ヒロガルセカイ。

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柊リンゴ

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2008/09/26
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カテゴリ: スーパーラブ(BL)
数分後、ようやくマンションに着くと望は車から降りて「うーん」と大きく伸びをして章人に笑顔を見せた。

「車は楽だね。満員電車は息苦しくて疲れるもの。あーあ。自家用車での通勤を認めてくれないかなー」

望がぼやくが夏になれば男性従業員はノーネクタイで、クールビズを提唱する予定だ。
車通勤が許されるはずが無い。

「無理だね。車があっても、せいぜい休日にドライブをするくらいだよ」
 章人は望を嗜ながら、休日が合致したらドライブをして一緒に過ごしていると気付いて今更ながらに驚いた。

(いつも一緒だ。しかし煩わしくなく、むしろ自然だ。この気持は一体何だろう)

章人が車をロックして部屋に向かおうとしたら望が呼び止めた。

「荷物を運ぶのを手伝って」
十八番のあひる口で章人を見上げている。
この場合は否と言わせない『必ずやれ』という事だ。
可愛い顔をしているが男である、荷物くらい一人で運べるだろうに甘えるのだ。

「重い物でも買ったの?」
助手席に乗り込んだ時は気がつかなかったが、望が分厚い紙袋を抱えている。
「ノンちゃん、何それ?」
「女性誌を二冊買ったけど分厚いのだよね。読むのも辛いけど仕事の為に情報収集だ」

前向きな気持があるからこそ微笑むのだろう。
章人は望と話していると誇れる仕事に就いたと感じる。
期待された新人の自覚はあるが、販売職の先に幹部の椅子が約束された訳では無い。
出世コースに乗るには切磋琢磨と自分を追い込み、ともすれば辛く考えがちだが、望といると何事も楽しく感じられる。

(貴重な同僚だ)

望に紙袋を持たされて共に帰宅すると、章人はキッチンに立つ。
急ぐ背中の向こうには、リビングでくつろぐ望がいる。

「ノンちゃん、スーツを脱いでハンガーに掛けておきなよ?」
「ん……」
返事はある、しかし元気が無い。おなかがすいたのだろうと、章人がチキンライスを温めながら振り返ると、望が手招きをしている。

「どうした?」
「この爪では脱げないよ。ねえ、脱がせて」
ソファーに寝そべりながら両膝を立てて、側に来た章人に手を伸ばした。
上着のボタンは外せたがこれ以上は折角の色が擦れて落ちてしまうと甘える。

「はいはい」
章人が上着を脱がせようとすると抱きついてくる。この体勢では脱がせられない。

「脱がせられないのだけど」
章人が文句を言うと、望がベルトを指した。

「金具が外せない」
「そう?」とぼやきながらも望の我侭を聞いてやり、ベルトに手を掛けた時に掌が望の股間をかすめた。
章人は胸の鼓動が激しくなった、望の股間が膨らんでいる気がしたのだ。

(まさか、ね)

「一人で脱げるだろう?」
「脱がせてよ」

(譲らないな。何を考えているのだろう)

章人は望の思惑が読めないまま、ベルトを除けてジッパーを下ろす。
そしてスラックスの内側にそっと両手を差し込み、片手でお尻を持上げ、もう片方でスラックスを膝まで脱がせた。
望の股間が自分の下腹部に当たる。
その感触は矢張り堅い。


「ノンちゃん、離れて」
「どうして?」


望の瞳が妖しく輝いて見えた。
濡れた唇が半開きで舌を覗かせるので、ようやく章人は誘いを掛けられたと気がついた。

心の芯に火が灯り、走り出しそうな本能が疼くが、章人はこの据え膳を前にしてもまだ煮え切らない態度を取った。

「あのね。オムライスを作っているのだから、食べられなくなっても知らないよ」
「あ、そうか」
(からかうのも程々にして欲しい)
「脱ぐから、拾って」
「は?」
「この色がスーツに付いたら嫌だもの」


(絶対にネイルカラーを落とさせよう!)

「色移りなんてしないよ。ふざけていると夕食が遅くなるぞ」
「はーい」

望は章人から体を離すと、膝を抱えながらスラックスを踵まで落とす。
その動作の一部始終は側にいる章人に丸見えだ。
徐々に露になる素肌と踵で留まっているスラックスも淫靡だが、シャツの裾から覗くいわゆる股の三角ゾーンに目を奪われた。

(無防備すぎだ、この格好では簡単に達磨返しをされるぞ)

望はそ知らぬ顔でソファーから降りて、踵で引っ掛かっているスラックスを片足脱いだ。
そして立ち上がりながらもう片方を脱ぐ。

(グラビアアイドルのバックショットだ)

落としたベルトに気付き、膝を曲げずに拾い上げようと、薄い下着に隠されたお尻を突き出した。
見えてしまった股間は女性のように波の曲線ではなく前方にやや尖った形状を包む。
そしてその小さなお尻の付け根、張りのある腿に章人は生唾を呑んだ。


(あれっ?)

同じ男の体である。
しかも初めて見る姿でもないのに、何故か鼓動が激しく、落ち着こうとしても足が地につかない。
シャツの裾から覗くお尻のチラリズムは男の欲望をそそるのだ。

(……俺はどうかしている!)

望は脱いだスラックスを手にしながら鼻歌まじりで自分の部屋に入った。
章人は望のあられもない姿が見えなくなった事に安心して、キッチンで再びフライパンを持った。



9話に続くのだ。段々、得意のエロが…。随分とご無沙汰ですが。


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有難いです。

●明日発売!絶対に入手だわ●

指穴カットソーです。欲しくてたまらんです。






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Last updated  2008/09/26 04:43:23 PM
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