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IT業界もマーケティングを考えてビジネスをすべきだと思う。
「マーケティング」に関する本を読む度に、我らが IT 業界はマーケティングから程遠い世界で活動しているな、と少し情けない気持ちになる。本書は、そんな IT 業界人でも気軽に読める入門書である。
マーケティングの神様と称されるコトラーは、「サービス産業が収益を上げて成長するには、従来とは異なる新たな顧客価値を創造し、他社にない独自のサービスを提供すること」(188 ページ)だと言ったそうだ。我らが IT 業界も、システムを介して顧客の価値を増大させるのが仕事だから、もっとマーケティングに関わるべきである。
コトラーは、マーケティングに関する幾つかの定石を置いているが、その1つであるポジショニング――
・自社の競争優位性を明らかにする
・最適な競争優位性を選ぶ
・総合的に最適なポジショニングの戦略を決める
――これくらいはやっている IT 企業は多いだろう。
では、コトラーが指摘するところの「価格設定で企業が犯す 3 つの過ち」――
・コスト算出だけで、価格設定を行う
・収益だけを考えて、価格設定を行う
・価格設定に弾力性がない
(100 ページ)――については留意されているだろうか。人月コストを積んだ見積書を出していないだろうか。プロジェクト採算を重視し、戦略的な価格設定を行ったことがないということはないだろうか。
顧客は、「暮らしに役立ち、手ごろな価格の製品を求めている」(16 ページ)のである。我らが IT ビジネスは、果たして、この根源的な要求に応えているだろうか。
■メーカーサイト⇒ 酒井光雄/日本経済新聞出版社/2007年4月 コトラーを読む
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