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著者・編者 | 布川郁司=著 |
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出版情報 | 日経BP社 |
出版年月 | 2013年12月発行 |
著者は、「うる星やつら」「魔法の天使クリィミーマミ」「NARUTO」「BLEACH」などの制作を手掛けてきたスタジオぴえろの創業者、布川郁司さん。
高田明美先生描き下ろしのクリィミーマミの表紙やセル画風の中表紙とは打って変わって、中身は随所にお金の話がちりばめられている。それもそのはず。KADOKAWA や徳間書店ではなく、日経BP社が出版したビジネス本なのだから。
クリエイターはもちろんのこと、私と同業のシステム・エンジニアの方にもぜひ読んでいただきたい。お客様を喜ばせるため、自分の技術を向上させるために仕事をするのも大切だが、本当のプロなら金勘定ができなければいけない。
冒頭で布川さんは、わが国のハード産業の行き詰まりの打開策をソフト産業に求めているが、お客様に末永く使い続けていただける製品を世に送り出すという職人根性が日本産業の真骨頂ではないか。じつはハード/ソフトという区分に意味はなく、職人が集まって会社となり事業を継続しているのが、スタジオぴえろの凄さだと感じた。
スタジオぴえろは、1980 年(昭和 55 年)から NHK で放映されたアニメ「ニルスのふしぎな旅」のために創業した。覚えていますよ、その時のことを。
布川さんは「お金には、実は 3通りしかありません――1.自分のお金、2.もらったお金、3.借りたお金」(103 ページ)といい、「自分のお金を増やすためのカギは、著作権(ライツ)に関係するビジネス」(107 ページ)にあると強調する。
これを実践したのが「魔法の天使クリィミーマミ」である。リスクが高いオリジナル作品だが、関連商品によるロイヤリティ収入が入ってきた。だから、クリィミーマミはステッキを持っているのだ。
布川さんは「ぴえろ」創業にあたって、タツノコプロから人材を引き抜いたことを反省し、
「どんなに人が欲しくても、他社から引き抜いちゃダメだ」(29 ページ)という。「「いなくなると困る人材」については、自分の会社で育つのを待つしかない」(128 ページ)というのが信条だという。
また、マネジメントについては、「同じ人間が、クリエイティブとマジメントの両方をやるのはやめたほうがいい」(215 ページ)という。「マネジメントについて考えるとクリエイティプが消されてしまうし、クリエイテイプばかりにこだわると、お金がなくなってしま」うからだ。
最後に、映像コンテンツ・ビジネスについて「無料での直接配信」(258 ページ)が一番いいと指摘する。制作現場あがりの経営者だけあって、われわれ顧客のニーズをよくご存じでいらっしゃる。
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