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小惑星探査機「はやぶさ」を管理するJAXA(宇宙航空研究開発機構)と、その前身である宇宙研(宇宙科学研究本部)の歴史を描いたドキュメンタリーである。
宇宙研は、「はやぶさ」を運用する現在も、ロケットから運用ソフトまですべて自家製である。「万能の個人を期待せず『集団によって万能』」(283ページ)というのが、宇宙研の「やり方」だそうだ。経済原則も必要だが、科学者・技術者として、こうした理念を知ることも大切であろう。
本書の前半は、そんな宇宙研の創始者である糸川英夫博士の奮闘を中心に話が進んでいく。
糸川博士といえば、われわれの子どもの頃には「ロケットの父」として憧れたを抱いた方である。だが、なぜかテレビや新聞で見た記憶がない。もちろんご存命であったわけだが(1999年死去)、すでに私が子どもの頃にはロケット開発の第一線を退いておられた。その顛末は、本書に詳しく記されている。その下りを読んで、いつの時代も、独創的な科学者・技術者は不遇であると感じた。
宇宙研が、なぜ液体燃料ではなく固体燃料を選んだのか、なぜカッパ・ロケットには誘導装置を搭載していなかったのか、なぜミュー・ロケットまでは細身だったのか、なぜ内之浦に発射場を設けたのか――すべては糸川博士が、日本のロケット開発を成功させるために編み出した作戦だった。
■メーカーサイト⇒ 幻冬舎 はやぶさ
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