ある日どこかで

ある日どこかで

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2007.07.06
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カテゴリ: アメリカ映画
≪去った国への望郷はつのるばかり≫




キューバの熱帯雨林の奥地の村に生まれたアナレスは、極貧の生活を送っていました。少年ながらキューバ革命に身を投じ、20歳で作家としてデビュー。しかし、カストロ独裁政権下では芸術家や同性愛者は反革命分子とみなされ、アナレスはこの二つの要素に当てはまり、謂れのない罪にとわれ、亡命を試みますが失敗。幾度となく投獄され、過酷な人生をを送った人です。その後やっとアメリカへの亡命を果たすものの、HIVに感染し亡くなってしまうのです。


芸術家で同性愛者、そしてアメリカへ亡命、となると 『苺とチョコレート』 を思い出します。しかし、この実話はもっと辛く、そして真実を語っているという点で、当時のキューバの実情をより詳しく知る事が出来るのです。
今では同性愛者に対してある程度理解は深まり、カミングアウトもしやすくなりました。しかし、それもつい最近のことですものね。当時は同性愛者と言ってしまえば大変な事に、ましてキューバでは想像以上のものだったのでしょう。しかし、歩き方や行動を見れば、すぐにそれと気付いてしまう。そのあたりを主演のハビエル・バルデムが実に上手く演じていました。


自分が貧しかった子供の頃に身を投じたキューバ革命で英雄になったカストロ。しかし、そのカストロから弾圧され、故国を去らなければならなくなったアレナス。自由を求めて渡ったはずのアメリカ、ニューヨークでの生活は、冷たい人々と不自由な生活。

ドキュメンタリータッチでわりと淡々と進んで行きますが、その中で印象的なのが冒頭の生まれ故郷の映像。後の辛い生活を考えると、ここでの生活が貧しかったけれど、唯一大家族で過ごした満ち足りた時だったのかもしれません。

ショーン・ペンが最初の方に本当にチョイ役で出ています。
そしてジョニー・デップが、屈強な軍人と女装の好きな運び屋という衝撃的な役の二役を演じているのも必見。特に運び屋の女装はちょっと見入ってしまうほど美しかったです。まあ、この映画にあまり女性が登場しないということあるのかもしれませんが。

キューバだけでなく、独裁政権下での話は頭が痛くなるような辛くなることばかり。素晴らしい才能を持った人たちがどれだけ世に出ることなく亡くなってしまったことでしょう。亡命できてもアナレスのように不幸な人もいるわけで、どんなに辛かったキューバ時代も、死ぬ間際に思うのはその故郷のことばかり。そういう風景を映画のラストの方で見せられて、一層悲しくなりました。
現在に置き換えれば、北朝鮮を脱獄せざるを得なかった人たちも、母国への思いは…。


BEFORE NIGHT FALLS
2000年
監督:ジュリアン・シュナーベル
脚本:カニンガム・オキーフ、ラサロ・ゴメス・カリレス、ジュリアン・シュベール
原作:レイナルド・アレナス
出演:ハビエル・バルデム、オリヴィエ・マルティネス、アンドレア・ディ・ステファノ、ジョニー・デップ、ショーン・ペン


DVD





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Last updated  2007.07.06 16:22:54
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