仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.02.13
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カテゴリ: 宮城
昨日、新設校の校歌が披露されたとのニュースがあった。加藤登紀子の作詞作曲で、大高森や野蒜の地名も織り込まれているという。

宮野森小は今年4月に開校。野蒜小と宮戸小が統合することになり、現在は野蒜小学校仮設校舎で学んでいる。

この学校については何点か書きたいことがある。

まず、学校の「作り方」だ。早くから学校の復興の方向を住民と話し合い、統合方針が出てからは、統合準備委員会が、校名やデザインを一般から募集。地域の新しい歴史と、子ども達の未来を、みずから守り育てようという取組ですばらしいことと思った。昨年1月に、155点の応募の中から10点に絞り、野蒜と宮戸の住民投票を経て決定。ネーミングは、両地区の統合と「森の学校」の理念をこめたもの。

校章デザインは市内居住者からの公募。採用されたものが市のサイトに出ている。私は意匠や趣旨説明を評価できる能力がないが、率直に思うのは、願いをそのまま盛り込んだ手作り感がある。世界に通用する洗練されたプロのデザインとかでないのが、良い。

ちなみに、小野小学校と浜市小学校はすでに、統合して鳴瀬桜華小学校としてスタートし、鳴瀬一中と鳴瀬二中は鳴瀬未来中学校になった。

次に、新設校の場所。野蒜北部丘陵に移る。高台に森を活かした環境として、校舎や体育館も木造。子ども達が自慢できて、楽しく伸びやかに過ごせる学校になってほしい。

そして、建設工事業者の問題があった。いちど、昨年夏にアルファー建設が落札したのだが、なんと、市の8月臨時議会で全会一致で否決されてしまった。木材調達の見通しがないというのが表向きの判断理由だが、西日本から震災後に宮城県に乗り込んできたこの会社が、県内でさまざまな問題を起こしていることが背景にあると報じられた。9月議会で住友林業の議案が承認された。結果として工事請負金額は、1.7億円ほど高くなっている。

さいごに、校歌について。歌詞の全文がわからないのだが、新聞では大高森や野蒜の語があって地域の情景が盛り込まれたというのだが、TVニュースをみると「森、鳥、ふるさと」などの印象だった。耳ざわりはいいなあ。

鳴瀬桜華小の校歌「花になろう」は、松井五郎作詞、中村雅俊作曲。鳴瀬未来中学校は、やはりり加藤登紀子の作詞作曲。いずれも、「新しい」歌だ。山や川などの風土や歴史から説き起こすような、従来の「校歌観」とはまったく違っていて、それはそれでと思うのだが、まったく個人的には野蒜の築港にかけた先人の思いや、宮城県と東北の将来をこの土地が担おうとしていたことなど、一言でいいから入れてほしかった。校歌は、子ども達が一生忘れない歌だ。むかし祖先が童歌や謡曲のなかに、地域や一族の誇り、あるいは戒めや災害の警句を盛り込んだように、現代の校歌とは、代々後輩達に引き継ぐ地域の辞典のような側面があると思う。「今」と「未来」を重視して、生徒達の楽しい生活を歌い込むことは実に賛成ではあるのだが、「太陽、空、喜び」など、全国どこでも通用するような校歌で、それだけで良いのだろうか、と私個人は感じたのだが。これも時代か。

(野蒜築港を伝える遺構。津波被害を受けた。)
150507_1142~01.jpg

■関連する過去の記事(野蒜築港、大高森など)
野蒜築港跡を考える (2015年5月18日)
野蒜築港跡をたずねて (2015年5月8日)
久々に登る 春の大高森 (2015年5月7日)





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最終更新日  2016.02.13 06:31:33
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