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著者・編者 | 海堂尊=著 |
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出版情報 | KADOKAWA |
出版年月 | 2014年7月発行 |
『 ナイチンゲールの沈黙
』に登場し、『モルフェウスの領域』では世界初のコールドスリープにあった佐々木アツシが目覚めた。コールドスリープを開発したヒプノスの技術者、西野昌孝を後見人とし、アツシは睡眠学習により優れた学力を身につけていたが、平凡な少年に見えるように努力する中学校生活が始まった。
クラスの問題児、麻生夏美がクラス委員長になると、アツシの日常生活が徐々に狂い始める。麻生の父は、ヒプノスとライバル関係にあるアルケミストのシンクタンクの部長だ。
高校に進学して間もなく、アツシは北原野麦から告白される。睡眠学習の成果では考えられない北原野麦のキャラクターに途方に暮れるアツシ。ボクシング部に入部し、試合に出たアツシは、いままで隠していた出自が知られてしまう。さらに、文化祭の出し物を巡って、アツシが住んでいる未来医学探究センターで合宿が強行される。
オンディーヌこと、『モルフェウスの領域』でアツシを見守っていた日比野涼子と西野の関係は? ゲーム理論の権威者、曾根崎伸一郎教授が提唱した「凍眠八則」の裏に隠された謎は? 果たしてオンディーヌは目覚めるのか?
そして、アツシの物語は『 医学のたまご
』へと続く。
終盤のアツシと西野の対決は、アイザック・アシモフのロボット SF シリーズを彷彿とさせる。「凍眠八則」は、「ロボット工学三原則」のようにミステリーの縦糸を構成する。そして、東城大学の教授となった田口先生をはじめ、一癖も二癖もある登場人物たちが横糸を紡ぐ。舞台が学園であるうえに、ラノベのように台詞中心で進む本書の登場人物たちは、全員が中2病のように感じさせるが、じつは清く正しい中2病である若者たちこそ医者になるべきという海堂医師のメッセージではないかと考えさせられた。その意味でも、本書は『医学のたまご』の正統な序章である。
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