メンバー紹介【8】師弟していい?


弟子にしろ、師匠にしろ、最初がギルド外部の人だったため、
色々ご迷惑をおかけしたように思う。
ログイン時間が合わないとか、ギルドのことで忙しいとか。
お二人とも、お元気で過ごしておられるよし、何より。

まあ、未熟なマジシャンは、気楽な一人ものだと思っていた。

ところが、ある日。
「実は、頼まれて欲しいんだが」

歯切れ悪いマスターに紹介されたのが、聖騎士の「ょ」君。
本来なら同じ聖騎士に師になってもらうのが良いけれども、
その時、ギルドメンバーの聖騎士は皆、弟子持ちだった。

不安があるにはあった。
何せマイペース、ログイン時間もまちまち。
それで彼を手伝えるのだろうか。

「えぇ、駄目マジですが、私でよろしいでしょうか」
「変態でもよければ」

……駄目マジの弟子が変態!
不覚にも大受けしてしまい、奇妙な縁は成立した。

同じギルドでも、必ず組めるとは限らない。
時間が合わず、なかなか挨拶できないこともある。
けれど、彼はいつも丁寧だ。
最初の一言、ほぐすために言ってくれたのかな、とも思う。

未熟者だけど、彼に少しでも助けとなれるよう、頑張ろう。
思えるようになった頃、また渋い顔である人が切り出した。

実は手違いから、一人縁が切れた人がいる。
もちろん、そのままでは元に戻れないので、空いていれば、
彼を弟子に、とのこと。
で、私はその人の弟子になれば、繋がりは持てる。

不思議なことだ。
極楽とんぼ、流れるまま、いなきゃいないでいいのさ、と、
思っていた身に、今は師匠も弟子もいる。

誰かをつなぐ鎖の端に、再び自分が存在する。
人は独りなのに、一人では終わらない。
知らない人と、何時の間にか何処かで繋がってゆく。

今日は、「ょ」君が私のいる時間に現れた。
良かった、挨拶して、少しばかりあがったようだ。
またこっちも頑張るよ。

「あれ?どこ?」

?どうしたんだろう、急にやたらと呼ばれる。
パーティは抜けたはずだし、アイテム受け渡しもないはず。
うん、いいよ、すぐ戻る。
で、何の用事だったっけ?

……あ。そうか、この人も弟子だったんだ。
すっかり忘れてたよ。
今夜辺り、師匠もふん捕まえねば。向うも忙しい人だし。

というわけで、未熟者だけど、これからもよろしく。



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