読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2007.05.01
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カテゴリ: 小説
愛犬ゴールデンレトリバーのポポが、隣家のワルガキを噛み殺しちゃった。
ポポは、ちっとも悪くない。ポポはいじめられて怯えて、正当防衛をしただけのこと。
ただ、大型犬だかから力が強すぎただけ。
だけどもちろん、世間はそうは見てくれません。なぜなら、ポポは犬であり、被害者は人間だから。
このままじゃポポは保健所で殺されてしまう。
その家のお母さんは、信じきれない夫や好き勝手ばかりしている娘のことで冷え切った家庭の中で、孤独に暮らしている。
子宮の手術以来体調が思わしくなく、更年期障害もひどい。
夫の実家や親戚ともうまくいっていない。
お母さんにとっては本当の家族と呼べるのは、ポポだけだったのです。
家はマスコミの記者やレポーターに取り囲まれているし、家族はポポのことを既にあきらめている。
悩んだお母さんは、夫の通帳を持ってポポを連れて、自転車で家出するのです。
いろんなことがあった末、関西の山奥の古い別荘に住むようになったお母さんでした。
山の生活を送るうちに、お母さんもポポも野性に戻り、人間の(犬の)あるがままの姿を取り戻していきます。

ペットの問題や更年期を迎えた女性の心理、田舎暮らしにあこがれる都会人の底の浅さなど、いろんなテーマが盛り込まれた小説でした。
山暮らしの隣人である陶芸家の、山にこもる以前の生活についてとても簡単に説明されているけれど、これはもっと書き込んで読ませて欲しかったなあ。
また逆に、物語の終りには、夫が妻に言えなかった悩みが語られ、ほんとうはいい旦那さんだったってことにしてあるけど、これは蛇足というものでしょう。

関西に住む出来の悪い姪(今は玉の輿に乗っている)に脅迫めいたことを言って協力させるあたりは痛快で、「けっこうやるじゃん!」ってうれしくなってしまいました。
主人公と同じ年代で、主人公と同じ専業主婦の私。人を脅迫して言うとおりにさせるなんて、いい気持ちだっただろうなあ。





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Last updated  2007.05.01 08:31:52
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