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ベストセラー本である。なぜ若者は3年で辞めるのか――「若者」だけでなく「中年」の私ですら、数年で会社を転々としている。
いくつのも会社を見て違和感を覚えたのは、ほとんどのプロパーは、会社でキャリアを育ててもらっているという感覚を持っていることだ。これが自分とは決定的に異なる。それが会社を転々とする理由の1つである。学校も会社も、自分のキャリアを磨く場になることはあるが、キャリアの育成はしてくれない――だから、転職することでキャリアを育てている。
冒頭で、筆者が面白い指摘をしている。「なぜ、若者はかくも仕事にこだわるようになったのか。実は、理由ははっきりしている。採る側である企業の、人材に対する考え方が一変したためだ。」(33ページ)――つまり、自分のやりたい仕事、会社に対する思いが明確な社員を採用するようになったため、実際の業務とのミスマッチが生じ、若者が辞めていくというのだ。さらに、人事部門と事業部門のミスマッチ、管理職と技術職のミスマッチも潜んでいるような気がしてならない。
さもありなん。
私は現場の技術者として採用担当をサポートするとき、やる気のある若者を採用したいという思いはあるものの、採用後、彼に仕事をつくってやれないかもしれないというジレンマに襲われる。彼の仕事が用意できるまで待ってくれればよいのだが、変化の激しいIT業界である。1年待てというのはナンセンスだ。そもそも、変化に1年も2年もかかるような会社だったら、自分が辞めている(苦笑)。
さらに優秀な人材は、会社に自分のやりたい仕事を持ち込んでくれる。ところが、そこに、経営陣がこの仕事を好むかどうかという大きな壁が立ちはだかる。もっとも、そういう仕事を好まないような経営陣がいる会社だということが分かったら、自分もすぐ辞めるわけだが(苦笑2)。
いずれにしても、自分がこうだから、彼らのことは「わがまま」とは思わない。
では、会社はどうしたらいいか――私は「去る者は追わず」でよいと思う。ミスマッチが生じたら、会社も従業員も不幸である。仕事をしないで退職金を持って行かれるなら、さっさと辞めてもらった方がお得である。
では、辞める気分になってしまった従業員はどうか――転職して成功するには、それなりのリスクがある。レールに乗って歳だけとれば目的地に連れて行ってもらえるというような楽なものではない。座学するにせよ技術を磨くにせよ、一生精進しなければならないことは確かだ。そんな苦労をしたくないなら、会社の部品として組み込まれることをお勧めする。それはそれで良いことだから。
苦労しても得るものは少ない。給料もポストも約束されない。それでも苦労したいという天の邪鬼がいたら、頑張っていただきたい。いつか、どこかで、私と会うことがあったら、私はまちがいなくあなたを応援するだろう。
■メーカーサイト⇒ 光文社 若者はなぜ3年で辞めるのか?
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