ファンタジー100



001:時計
002:荒れた大地
003:さいごの皇帝
004:霧深い都市
005:呪い
006:切れない絆
007:ギルドマスター
008:滲んだインク
009:竜(龍)の眠り
010:夢
011:英雄
012:砂漠の水
013:南にある町(街)
014:聖杯
015:主従
016:長い夜
017:スティグマ
018:混血
019:後継者
020:花束
021:小さな約束
022:宝石
023:絶対者
024:道化師
025:剣
026:金貨3枚
027:旅の仲間
028:カーニバル
029:ペルソナ
030:巡礼者達
031:黒い肌
032:うれた果実
033:牢の囚人
034:契約
035:復讐
036:しるし
037:世界
038:勇者と魔王
039:海賊の島
040:指輪
041:吟遊詩人
042:裏切り
043:通行許可
044:優しい人形
045:人魚の声
046:足跡
047:踊る妖精
048:成長する種
049:戦装束
050:ドワーフ
051:墓標
052:花売りの娘
053:真珠1粒
054:闘技会
055:一人旅
056:手紙
057:凍った森
058:傭兵
059:塔
060:結界
061:魔法使い
062:マント
063:荷馬車
064:遺跡
065:亡国の騎士
066:黄昏
067:歌姫
068:はるかな地
069:精霊
070:天使の翼
071:刺青
072:エルフ
073:来訪者
074:二律背反
075:王子と姫
076:聖域
077:太陽と月
078:醜い鳥
079:死神
080:自由市場
081:王冠
082:嘆きの歌
083:審判の日
084:風見鶏
085:故郷
086:賢者の石
087:盗賊と城
088:亡霊
089:割れた卵
090:自由
091:焚火
092:浮島
093:罪の記録
094:運命の(女)神
095:大きな樹
096:異人の踊り手
097:赤い屋根
098:蜘蛛の糸
099:「光あれ」
100:白い地図

国王 :全ての根源。
王妃 :宝石に目が無い。自分勝手な欲望の為に、周りの女性が次々と毒牙に掛かる。
宰相 :陰謀に巻き込まれ、殉職した宰相。
 :魔女の呪いにかけられた薄幸の美少女だが、西の魔女の呪いにより醜い姿へ。
王子 :姫と敵対する国の、若き王子。塔に幽閉されている姫を見付ける。次第に彼女に惹かれてゆく。
魔女 :西の殺戮の魔女。魔王復活を願う。姫にかけた呪いが強過ぎ、力を使い果たして死ぬ。
醜い鳥 :予言鳥。西の魔女の使い魔。魔女亡き後も予言をし続ける。
魔王 :?
新王 :?
破壊者 :王の手の者によって通行許可を与えられた謎の人物。国王側の人間。
魔法使い :西の魔女亡き今、世界の覇権を左右するとされる要注意人物。
片翼の姉妹 :互いに対の羽を持つ双子。幼い頃に生き別れ、離れ離れに。癒し能力を持つ。
混血の胎児 :不吉だと言われている民族の赤子。
老婆 :預言者。南に行けと英雄に道を示す。導き手。
 :忌み嫌われる竜だが、地域によっては神聖化されている。
歌姫 :歌謡いの少女。
オーシャノン :海の住人。人魚とも言われている。
夢案内人 :夢を"魅せる"夢魔。人とも言われているが、妖精の類とも言われている。
ドワーフ :王党派討伐隊。
エルフ :王党派討伐隊。
聖母 :慈しみに溢れた聖母。
死神 :鎌を持つ死の使い。
亡国の騎士 :黒馬に跨り、暗闇の中を刃片手に駆け抜ける、かつての英雄。
ヒューカイザー :主人公。弟ヨセフを国王派に殺され、復讐の為に故郷から王の居城へ向かう英雄。
仮面の男 :自分を殺して生活をしている謎の男。身分は高そうだが……?
牢の囚人 :殺戮を繰り返し、捕らえられた死刑囚。今は死を待つ身。
マントの男 :?
少年 :マントの男に助けられた孤児。彼との出会いの後、彼に付き添う。
スティグマの男 :身体に痣がある男。"禁呪の痣"の主。何者かは不明。
スティグマハンター :スティグマの男を敵視し、探し続ける謎の男。禁呪を根絶する旅を続けている。
巡礼者 :巡礼の道であり終着の聖地である古代都市を行き交う虚無僧。この世を憂う。
吟遊詩人 :歌を愛し、諸国漫遊する詩人。
ギルドマスター :商人の頭。町のギルドは裏取引が横行し、詐欺集団と化す。
南にある街 :老婆が示したキーポイントとなる街。
海賊の島 :一攫千金狙いの海賊が目指す場所。秘宝が眠ると言われている。
ヘメニーの丘 :禍々しい地帯。誰かの墓標が眠る。
 :プラットの丘に住む気立ての良い娘。
ジン :指輪に住む精霊。3つの願いを叶える役目を果たさなければ元の世界に帰れない。
恋人 :娘の婚約者。徴兵され、国王討伐の第1教団に属したが、謀反人の汚名を着せられ死亡。
悪魔 :娘の"第一の願い"によって召還された悪魔。命と引き換えに取引を持ち掛ける。





=001:時計=

時よ 再び刻み出せ

森の番人
門の守衛
王の騎兵

鍵は再び開けられん
汝は再び旅を記せ

2004/09/29
DIES MERCURII a.D. XVI KAL.OCT.MMDCCLVII A.U.C.




=002:荒れた大地=

荒れた大地に眠るのは
廃れた王の墓
王族の廟
名も無き兵士の像

再び訪問者
彼は世界を救う者

2004/10/15
DIES VENERIS a.D. VI NON. OCT. MMDCCLVII A.U.C.




=003:さいごの皇帝=

彼は暴君
彼は裂王

彼のために流れた血は
エンレイド川より多く

彼のために流れた涙は
フシュフィー湖より深い

民よ立ち上がれ
その使命は
彼をさいごの皇帝にする事

2004/10/23
DIES SATURNI a.D.VI.ID.OCT.MMDCCLVII A.U.C.




=004:霧深い都市=

霧が全てを覆う

王の悪行も
民衆の暴動も
議員の悪巧みも 全て

霧に浮かぶのは不夜城
真実を一切隠してしまった あの暗い霧
闇に浮かぶのは荒都
全てを覆う暗雲暗夜

霧は晴れない

2004/10/23
DIES SATURNI a.D.VI.ID.OCT.MMDCCLVII A.U.C.




=005:呪い=

あの魔女が魔法をかけた

あの西の魔女がかけた魔法は
禁呪と呼ばれる中で最高の強さを誇る呪い
彼女は自らの死と引き換えに
その呪いを幼い姫に向けた

魔女の望みは魔王の復活
阻止する者は皆殺し
魔女は魔法をかけた
禁呪という魔法を

2004/10/23
DIES SATURNI a.D.VI.ID.OCT.MMDCCLVII A.U.C.




=006:切れない絆=

顔も知らない姉
私は生まれ乍らにして片割を失った
半身の消息は掴めず
翼が左側にしか無い様な違和感を感じてる
けれども分かる
ある日突然左肩が疼き出した
漠然とした意思が告げる
片割は必ず生きていると

顔も知らない妹
幼い頃 私は売られた
冷たくあしらう義母に
妹は死んだと聞かされた
翼がもがれる想い
右肩がジリジリ焼ける痛み
けれども信じてる
ある日突然右肩が疼き出した
漠然とした勘が告げる
片割は必ず生きていると

絆は切れない

2004/11/04(thu)
DIES IOVIS a.D.XI KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=007:ギルドマスター=

裏取引

全ての商人は今
当てにならない詐欺師集団

2004/11/10
DIES MERCURII a.D.V KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=008:滲んだインク=

滲んだインクは訃報を告げる

宰相が
震える指で認(シタタ)めた
最期の文

2004/11/10
DIES MERCURII a.D.V KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=009:竜(龍)の眠り=

人々は己の都合で
彼を生かし
封じ
殺め
生け捕る

彼の鱗は不老長寿の薬になるからと
彼の髭は処方箋になるからと
彼の存在は下界に禍をもたらすからと
都合を振り翳す

それは全て彼の意思ではなく
それは全て人が生んだ傲慢

彼は眠る
彼を殺めたのは誰か
誰が龍を殺したか

2004/11/10
DIES MERCURII a.D.V KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=010:夢=

静かなりし夢見人
愚かなりし案内人

其は何の目的で
まだ幼き彼女に幻想を見せる?

魅入られた彼女が見る夢は
抜け出せない魅惑に満ち溢れた末路

魅入られた魂が見る夢は
抜け出せない枷に囚われた末路

2004/11/12
DIES VENERIS a.D.III KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=011:英雄=

誰もが英雄になりたがる
富に名声に栄誉に
そんな物欲に目が眩み

今 谷を目指す者の中に
一体何人が
純粋に世界を思い遣っているのだろう

例え愚かな彼らがその称号を得たとしても
とても真の英雄とは言い難い

英雄になりたければ
英雄を意識して目指さない事
それが必要条件

2004/11/12
DIES VENERIS a.D.III KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=012:砂漠の水=

誰もが追い求めているから
その地は輝いているけれど
蜃気楼は容赦無く
彼らを待ち構える

誰かが辿り着こうとするだけで
その水は逆流を引き起こし
人の気持ちを翻弄する

誰もが追い求めているから
その地は輝いているけれど
世界は甘くないから
彼らを容赦無く打ちのめす

2004/11/12
DIES VENERIS a.D.III KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=013:南にある町(街)=

南にある街に言って御覧
あの忌まわしい事件に関わる物全て
あの南にある街がキーポイントなんだよ

そう老婆は指を刺す
混沌と欺瞞に満ちた
暗雲立ち込める南の方角を

其処に行けば何がある?
其処に行って何をする?

全ては導きの元に

"南の街に行って御覧" 

2004/11/12
DIES VENERIS a.D.III KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=014:聖杯=

掲げ
聖母は祈る

愛する子の為
愛する地の為

この世は愛で満たされるべきだ
聖母は微笑む

金色に光る杖を携え
銀色に灯る聖なる杯を
天に
空に
宙に向けて
何の憂いも無い顔で
ただ幸せの為に
祈る

この世は愛で満たされるべきだ
そう呟き
聖母は微笑む

2004/11/12
DIES VENERIS a.D.III KAL.NOV.MMDCCLVII A.U.C.




=015:主従=

そこにあるのは服従のみ
そこにあるのは命令のみ

神よりも高く位置し
奴隷より低い地位

そこにあるのは契約のみ
そこにあるのは鎖鎌のみ

2004/11/28
DIES SOLIS a.D.XVII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=016:長い夜=

何度 膝を抱えて夢を見て
幾度 指折り数えて明日を見て

当てが外れて絶望し
希望が見えては切望し
夜が来ては祈りに暮れる

夜は長くて
人々は気が遠くなる気分を味わう
それでも明日を迎える為に
人々はそれぞれの夜に備える
ただひとえ
朝を迎える為だけに

2004/11/28
DIES SOLIS a.D.XVII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=017:スティグマ=

「ある男を捜している。身体に痣がある男だ」
「痣? 一概に痣と言われても分からないわ」
「禁呪の痣だ」

その言葉に、女は顔色を変える。

「見たんだな?」
「し、知らないわ……」
「隠すのはお前の為にならないぞ」
「知らない物は……知らない……!」
「そうか」

刹那、女の首が飛んだ。

「……言った筈だ。
『お前』に関わった者全てがこうなる運命だと」

何の感情も見せず。
男はついさっきまでヒトだったものを見下ろす。

「何度言えば分かる?
それとも、『お前』は私が近くにいる事を気付かないとでも?
すぐ後ろを追っている事を知らないとでも?
……待っていろ。『お前』もじき、こうなる定めだ」

目を細める。
視界がぼやける。
夕時の蜃気楼にも似た、鮮やかな赤い血痕。

2004/11/28
DIES SOLIS a.D.XVII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=018:混血=

おぉ不吉なりし混血の胎児

誰も臨まぬ
誰も喜ばぬ
奴は災いをもたらす
芽は若い内に刈り取らねば

おぉ不吉なり
不吉なりし混血の胎児

2004/11/28
DIES SOLIS a.D.XVII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=019:後継者=

塗り替えられる歴史に
立ち向かわなければならない世界

汝、誓約を誓いし者よ 気高き者よ
己の意思を 枉(マ)げずに生きよ

血は継がれる
新たな契約は新王と結べ

悪魔との交渉
天使との和睦

汝、世界を統べる者よ 誇り高き者よ
己の道を 戻らず進め

求めるのは黒き力か
欲するのは白き力か

汝、速やかに決断せよ
新たな新王 
血を受け継ぎし者よ

2004/11/28
DIES SOLIS a.D.XVII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=020:花束=

その花を摘んだのは誰?
その花に関わってしまってはいけない

切り取られた菩提樹は
ゴータマ・ブッダを冒涜する証

2004/11/28
DIES SOLIS a.D.XVII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=021:小さな約束=

貴方が居てくれるだけで良いの
それだけで私は幸せ

それだけでいいと言ってくれた
そんな約束も果たせそうに無い
僕は君を守ると決めたのに

僕は じきに戦場へ向かう
愚かな戦だと誰もが思っている戦場へ

花屋よ
この花を届けておくれ
プラットの丘に住むあの気立ての良い娘に
そして伝言を

"いつまでも愛している"と

2004/11/29
DIES LUNE a.D.XVI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=022:宝石=

"君に似合うね"
そう言って買ってくれたリング
ギルド街の古屋台

仕送りをした貴方に
お金なんてある筈ないのに
無理をして
私の為に買ってくれた

"笑ってよ"と言って
"安物でごめんよ"と寂しそうに呟いて

ありがとう
そんなささやかな気配りがとても好きだった

貴方が戦場へ向かって12日
訃報を聞いた23夜
月日は巡り
薬指のリングに涙を落とした42夜

石から光が放ち ジンは出て来た
彼は微笑む

"汝、3つ願いを述べよ"と

2004/12/02
DIES IOVIS a.D.XIII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=023:絶対者=

彼を表すのに一番適した言葉

・カリスマ
・覇王
・君臨者

「さてドォレ?」


彼は全てを意のままにする
彼は世界の絶対者

2004/12/02
DIES IOVIS a.D.XIII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=024:道化師=

おどけているのは作戦で
それが見抜けないなら貴方は愚王

姑息という手段を
ふんだんに盛り込んで
貴方の地位を、首を、財産を
あわよくば一人占め

それが見抜けないなら貴方は愚人

その化粧の下に隠れる素顔を
少しは気に掛けた方が良いかも知れない

2004/12/02
DIES IOVIS a.D.XIII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=025:剣=

消したかったのは影・幻・残像
斬りたかったのは王・縁・まほろば

最後に人を斬ったのはいつだったろう
錆び付いてしまった鉄は ただ肉の臭いを
その鞘に 記憶と共に封じ込めただけ

2004/12/02
DIES IOVIS a.D.XIII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=026:金貨3枚=

「なァ。賭けねぇか?」
「いいぜ。丁度退屈してたトコだ。何賭ける?」
「あの酒場に良い女がいるかどうか」
「また女か……。口を開けば女・女・女。
いい加減、真面目にしたらどうなんだ?」
「まぁそう言うなって。俺はいるに5枚だ」
「……ちっ、ほらよ。3枚だ」

「いらっしゃいませ~」

「おっと。早速俺好みの良い女♪
俺の勝ちだな。……金貨3枚だ」

2004/12/02
DIES IOVIS a.D.XIII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=027:旅の仲間=

合流し
意見を違わせ
やがて刃を交える
昔は仲間だったのに
お互いを認める同士だったのに

2004/12/02
DIES IOVIS a.D.XIII KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=028:カーニバル=

繰り広げられる祭事は
至上の楽園に似た神々の宴
紫の蝶のように
踊り子は艶めかしく腰を振り 足を広げ
男はやんやと手を叩く

血のワインで祝杯を
血の海には生け贄を
それは正にカーニバル
悪魔に魅入られた世界で
終焉を迎えたいのなら

2004/12/04
DIES SATURNI a.D.XI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=029:ペルソナ=

人格者は悲鳴をあげて
己の内に住む異端者達を
追い出そうともがき苦しむ
それは自我の争奪戦

己が一番正しい筈なのに
心の奥底で多数の人格者達は
切々と本音を訴える

"本当の私はこうなんだ"
"本当はこう言いたいんだ"
訴える手段は唯一つ
パーソナリティーな自分を殺す事

ペルソナ
それは外界に向けた適応の為の「仮面」

2004/12/04
DIES SATURNI a.D.XI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=030:巡礼者達=

Santiago de Compostela.
願うのは奇跡

行き交う古代都市
巡礼の道
終着の聖地

彼等が歩いた古い石畳の道を
悩める虚無僧は今日もまた
奇跡を信じて歩き出す

Santiago de Compostela.
願うのは奇跡

王は君臨する
神として 悪魔として
彼が台座に就く事を
一体誰が許した?

2004/12/04
DIES SATURNI a.D.XI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=031:黒い肌=

肌の違いは度々世間を翻弄し
勝手な身分差別を引き起こす

彼等はただ日々を平和に暮らしたいだけなのに
世論はそれを許さず
その肌を持つ者を特別視した

彼等は幸せになりたかっただけなのに
一輪の花を眺めるだけの時間も
懺悔を繰り返すだけの時間も
髪を梳かす機会すら奪う
そんな権利は何処にも無いと言うのに

彼等は生きていたいだけなのだ
何故彼等は苦しまなくてはならない?
何故敵視されなくてはならない?
何故悲しまなくてはならない?
何故平和に暮らせない?

2004/12/04
DIES SATURNI a.D.XI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=032:うれた果実=

決してその実を食べないで

何度もあれ程言ったのに
彼女は老婆の話を聞こうとしなかった
好奇心には勝てない
それが若さなのだろう
彼女は一口目の甘さに驚き
再びその実に噛り付く

いけない、いけない

忠告する老婆の必死な願いも空しく
赤く熟れた実を食べてしまった
彼女は僅かに残った芯をポトリと落とす
もがき 苦しみ 生きたいと願う
しかし其れは禁断の果実
食べてはいけない魔性の果実

2004/12/04
DIES SATURNI a.D.XI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=033:牢の囚人=

罪状は殺戮
彼は余りに多くの者を殺した
死神はとうとうそんな彼の首を狩りに来た
多くの死者が彷徨える霊になってしまったから

彼は潔く
裁判長の最終通告を聞き入れる
死刑台に登るまで
グリーンマイルを通るまで
彼は牢の捕らえ人

2004/12/04
DIES SATURNI a.D.XI KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=034:契約=

反魂
それは悪魔の仕事
精霊の出るべき幕では無いとジンは言う

契約
それは危険な賭け
悪魔を呼び出すのが彼女の第一の願い

悪魔
それは魂を喰らい
命と引き換えに取引を持ち掛ける魔物

召喚
悪魔と精霊の契約
彼女は全てを捧げる覚悟で受け入れる

願い
それは即ち
愛しい恋人を殺した憎き王の壮絶なる死

2004/12/14
DIES MARTIS KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=035:復讐=

願うは復讐
誓うは討伐

煮えたぎる復讐の念
想う事は
「彼を王座から引き摺り降ろす」
ただ、それだけ

2004/12/14
DIES MARTIS KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=036:しるし=

見付けた
見付けた

あの聖痕
スティグマ

ようやく見付けた

あの男だ
あの男こそ
ずっと追い求め
探し続けてきた男……

"禁呪の痣"の主

言った筈だ
『お前』に関わった者全てが不幸になる運命だと
『お前』は私が近くにいる事を気付かないとでも?
すぐ後ろを追っている事を知らないとでも?

待っていろ
『お前』の末路を決めてやろう
『お前』の定めを決めてやろう

2004/12/14
DIES MARTIS KAL.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=037:世界=

今この瞬間に
世界は二つ

破滅へ向かう大国と
再生へ向かう小国

世界は廻る
世界は巡る
朝を迎え 昼を越え 夜を跨ぐ

今この瞬間に
世界は二つ

2004/12/23
DIES IOVIS a.D.IV ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=038:勇者と魔王=

老婆に示された南の街
そこはまるで時が止まってしまったかのような
そんな瓦礫の都市だった

誰一人として出迎える者は無く
活気も無い
街の人たち全てが石化された
砂と瓦礫と石の世界

ここに眠るのは
かつての街の住人と
封印された魔王の存在

二人は出会う
いよいよ
葡萄月の宵闇に……

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=039:海賊の島=

ヨーソロー
そこは海賊の島
正気な者は誰も近付かない

ヨーソロー
そこは夢の島
一攫千金を狙う男が集まる
一攫千金を狙う女も集まる

ヨーソロー
そこは宝の島
財宝が山のように眠る大陸

ヨーソロー
あそこへ向かえ
富と名誉と酒と女

ヨーソロー
碇を下ろせ
そこは海賊の島

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=040:指輪=

(願いは後2つ……)
(ジンへの願いは……)

指輪は再び光り
ジンは再び現れる

"娘よ 願いはまだか"
"2つ目の願いは…"

(願いは後2つ……)
(ジンへの願いは……)

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=041:吟遊詩人=

語り部
旅人
徘徊者

歌を愛し
諸国漫遊
ささやかな幸せを
民に配る

彼はやめないだろう
いつまでも
いついつまでも
彼は詠い続けるだろう

そこに道がある限り
そこに自然がある限り
伝えたい想いがある限り

命の炎が消えない限り

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=042:裏切り=

裏切り者のユダ

イスカリオテのユダ

ユダは誰?

誰がユダ?

裏切ったのは誰?

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=043:通行許可=

「この者に与えたまえ。
この者の素性は確かだ」

それは偽り
こいつは仲間
誰も気付かぬのか

「よし。通れ」

入れてはいけない
入ってはいけない
渡してはいけない

こやつは破壊者だ……!

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=044:優しい人形=

悩みを聞いてくれた
あの人形だけが唯一私の味方
あの人形だけが唯一私の友達

西の魔女の呪いをこの身に受け
私は醜い姿を見られない為に
塔の最上階に留まるしか無かった

私の友達
私の味方
話し相手

あの人形だけが

私の友達
私の味方

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=045:人魚の声=

オーシャノン
海の住人
海のプリンセス

その声は世界を揺るがし
その涙は世界を救う

儚く強い意志
物憂げで透明な声
王子を魅了する優しい瞳

海のプリンセス
海の住人
オーシャノン一族

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=046:足跡=

奴はどこへ行った?
禁呪の男
スティグマの男

たった一つの痕跡だけを残し
奴は姿を消した

また奴を捜さねば
再び始まる
禁呪を根絶する為の旅

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=047:踊る妖精=

リズミカルに
楽しく
楽しく

今宵は満月
ジャスティーの祝日

酒を運べ
歌を歌え
舞を舞え
焚き木を燃やせ

リズミカルに
楽しく
楽しく

今宵はジャスティーの祝日
妖精の祝祭日

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=048:成長する種=

すくすく育て
種よ大きく育て

……何を育てているかって?
それは教えられないねぇ
この種には色々な物が詰まっている
一種のパンドラボックスじゃ

厄災の種?
救済の種?
さぁどっちだろうねぇ

すくすく育て
天に届くように
神よ
私の願いを叶えておくれ
種を育てておくれ

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=049:戦装束=

黒衣で身を包め
理由は分かるな?
だったら早く
一刻も早く
黒衣で身を包め

武器を構えろ
敵を見抜け
理由は分かるな?

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=050:ドワーフ=

助けを借りよう
ドワーフの長老、
どうか力をお貸し下さい
どうか共に
我らの仲間に

魔王と国王に
たった一つ
完全なる死を……

2004/12/16
DIES IOVIS a.D.III NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=051:墓標=

禍々しく
誰も寄せ付けない

そんな冷え切った雰囲気の中
かの人は眠る

ヘメニーの丘の山の裾
たゆたう一輪の花
名も無き花
素っ気無い刻印

そこに
かの人は眠る

2004/12/18
DIES SATURNI NON.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=052:花売りの娘=

心優しき花売りの娘
母の看病代の為に花を売る

売れない日もある
でも花には何の罪も無い
自分が悪いのだ
売り込む術を知らない自分が

花弁に一滴落ちる
一人悲しみに暮れる娘の
クリア・ウォーター

心優しき花売りの娘
愛する者の為に花を売る

花弁に一滴落ちる
健気な娘のクリア・ウォーター

2004/12/22(wed)
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=053:真珠1粒=

王妃は輝く真珠の為に
その手を汚す道へと堕ちた

カークランド卿の妻
ヘレストニー伯爵の娘
彼女らが次々と王妃の毒牙にかかる

狙いは真珠
その若々しく瑞々しい首筋に掛かる
真珠一粒の為に……王妃は……
真珠一粒の所為で……女達は……

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=054:闘技会=

猛者よ集え
勇者よ立ち上がれ
力を鼓舞する者よ
力の意味を知る者よ

いい話がある
力の祭典

猛者よ集え
勇者よ立ち上がれ
力を鼓舞する者よ
力の意味を知る者よ

闘技会だ
そこでその力が試される

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=055:一人旅=

旅に出よう
そう思い立ったのは
愛する者を失った月命日の朝だった

僕に何が出来るだろう?
定まらない目的と不安を携(タズサ)え
それでも僕は家を出たんだ

それは僕の弱さだった
僕のキャパシティーを超えた負荷
僕は何も守れなかった
僕は誰も守れなかった

君を守ると約束したのに
不甲斐無い兄で御免よ

責めてくれ
せめて責めてくれ

定まらない目的と不安を携え
それでも僕は家を出たんだ

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=056:手紙=

DEAR Mam,

今まで有り難う
育ててくれて有り難う

ヨセフを亡くして
僕は悲しみに暮れた
母さんの悲壮さには
まだまだ負けるけど
でも愛してるよ
ヨセフは僕の心の中で生きている
そうだよね? 母さん……

急にこんな紙切れで
申し訳無いと思うよ
でも僕は旅に出ようと思う
生きて帰るよ
約束するから
その時までお別れだ
愛してるよ
心を込めて

ヒューカイザー

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=057:凍った森=

最初の難関は
凍て付くこの森だった

蔦は這い
花は冷たく
棘は鋭く
まるで人を射抜くように…

歩く度に
どこかしらの身体が悲鳴をあげる

それでも歩き続けなければ

"何の為に?"
"誰の為に?"

……その答えを見つける為に

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=058:傭兵=

彼らの目的は様々
彼らは
己の内に秘めた想いを
誰にも語らず日々過ごす

それが彼らの生き様
己の内に秘めた想いを
己の心だけに仕舞い
日々を過ごす

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=059:塔=

その尖塔がやけに気になり
見上げると
塔の天辺に
陽の光りで風見鶏が反射する

目を凝らして
窓格子を見る
何物かが動く影

……誰だ?

(彼女はラプンツェル)
(哀しみに暮れたラプンツェル)
(西の魔女によって魔法をかけられた)
(幼き王女のラプンツェル)

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=060:結界=

次に立ちはだかるのは
何者かによって張り巡らされた
高度な結界

鳥の囀りが途絶える
太陽が雲に隠れる
光が遮断される
暗雲が立ち込める

『ede moi Dios ar' apata para soi, Diomede.』

……解呪

先を急ごう

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.

■ギリシア語の回文。
HΔHMOIΔIOΣAPAΠATAΠAPAΣOIΔOIMHΔH.
(それは最早私にとって貴方からのゼウス神の欺瞞ではないだろうか,ディオメデスよ)




=061:魔法使い=

魔法使い
ソーサラー

彼の立場は?

王党派か
教皇派か
貴族派か
それとも……

彼の力は偉大
故に
彼の立場は
世界を揺るがす

魔法使い
ソーサラー

果たして
彼の立場は?
彼の思惑は?

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=062:マント=

「人を探してる。
こっちに来なかったか?」

「……」

「少年を追ってる。あの悪餓鬼、
店の果物を盗みやがった!」

男は何も言わない代わりに
視線を右にやった

「……西? ……あっちか。
あっちに行ったんだな? ありがとよ!」

店主は翔けて行く
それは目線トリック
男は黒いマントを翻す
そこから現れる、中に匿われていた少年
男は尋ねる

「……よォボウズ。
盗みはよくねぇぞ。
……おめェ、名は?」

少年と
マントの男の出会い

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=063:荷馬車=

移動手段は幌荷馬車

ゴトンゴトン
揺られて揺れて

ほんの束の間の一時
仰向けになって林檎を齧り
視界には一辺の青い空

ゴトンゴトン
揺られて揺れて

ほんの束の間の一時 

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=064:遺跡=

やがて辿り着く

廃墟の拠点
残骸の墓
誰も歩かない石畳の道

心躍るのは何故?
心吸い寄せられるのは何故?
遠い昔に触れていたようなデジャ・ヴュ
何度も訪れているのに感じるジャメ・ヴュ

心躍るのは何故?
心吸い寄せられるのは何故?
建物が呼んでいる
魂を迎え入れる準備

廃墟の拠点
残骸の墓
誰も歩かない石畳の道

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=065:亡国の騎士=

黒馬に跨り
暗闇の中
刃片手に駆け抜ける

さながらそれは
スリーピーホロウ

亡き国の騎士
亡き国の名士

彼に去来する物は
亡き国への鎮魂歌

2004/12/22
DIES MERCURII a.D.V ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=066:黄昏=

(物事が終わりに近付き、衰えが見える頃)

物語は終焉へ向かう
行き先は黄泉か常世か浮世か

無常の世
享楽の世
人は空蝉
空の中の空

物語はいよいよ佳境へ向かう
行き先は地獄か煉獄か天国か

2004/12/23
DIES IOVIS a.D.IV ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=067:歌姫=

声を巧みに操り
かの少女は
悩ましげに囁きかける

魂を揺さぶり
三半規管を支配する
骨の隋まで声は浸透し
頭は真っ白

目に見えない羽根は存在する
少女の背中に
白く大きな羽根

声を巧みに操り
かの少女は
悩ましげに囁きかける

2004/12/23
DIES IOVIS a.D.IV ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=068:はるかな地=

地平線が世界を分断し
視界への幻想は始まる

陸地はどこだ?
旅はどこまで?

赤道を越え
国境を渡り
海原へ

遥かな地
旅路は続く

2004/12/23
DIES IOVIS a.D.IV ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=069:精霊=

二つ目の願いを言うわ

私に愛を頂戴
私を愛して頂戴

寂しいの
悲しいの
人恋しい
あの人が恋しい

どうか二つ目の願いを聞き届けて頂戴

私に愛を頂戴
私を愛して頂戴

貪欲な愛を 愛を
貪欲な愛を 無償な愛を

2004/12/23
DIES IOVIS a.D.IV ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=070:天使の翼=

彼は発明した
空を飛ぶ為の翼を

けれども彼の息子は
一番輝く星を目指して死んだ

高く飛びすぎたのだ
熱が翼の蝋に耐えられなかったのだ

父親の悲しみは
称え様の無いしじま

彼は発明した
空を飛ぶ為の翼を

名工ダイダロス
イカロスの父

2004/12/24
DIES VENERIS a.D.III ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=071:刺青=

その苦痛に耐えても
刺青を入れる理由が彼にはあった

悪魔として認められる儀式の一つ
全身への刺青
召喚術の為の記号スイッチ

2004/12/24
DIES VENERIS a.D.III ID.DEC.MMDCCLVII A.U.C.




=072:エルフ=

エルフも誘おう
打倒王族
長は誰?
長は誰?

エルフも味方に
打倒王族
我に力を
我に力を!

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=073:来訪者=

「よく来た、よく来た」と
労いの言葉

その裏には
偽善と欺瞞が入り混じっている事を
誰も
誰も知らない

2005/01/02
DIES SOLIS a.D.XIII KAL.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=074:二律背反=

定立

世界には時間的、空間的に始源(限界)あり。
世界における一切は単純なものよりなる。
世界には自由による原因あり。
世界原因の系列において何らかの必然的存在体あり。


反定立

世界は時間的、空間的に無限なり。
世界にある物は一として単純な物はなく、総て複合的なり。
世界には自由なるもの無し。一切は自然なり。
この系列において何物も必然的ならず、一切偶然的なり。


二律背反
それは果てしなき闘争の戦場

2005/01/19
DIES MERCURII a.D.VIII ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=075:王子と姫=

塔の上の"ラプンツェル"
姫は西の魔女の呪いを受け
醜い姿となり
塔に縛られる毎日

彼女の悲鳴は嗚咽に溢れ
彼女の寝床は涙の湖畔

彼は出会う
人を信じる事が出来なくなった姫に

彼女は生きる
人を信じる事が出来るようになった彼の為に

けれども二人は結ばれない
二人を結ぶのは宿敵の絆
敵と敵
王子と姫

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=076:聖域=

一体誰の許可を受け
主はこの場に踏み入った?

門扉は何をしていた
彼は破壊者だ
何故気付かぬ?

誰が通行許可を
一体誰が……

そんな事より

いけない
いけない
このままでは

汚される
侵される
聖域の存在危機

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=077:太陽と月=

太陽と月が
同時に重なる頃
戦は始まる

二つは相反する存在
どちらかが正義で
どちらかが悪

そんな方程式
本当に信じているの?

太陽と月が
同時に重なる頃
戦は始まる

戦が始まる 

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=078:醜い鳥=

予言鳥
醜い鳥は予言鳥

不吉な予言
甘美な予言
全ては醜い鳥の一存で……

予言鳥
醜い鳥

けれども西の魔女が飼っていた
彼女の意思はまだ生きたまま

不吉な予言
甘美な予言
全ては醜い鳥の一存で……

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=079:死神=

彼は来る
音も無く
黄泉から

彼は死神

鎌を持ち
血を好み
首を撥ね
連れ去る

彼が現る
召喚され
黄泉から

彼は死神
彼は死神

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=080:自由市場=

無法地帯
当たり前だ
国は機能していない

何もかもが許される
自由市場
自由貿易

秩序も無い
常識も無い

あるのはただ
そこに虚無が漂うだけ

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=081:王冠=

錆び付いた金
錆び付いた銀
錆び付いた銅
全ての貴金属

王冠は最早
誰が被るべきもの?

錆び付いた王座
錆び付いた組織
錆び付いた城下
全ての腐敗材料

王冠は最早
その効力を失くした

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=082:嘆きの歌=

堕ちる所まで堕ちた
向かう先は未だ見えず

セイレーンが啼く
予言鳥が戦慄(ワナナ)く

世界は破滅へ?

堕ちる所まで堕ちた
向かう先は未だ見えず

路傍の花は
ただ儚げに揺れるだけ……

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=083:審判の日=

審判の日
決戦は近付く

勝つのは王か
それとも民衆か

いよいよ審判が下される

彼らが出会う
最後の決着を着ける為に

彼らは出会う
全てに決着を着ける為に

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=084:風見鶏=

塔の上の風見鶏が揺れて
王子と姫は
一瞬の間に永遠を見る

二人は結ばれない
永遠に結ばれない

けれどもそれは
一体誰が決めた事?

二人は結ばれるかも
二人は寄り添えるかも

希望を捨てるには
まだ早い
まだ早い

風見鶏は
優しく揺れる

右へ左へ
優しく揺れる

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=085:故郷=

戦いの果てに
戦いの合間に
ふと思う事
ふと過(ヨ)ぎる事

それは誰しも故郷の事だと
誰かが言っていた

死をその肌に感じ
けれども何故か死を恐れる事は無い
彼に去来する物は遠い故郷の幻想

戦いの果てに
戦いの合間に
故郷を見る
故郷を感じる

死を感じても
死を感じるからこそ

昔を懐かしみ
安らぎの顔で永久の眠りに就けるのだ

2005/01/21
DIES VENERIS a.D.VI ID.IAN.MMDCCLVIII A.U.C.




=086:賢者の石=

石の正体
それは賢者の石

かつて錬金術師らが競って編み出した
知識の推移を集合させた媒体

しかし何故
ジンは其処に封印されていたのだろう?

二つ目の願いは無効となり
残るは後1つ

女は何を望む?
石の持ち主は何を願う?

ジンを取り巻く環境
石が導く運命

末路は如何に?

2005/01/28
DIES VENERIS a.D.XVIII KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=087:盗賊と城=

そのどさくさに紛れて
盗賊は悪王の城に入る

既に其処は
炎と白煙と死人の住処

金品と言う金を持ち出し
倒れた兵士の遺品を持ち出し
全てを奪い尽くす

城は最早無法地帯
あの栄えていた姿は
今ではもう見る影も無い

裏切りは絶えず
王国軍には分が悪い

首都が落ちるのも
既に時間の問題

2005/01/28
DIES VENERIS a.D.XVIII KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=088:亡霊=

君はもう泣かなくてもいいんだ
ねぇ
僕が愛した心優しい貴女
僕の所為で
君はこんなに苦しんで

元々
人を憎むような人じゃないのに
憎しみと言う感情を覚えてしまった
悪魔なんて消してくれ
君の命と引き換えだなんて
そんなの
僕はとてもじゃない
耐えられない
…耐えられない

さぁ扉を開けよう
怖れるものは何もない
怖れるべきものは何もないはず

君を束縛するもの
君を不安にさせる要素
個人を狙う集団
全てから解き放ってあげよう
全て解き放ってあげよう

踏み出そう
まずはそう
その一歩から
その扉の向こう側にはきっと
君が探していたユートピアが
ほら……

忘れないで 
いつまでも覚えていて
君と並んだこと 
君と出会えたこと
君と謳えたこと 
君と愛し合えたこと
大丈夫 
いつも傍にいるよ
死んでも変わらない愛を君に誓うよ

僕は生まれ変わるよ 
生まれ変わるから
君との約束を果たしてみせる
相棒として
恋人として
一人の人間として

とても尊敬していたよダーリン
とても愛しく思うよダーリン

神の
ね?
クリエイチャー
創造物
いつまでも
覚えていて

僕は決して忘れない
世界中の破壊が訪れたとしても
君を信じて
僕は君を捜す旅に出るよ
君を見つける旅をするんだ

国境を超えた愛
約束を守る為に
君を守る為に
壊れそうな世界でも
一秒でも君とまた肩を並べられるように
ただすれ違っただけの人生でも
一秒の為にでも僕は生まれ変わるから

時を越えた愛
それもまた楽しそうじゃない?

覚えておいて
君は自分を見失ってはいけない
僕が愛したままの君で居るんだ
そうすれば
また二人は再会できるんだ

覚えておいて
二人紡いだ過去の記憶
二人刻んだ過去の記録
楽しかったことも
苦しかったことも
忘却は許されない

決して僕を助けようとしないで
君のことだから
僕が死んでからも君は
僕を尊重する行動に出るだろうけど

ねぇ
僕の事は構わないから
名誉だって名声だって
そんな物は欲しいヤツにくれてやれ
そんな物に未練なんかないよ
とにかく君が心配なんだ

でも決して
決して
神の創造物だけは見守っておくれ
二人の秘密だ
二人だけの秘密だ
だけど無理しないで

愛しているよダーリン
忘れないよ
だから
忘れないで
いつまでも
いつまでも

2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=089:割れた卵=

割れた卵のように
既に原型は何処かへ行ってしまった……

思惑が入り乱れる
様々な感情
いつの間に
世界はこんなにも色褪せた?

割れた卵のように
覆水は盆に返らず……

国王は何を見た?
その感情を一身に受けて

声は
目は
心は
どうして彷徨ったまま?

魔王が国王
そう
そうだった
魔王は国王なのだ

西の魔女が命令を受けた
それは魔王からの指令では無く
国王からの指令

魔王など何処にも居ない
魔女が口走った偽りの偶像

全てが露見した今
"呪い"など邪道
あるのはただ
"国王の命だった"
ただそれだけ……

卵は割れた
黄身は潰れた?

2005/01/30
DIES SOLIS a.D.XVI KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=090:自由=

揚がるのは
鷲を象った軍旗

揚がるのは
襤褸布に成り果てた白旗

戦はようやく
終焉を遂げる

負けたのは王師
負けたのは国王

手に入れたのは
一切の自由

2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=091:焚火=

爆ぜる火を見て想う事
赤い火を見て思う事

燃える
揺らぐ
血の様な炎の向こうに見える蜃気楼

行き先を決めろ
成れの果ては疑心暗鬼

暗夜航路の船の中
舵を取れ
矢印を辿れ
廃墟の地を踏め

命の炎は消えないで
命の炎は消さないで
まだ……
まだ……

2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=092:浮島=

そこに命の礎があるのなら
恐れる事は無い
心の赴くまま
進むが良い

心の声に耳を澄ませば
己の本音が見えてくる
自分を偽る無かれ
真実はいつも
頭の裏
心の奥

そこに命の礎があるのなら
恐れる事は無い
思うが侭
感じる侭
突き進め

心を空っぽにして
何か見える?
そこに浮かぶ小島が見える?
君はそこの住人

身を守る術を知っている
誰の為でも無い
いつも最後は自分自身
最大の敵は己自身

最期の望みは
誇りある死

2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=093:罪の記録=


貴方には戦場が似合う

血の旋律
正義の思想
錆びない剣

貴方には戦場が似合う


(罪状は殺戮)
(彼は余りに多くの者を殺した)
(死刑台に登るまで)
(グリーンマイルを通るまで)
(彼は牢の捕らえ人)


貴方には戦場が似合う

振りかざした剣
憎しみに歪んだ瞳
涙を湛えた紅蓮の……

貴方には戦場が似合う

(彼は余りに多くの者を殺した)
(死神はとうとうそんな彼の首を狩りに来た)
(多くの死者が彷徨える霊になってしまったから)
(彼は潔く)
(裁判長の最終通告を聞き入れる)

貴方には戦場が似合う
だから戦いなさい
貴方には戦場しか無いのだから
貴方には戦う術しか知りえないのだから

(死刑台に登るまで)
(グリーンマイルを通るまで)
(彼は牢の捕らえ人)


誰ダ?
俺ヲ操ルノハ?
俺ノ中デザワメクノハ?
消エロ
消エロ
モウ
俺ヲ
放ッテ置イテクレ……


2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=094:運命の女神=

ウルドは運命
スクルドは未来
そしてヴェルダンディーは現在

女神達はユグドラシルの住人
そこでは彼女らが運命の壁掛けを担う
各人の人生はそれらを司る
司るは人の人生の長さ

そしてスクルドは……ワルキューレ

Urd as fate,
Skuld as necessity,
Verdandi as being.

They live beneath the roots of Yggdrasil,
where they weave the tapestry of fates.
Each person's life is a string in their loom, and
the length of the string is the length of the person's life. Interestingly,Skuld was also a Valkyrie.

2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=095:大きな樹=

世界木に願いを
もし心の底から願いたい事があるのなら

世界木にまじないを
もし心に新たな芽が芽吹いたのなら

大木に水を
大木に光を
大木に愛を

願えばきっと叶う
願えばきっと

Yggdrasil was the "World Tree",
thought to hold all of the different worlds.

Three roots supported the trunk,
with one passing through Asgard,
one through Midgard and one through Hel.

Beneath the Asgard root lay the sacred Well of Urd,
and there dwelt the three Nornor,
over whom even the gods had no power,
and who, every day,
watered the tree from the primeval fountain,
so that its boughs remained green;
and beneath the Midgard root lay
the spring or well of Mimir.

The messenger in the tree and thus between
the worlds was the squirrel, Ratatosk.
In the top of the tree was perched a giant eagle with
a hawk upon its forehead who blew the winds over
the worlds with his mighty wings.
The Niflheim roots of Yggdrasil were gnawed at by
a dragon, Nidhogg. Heidrun, a goat,
lived on top of Yggdrasil and ate its leaves.
4 stags fed on the bark of Yggdrasil, including Dvalin.

2005/02/10
DIES IOVIS a.D.V KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=096:異人の踊り手=

外人墓地を横目に
道標を辿る
手招きする異国の美姫
妖しく彩られた地下教会

A Metropolitan Bishop.

仮面舞踏会の罠
異人館での黒ミサ
召される踊り子

A Metropolitan Bishop.

蝋燭の火が消える
暗闇の世界
異次元への入り口

A Metropolitan Bishop.

仮面舞踏会の罠
異人館での黒ミサ
召される踊り子

2005/02/11
DIES VENERIS a.D.IV KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=097:赤い屋根=

祝福を!

スカビオーサ
ビバーナム
それらをブーケに

祝福を!

花嫁は王女
花婿は王子

祝福を!

(束の間の幸福)
(国の諍いは)
(未だ不完全燃焼)
(束の間の幸福)
(偽りの無い国へ)
(束の間の休息)

赤い屋根を越える鳩の群れ
幸せを運べ

赤い屋根を越える鳩の群れ
災いを運べ

祝福を!
祝福を!

(束の間の休息)
(束の間の幸福)
(束の間の平安)
(未だ見ぬ平安)

2005/02/11
DIES VENERIS a.D.IV KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=098:蜘蛛の糸=

糸は張り巡ったまま
根本を叩き潰せ

糸は絡まったまま
根絶し絶滅せよ

糸は複雑に絡まり
世界を広く巣食う

未だ糸は張り巡ったまま
根本を叩き潰さねば

未だ糸は絡まったまま
根絶し絶滅せよ

未だ糸は複雑に絡まり
未だ世界を広く巣食う

誰かが気付かねば

国王は
魔王は
本当に死んだと
本当にそう思っているのか?

2005/02/11  
DIES VENERIS a.D.IV KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=099:「光あれ」=

世界はその姿を押し留め
人々はその意思を理解し
全ての生きとし生ける
全ての命に祝福を

世界に希望を
人々に幸あれ

自由を
無償の愛を
受け入れる体制は出来ている

光あれ
光あれ

世界は今
産声を上げたばかり

2005/02/11
DIES VENERIS a.D.IV KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.




=100:白い地図=

地図は
貴方が記せ

地図は
心に描け

白地図は
真実のみ記される

地図は
ただの道標

色を塗るのは
これから歩く貴方の仕事
委ねられる貴方の資質
試される貴方の価値観

白地図は
貴方の過去の為に
白地図は
貴方の現在の為に
白地図は
貴方の未来の為に

その道を記せ

白いキャンパスに
その生き様を示せ

2005/02/11
DIES VENERIS a.D.IV KAL.FEB.MMDCCLVIII A.U.C.


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: