ある日どこかで

ある日どこかで

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2005.10.22
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カテゴリ: アメリカ映画
≪天才を天才だと見抜くのは、本当に才能のある人なのでしょう≫



何度も観ているのですが、今回久しぶりに観ました。事実ではなく、モーツァルトは殺されたのではないか?といううわさを元に書かれた戯曲の映画化です。今回はディレクターズ・カット版を観たので、いろんな謎が解けたような気がします。




ウィーンのある寒い夜、一人の老人が自殺を図った。「許してくれ、モーツァルト。お前を殺したのは私だ」と言いながら、彼は精神病院へ。命を救われた彼はしばらくして病院で神父に告白を始めた。彼はかつてオーストリア皇帝に仕えた宮廷作曲家のアントニオ・サリエリだった。



わずか35歳でこの世を去った天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。彼の急逝はいろんな謎を呼び、殺害説まで出てこの映画もそこから生まれたのです。

この映画の主人公アマデウスとサリエリ。サリエリは神に祈り、神を信じ、音楽を通じて神の僕になろうと決め、何事にも神に感謝する日々を送ってきました。オーストリア皇帝に仕え自分の才能に自信を持っていたサリエリ。しかし天才モーツァルトに出会ってから、神への感謝も音楽の自信も打ち砕かれてしまい、彼の運命は大きく変わってしまうのです。

感激で涙が出そうなほど素晴らしい楽曲。そして書き直した跡のない美しい譜面。こういうものを見るたび、アマデウスの音楽を聴く度に、彼の素晴らしさを認めざるを得ないサリエリ。アマデウスに憧れを抱きつつも、一方で激しい嫉妬に憎悪を燃やし、彼の下品な行動を軽蔑し、やがては彼を死へと追いやる。

きっとサリエリも才能ある音楽家だったのでしょう。だからこそアマデウスの才能が理解できた。実際に手を下すことなしにアマデウスを死に追いやった、嫉妬で殺したくなるほどの天才だと言う事をこの映画では存分に表現されています。そのサリエリを演じるエイブラハムが憎らしい程上手い。彼はこの作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

そしてもう1人の主役を演じたトム・ハルス。彼も又あの高笑いの天才、破天荒な私生活を送るアマデウスを見事に演じていました。最初にあの映画を観た後、しばらくはモーツァルトの肖像画を見るたびにその肖像画からあの高笑いが聞こえてきそうな気がしていましたもの。

音楽的見せ場が大変多く、実際のオペラを観ているような気になりますし、素晴らしい歌や舞台を堪能できます。このオペラの舞台装置だけでもすごいですし、宮廷や当時の衣装の豪華さも見事です。
実際レクイエムの作曲途中で死んだとされるモーツァルトのその謎を、依頼人も含め実に想像豊かに上手く仕上げています。

「彼の頭の中に既に曲は完成していて、後は書くだけ」というセリフがあります。彼が天才だと言われる理由に下書きをしない、記憶力がすぐれていた事があげられるそうですが、昨今彼の音楽には癒しの効果があると言われています。癒す事の出来る音のゆらぎというものが、他の音楽家の曲にに比べて圧倒的に多いとか。もちろんこれを計算して作っていたわけも無く、それが自然に出来ていたということは、やはり彼は天才だったと今の世の中で改めて認められたようなものです。

来年はモーツァルト生誕250年。再び『アマデウス』を観てみるのもいいかもしれません。これは本当に素晴らしい作品。
ディレクターズ・カット版おすすめです。


AMADEUS
1984年
監督:ミロシュ・フォアマン
脚本:ピーター・シェーファー
衣装デザイン:マイケル・チャンドラー、テオドール・ピスティック
美術:カレル・サーニー
出演:F.マーリー・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、ジェフリー・ジョーンズ


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Last updated  2005.10.22 15:40:26
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