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個人情報保護法、J-SOX法が施行される中、経営者の誰もが「コンプライアンス遵守」を叫ぶ――この状況って、80年前の日本に似ていないだろうか――。天の邪鬼な自分としては、このタイトルに惹かれて読んだのだが、なかなか読み応えのある内容だった。
著者は、東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを歴任する法曹界のプロ。そのプロをして、「法令の存在意義は、国がやっていることに間違いはないとの信頼を与える『象徴』にしか過ぎなかった」(132ページ)と言わしめている。
著者は、「コンプライアンスを『組織が社会的要請に適応すること』と定義」(114ページ)している。「法令遵守」とはルールを守ることではなく、社会要請に応えることが目的と説く。
「法令の背後には必ず何らかの社会的な要請があり、その要請を実現するために法令が定められているはず」(102ページ)なのだから、われわれは、まず社会的要請を把握した上で、ルールに従うという順序を踏まなければならない。社会情勢が変化し、その要請する内容が変わったら、ルールも変えなければならない。
うちの会社にも多くのルールができた。まずは、これらのルールの背景を知り、それが分からなければ経営者に質問していこうと思う。
■メーカーサイト⇒ 新潮社 「法令遵守」が日本を滅ぼす
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