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子どもたちに厳格なルールを押しつけている大人の側がルールを守らなければ、子どもたちが悩み暴走するのは当然の帰結だと思う。
思春期の問題に限らず、学級崩壊、学力低下、携帯電話、インターネット、ニートといった幅広いテーマを取り上げ、対策を低減している。
著者は、「実践が“空洞化”している」(98 ページ)として、ルールや管理を押しつけるだけの「大人」の姿勢を問題視し、まず大人の側から改善する必要性を強調する。
私も同感である。
飲酒運転をしてはいけないのは当たり前のルールだが、「まあまあ」ということで飲んでしまうのが大人の常である。一昔前、ルールが緩かった時代ならそれも許されたろうが、子どもたちに厳格なルールを押しつけ、自分たちは「まあまあ」というのはいかがなものか。さらに突き詰めると、健康に害があると、くどいほど箱書きしてあるタバコ――なぜ 20 歳以上なら吸っていいのか。これを論理的判断ができるようになったばかりの思春期の子どもたちに説明できる大人は、果たしているだろうか。
こうした大人のダブルスタンダードの解釈に悩む真面目な子どもたちが、判断に苦しんだ結果、暴走するのではないだろうか。著者も、「最近の少年による凶悪事件は、ほとんどが『まじめな子』の犯罪」(122 ページ)と指摘する。
子どもは親の背中を見て育つという。ぶれない、壁のような背中を持った大人として生きていきたいものである。
■メーカーサイト⇒ 尾木直樹/岩波書店/2006年3月 思春期の危機をどう見るか
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