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こうした「心」をもったアスリートを会社で抱えることは、他の大多数の一般社員に良い影響を与えるに違いない。
2008 年の北京五輪で、フェンシングで日本人初の銀メダルに輝いた著者の自伝。
小学校 3 年生からフェンシングを始め、小・中ともに全国大会制覇。高校時代には史上初のインターハイ 3連覇を達成。高校 2 年の時に出場した全日本選手権では史上最年少優勝を記録した。国内では向かうところ敵無しだった著者が、世界の高い壁の前に挫折しかけ、所属先もなく「ニート剣士」として北京五輪を闘ったときの苦しさ、そして、森永製菓に入社が決まったときに涙の記者会見を行った結末まで、自身の心のうちを余すところ無く語っている。
アスリートは大変だ。五輪に向けて、それまで嫌っていたコーチにレッスンを付けてもらうため、犬のように付き従い、「何でもやる。そのかわりに勝たせてくれ!」(154 ページ)と心の中で叫んでいたという。
でも、そこから生まれる人間関係が、また素晴らしい。大学時代の先輩から「お前がやっているのは日本のいいところを吸収した日本のフェンシングの集大成だ」(71 ページ)と言われたというが、その言葉が本書の最後に再び登場する。フェンシングは個人技であって個人技でない、奥が深い世界なのだろう。
こうした「心」をもったアスリートを会社で抱えることは、他の大多数の一般社員に良い影響を与えるに違いない。だが、昨今の不景気の中、つぎつぎと企業運動部が廃部になっていくのは、企業にとってさらにマイナスになるような気がしてならない。
■メーカーサイト⇒ 太田雄貴/小学館/2008年12月 太田雄貴 騎士道
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