尾瀬の麓、片品村でのむらづくり記録

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ozemura

「私」が歴史の賜物というとちょっと大げさですが、まんざら間違いではないと思えてならない昨今です。昔の人のことは「私」が一番良く知っているとのちょっと欲張りの思いで、楽天ブログ「小説　東田代村」号の処女航海に船出をしました。

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教育

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私の先祖

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2005年03月06日

20ー金山のおっちゃんー

　たんちょは東庵が東田代に現れなくなったので、「金山のおっちゃん」のことを案じていた。よくイエズスや天父のことばかりでなく、いろんな話を教えてくれたからだ。

　東庵のその後の所在ならびに死亡が世間に伝わらなかったのは、彼の名前に理由があった。

　たんちょは、のちにそれに気づいた。そして、問いかけるように祈った。

[ゼウスさま、東庵さんは、本名ではありませんですよね。これは、切支丹名でアントニオ、つまりアン（庵）トニオ（東）から来たものですね。隠された意味のある姓名なのですね。]

「よく分かりましたね」
　との答えをその時得たのだった。

　誰からともいえないその声は、
「そうせざるを得なかった」
　と付け加えた。

「あなたの名前ーあるいは先祖の名前ーにも、もしかしたらそうした隠れた意味があるかもしれない」
　とも言い残して、その声は消えた。

（もしや…やっぱり、そうですか）
　自分の名前について、心の奥が騒いだ。

　そんな体験をしてしまい、しばらく放心状態に陥った。

　それから、人前では東庵のことを決して口にはしなかった。

　名前の由来ーー。推し量ってみるのもまんざら馬鹿げたことではないかもしれない。もちろん、切支丹とは限らない。

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