ある日どこかで

ある日どこかで

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2006.07.23
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カテゴリ: 中国映画

≪父親の最後の、息子の初めての険しい山の郵便配達≫







80年代、中国の山間地帯を長年郵便配達してきた一人の男がいた。しかし、足を痛め支局長から引退を促され、その仕事を引き継ぐ事になったのは男の息子。今日は息子の初めての、そして父親の最後の郵便配達の日だ。配達には"次男坊"という名の犬も必ず一緒に行く。




父親は黙々と仕事をこなし、息子に道順や集配の仕方などを教えていきます。幼い頃から滅多に家に帰らない父親にわだかまりを感じていた息子は、父親の事をずうっと「あなた」と呼んできました。この2泊3日の旅で父親の仕事ぶりを目の当たりにし、息子と父親との距離は段々近づいてきます。知っていたつもりでいた父親の仕事が、実は思っていた以上に責任があり父親はそれに誇りを持っていて、山に住んでいる人々の宝物の郵便だということを改めて感じる事が出来たのでした。そしてそこで思わず口をついて出た「お父さん」という言葉。それを聞いた時の父親の嬉しそうな顔がいいです。

いつも一緒に配達に行く犬に"次男坊"と名付けたのは、なかなか一緒にいる事が出来ない息子への愛情のようにも感じます。

急な流れで冷たい川を息子がおぶって渡ってくれた時に、息子が小さかった頃肩車した事を思い出す父親。背負っていた人が背負われるようになった時、時の流れと自分の仕事の引退、寂しい気持ちに熱いものがこみ上げてきました。


今年か昨年だったかはっきりしませんが、テレビでこの映画を観た人が自分も同じように山の郵便配達をしたいと言って、それを叶える素人参加番組を観ました。この映画の事は知っていましたが、それが現在でも行われている事に驚きました。「まさか、途中まで車で行けるでしょ」と思ったのですが、ああ、やっぱり中国だ。そこはとんでもなく、この映画よりももっと厳しいような山道を行かなければならない所でした。現在でもそんな場所があるのです。でもそうですよね、『世界ウルルン滞在記』なんかを観てればそんな所たっくさん出てきますもの。現在でも「山の郵便配達」は実際に何泊かしながら行われているのです。そして、その番組でもこの映画と同じような風景がありました。村人は郵便を心待ちにし、文盲の人の為に配達人は手紙を読み、返事を書いてあげる。


ドキュメンタリータッチですが、父と息子の関係、家族や仕事への誇りや責任と言うものを描いた佳作でした。犬の"次男坊"が又良い味出してました。
一見何の変哲もないようなラストシーンですが、振り向かずに仕事へ向かう息子とそれを見送る父親の姿が妙に感動的です。


那山 那人 那狗/POSTMEN IN THE MOUNTAINS
1999年
中国
監督:フォ・ジェンチィ
脚本:ス・ウ
原作:ボン・ヂェンミン
出演:トン・ルーチュン、リィウ・イエ、ジャオ・シィウリ



山の郵便配達 ◆20%OFF!





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Last updated  2011.06.21 21:25:38
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伊場拓也 @ Re:Somewhere in time!(03/24) 同じ思いかも?考え所ですかね。
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