お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

あいちゃんとの再会



NICUには入り口の電話であいちゃんのベットの番号をおすと、担当の看護師さんがドアを開けてくれるしくみになっていました。 ドアをはいると、病室は右と左に別れていました。 左の病室はとてもおおきくって、比較的軽症の赤ちゃんが入院しているようでした。看護師さんたちは、 あいちゃんは右の部屋にいました。右の部屋には6つベットがありました。 どのベットの周りも、機械でいっぱいでした。 看護師さんもたくさんいました。1人の赤ちゃんに、最低2人の担当看護師がいるようでした。

私が部屋にはいったとき、あいちゃんは先生達にかこまれて、超音波の検査をしていました。 脳の状態を調べているということでした。 私と主人はじゃまにならないように、遠くからながめていました。 ちいさなあいちゃんは、おおきな先生達にかこまれていて、私には見る事ができませんでした。 しばらくすると、担当の看護師さんが、“昨日より、見違えるほど元気です。”と教えてくれました。主人は私には言いませんでしたが、昨夜あいちゃんは危険な状態だったようでした。

検査が終わって先生達が部屋から出て行くと、主人は私の車椅子をあいちゃんのベットの横まで押してくれました。 そこで私がみたあいちゃんは、チューブをたくさんつけて、おむつだけはめて横になっている姿でした。 そして、頭には点滴のはりが刺さっていました。 いたいたしい姿でした。 私の目からは涙がこぼれ落ちました。“ごめんね。こんな思いさせてしまって、ごめんね。”心のなかで、なんどもなんどもあやまりました。

そんな私の姿を見て、主人は“外に出よう”と言いました。私達はNICUのすぐとなりにある中庭に行きました。そこで主人は“あいちゃんの前で、泣くのはやめよう。がんばっているんだから。”と言いました。

主人と私は、あいちゃんの前ではなかない事を約束しました。主人も私もこの約束を、あいちゃんが亡くなる日まで守りました。




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