ある日どこかで

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2005.07.02

『いつか晴れた日に』

(10)

テーマ：おすすめ映画(4072)

カテゴリ：イギリス映画

≪いつになったら晴れるのか…雨や嵐になろうとも　決して晴れない空はない≫

大好きな映画の一つです。いつ書こう、いつ書こうと思っていましたが、今日久しぶりに観たので書くことに。

新しい家に引っ越すまでの僅かな時間ジョン夫婦と共に思い出深い家で過ごす母親と娘達。そこへファニーの弟エドワードがやってくる。思いやりのあるエドワードに次第に心惹かれるエリノアだが、ファニーの言葉に怒り、落胆した母親は急いで新しい家へ引っ越す事に。

裕福な家庭の娘達が小さな家へ引っ越して（と言っても私から見れば充分に大きな家なのだが）つつましい生活を送らなければならなくなる。恋する相手も持参金がなければ自分を選んではくれない。結婚を巡り、愛情とお金の狭間で娘達は苦悩します。

自由で思いのままに行動するマリアンヌ。彼女の恋は見ていればすぐにわかる程率直で開けっ広げです。自分を好いてくれるブランドン大佐には目もくれず、一目ぼれしたウィロビーには傍から見て一目瞭然の熱の入れよう。ブランドン大佐には気の毒になってしまうほどです。ケイト・ウィンスレットにはやはりこの時代のコスチュームが似合いますね。

今では『ハリー・ポッター』のスネイプ先生役ですっかり子供達にも人気者のアラン・リックマンですが、この映画を見る前は『ダイ・ハード』でのテロリスト役で悪のイメージの強い人でした。でもここでのアランはステキですよー。年の離れたマリアンヌに恋するも、自分も若い頃同じように恋に苦しんだ経験から静かに彼女を見守る姿にうたれます。

一方エリノアは思慮深く自分の想いをなかなか口にも出来ないマリアンヌとは反対の性格の持ち主です。気持ちが通じ合えたかと思ったエドワードは逢いにきてくれず、おまけにルーシーと言う娘と婚約していた事がわかります。その事を誰にも言わずに一人悲しむ姿は切なくてたまりません。エリノアの恋した相手も叉優柔不断でおとなしいタイプの人です。何か言おうとするのになかなか言わないエドワードにいらいらするものの、優しさゆえだというのもわかります。

自分の感情を押し殺し、抑えに抑えてきたエリノアが真実を知った時に一気に感情を吐き出したかのように嗚咽するシーンには、何度観てももらい泣きしてしまいます。今日も叉泣いてしまいました。この役には少し年齢がいってる気のするエマ・トンプソンですが、この作品の彼女の演技には本当に感情移入する事が出来ます。彼女はこの作品でアカデミー賞の脚色賞をとっているのです。

エドワード役のヒュ－・グラント。優しくてどこかに芯の強さも持っている役が似合ってました。10年前の作品ですからやはり若さを感じてかわいらしい雰囲気もあります。でも、彼にあの襟の詰まったクラシックな服装はどうも似合いません。ヒュ－ってこんなに顔が大きかったのかしら？それに演技は他の俳優に比べていかにも現代風って感じが。

アメリカが制作したのでしょうか。でも、イギリス人俳優を使った事により重みのある作品に出来あがっています。
イギリスの美しい田園風景を堪能できますし、衣装やそれぞれの屋敷、その中の調度品なども見事です。それに当時のイギリスの上流社会のマナー(あいさつの仕方）など観ていて学ぶ所も多いです。やはりエレガント。シェークスピアなどのステキな詩や本の内容、ピアノで弾かれる曲も非常にセンスの良さをかんじられます。

決して派手な作品ではありませんが、エリノアとマリアンヌの対照的な恋愛と片想いの切なさをしみじみと味わえる、まさに「分別と感性のある」作品です。
でも邦題の『いつか晴れた日に』の方が原題より好きですね。
最後は本当に空が晴れ渡りました。良かった、良かった。

SENSE AND SENSIBILITY
1995年
イギリス／アメリカ
監督：アン・リー
脚色：エマ・トンプソン
原作：ジェ－ン・オースティン
出演：エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、アラン・リックマン、ヒュ－・グラント