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著者・編者 | ロバート・A.ハインライン=著 |
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出版情報 | 早川書房 |
出版年月 | 2015年1月発行 |
『ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業』(The Unpleasant Profession of Jonathan Hoag,1942年)‥‥自分がどんな仕事に就いているかを尾行して調べてほしいというジョナサン・ホーグの奇妙な依頼を受けた私立探偵のエドワード・ランダルと妻シンシアは、次々に謎の出来事に巻き込まれてゆく。ホーグに近づくなと警告する医師、存在しないビルの13階、鏡の中の世界、鳥の御子と呼ばれる謎の集団――そして、ホーグが最後に明かしたこの世界の真実とは‥‥。
『象を売る男』(The Man Who Traveled in Elephants,1957年)‥‥ジョンとマーサの夫婦はいつも一緒に旅をしていた。マーサはお祭りが大好きだった。マーサが亡くなり、年老いたジョンは一人で旅を続け、ある日、乗っていたバスが事故に遭うが、何とか目的の博覧会場に到着する。会場は盛況で、スタッフたちはジョンを歓迎する。そして、象のパレードに付いていったジョンは、彼女に出会う‥‥
『かれら』(They,1941年)‥‥幽閉された男はチェスを指しながら、ヘイワード医師にこう言う「ぼくの周辺にあるような、こんな巨大な、こんな複雑な狂気は、計画されたものにちがいないんだ。ぼくはその計画を――つまり陰謀を発見したんだ!」。ヘイワード医師は逆に「あるいは、なにもかも陰謀かもしれない。だが、なぜきみは、自分だけが特別にその陰謀の対象にえらびだされたと思うんだ?」と問いかける。男は「ちがう! それこそ、いつもあなたたちがぼくに信じさせようとしていることなんだ。ぼくが、ほかのなん百万の連中とおなじ、その中の一人にすぎないと。そんなことはない」と主張する。だが、この男は精神病院に収容された患者ではなかった‥‥
『わが美しき町』(Our Fair City,1948年)‥‥駐車場の管理人パピーには奇妙な友だちがいた。つむじ風のキトンだ。腐敗した市政を糾弾する記事を書いている新聞記者のピート・パーキンズは、キトンが古い新聞を抱え込んでいることに気づき、ろくに清掃もできない市長の弟よりつむじ風に任せた方が安く能率的だという記事を書く。市長は警察を動員してピートを逮捕するが‥‥。
『歪んだ家』(And He Built a Crocked House,1941年)‥‥建築家クウィンタス・ティールは、過剰空間をもった住宅を思いついた。ホーマー・ベイリーに新居を作るための小切手を切らせ、カリフォルニアに四次元的超立方体の住宅を建てたティールは、ホーマーと夫人を案内する。だが、3人は建物から出られなくなってしまう。
『ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業』‥‥現代であればファンタジーに分類されるであろう本作品は、バッドエンドの物語である。ホーグの依頼を受けたランダル夫妻は、不幸としか言いようがない。ただ、こうした世界の不条理を描き、読者自身に考えさせることは、小説の大きな効用の1つだと思う。ハインラインがSFを小説に押し上げた功労者であることは、疑いが余地がない。なお、本作が刊行された1942年は、旧日本軍が真珠湾を攻撃した1941年12月の直後のことだ。当時のアメリカ社会の不安を連想させる。
『象を売る男』‥‥お祭りが、この世とあの世を結ぶ懸け橋だという考え方はアジアの文化かと思っていたが、本作品がそれである。高橋留美子の漫画『境界のRINNE』の設定を連想させられた。
円環の理 」が連想される。このアニメも、また、SFである。脚本を書いた虚淵玄さんは、同じはインラインのSF『宇宙の戦士』とプロットが似ているアニメ『翠星のガルガンティア』の脚本も担当しており、きっとハインライン・ファンですよね(笑)。
『かれら』‥‥80年前の作品であるにも関わらず、反医療・反原発といった昨今の陰謀論者の心理をよく掴んでいる。そして、陰謀論者に満足がゆくエンディングだ。死してなお、時代を批判し続けるハインラインのおそろしさよ。
『わが美しき町』‥‥社会風刺はハインラインの十八番。この作品が発刊された直後の1950年代、アメリカにマッカーシズムの嵐が吹き荒れる。
『歪んだ家』‥‥地震が多いカリフォルニアの地の利を巧みに使った短編。
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