ある日どこかで

ある日どこかで

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2005.12.14
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
≪悲しくて、切なくて…悲運の双子の姉妹の数十年にわたる物語≫



第二次世界大戦中のヨーロッパの話といえばナチ抜きでは考えられないのですが、先日の 『大通りの店』 に続いてナチ、ユダヤ人などに関係する、戦争に犠牲になった双子の話です。




1926年ドイツ。幼い双子の姉妹アンナとロッテは、両親の死によりアンナはドイツの貧しい農家に、ロッテはオランダの裕福な家庭へ引き取られ引き裂かれてしまう。お互いに想い合うふたり。アンナの家はロッテの住所を知らず手紙を出す事も出来ない。一方ロッテはアンナに手紙を書き続けたが、養父母によって一通も出される事はなかった。そしてお互いに全く違う環境の中成長したふたりだが、ロッテはある日自分の出されなかった手紙の存在を知りドイツへアンナに会いに行く。感動的な再会を果たしたふたり。ロッテはアンナにオランダに来る事を誘い、一緒に住むことを約束したふたりだったが、戦争が彼女達を過酷な運命へと導く。




これはベストセラー小説の映画化作品ですが、親の死、別離、病気、暴力、貧困、戦争、ナチ、ユダヤ人迫害、フィアンセ・夫の死、ドイツ人、オランダ、憎しみ、絆、といろんな要素が組み込まれ、アンナとロッテの幼児期から老年までの三世代に渡って描かれています。



方やオランダで優しい養父母や義理の姉達に囲まれ何不自由なく暮らしている大学生の妹。方や引き取られてからすぐにこき使われ、学校に通わせてももらえず、成長してから養父の暴力に合うような家庭に育ち、家政婦として生きていく姉。

その後戦争が絡んでからは、固かった姉妹の絆を壊してしまう決定的出来事。両方の気持とも理解できるので、どんどん引き込まれていきました。


ロッテは自分がドイツ人であるという事、自分のミスでフィアンセを強制収容所へ送る羽目になった事、そして姉の言葉。おそらく彼女は彼女でいろんな事との葛藤がうずまき、そして決定的な事で姉との絆を断ち切ってしまったのでしょう。

アンナは何にも知りませんでした。ユダヤ人の強制収容所での事、オランダの事。自分も戦争で夫を失い、ずうっと1人で生きてきたのです。
確かにナチスドイツの行為は最低最悪だし、それを許したドイツ国民にももちろん責任はある。でもあの状況で何が分かって、何が言えたでしょう。ドイツ人も又戦争の被害者なのです。

もちろんとても辛い目にあったロッテに同情します。彼女の気持も分かります。しかし、それにも増してアンナに同情しないではいられません。アンナは1人で生きてきました。苦労して来たであろう事は外見からわかりました。ロッテはあの先きっと多くの後悔を持って生きて行く事になるのでしょう。ふたりが別れずにずっとドイツで育ったなら、ロッテも加害者になり得たのです。

あんなに恋しかった姉を憎むに至った戦争。残酷としか言いようがありません。勝利に関係なく、そこに生きた人たちには多くの悲しみがあるのです。

どの世代の双子の役とも熱演でしたが、アンナに感情移入して観てしまったせいか、特に娘時代のアンナ役の女優さんが印象に残りました。そして老年のアンナも彼女の生きてきた重さが伝わって素晴らしかったです。

観て二日経つのですが、未だに切なさが残ります。


DE TWEELING
2002年
オランダ/ルクセンブルグ
監督:ベン・ソムボハールト
原作:テッサ・デ・ロー
脚本:マリーク・ファン・デル・ボル
出演:ナディヤ・ウール、テクラ・ルーテン、フドゥルン・オクラス、エレン・フォーヘル、シーナ・リッヒャルト、ユリア・コープマンス


アンナとロッテ





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Last updated  2005.12.14 17:15:02
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