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親が小学生くらいの子どもに作文を教えるためのヒント集であるが、作文に限らず、子どもに勉強を教える際の心得集としても役立つ。
作家の清水義範が、小学生のための作文教室を行っていた実体験をベースに週刊誌に連載した記事を単行本化したもの。親が、小学生くらいの子どもに作文を教えるためのヒント集である。
著者は、「巨人の星」のスパルタ親、星一徹が飛雄馬を教育するような場面を交えてノリノリで書いていたと言うが、どうも滑っているような気がしてならない。まあ、清水さんの文章はいつもそう感じるので、いまさら呆れかえることはしないわけだが――。
本書を読むことで、子どもへの作文の教え方が間違っていないことの保証を得られた。絶対に正しい教え方というのはないだろうが、少なくともプロの小説家がそう言っているのだから、絶対に間違いということもあるまい。
たとえば「作文指導に道徳を持ち込むな」(190 ページ)――「自分がしたこと、目撃したこと、感じたこと、考えたことなどを、文章でもって他人に正しく伝えるのが作文」(152 ページ)なのだから、倫理的に問題があるような文章が書いてあったとしても、その場に道徳教育を持ち込むのはよろしくないということ。私もそう思う。道徳は道徳で、食事の時や一緒にテレビを見ながら教えてやれば良い。
これは、何を教えるかという目標を途中で取り違えてしまう好例であり、適用できるのは作文だけではない。
小学生といったら、大人と比べて知識や経験に彼岸の差がある。ひとつひとつの分野を丁寧に教えていかなければならないわけだが、大人はそれを分かっていながら、ついつい一度に多くのことを教えようとする。これは新入社員教育(とくに OJT)でも言えることだ。教えられる側としては混乱を来し、かえって学習効率が落ちる。
というわけで、本書は子どもを教えるための心得集としても役立つ。
だが、著者の考えに納得しているということは、自分もまた滑った文章を書く大人であるということなのだろうか‥‥。
■メーカー/販売元 清水義範/講談社/2005年10月
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