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団塊世代と団塊ジュニアの狭間に埋もれた新人類世代は、そもそも空気を読まないわけだが‥‥。
「最初から、言いたいことを口にしないで、人と同じようなことだけを話していることを和だとするのは、言葉の履き違えでしかないわけである」(36 ページ)、「一空気を読む-という行為の底辺には『周回からの批難を恐れる』『孤立する勇気を持たない』といった心的背景があるのは疑いようがない」(38 ページ)等々、書いてあることはいちいちもっともなことばかりなのだが、読んでいて、いちいちカンに触るのはなぜだろう。著者はテレビにも出演しているのだが、その時から感じていたことである――おっさん、なぜ、いちいち反抗するの?、と。
著者は、いわゆる団塊世代である。彼らの人生は社会への反抗ではじまり、やがて社会に迎合し、バブルを引き起こし、そして一気にリタイアしようとしている。その人生の中で迎合しなかった者の中には、何らかの成功を収めた者もいるようである。著者は、そんな迎合しなかった者たちの一人に過ぎない。けっして「一流」ではない。
かつて団塊世代から「新人類」と呼ばれ蔑視された我々の世代は、その成り立ちからして迎合することがない。団塊世代と団塊ジュニアの狭間に埋もれた少数民族のようなもので、迎合したくても迎合する相手がいない。かろうじて同じテレビ番組、同じプロ野球チーム、同じアイドルの話題で集まることができるわけだが、それとて、個々人が極めてマニアックな(オタクな)レベルに到達しているので、迎合することを良しとしない。そのためにコミュニケーションが成立しないこともしばしばで、「新人類」という有り難くない渾名をいただいた。
だが、各々の専門領域において、迎合しないという意味において、一流の人は多い。
思うに、「空気を読め」とか「KY」といった言葉を普及させたのは、団塊ジュニアを筆頭とする就職氷河期世代ではないだろうか。だとするならば、その子たちを育てた著者の世代にこそ問題がある――だから、読んでいてカンに触るのだろう。
■メーカーサイト⇒ 堀紘一/角川書店/2008年10月 一流の人は空気を読まない
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