家曜日~うちようび~

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2021.09.19
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 トンテキ、どーん。





 大変美味しゅうございました。


 さて。


 39度出たっす。

 コロナワクチン二回目の副反応、漏れなく、高熱ゲットンっす。

 接種後半日を経過しても何ら不調を感じなかったので、

 フン、ワクチンめ、楽勝、克服してやったりニャロメロン。

 なんつって余裕ぶっこいていたら、夜中に激しい悪寒に襲われ、ガッタブル。

 僕、普段から風邪もあまりひかず、おかげ様で体調も崩しにくい体質なので、

 逆に高熱に対する免疫が心身共にまるで備わっておらず、

 もうそっからは、隣で寝ていた妻を叩き起こし、

 さささ寒い! 毛布を持ってこい! まままだ寒い! 毛布をもう一枚持ってこい! 

 おい君! アイスノンを持て! おい君! 解熱剤飲ませろ! こら君! 余は喉が渇いたぞ!

 君よ! 頼む! 体をさすってくれ! 君よ! そっと手を握っておくれ! 

 何だかなあ、さっきから君は、もっと何つーか、病人を献身的に励まそうという気がないのかあああ!

 と、晒せるだけの弱音と醜態を晒しまくったのであります。

 一晩中毛布に包まって、ガタガタ震えながら考えていたのは、今の若者たちのこと。

 ワクチンを打ちたくても打てない若者たちよ、誠に申し訳ない。溢れんばかりの未来を抱えた君たちを差し置いて、先々長くもない将来に何の希望もないこんな中年のおっさんが、君たちより先にワクチンを打ってしまった。
 僕は心の未熟な若者たちより幾ばくか分別のついた大人です。僕には理性をもって自粛生活、感染拡大防止に努める人生の経験値があります。僕のことなら心配ご無用。どうか、ワクチンは未来ある若者たちへ優先的に譲ってあげて下さい! と声を上げて勇退することだって出来たのだ。でも、実際はどうだ? そんな選択肢はまるで頭を過ぎらなかった。他の多くの年配者と一緒に我先にとワクチンの接種権を奪い合った。普段から偉そうなことをほざいている政治からも世論からも、是非とも未来ある若者に優先的にワクチンを! なんて声は微塵も上がらなかった。僕たち年寄りは若者のことなど眼中になく、至極当然のように挙ってワクチンを接種し散らかした。
 要するに今の若者たちは、このコロナ過において、青春を自粛せよ、恋愛を自粛せよ、と迫られているのだ。友と肩を組み合い恋人と唇を重ね合うことが当たり前だった我々の世代では、想像しがたい事態だ。酷な話だ。青春も恋愛も、大人からすれば不要不急であっても、若者からしたら重要緊急だ。それは今も昔も変わりはしない。
 若者の皆さん、ごめんなさい。こんなポンコツが我先にとワクチンを接種してしまって。きっとこの副反応は、バチなのだ。バチかぶったのだ。本当にごめんなさい。許してください。もうしません。ごめんなさい。もうしません。ごめんなさい。もうしません……

 自責の念にうなされ朝が来た。

 翌日は大事を取って会社を休んだ。

 日中は熱が上がったり下がったりで、夕方になって何とか平熱に戻った。

 その晩、僕は、何事も無かったように平静を装い妻に言った。

「まあ、今回あえて、老後に君が僕を介護する時の予行練習を行った訳だけど。うん、良しとしましょう。昨晩の君の介護につきましては、概ね合格点をあげて差支えないでしょう。あは。あはは」

 妻のやつ、額に入れて飾りたいぐらいの見事な呆れ顔。



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最終更新日  2021.09.19 17:24:01
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