えるようになります。服を血だらけにして人々をラモールを救う姿には圧倒されます。

脇も個性的な俳優で固めています。オートゥイユもアングラートもかなりユニークですが、ここではほんのつかの間ながらアンリとシャルルの心が通じ合った部分が唯一ホッと出来た個所かもしれません。

母親カトリ-ヌ・ド・メディシスはスゴイの一言です。フランス史詳しくはありませんが、彼女はフィレンツェのあのメディチ家からフランス王家へと嫁いだのですよね。よくルネサンス文化をフランスへ紹介した女性として名前が出てくるので名前だけは知っていましたが、こんなにおぞましい人物だったとは思いもよりませんでした。叉容貌もすごいものがありますが、ヴィルナ・リージがド迫力の演技です。


3時間近い作品ですが、中世のドロドロした人間模様、親子、兄弟でさえ落とし入れられる宮廷の内幕、暗殺、マルゴの愛など長さを感じず一気に観る事が出来ました。
一族同士の実権の奪い合いなどは当時は洋の東西を問わずあった出来事でしょうが、それに宗教問題も絡んで人間の醜さ、愚かさを感じる作品でもありました。


LA REINE MARGOT
1994年
フランス
監督:パトリス・シェロー
脚本:パトリス・シェロー、ダニエル・トンプソン
出演:イザベル・アジャーニ、ダニエル・オートゥイユ、ヴァンサン・ペレ-ズ、ジャン・ユーグ・アングラート、ヴィルナ・リージ



王妃マルゴ(上) 王妃マルゴ(下)





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Last updated  2011.06.19 17:16:40
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