活字と植物メンテ、クラシックの日々

活字と植物メンテ、クラシックの日々

2006/08/01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
親父の時代に
ブログがあったなら。


親父が、飲む。
飲む。
飲む。

食卓に置いた一升瓶。
押入れの中に保管してあった焼酎。

そして、
「早く買ってこい!」
と母を怒鳴りつけ、
買いに行かせる。

あるいは、
自分でよろよろになりながら、
どこかに出ていって飲む。


飲んだ親父は
最悪だった。

日々のいろいろな
やりきれないこと、
ばからしいこと、
憎んでも憎みきれないこと。

そういったものをすべて
飲んで飲んで
大声でぐだをまいて、
どこかに流そうとする。

しかし・・・
そう簡単には去ってゆかない。

だから、
また飲む。


飲むと何か言いたくなるのだ。
その対象者に直接、
面と向かって言わずに、
食卓で、
茶の間の長いすに寝転がって、
同じことばかりを
えんえんと繰り返す。

近くにいるのは
母と娘。
親父の話を
聞いているようで、
聞いていない。
適当にやり過ごそうとするのだが、
もう
うるさくてたまらない。

そんな家族に
いらだち、
「おい、聞いてんのか!!」
と怒鳴る。

一時期、暴力に発展していた。

祖母の所に、逃げたこともある。

近くに住んでいる兄が
親父をなだめに来たこともある。


親父だから、
我慢するしかない。

今の世の中だったら、
“殺人”なんていう
選択肢もあるのかもしれないが、
まさか、
そんなことが
できるわけもない。


だから・・・だから、
私は
高校卒業後、逃げた。
実家から、そして
北海道から
逃げた。

家を出たんだが、
“逃げた”
と言った方が正解だ。


何十年も経って・・・
パソコンに向かいながら、
親父のことを考える。

親父は酒を飲んで、
ほんと、いろんなことを
ぐだぐだとしゃべっていた。

ふと、思う。

私は大酒飲みではない。
飲んだとしても
人に迷惑をかけるような
飲み方はしない。

しかし・・・
私がこうやって、
自分のブログに書いている
あれこれの原点は・・・
親父がいろんなことに対して
くだをまいていたのと
同じなのではないかなぁと
だんだん思えてきた。


厳しい世の中のこと、
仕事のこと、
自分のケガや病気のこと、
身内のこと、
家庭のこと・・・

親父はほんとうに
いろんなことを言っていたけれど、
私も同じようなことを
このブログで書き続けている。
そして、なにかしら
発散している。


親父の時代に
インターネットがあって、
ブログがあったなら・・・
多少なりとも
飲んでわめきたくなるストレスを
発散できたのではないだろうか…。

書くことはたぶん、好きだったろう。

あの人は、
小学校の頃に書いた作文やお習字を
褒められてうれしかったこと、
何度も何度も
自慢していたからなあ。

親父がパソコンを打っている姿。
想像すると、
けっこう笑えるが。


それでも、
いくら、こういったネットで
不平不満を書いたからって、
全部が全部
解消できるわけじゃない。

親父が何十年も
生きてきた年月。

自分の親父なのに、
親父のことを
あんまり
わかっていなかったような
気がする。

いや、私自身が
親父のことを
理解しようと
していなかったのかもしれない。


ま、
しょせん、
人の心の中なんて
闇だ。





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Last updated  2006/09/05 12:38:48 PM


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