☆TROPICALISM☆

☆TROPICALISM☆

急にきたお別れの時



茶色のオリモノが出る。

ちょっと調子が良かったので、掃除機をかけたからかと反省し、
すぐに横になる。
夕飯は簡単なものを作って、軽く食べ、ひたすら横になる。


とりあえず、病院に電話をしてみる。
横になって様子を見てくださいと言われる。

ものすごく不安になったけど、
横になっていたら止まったので、あんまり深くは考えないようにした。




9月5日(9w2d)

茶色のオリモノの量が増えた。

朝から不安で不安で仕方がなくなり、
担当の先生は診察をしていない日だったけど、病院に電話をして
診察を受けに行く。

担当の先生は休みだと思ったら、出勤していたらしく、
すぐに診てもらえた。

先生の顔を見てホッとしたのか、泣きそうになった私。

先生は、アスピリンを飲んでいるから、どこかの細い血管が切れて
出血したのかな~?と言うし、赤ちゃんは心臓ピコピコ動かしていて、
成長してくれていたので、ちょっとホッとした。

お腹の張り止めと止血剤を処方してもらい、
これを命綱と思い、
あとは、ひたすら布団で寝て過ごした。

ダンナちんも協力してくれて、お風呂では、頭を洗ってくれた。




9月6日(9w3d)

茶色の出血が止まらない。
量が増えてきた。
時々赤い血も出る。

朝から病院に電話する。
もう泣きそう。

けど、昨日診てもらったばかりだし、様子を見てと言われる。
毎回様子を見てしか言えないのかっ!と八つ当たり。
仕方がないので、横になって過ごした。

午後から、出血がまた増えた。
台風で雨はひどいし、風も強い。
その天気が、不安をよりいっそう強くした。

クリニックは午後から休診。
同じ系列の産科の病院に電話をして、なんとか助けを求める。

もう、不安で仕方がなかった。
病院に行ったら、なんとか助けてもらえると思っていた。

産科の先生が、流産が始まっているので、かなり厳しい状態です、
と説明される。
入院してもいいよ、と言ってくれる。
けど、入院しても、何もする手立てはない、何かあったときの対応が早いだけだよ、
高い入院費かけても助けられるかは分からないよ
と言われた。

入院して、出産したばかりの人と一緒にいる気にはならず、
新生児室を見つめて泣きそうになり、
ダンナと一緒にいたかったので入院しないで家で寝るので帰ります、
と言った。

止血剤が追加で処方されて、一生懸命飲んだ。


赤ちゃんは心臓ピコピコ動かしていて、20mmを超える大きさになってくれていました。
ただ、胎のうはギリギリの大きさ。


家に帰ってからは、ただ祈り続け、
台風のおかげでダンナの帰りも早く、
夕飯は作ってもらい、泣きながら食べた。
もらったエコーの写真を見ながら、涙が止まらない。

夜はお腹に一生懸命話しかけ、出血が止まることだけ考えて過ごした。
ダンナちんもお腹をなでてくれて、悪いことは考えないでいようと励ましてくれた。
一緒にいてくれたことが、とてもありがたかった。

夜は、2時間ごとくらいでお腹が痛くなり、出血も一向に減らずの状況のまま朝を迎えた。




9月7日(9w4d)

朝1番でクリニックに電話をして経過を伝えて診察をお願いした。
ダンナちんにも休みを取ってもらい、ついてきてもらった。

朝の時点でのエコーでは、心臓はピコピコ動いていて、
だけど、子宮口から内容物が出はじめている状況だった。

出血は鮮血で、かなりの量。
内診台が真っ赤にそまってしまい、看護師さんが一生懸命拭いていた。


内診室を出て、廊下で次の順番を待っている間に、
お腹と腰がかなり痛くなった。
めまいもして、血の気が引いているのが自分でも分かる。

横にならないとダメかも・・・と思ったら、診察室に呼ばれた。
診察室に入った瞬間、貧血で倒れこみ、ダンナが支えてくれた。

上の階の回復室で横にならせてもらい、
昼ごろまで過ごすことになった。
その間に、先生は産科の病院に連絡をとり、入院の手配をしてくれた。

途中、出血の具合を確認したいから、ナプキンの重さを測らせて欲しいと
看護師さんが来た。
トイレに行き、ナプキンを交換しようとしたら、
ナプキンは持つところがないくらいに血だらけで、ずっしり吸収していた。

出血は一瞬も止まらず、ナプキンを交換する瞬間がない。
水道の蛇口から水が出てるくらいに出続けていた。


もう、覚悟しないとダメだな・・・と思った。
頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。


昼前に先生と看護師さんが部屋に来てくれて、産科の病院に移動するように言われた。
先生の顔を見て、助けて・・・と泣いた。
看護師さんに励ましてもらい、看護師さんも一緒に泣いてくれた。
ありがたかった。
先生の優しい顔も忘れられない。

ダンナちんに車をまわしてもらい、産科の病院に行く。


産科の病院は、妊婦さんだらけで、
みんな大きなお腹をかかえて、ソファーにどてっと腰を下ろして、
みんなが幸せそうに見えた。

診察室の声、赤ちゃんの心臓を聞く機械での心臓の音、
いっぱい聞こえてきた。
辛かったけど、それよりもお腹が痛いのと、貧血でフラフラするのとで
座っているのも精一杯だった。

先生に診てもらえたのは1時間半くらい待ったあと。


エコーをしたら、全部出てきてしまっていて、膣にあったみたい。
赤ちゃんは、パンツのナプキンの上にちょこんと乗っかっていた。

「お母さん!」って声が聞こえた気がした。

ゴメンね、という気持ちと
会えてうれしかったよ、という気持ちがぐちゃぐちゃになり、
気がついたら泣き崩れていた。

診察室に戻っても、涙は止まらず、人前でこんなに泣いたのは
うまれて初めてだった。


家に帰ってから、朝まであった辛いツワリがまったくなくなっていることに気がついた。

お誕生日会とお別れ会を一緒にしようとダンナが言い、イチゴの乗った丸いケーキを買ってきてくれた。
「○○ちゃんお誕生日おめでとう」と書いた板チョコも乗っていた。

三人分準備して、ダンナちんと食べた。


この日の出来事は、夢じゃないのかな、という気持ちが強くて、
寝て起きて、夢じゃなかった、と理解するのが怖くて
一睡も出来なかった。
その気持ちはしばらく続いた。

だけど、出血が落ち着いた頃にシャワーを浴びたとき、
気持ちふっくらめだったお腹がぺちゃんこになり、
体重も減ったことで、現実に起こった事だと分かった。




肉体はお別れしてしまったけど、心はいつもそばにいてくれる、
そう思って受け止めて生きていこうと思っている。



そして、ダンナちんとの絆が深まったこと、
私の周りのみんながどれだけ私のことを思ってくれているのか、
みんなの優しさ、どれだけいろんな人に支えられているのか、気がついた。
みんな、みんな、ありがとう。



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