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あなたたちとの思い出を、私は大切にします。
ロボット短編SF集だ。本書に登場するロボット「ピイ」は、おそらく、 アイザック・アシモフ * のロボット短編SF集「 われはロボット 」に登場する「ロビィ」を彷彿とさせる。
専門分野での活躍が期待されながら生産中止された人型ロボット「ピイ・シリーズ」は、20 年ほど前に実際に流行った 人工知能
*
(AI)や エキスパート・システム
*
を思い起こさせる。
当時、その研究やプログラムを書いていた自分としては、お客さまのニーズを聴きながら
システムを組み立てている今の自分が、まるで「ピイ」であるかのようだ。
しかし、ヒトである私には定められた寿命がある。永遠を生きるピイが、「あなたたちとの思い出を、私は大切にします。より正確に記憶するために、よろしければ、あなたたちが何を失いつつあるのかを教えてください」(101 ページ)と語る場面は切ない。
ピイを破壊しようとする謎の男、ピイを修理する謎の老人集団、そして歳をとらない少女――一癖も二癖もある登場人物が、最後に一堂に会するシーンはなかなか読み応えがある。
■メーカーサイト⇒ 菅浩江=著/東京創元社/2007年10月発行 プリズムの瞳
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