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2022.03.16
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カテゴリ: 書籍
ガニメデの優しい巨人

ガニメデの優しい巨人

 ハント「宇宙そのものがおかしくなって破裂しても、ガニメアンたちは後に残って破片を拾い集めてもと通りにしようとするだろうね、きっと」
著者・編者 ジェームズ・P.ホーガン=著
出版情報 東京創元社
出版年月 1981年7月発行

コンピュータ・セールスマンからSF作家に転じたイギリスのジェームズ・P・ホーガンが処女作『星を継ぐもの』の続編として著したSF長編だ。身長8フィートの巨人ガニメアンが、2500万年の時を超えて人類の前に姿を現す――。

木星の衛星ガニメデで発見された2500万年前の巨大宇宙船をめぐり、生物学者クリスチャン・ダンチェッカーを中心に科学者たちの議論は続く。謎の酵素、二酸化炭素への耐性の低さ。そして、宇宙船に乗っていたガニメアンたちは、何らかの理由で地球のほとんど全ての種を惑星ミネルヴァへ移住させた。
ある日突然、未知の宇宙船が木星探検隊に接近してきた。乗っていたのはガニメアンだった。その宇宙船は、2500万年前にミネルヴァを出発したシャピアロン号。そして、シャピアロン号を制御するコンピュータ「ゾラック」が、ガニメアンと地球人の会話を相互翻訳し、たちまちコミュニケーションが確立できた。しかし、ゾラックは戦争を理解できなかった。ガニメアンは威張らず、驕らず、決して他を貶めなかった。一方、彼らは自ら卑下せず、謙遜せず、決して他に媚びなかった。ガニメアンは間違っても脅迫的な言辞を弄さず、また仮に他からそのような態度を示されたとしても一向に恐れる気配はなかった。そうした気質は、ミネルヴァにおける生物進化の過程にあった。
ミネルヴァに肉食動物はいなかった。ガニメアンもベジタリアンだったが、たちまち木星探検隊は意気投合し、スコッチ・ウィスキーとガニメアン酒を酌み交わした。

ガニメデに埋もれていたガニメアン宇宙船の部品を流用し、シャピアロン号の修理が完了した。シャピアロン号はミネルヴァの残骸である冥王星を訪れ、厚い氷原の下に眠る同胞を弔った。
ガニメデに戻ってきたシャピアロン号は、ほどなくして地球へ向かった。ハントとダンチェッカーもシャピアロン号に同乗し、地球に帰還した。人類はガニメアンを歓迎した。
6か月にわたってガニメアンたちは地球を隈なく旅行し、世界中の国々を訪れてそれぞれの行き方を知ることに努め、文化に触れ、住民に接した。社会的な地位の上下、貧富、有名無名の別なく、彼らは公平に行く先々で人間と言葉を交わした。

ある日、ガルースは、ミネルヴァのガニメアンは、ルナリアンの星図に残された〈巨人の星〉へ向かって移住したとして、シャピアロン号に乗ってそこへ向かうと宣言し、一族を率いて地球を後にする。主任科学者シローヒンは「あなたは、どこかの恒星間空間に向かって死の旅に皆を連れ出そうとしているのよ」と、ガルースに詰め寄った。ガルースはシローヒンと機関長ジャシレーンに、地球の生物進化の真実を語る。一方、地球に残ったダンチェッカーは、データと推論の果てに、ガルースが語った真実に辿り着いており、それをハントに語った――。

地球を訪れたガニメアンたちが、「インドとUSAは遠く離れているのにUSAにレッド・インディアンがいる」「アメリカ大陸の東に西インドがある」「白ロシアの人はピンク色」など、21世紀の小説では書きにくそうなネタを、ズバズバ発言するところが面白い。ホーガンは、自身の世界観をガニメアンに語らせているように思えてならない。
だが、ガニメアンは聖人君子ではない。司令官ガルースは、自責の念から、一族を再びシャピアロン号に乗せて、〈巨人の星〉へ向かって出発する。
彼らのその後がどうなったのか――続編『巨人たちの星』で明らかにされる。






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最終更新日  2022.03.16 12:31:20
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