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2004年02月12日

『ナックルボールを風に』　山際淳司

(6)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91764)

カテゴリ：カテゴリ未分類

空気の流れと湿度が球を運んでゆく。
変化球を追いながらスポーツの世界を垣間見る、山際淳司のノンフィクション！

この人、好きなんです。
（いつも以上に言うことがめちゃくちゃかもしれませんがご勘弁を）
『Ｎｕｍｂｅｒ』の創刊号に掲載された『江夏の２１球』が注目を集め、数々のスポーツノンフィクション作品を発表。ＮＨＫのスポーツキャスターとしても活躍。

この人みたいになれたらなぁーと思ってた。（本当に漠然とではあったが）
スポーツにこれだけスマートに接していた人っていないのではないか。
こんなこと言いつつ、それほど深く知っているわけではなくイメージ先行なんだけれども。とにかく格好良かった。

淡々としてクール。知的でダンディー。
どこか涼しげ。でも奥には激しい情熱が！！！
って何を言っているんだか。すみませんです。

収録作品で気になったものを挙げてみる。

『プロローグ　―　ホームタウン』
“野球は【ホームイン】するのを見るゲーム”　ｂｙ　寺山修司
　そして今日も、男たちはホームへ帰っていくのであった。

『落球伝説　―　池田純一』
ある１試合のセンターフライの落球。ゲームは逆転負けを食らう。
　単に運が悪かっただけのはずが、その年チームは１ゲーム差で優勝を逃し…
つくられてしまった伝説。こういう事は良くあるだろう。でも真実を表してはいない。ラストは救いというか、微笑ましい。

『スクイズ　―　西本幸雄』
江夏の２１球を、近鉄サイドから。西本監督が出したスクイズのサイン。
　それは２０年近く前のあのシーンを思い出す結末となった。
西本さん自体に対する興味もありますが（前日紹介の『球心蔵』でも二軍監督として登場）、紙一重の勝負の分かれ目が面白く怖い。

『熱球投手　―　金田正一』
９月に入っても２０勝出来ていないという最低のコンディション。
　巡ってきた“勝ち”のチャンスに交代を告げない監督に対して金田は…
いやはや、昭和３３年（長嶋デビュー）の４月で１０勝！ってところだけでも驚きです。

『敗戦投手　―　加藤初』
個人的に好きな投手だったので楽しみだったのですが・・・話が短すぎた。３ページ。

『つぶやき　―　足立光宏』
昭和５１年、阪急　対　巨人　の日本シリーズ。ともに３勝ずつの第７戦。
　阪急４－２のリードで迎えた９回裏、巨人の攻撃。マウンドにはベテラン足立。
大興奮の後楽園で、マウンドの足立がつぶやいた言葉に震えます。

『７回戦　―　小林繁』
後半７回になると突然、制球力が落ちる阪神の小林。マウンドでの孤独。
それまで当然のように出来ていたことが、ある瞬間できなくなるかもしれないという思い。私はピッチャーではありませんが、この不安感はよく分かる。洋弓で散々悩まされました。

いづれも力むこともなくサラリと読めます。一編一編も短い。
スポーツ新聞とはまた違った楽しみ方、スポーツの観方が味わえます。

１９９５年に逝去され、もうその姿を見ることはできませんが、手元に『山際淳司　スポーツ・ノンフィクション傑作集成』文藝春秋（定価４８００円）という８００ページ近い本があるので、今後の人生でじっくりと味わいたいと思います。

以上で、キャンプイン記念野球シリーズは一先ず終了。
【小説５（うちミステリー３）、エッセイ１、ノンフィクション１】
『スカウト』後藤正治　などは、また機会があればそのうちに。
何か野球関係でお勧めがあれば、教えてくださるとうれしいです。
既読は、『魔球』東野圭吾、『野球の国』奥田英朗　くらいです。

『ナックルボールを風に』　山際淳司　角川文庫（昭和63年7月初版発行）

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最終更新日 2004年02月21日 14時13分14秒
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■コメント

Re:『ナックルボールを風に』　山際淳司(2/12)

かま玉うどんさん

このところの野球シリーズ、いつも以上にmaoさんの思いが込められていますね。 『江夏の２１球』はドキュメンタリー番組になってましたよね、確か。 山際淳司は、名前は知ってましたが、具体的な作品等はしりませんでした。 とても興味深いです。今後著書を探してみます。 あと、金田正一。 ビートたけしの対談集『巨頭対談』での現役時代の破天荒ぶりがおもしろかったですよ。 (2004年02月15日 01時36分23秒)

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Re:Re:『ナックルボールを風に』　かま玉うどんさんへ

123mao さん

＞このところの野球シリーズ、いつも以上にmaoさんの思いが込められていますね。 普段はクールなんですが。って違うか。 思いを感じて頂いて、うれしいです。 ＞『江夏の２１球』はドキュメンタリー番組になってましたよね、確か。 あ、そうなんですか！（って何も知らない私） 活字にしただけでもかなり伝わってきますが、映像を交えると更に深みがますでしょうね。 ＞あと、金田正一。 ビートたけしの対談集『巨頭対談』での現役時代の破天荒ぶりがおもしろかったですよ。 やはり只者ではないですよね。 このエピソードの時も、監督を無視して自分で交代を告げたというように書いてあります。本人の証言なので、どこまでホントかわからないですけど。４００勝は凄すぎます。 (2004年02月15日 10時24分04秒)

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Re:『ナックルボールを風に』　山際淳司(2/12)

夢の助1039 さん

「江夏の２１球」に関する思い出を過去に書き込んだ記憶があったので、探してみたけど、見つからなかった。掲示板に直接書き込んだのかな?、それとも記憶ちがいか? その思い出とは、学生時代、書店でアルバイトをしてたとき、見本として配れた宣材用の「Ｎｕｍｂｅｒ」創刊準備号をもらって、それで読んだというもの。 非売品でプレミアがついてたその号は、ネット・オークションで売ってしまった。今では、少し後悔している。 『江夏の２１球』は、創刊準備号で話題を呼んだので、創刊号に再録されたのだと、聞いてるけど…。 テレビのドキュメンタリーも見た。近鉄の最後の打者(名前忘れたけど、石渡だっけ?)とかの証言とかあったこと、記憶してる。 山際さんの熱心な読者ではなかったけど、NHKのキャスターをやってたときの、語り口は好きでした。maoさんがおっしゃる通り「淡々としてクール。知的でダンディー。どこか涼しげ。でも奥には激しい情熱が！！！」という感じで。人柄なんですね。たぶん、文章にもそれがそのまま出てるのでは。 (2004年02月15日 16時05分59秒)

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Re:Re:『ナックルボールを風に』　夢の助1039さんへ

123mao さん

＞「江夏の２１球」に関する思い出を過去に書き込んだ記憶があったので、探してみたけど、見つからなかった。掲示板に直接書き込んだのかな?、それとも記憶ちがいか? 私もお話を聞いた覚えがあります。探しましたが見付かりませんでした（涙）検索とかできればいいのに。 ＞『江夏の２１球』は、創刊準備号で話題を呼んだので、創刊号に再録されたのだと、聞いてるけど…。 そうなんですか！それにしても創刊準備号、プレミアまでついているとは！惜しかったですね。『ダ・ヴィンチ』の創刊予告の紙ッペラじゃだめかな～。（この間掃除したらたまたま出てきた） ＞テレビのドキュメンタリーも見た。近鉄の最後の打者(名前忘れたけど、石渡だっけ?)とかの証言とかあったこと、記憶してる。 そうです、石渡です。私も何度かチラッとこのシーンの映像を見たことはあります。２１球の特番ではなく。 ＞山際さんの熱心な読者ではなかったけど、NHKのキャスターをやってたときの、語り口は好きでした。 賛同していただいてうれしいです。ニュースは再放送されないからなぁ。そこが少し悲しいです。 ＞人柄なんですね。たぶん、文章にもそれがそのまま出てるのでは。 ----- どうもです。えぇ、文章もそうですね。涼しいです。 (2004年02月15日 20時14分10秒)

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Re:『ナックルボールを風に』　山際淳司(2/12)

higashiao さん

野球ネタに反応しました＾＾ 山際淳司さんでは『スローカーブをもう一球』というのを読んだかすかな記憶が・・・・ ちなみに「江夏の２１球」はビデオ買いました。フフ えーっと、奥田英朗『野球の国』読みましたよ。 この方の野球に対する考え方が、あまりにも自分と似ていたので驚きました。 「ウンウン、そうそう」とうなずく事しきりでした。 無性に野球を見に行きたくなりましたね。 野球ネタの本、あまり思い出しませんが 岡嶋二人『ビッグゲーム』、西村京太郎（？）『東京ドーム殺人事件』 タイトルを忘れましたが、先発ピッチャーの息子を誘拐して「八百長をしろ」と脅かす話とか。 最近では元ダイエー秋山幸二さんの『卒業』でしょうか。 ではまた～～ (2004年02月20日 22時10分21秒)

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Re:Re:『ナックルボールを風に』　higashiaoさんへ

123mao さん

＞野球ネタに反応しました＾＾ 山際淳司さんでは『スローカーブをもう一球』というのを読んだかすかな記憶が・・・・ さすがに読まれてますね～。そちらは未読なので次の機会に読んでみます。 ＞ちなみに「江夏の２１球」はビデオ買いました。フフ おぉーーっ！いいですね。 もしかして山際さんが出演なさっているなんてことは… ＞えーっと、奥田英朗『野球の国』読みましたよ。 無性に野球を見に行きたくなりましたね。 ですよね！行きたくなりますよね。 私もかなりうなずける部分が多かったです。 ＞野球ネタの本、あまり思い出しませんが 岡嶋二人『ビッグゲーム』、西村京太郎（？）『東京ドーム殺人事件』 そうそう！岡嶋二人を忘れてました～。 実は最近買ったばかりで、この機会に読んでおこうと思っていたのに…。プロ野球開幕の時に読みます。情報ありがとうございました。 (2004年02月21日 14時13分14秒)

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