読書の部屋からこんにちは!

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2008.01.10
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カテゴリ: その他の本
「小話集」とか「川柳集」とか、ちょっと笑えるおもしろい本と銘打った本ってよくありますね。実は私は、そういう本で「おもしろかった」「よく笑えた」と思ったことは一度もありません。
たいていは、クスリともしないし、顔の筋肉もほとんどゆるまない。読み進むうちに、たまーにニヤリとする程度のことです。そういう本はたいてい「笑いでストレスを解消しよう」とかいううたい文句がくっついているものですが、そういう効果はまったくないと断言してもいいです。



だけど、この本 「必笑小咄のテクニック」 は、看板に偽りありません。本当に「必笑」でしたよ。私は電車の中で読みましたが、ときどき声を出して笑いたくなって困ってしまいました。



この本は単におもしろい話を羅列しただけではありません。
そのおもしろさを分析し、同じおもしろさの小咄を豊富に紹介し、さらに読者にオチを作らせようとします。(掲載の小咄は、昔からある有名なものや小耳にはさんだものや、自作のもの、いろいろでした)
普通、この小咄がなぜおもしろいか・・・なんていう理屈を述べられるとしらけてしまうものですが、ここはさすがに米原万里さん、底抜けの明るさと洞察力で、ジョージブッシュや小泉純一郎らもまな板に乗せられ、痛烈な小咄の主役とされて、それがまた納得させられるおかしさなのです。
そしてそして、なにしろシモネッタ・ドッジの異名をとる米原万里さんですから、下ネタも多く、それが下劣になる寸前にさらりとかわして爆笑させる、その異才。本当の才女とはこういう人のことをいうんだなあと感心してしまいました。

ここにいくつか紹介しようとおもったのですが、どれもこれもおもしろくて、ご紹介したいものばかり。迷うな~
こういうのはいかが?

まず男はあわてることなく優しい手つきでスカートを下ろした。それからゆっくりとブラウスをはいだ。次にブラジャーのホックを外して引っ張ると、ブラジャーはそのまま男の足もとにはらりと落ちた。それから男は一気にパンティーを引きずりおろした。
今や男の目の前には、むき出しの・・・・・洗濯ロープがあった。



ところでこの本のあとがきには、米原万里さん自身が、自分の病気(悪性の卵巣腫瘍)について触れています。つまり、この本は、彼女の壮絶な闘病の日々のさなかに完成させた本ということになります。
そんな時に、よりによってこのような本を・・・と絶句しましたが、米原万里さんの人間としてのスケールの大きさと、度量の深さに圧倒され、心から惜しい人をなくしたものと悲しみにうたれました。





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Last updated  2008.01.10 09:20:25
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