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にゃんでんかんでん
著者名 あ行
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モルヒネ-長編恋愛小説-(安達千夏)
勤務先のひとつであるホスピスで、7年ぶりにピアニストである元恋人に出会った真紀。彼女は婚約者に告げず、死の迫る彼のもとへ…。すばる文学賞作家が描く、感動の恋愛長編。
哀しい過去を持ち、常に死を望み、その望みをかなえるために医師になった真紀。ピアノを病によって奪われ、死を望み、真紀の前に舞い戻った克秀。真紀には長瀬という婚約者がありながら克秀を放っておくことができません。静かで物悲しい話でした。(2007/7/5)
不信のとき 上・下(有吉佐和子)
大手商社の宣伝部に勤める浅井義雄は結婚して15年。だが、妻・道子との間に子供はなかった。過去二度も浅井に浮気された経験を持つ道子は夫の愛情をつなぎとめようと必死だった。そんな折、取引業者の小柳と銀座で飲み歩くうち、浅井はマチ子というホステスに誘われるまま一夜を共にした。それが自滅へ至る第一歩だとも知らずに―。男の浮気に対する女の非情な復讐を描いた問題作。
時代背景や、人物の年齢・設定はTVドラマとは違い、女性2人のイメージも全く違っていました。でも面白かった。特にラスト。脇役の小柳(原作では老人)が痛いしっぺ返しを食うところは笑えました。なんでこれをドラマに取り入れなかったんだろう?ともったいなく思うほど。男の人って・・・どうしようもないですね~。(2006/11/27)
←文庫
交渉人(五十嵐貴久)
救急病院の患者を人質に立てこもるコンビニ強盗の三人組。院内の人質は五十人。対する警視庁は500人体制で周囲を固めた。そして犯人グループとの駆け引きは特殊捜査班のエース、アメリカFBI仕込みの凄腕交渉人、石田警視正。石田は思い通りに犯人を誘導し、懐柔してゆく。解決間近と思われた事件だが、現金受け渡しの時から何かが狂う。どこで間違ったのか。彼らは何者なのか…。最新型の犯罪交渉サスペンス。
『交渉人』というタイトルから、もっと犯人との駆け引きが描かれているのかと期待していたのですが、やけに簡単に、思い通りに事が進んでいきすぎ。その事をはじめ、違和感が多々。その違和感の正体が最後にわかって、まぁ納得。犯人の一人がどのように病院から消えたか。なんていうわかりやすいトリックもあったりしましたが、真犯人は予測できませんでした。わかってしまえば動機もありがち。でも・・・読みやすくて面白かったので1日で読みきってしまいました。(2007/5/17)
空飛ぶタイヤ(池井戸潤)
トレーラーの走行中に外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。タイヤが飛んだ原因は「整備不良」なのか、それとも…。自動車会社、銀行、警察、週刊誌記者、被害者の家族…事故に関わった人それぞれの思惑と苦悩。そして“容疑者”と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともにたったひとつの事故の真相に迫る、果てなき試練と格闘の数か月。
三○自動車のトラック脱輪死亡事件を題材にした小説。リコール隠しを画策する大企業に小さな運送会社の社長が立ち向かっていきます。あくまでも小説内のこととは思いながら、その大自動車会社、そしてそのグループ銀行の腐った企業体質には怒り、被害者や家族の様子、気持ちを想うと思わず涙し、真相が暴かれていく様子にドキドキしながら、あっという間に読み終わりました。最後はめでたし、めでたしで、読後感はとても爽やか。おおすすめです。(2007/4/28)
終末のフール(伊坂幸太郎)
2***年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されてから5年が経った。恐怖心が巻き起こす、殺人、放火、強盗…。社会に秩序がなくなり、世界中が大混乱に陥る中での、仙台市北部の団地に住む人々の葛藤を描く。自分の言動が原因で息子が自殺したと思い込む父親(「終末のフール」)、長らく子宝に恵まれなかった夫婦に子供ができ、3年の命と知りながら産むべきか悩む夫(「太陽のシール」)、妹を死に追いやった男を殺しに行く兄弟(「籠城のビール」)、世紀末となっても黙々と練習を続けるボクサー(「鋼鉄のウール」)、落ちてくる小惑星を望遠鏡で間近に見られると興奮する天体オタク(「天体のヨール」)、来るべき大洪水に備えて櫓を作る老大工(「深海のポール」)など 世界が終わりを告げる前の、家族と人生のかたちを描いた8つの人間群像。短編小説集。
伊坂氏らしい作品。「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」など、タイトルの付け方も韻を踏んでいたり、文中に他の作品の登場人物が脇役で登場する。そのリンクもまた楽しい。テンポもいいし、すごく心に残るとか、とってものめりこむという感じではありませんが、『何だかいい話』。なのです。(2006/6/11)
フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)
売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が、時空を超えて奇蹟を起こす…。伊坂作品を彩る名脇役たちが巻き込まれる、新たな事件の数々。小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。動物園のエンジン/サクリファイス/フィッシュストーリー/ポテチの4作。
表題作『フィッシュストーリー』は伊坂氏らしく過去・現在・未来が交差する作品。実に巧く、そして面白い!しかし他の作品はいまいち、解りにくかったり、中途半端な感じ。登場人物が伊坂氏の前作品とリンクされているようなのですが、辿っていくのも大変。それがわからないと楽しさも半減。これはちょっと残念です。(登場人物の相関図は
こちら
)(2007/3/27)
陽気なギャングの日常と襲撃(伊坂幸太郎)
第1弾『
陽気なギャングが地球を回す
』の続編。人間嘘発見器 成瀬(なるせ)が遭遇した刃物男騒動、演説の達人 響野(きょうの)は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主 雪子(ゆきこ)は謎の招待券(チケット)の真意を追う。そして天才スリの 久遠(くおん)は殴打される中年男に――史上最強の天才強盗(ギャング)4人組が巻き込まれたバラバラな事件(トラブル)。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な 連鎖を始め…。絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス!
ストーリーも会話もテンポが良く、登場人物もそれぞれの個性があって良い。それに伊坂氏の作品の最大の魅力は巧妙に張り巡らされた伏線。今回も見事でした。&楽しく読めました。(2006/10/9)
I loveモーツァルト(石田衣良)
ポップスを聴くように、カジュアルに楽しもう。心のキャンパスを広げる音、快活で明解なテンポ感、聴き手の心をグリップする力…。モーツァルトという音楽史上、最大の謎について、石田衣良が語り下ろした1冊。
石田氏の作品にはよくクラシック音楽が登場します。何てことはない、彼は単純にクラシックが好きなようです。クラシック音楽と文章を書く仕事を結びつけて紹介しているあたり、さすがは作家さんです。モーツアルトの楽しみ方、そして生活の中への取り入れ方を教えてくれています。石田氏が厳選したモーツアルトCDつきなので普段縁の無いクラシック音楽ですが、聴きながらこの文章を書いています。たまにはクラシックもいいもんだ。なんて思いながら・・・。
「熱狂の日」音楽祭
というのがあるらしく、行ってみたいと思いました。(2006/4/17)
恋は、あなたのすべてじゃない(石田衣良)
生きることを簡単にしないほうがいい。恋愛は薄く、そのぶん自分の人生を厚くするほうが、ずっと豊かな恋愛に出会えるはず…。恋愛小説の名手が大人の女性たちに贈る、軽やかに、しなやかに生きるヒント。
月刊「SAY」で連載されていた恋愛相談(?)を1冊にまとめたもの。う~む。それなりに甘く切ない恋も、苦く辛い恋も経て幸せな結婚をした私には(←ホント?)はっきり言って必要ありませんでした。いくら恋愛小説の名手と言っても石田氏の恋愛経験はいかがなものだったのでしょう?とも思ってしまいました。何だか一般論で終わってしまっていて、もっと踏み込んだ話が聞きたかったな~と思いました。(2007/1/21)
下北サンデーズ(石田衣良)
夢を追い続ける自信はありますか。ずっとビンボーでいる覚悟はありますか…。夢+貧乏=美しき青春。雑誌「パピルス」連載中から話題沸騰。演劇の街・下北沢を舞台に贈る、弱小劇団奮闘グラフィティ。
ドラマ化されているようなので期待して読んだのですが展開が速すぎ。最後はすがすがしく読めましたが、1冊の本にまとめてしまわず、もっと話も膨らませてじっくり読めるものにすれば良いのに。と思ってしまいました。ドラマで見るぶんには面白いのかなぁ?(2006/8/18)
Gボーイズ冬戦争-池袋ウエストゲートパーク 7-(石田衣良)
大人気IWGPシリーズ第7弾。ストリートギャングの王、タカシの座を狙うナンバー2のヒロトが内紛を起こし、Gボーイズを潰し池袋に新しい勢力地図を持ち込もうとする。家業の果物屋の店番をやりつつも、池袋のあらゆる事件の情報をつかむマコトが、池袋の内戦の拡大を防ぐために立ち上がる。マコトはタカシを救えるのか!? 表題作他、振り込め詐欺グループVSマコト連合軍。絵画商法の“ヴィーナス”に恋をしたオタク青年、少年放火犯VS連続放火魔、の3篇を収録。刻々と変化するストリートで、生き残りをかけた若者たちの「いま」を描く新世代青春ミステリー。
このシリーズは安定した面白さがあります。現代の社会問題なんかもさらりと触れているのが良いです。ただちょっとマンネリ感が出てきているので、Gボーイズの戦争はいい刺激になるかも!と思いました。(結局はたいしたことなく済んでしまいましたが)いつもクールなキングとマコトの、友情(?)も感じられ、いい話でした。(2007/6/19)
眠れぬ真珠(石田衣良)
恋は、若さじゃない。愛は、経験じゃない。45歳の女性版画家と17歳年下のウェイターが過ごす、美しくつややかな日々。それは、したたかに生きざるを得ない現代の女性を、少女のように無防備にする恋。サガンの「ジゴロ」をも凌ぐ切なさ、待望の恋愛小説。
最近の石田氏の作品はセックスの描写が多く、それも生々しすぎるのでちょっと・・・×この作品も、そうでした。そして更年期障害、不倫、ストーカー、年下の男性との恋、そして別れなど、盛り込みすぎの感が。ハッピーエンドでうまくまとめられていたので読後感は良かったのですが、やはり いまいち な作品でした。私が石田氏に期待しすぎているのでしょうか?(2006/6/9)
灰色のピーターパン -池袋ウエストゲートパーク 6-(石田衣良)
盗撮映像売買で恐喝されるハメになった小学生、足に障害を負った兄の敵を討つために復讐を誓うブティック販売員、幼児誘拐事件に巻き込まれた園児救出劇、外国人と風俗店を追い出そうという“池袋フェニックス計画”に巻き込まれたトラブルシューター・マコト。トラブル続きの“ネバーランド”を描くシリーズ第6弾。
おなじみの池袋ウエストゲートパークシリーズ。どんなトラブルでも最後にはマコトが無事解決してくれるので安心して読めます。まるで水戸黄門みたい!?今回は『野獣とリユニオン』にほろっとさせられたりしながら 楽しく読めました。(2006/8/15)
40(フォーティ)-翼ふたたび-(石田衣良)
投げやりに始めたプロデュース業で、様々な同世代の依頼人に出会い変身する吉松喜一、40歳。生きることの困難と、その先の希望を見つめた感動作。人気作家が初めて描く同世代のドラマ。
いきなりAV女優が登場。露骨な性描写にはひきました。(石田氏の性表現は気持ちが悪いと私は思います。本人の書いている顔が浮かんでしまうからでしょうか?)ですが、40歳のひきこもりの話、子供を送り迎えする地球防衛軍の話は面白かった。こういうくせのある人間の話は上手いと思います。最後はまあ、上手くまとめましたという感じ。少し感動話もいれたりしていい話として終わらせたありきたりな感じでしたが、まあまあ、でしょうか。私が40歳を過ぎた男性なら感じ方が違うのかもしれませんがこの『フォーティ』より
『4teen』(フォーティーン)
の方が私は好きです。(2006/4/9)
ぼくとひかりと園庭で(石田衣良)
幼稚園の仲良し3人組・あさひ、みずき、そして女の子のひかり。楽しいお泊り教室の夜、あさひはひかりに起こされて、不思議な体験をする…。勇気と愛の意味を美しい銅版画で綴る、石田衣良が贈る初めてのジュヴナイル・ファンタジー。
『いつか恋するこどもたちに』と巻頭に作者の言葉があるので、子供に向けた優しいお話であるかと思ったのに、『恋の試練を与えます。しくじったら友達が殺人鬼になります。』という話。幻滅でした。(2006/5/11)
美丘(石田衣良)
大学2年の太一の前に現れた、強烈なイメージと奔放な行動力を併せ持った女性・美丘。太一は美丘の嵐のような魅力に引かれ、同棲を始めるのだが…。待ち受ける残酷な運命を知りつつも互いを愛し、命を燃焼し尽くした恋人たちを描く、号泣の恋愛小説。
これもまた恋人が病気に侵されて死んでいく話。で、今回はヤコブ病。最近この手の話が多く、慣れてしまったのか泣けませんでした。しかし、一瞬一瞬をメーターを振り切るように激しく全力で、そして輝いて生きた 美丘という女性のことは私の記憶にも残ると思います。悲しいけれど哀しいばかりではない物語でした。(2006/12/13)
ぼくの手はきみのために(市川拓司)
「いま、会いにゆきます」の著者、1年半ぶりの新作は、優しさと強さに心が満たされていく“深愛”の物語。表題作ほか『透明な軌道』『黄昏の谷』の全3篇を通して、切なく、温かい魂の結び付きが描かれる。新たな代表作がここに。
「ぼくの手はきみのために」―幼馴染のひろと聡美。小さい頃は聡美が弱虫のひろを守ってくれた。が、11歳の夏、聡美は突如、倒れてしまう。さまざまな治療を試みるが、結局発作を止められたのは、背中をさすってくれるひろの手だけだった…。
「透明な軌道」―集団の中で暮らすことが難しい心の不自由さを持つ康生と運命的な恋に落ちた真帆。年齢差や、康生に息子がいることなどは障害にならず、2人はおだやかなペースで絆を深めていく。が、初めて結ばれた翌日、2人に思いがけない出来事が…。
「黄昏の谷」―妹の子供である貴幸を育ててきた寛一は、ある日、「あなたの子供だ」と連れて来られた初恵をも引き取って育てはじめた。血の繋がらない3人は、貧乏ながらも、太い揺るぎない絆で結ばれていく。彼らが最後に行きつく、幸せの場所は…。
正直に言って、つまらなかった。また、『病気の話?』と思ってしまった。愛する人が病気。そしてそれを支える・・・いつものパターンだな、と・・・。もっと違った作品が読みたいです。(2007/5/20)
14才の母(一ノ瀬未希)
【第1章】日本テレビ人気ドラマ『14才の母』のノベライズ。主人公は14才の女子中学生・一ノ瀬未希。ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通に育ち、ごく普通に恋をした。ただ同級生たちより、ほんの少し早く一線を越えて大人になった。わずか14才で母親になることを決めた少女の、激しく、痛く、美しい成長の物語。新しい命を生み出すことによって、彼女の中にも新しい自分が「誕生」する。
【第2章~第4章】実際に中学生で妊娠した少女たちに取材し、その実像に迫った衝撃のノンフィクション。
●15才で出産をして友達にも隠しながら高校に入学。卒業し10年後にその相手と結婚をした少女のケース。
●14才で妊娠し出産するも、結局育てられず両親の子供として育てている少女のケース。
●まさか自分が妊娠するとは思わず、迷った挙げ句に堕ろしてしまった少女のケース。
第1章は14才の未希よりも母親に年代も近いため、母親の娘を想う気持ちに涙しながら見たドラマのノベライズ。ドラマを見ていないと展開が速いし、『触り』だけなので物足りなかったです。2章以降は実際の体験談。現実はドラマの中のような奇麗事だけではない、という事が良くわかります。若い子たちには性について、よ~く考えてほしいと思います。(2007/1/24)
相棒に手を出すな(逢坂剛)
腕力、資力ともに平均以下だが、詐欺師よりも口達者。追及されてもどこ吹く風。機転だけは天下一品の世間師コンビ。浮気調査で小金をせしめ、老舗旦那を煙に巻き、ヤクザ相手に一芝居。一枚上手の四面堂遙に、骨董商の凄腕婆さんが加わって、あの手この手のコンゲーム。殺しナシ。お色気ナシ。粋な女と会話が冴える、名手の技と軽み極まる痛快短編集。心変わり/昔なじみ/ツルの一声/老舗のねうち/ツルの恩返し/別れ話 の全6編。
オチが最後まで読めず、すっかり騙されます。そこがいい!!とても面白かったです。(2007/6/22)
禿鷹狩り-禿鷹4-(逢坂剛)
彼に比べればヤクザすら好人物に感じられる。そんな悪徳刑事・禿富鷹秋、通称ハゲタカ。巧妙に仕掛けられた罠がハゲタカの命を執拗に狙う。史上最悪の刑事をつけ狙う、最強の刺客とは…。息を呑む展開のシリーズ完結篇。
史上最悪の刑事 対 史上最悪の女刑事。こんな刑事、ありえないでしょう~と思いながら二人の駆け引きにも ハラハラ、ドキドキ。面白いです。本当に【完結】してしまい、寂しいです。(2006/10/25)
四つの嘘(大石静)
ニューヨークで起きたひとりの女と日本人外交官の事故死。3人の女の胸に残酷な「あの頃」が蘇り、それぞれの「嘘」が暴かれていく…。女だからこその醜さ、猾さ、切なさ、強さを、生々しく過激に描いた長編小説。
4人の女性の物語。一人の男を奪い合ったり共有したり(?)、結構 生々しい話でした。そしてその娘達もまた・・・というところがスゴイ。男の人にはちょっと読ませたくない小説です。(2006/3/2)
愛と死をみつめて-ある純愛の記録-(大島みち子・河野実)
昭和史に残る140万部のベストセラー。時代を超えても変わらない元祖・純愛本がついにリバイバル刊行。不知の病におかされた女子学生が、死ぬ間際まで恋人との間にかわした約400通の愛の記録。
若きいのちの日記
を読んで、みこ(大島みち子さん)の心の中の葛藤を知っていたからこそ、まこ(河野実さん)への手紙はとても気丈に弱音を見せずに書かれている事に驚きました。それにひきかえ、まこの何と弱々しいこと!残酷とも思える言葉をぶつけてしまっています。こちらがはらはらするほど。しかし、本音を綴っていったからこそ、みこの力になり得たのかも?とも思いました。うわべだけの優しい言葉、励ましの言葉ばかりでは心に届かないものなのかもしれません。(2006/5/1)
若きいのちの日記-愛と死の記録-(大島みち子)
もっと生きたい、愛する人のために…。一六歳で発病、一八歳で運命の出会い。顔面の軟骨肉腫という不治の病と闘ったミコの日記。日本中が感動した空前の大ベストセラー「愛と死をみつめて」の姉妹篇。ミコが、恋人には言えなかった胸の内を切々と綴る。死の間際まで書き記した心の軌跡。
「愛と死をみつめて」のドラマ、そしてTV放送された映画の影響で読みました。周囲には見せることのなかった胸のうちが綴られていて、その日その時に変わる心のありようがよくわかりました。一番印象に残ったのが、『私が今一番ほしいもの それは密室 その中で声が続く限り泣いてみたい。』という言葉でした。明るく気丈にふるまっているミコも本当は泣きたくても我慢していたんだな、と思うと 悲しくて切ないです。(2006/4/12)
明日(あした)の記憶(荻原浩)
最初は物忘れ程度に思っていたが、人ごとだと思っていたことが我が身に起きてしまった…。若年性アルツハイマーの初期症状と告げられた佐伯には、記憶を全て無くす前に、果たさねばならない約束があった。
この物語は、決して他人事ではなく、身につまされるお話でした。主人公・佐伯が綴る備忘録を読むだけでもアルツハイマーの進行がわかり、恐ろしく感じました。その病気につけこむ人間がいたりして悲しくもなりました。ラストシーンには切なさが残りました。(2007/2/20)
押入れのちよ(荻原浩)
「今ならこの格安物件、かわいい14歳の女の子(ただし明治生まれ)がついてきます」。愛らしく不憫な幽霊と失業中のサラリーマンとの奇妙な同居を描いた表題作ほか、ぞくりと切ない9夜の物語。
ちょっと恐い話、恐くも切ない話、おかしい話などいろいろなお話が全9話。楽しめました。短編なのでちょっと空いた時間にも読めるし お勧めです。(2006/10/22)
←文庫版
メリーゴーランド(荻原浩)
過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。…って、再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!たとえ何にもしなくても、毎朝デスクにたどり着きさえすれば満点なのが、正しいお役所ライフのはずなのに…。最愛の妻に可愛い子供と過ごす優雅なアフター5はどうなっちゃうんだ?でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが―。笑って怒って、時々しんみり。地方都市の村興しと権力闘争に翻弄される公務員の、可笑しくてやがて哀しき奮闘を描く「宮仕え小説」の傑作。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。
登場人物のそれぞれのキャラクターが良く、読んでいてとっても楽しかったです!やる気がまるで無い上司や、同僚、出向先の幹部連中に囲まれる中、いち公務員がどこまで再建出来るのか?やる気を出してしまった主人公・啓一の頑張りを応援しながら読みました。そして、ゴールデンウイークのイベントも大成功をおさめ、お客さんも徐々に増えてきて万々歳!のはずが・・・?お役所体質を痛烈に皮肉った作品で、面白いけれど、面白いだけではないお話でした。(2007/2/6)
四度目の氷河期(荻原浩)
ワタルは、幼い頃から自分が周囲とは違うと知っていた。母子家庭だから?髪や目の色が薄いから?落ちついて座っていられないから?何をやっても、みんなと同じにできないワタルは、ある日、死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった…。「フツー」に生まれなかった少年が「自分」を築いていく17年と11カ月の物語。
自分がクロマニヨン人の子どもだと信じていたワタル。クロマニヨン人ならクロマニヨン人らしく生きようとするワタルを初めは単に可愛いな~と思っていたのですが、人と違う自分を自分自身が認めるためにはそう思い込んででも生きてゆくしかなかったのでしょう。そう考えると切なくなりました。孤独を乗り越え、成長し、そして六十五億分の一づつでしかない愛する人と巡りあえた今、きっと幸せになれるだろうという予感を残してのラスト。良かったです。(2007/5/1)
家日和(奥田英朗)
ネットオークションにはまる専業主婦、会社が倒産し主夫となった営業マン、ロハスに凝る妻に辟易する小説家…。ちょっとズレても家庭は続く。夫と妻の心の機微を軽妙に描き出す、ビター&スウィートな「在宅」小説。サニーデイ ここが青山 家においでよ グレープフルーツ・モンスター 夫とカーテン 妻と玄米御飯。それぞれの家庭内の「明るい隙間」を名手が描く短編集。
家族(夫婦)の姿を描いた短編集です。最後はハッピーエンドで、読んだ後に、ほのぼのとした気分にさせてくれます。どの作品も面白かったのですが、中でも「サニーデイ」のネットオークションにはまる専業主婦の気持ち、わかる~~!と思いました。「妻と玄米御飯」はとっても面白かった。この中で『ユーモア小説は醒めた視線がないと書けない。リアリストでないと人の滑稽さはわからない』って書かれていました。作者の実体験なのかしら??どの作品も軽く、読みやすいです。次の作品も楽しみです。(2007/6/11)
町長選挙(奥田英朗)
都下の離れ小島に赴任した精神科医の伊良部は、島を二分して争われる町長選挙に巻き込まれてしまう。あの伊良部が引きこもりに…。直木賞受賞作「空中ブランコ」から2年。満を持して、伊良部シリーズ第3弾登場。
「
イン・ザ・プール
」「
空中ブランコ
」に読く第3弾で、伊良部先生は相変わらずの健在ぶりなのですが、今回は野球オーナーの『ナベマン』IT長者の『ライブファストのアンポンマン』など実在の人物がモデルになっていると思われ、そちらの方が気になってしまいました。お蔭で前作に比べて伊良部先生の影が薄かったかな?もっと伊良部先生のハチャメチャぶりを見てみたかったです。(2006/7/23)
銃とチョコレート(乙一)
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた“GODIVA”の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「“GODIVA”カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが…。
子供向けなのか、ひらがなだらけだったのですが、内容は決して子供向けではないと思います。人を殺す、信じていた友人に「移民の子」と罵られる、ヒーローだと信じていたロイズの裏の顔を知る。決して明るい話ではありません。年上の不良少年・デュバイヨルの暴言・暴力・大人に対する態度もいただけません。表紙の絵も挿絵も不気味。読んでいて気持ちの良い話ではありませんでした。(2006/12/5)
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