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2015.10.15
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 僕には劣等感がいくつもあった、

 今も2つ3つはある、

 でも、小さな劣等感だから気にしない、

 劣等感は感受性の正常細胞が、

 がん細胞に転じたようなもの、

 そんなのしょっちゅう生まれて、

 しょっちゅう免疫細胞の餌食になっている、

 劣等感も同じで、

 小さなものはほっといていい、

 消えたり表れたりしてね、

 逆に負けん気を掻き立てられたりして、

 プラスになることが多い、

 だけど、

 増殖させて手に負えなくさせちゃ駄目だ、

 そういう劣等感をいくつも持っていたけどね、

 負の幻想なんだから醒めりゃいいか、

 そこに気づいてから正になっていった、

 1つ、例をあげて説明しようか、

 僕は5歳のときに耳を悪くし、

 やや難聴になった、

 音感を養えず音痴になった、

 それが引け目で、

 音楽の実技のある日は、

 朝から体調が悪くなり、

 学校を休んだ、

 でも、次の音楽の授業のとき、

 休んだものは歌わせられる、

 声が出ないんだよ、

 やっと振り絞っても蚊の鳴くような声で、

 音程もない、

 なんだありゃ、とみんなぽかんと見ている、

 もういいよと先生に解放され、

 自分の机に戻るときの惨めさったらなかった、

 高校で音楽が選択科目になったときは、

 ほんと嬉しかった、

 社会に出てからね、

 カラオケという天敵が出現し、

 僕は戦々恐々の日々を味わった、

 得意先の接待というと、

 飲んだあとはカラオケだもの、

 むろん僕はパスした、

 でも、何度もパスすると上司に呼ばれ、

 「大事なお得意を接待しているのに、
  なぜ歌わない。座がしらけるじゃないか」

 と、こっぴどく叱られた、

 別のときに、

 番が回ってきて、

 獄門首になるつもりで、

 ステージに上がって歌ったけど、

 やはり、蚊の鳴くような声で、

 かえって座をしらけさせた、

 このあと、考えが変わったのかな、

 音痴を引け目にしているのは、

 歌はお手本のように、

 ちゃんと歌わなきゃ、

 と思い込んでいるからだ、

 自分が歌いたいように、

 自分流に歌えばいいじゃないか、

 そうして、

 「勝手にしやがれ」を自分流に、

 精一杯の声で勝手に歌った、

 みんな最初、唖然とした顔になった、

 途中で凄いという表情になり、

 歌い終えたら本物の拍手が起こった、

 これだと思った、

 引け目に思っていたから、

 負の幻想は増殖していった、

 さらけ出して開き直れば、

 これは武器だと解った瞬間だった、

 ひと頃、僕の歌は、

 あちこちのカラオケで、

 バイオレンス演歌とはやされた、

 後年、

 テレビのバラエティー番組に露出を始めたとき、

 それは僕の特性の1つになった、

 もう1度言う、

 劣等感は負の幻想で、

 それを払拭してしまえば、

 ほかの人にはない特性に変貌する。



  よい子に読み聞かせ劇場はこちら ◆志茂田景樹のホームページ・
 本






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最終更新日  2015.10.15 16:07:54
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