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2008.09.25
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カテゴリ: 書籍

IT産業崩壊の危機

IT産業崩壊の危機


 ソリューション・プロバイダとしてのやり方に問題があるのではないだろうか。

長年、日経BP社の IT 系雑誌の編集者を務めた著者が、現在の日本の IT 業界に対して苦言を呈する。
「M&A を駆使してまで、大手が構造転換を急ぐのは、SI ビジネスの限界が見えているからだ」(113 ページ)というのは、まさにその通りで、近年、大手 SI 企業がベンチャーを含む中小ソフトウェアベンダーを合併する動きは活発だ。だが、自ら“物づくり”をしなくなった SI 企業は、果たして生き残ることができるのだろうか。
名内・日立システム前社長の言葉を引用し、「ユーザー企業は馬のつもりで発注したが、IT ベンダーは鹿だと思う。しかも鹿に『首を長くしてくれ』『斑点をつけてくれ』とユーザーの要求を次々に付け加える。結果、出来上がるのは、騏麟の姿だ」(114 ページ)と指摘する。もちろん、「麒麟」は空想上の動物である。こんな設計会議に明け暮れている SI 企業は少なくないだろう。
ただ、本書では具体的な解決策が示されているわけではない。もちろん、具体的な方策は各々の企業が考えるべきである。ただ、冒頭で「『ソリューションだけで飯は食ってはいけない』のだ」(27 ページ)と指摘されているのは事実ではあるが、真実ではないと考える。お客さんの“お悩み”を解決するソリューションプロバイダーは、人間がいる限り、無くなることはない。製造業も流通業も、じつは私たちの“お悩み”を解決し、よりよい生活を提案してくれるという意味では、皆、ソリューション・プロバイダーなのである。この世の中、ソリューション・プロバイダーでない企業体は存続できない。
となれば、IT 業界に元気がないのは、適切なソリューションを提供していないからではないだろうか。前述の「麒麟」の話もそうであるし、富士通サービスのフィリップ・オリバー氏が指摘する「IT 業界は 50 年の歴史があるのに、まるで 10 代のような振る舞いをしている。今晩 10 時に帰宅すると言っておきながら、夜中の 2 時に酔って帰るようなものだ」(152 ページ)というのも当たっていると思う。
私たち IT 技術者は、お客さんの“お悩み”を解決するために、時には IT プロフェッショナルとしてお客さんに意見しながら、歩調を合わせて進んでいくべきだと思う。


■メーカー/販売元 田中克己/日経BP社/2007年12月

■販売店は  こちら








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最終更新日  2008.09.25 20:03:29
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