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「世間」が流動化して、どこにでも現れるようになったのが「空気」なんだ
著者は、「『世間』が流動化して、どこにでも現れるようになったのが『空気』なんだ」(51 ページ)と言う。言い得て妙である。
人は一人では生きられない。だから、家族とか会社といったコミュニティーに頼る。宗教も同じである。しかし、家族や会社といったコミュニティが徐々に崩壊し、宗教を持たない現代日本人は、非常に不安である。だから、ほんの一時でも良いから、「空気」という「世間」をつくりだし、そこに依存しているのである。
さらに著者は、「人は不安になった時、原理原則に戻る」(190 ページ)と言う。
近年、会社がコンプライアンス遵守を叫ぶのは、この表れかもしれない。以前は会社毎のルールがあった。社員は会社というコミュニティに囲われていた。しかし、終身雇用制度が崩れ、転職した社員がいつ何時、前の会社の問題点を暴露するか分からない。
こうなると、会社は原理原則を守らざるを得なくなる。
そして、こうした空気に染まることもなく、原理原則に縛られることもなく、日々不安を抱えている人が鬱病になってしまうのではないだろうか。
■メーカーサイト⇒ 鴻上尚史=著/講談社/2009年07月発行 「空気」と「世間」
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