家曜日~うちようび~

家曜日~うちようび~

2020.01.19
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​その昔、妻の友人がうちに遊びに来た時、僕等に同棲中の婚約者について、こんな愚痴をこぼしました。

彼が、義母の「手作りパン」以外のパンを食べてくれない。
市販のパンはもちろん、有名店の一流が作った美味しいパンも食べない。
私の下手な手作りパンなどもってのほか、ハッキリと「悪いけど食べる気がしない」と言われる。
他の料理の好みに偏りはない。しかし、ことパンに限っては、頑としてお母さんのパン以外受け付けない。
デート中でも、義母から「今、パンが焼き上がった」旨の電話があると、必ず実家に寄って焼きたてパンを受け取る。
確かに義母の作ったパンは、とても美味しい。けれども、何とも複雑な想いがする。

うーん、なるほどね。「人をダメにする家庭料理」の典型的なパターンね。

んで、そん時僕、何やら深刻な様子の彼女を和ませようと、こんな冗談を言った。

んじゃ 「究極の選択」 っす!

ショックなのは、どっちーーー!?

最近ダンナが私の手料理にあまり手を付けず、そそくさと自室に籠ってしまう。
まさか部屋で隠れて、こっそり何か食べているのではないかと思い、そーっと覗いてみると・・・。



 暗がりで「義母の手作りパン」をむさぼり喰っていた。​

さあ、どっち? ねえ、どっちがショック?

そしたら、彼女、憤慨の形相で、

決まってます!

つって、以後ご機嫌斜め、話そこそこに帰っちゃった。

・・・ははは、悪気はなかったんすけどねえ。

今思えば、意地悪な質問をしたかもしんない。ごめんなさい。

彼女、最近音沙汰ないが、「ママのパンしか受け付けないダンナ」と息災に暮らしているだろうか? ま、余計なお世話か。

そう言えば、会社の部下にも 「僕は、家の畑で採れた無農薬野菜でお母さんが 作った漬物があれば、何もいりません!」
と、爽やかな笑顔でニカッと笑う三十路前の社員がいるが・・・。
すんげー好青年なんだけどねえ、いまだに彼女もおらんし、とにかく食事が過度に偏食で・・・。
彼、これから、どんな女性と出会い、結婚してどんな衣食住を共にするのだろう? いささか心配。
ま、これも余計なお世話っすね。

でもまあ、母の家庭料理が美味すぎるってのも、時に、場合に、これ、罪な話だねえ。




さあ~て、今回のZ級グルメは?

ご存知、「チキンラーメン」!




うおお! こいつぁあ、ただのキチンラーメンじゃねーぞい!

「やみつき旨辛 アクマのキムラー」 ときやがったかコンニャロー!

こう言っちゃなんだけど、僕と「日清食品」の付き合いは、長げえぜ。そして、深けえぜ。
思春期の頃、母が夜遅くまで働いて家にいねーから、妹と二人で「日清食品」ばかり食べていたからな。
なおかつ、僕の母は、僕が高校を卒業してから二十歳ぐらいまで、僕に一切メシを作ってくんなくてね。
当たり前だ。定職に就かず、バイトも続かず、実家に食費も入れぬバカ息子に、喰わすメシなど無いってこった。
「お願いだから、さっさと出て行って下さい。これが母の愛です。」 とか言われたもんだ。とほほ。
だから当時の僕は、夜中に母の食べ残しを漁るか、なけなしの金で買った「日清食品」を食べ、飢えをしのいだ。

僕の血と骨は、日清のチキンラーメンとカップヌードルで出来ている。と言っても過言ではない。ははは。

いやあ、当時流行り始めた「ニート生活」が出来ると思ったんすけどねえ。
やっぱあれね、「引きこもり」になるには、先ず衣食住が整った環境が最低限必要なのね。
僕、腹ぁ減ってしょうがねーから、しぶしぶ働き始めたっちゅーの。ははは。
まあ、あの頃、労働の義務を果たさぬバカ息子に、雨風をしのげる実家の一室をタダで貸してくれた母には、感謝しかねっす。




どんぶりにチキラ入れてお湯かけて、付属のカヤクとラー油をかけるだけ。

でも今日は贅沢に、生卵と白いご飯までつけちゃうわん。

いや~出世したもんだ。オラぁ、がんばっただよ。

当時はチキラのこと、

苦し紛れに 「米」 って呼んでたもんなあ。

チキラにお湯をかけること、

「炊く」 って自分に言い聞かせたもんなあ。




ラップをかけて、生卵を蒸らしまーす。



2・3分待ったら、はい、出来上がり。

僕はこのように、はじめに黄身をプチンと潰してからいただく派です。


母は晩年、幼い頃僕が 「お母さんの作ったコロッケは世界一だね!」 と言ったことを、
ことあるごとに、それはそれは嬉しそうに語ったが・・・。
正直僕は、自分がそんな発言をしたことも、その母のコロッケの味も、これっぽっちも憶えていない。

そんな僕だから、 「おふくろの味が、どうたらこうたら」 というたぐいの話を、
妻に一度たりともしたことはない。味覚が鈍いのよね。出来ようはずがない。

結婚当時、妻の料理は、お世辞にも美味いとは言えない代物だったが、
半月も妻の手料理を食べ続けたら、僕の味覚は、すっかり妻の味付けが基準となった。

僕は、妻の手料理を、世間の味と比べたことが無いので、
妻の手料理が、よそ様の舌を唸らせることが出来るものか否か、よく分からない。

ただ、妻の料理は、いつもふつーに美味しい。

僕にとっては、それで十分だ。

世間にゃ、グルメだとか亭主関白だとか、喰いもんにうるさい男が多いようですが・・・。
てか、作ってもらっといてガタガタ言うなっつーの。黙って喰え、黙って。

だからね、U子さん。

ダンナの味覚が鈍いと嘆くなかれ。

それはそれで、実は夫婦円満の秘訣かもしれませんよん?

なんちって。




僕は、いきなりかき混ぜず、食べる分だけホロホロと麺をほぐしながらいただきます。

うーん、旨し! そして辛し! 是非ご賞味あれ!

なんかね、生物的には、男性より女性のほうが、そもそも味覚が発達しているんだって。
これは、その分野の研究では明確なことらしいよ。
んじゃ、世間には何故女性の料理シェフが少ないのかと言うと、
女性はホルモン分泌の変化で、日によって味覚に変動があるようで、
プロとして安定した味をお客様に提供し続けるのが、男性に比べて難しいとのこと。

この事実を踏まえ、家庭で理想的な料理の作り方を実施するとすれば、

鋭い味覚の妻の指示のもと、安定した味覚の夫が料理を作る。これが理論上ベストかと。

・・・でもなあ。

僕が作った変わらぬ味を、日々味覚が変動する恐妻が、毎日試食するわけでしょ?

怖ええよお。

うわああ、考えただけで、おぞましいよお。


・・・あの~、やっぱ僕、食べる係でいいっすかあ。

てか、もう僕は、妻の家庭料理で、人としてダメになりたい!

美味しい家庭料理を食べ過ぎて、ダメダメ人間になってしましたい!

てか、毎日誰かが美味しい料理を作ってくれる、この幸せは何だ??

当たり前じゃねーっちゅーの!

ダンナもガキも、感謝しさらせっちゅーの!!


は~い、すみません。


まあよ、食器ぐらいは、運ぼうぜ、みんな。



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最終更新日  2020.02.16 06:21:21
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