金色の咆哮



幾度も、打ち据えられ。
何体もの敵に立ちはだかられ。
幾度己の血を大地に捧げたことだろう。

自覚したのは力量。
体躯は堂々たるもの、されど未だ邪悪に敵わず。
素早い攻撃を繰り出す軽やかな動きも、
仲間を守る癒しの力も、敵を絡めとる魔力もなく。
未熟さに言葉失いつつ、彼は立ち上がった。
必要なだけ眼を上げ、手で砂や岩を掘り進むように。

最早、彼の名に見合う力を疑うものはいない。
誇り高く、されど倣岸にはあらず。
今や、彼は大陸を縦横無尽に馳せる。
強大な敵に、怯むことなく。

両の手に己を保ち、闊達に険しい山道を駆け上がる。

今や名に恥じぬ一人の戦士の声なき咆哮は、知る者
の心に笑みすらもたらす。

昏き雲を切り裂く黄金の陽のように。

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金色の獅子さんに


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