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2022.07.18
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カテゴリ: 書籍
ハイペリオンの没落(上)

ハイペリオンの没落(上)

 デュレ神父「ソツィヌスはAD16世紀イタリアの、異端的な神学者です。彼の信条は――この信条ゆえに彼は破門されたのですが――こういうものでした。神は万能の存在ではなく、学び、かつ成長するものである‥‥ちょうど世界が‥‥宇宙が‥‥より複雑になっていくように、と。じつはわたしも、ソツィヌスの異端に踏みこんだのですよ、ソル。あれがわたしの、最初の罪だったのです」(327ページ)
著者・編者 ダン・シモンズ=著
出版情報 早川書房
出版年月 2001年3月発行

連邦の首都惑星TC 2 (タウ・ケティ・センター)から、惑星〈ハイペリオン〉で蛮族〈アウスター〉と戦うために、連邦が誇る〈無敵艦隊〉が出陣していく。第2のジョン・キーツの復元人格であるジョセフ・セヴァーンは、連邦CEO(最高運営責任者)マイナ・グラッドストーンに呼び出され、要人たちと出撃の映像を見ながら、「まあ、あんなものでしょう」と言い放った。
グラッドストーンと2人きりになったセヴァーンは、〈時間の墓標〉にいる巡礼の様子を語る。セヴァーンは夢の中で私立探偵ブローン・レイミアとつながっていた。
フィドマーン・カッサード大佐は、ルナール・ホイト神父とレイミアを追って〈翡翠碑〉へ向かった。レイミアの目の前で、何者かがホイト神父を切り裂く。
連邦は劣勢に立たされていた。グラッドストーンは巡礼の脱出を認めず、セヴァーンに側近リイ・ハントとともに〈ハイペリオン〉へ転移するよう命じた。〈ハイペリオン〉に降下したセヴァーンとハントは、領事の部下だったシオ・レイン総督に迎えられる。レインは、〈ハイペリオン〉の難民を受け入れるようグラッドストーンに伝えてほしいと申し出るが、ハントは冷たく断る。
セヴァーンは、かつてレイミアの恋人だった物理学者メリオ・アルンデス博士に出会い、いまでもレイミアを愛しており、〈時間の墓標〉のデータを集めることで彼女を救いたいという。セヴァーンは「できるだけのことはしてみる」と応じた。
〈ウェブ〉へ戻ったセヴァーンは、晩餐会に出席し、グラッドストーンが演説する中、戦争は芸術だと語る芸術家たちに取り囲まれる。晩餐会を終えたグラッドストーンは、将軍たちから〈ハイペリオン〉へ連邦が保有する3分の2の艦艇を増援すべきと進言を受ける。ウィリアム・アジャンタ・リー中佐が増援に反対するが、その意見は採り上げられなかった。

フィドマーン・カッサード大佐は〈翡翠碑〉でモニータと戦う。だが、カッサードは為す術もなく敗れ、目の前にシュライクが出現する。未来から時間を遡ってやって来たというモニータとシュライクとともに、カッサードは〈モノリス〉の中で輝いているフィールドをくぐった。
〈スフィンクス〉の中で、12時間前に死んだはずのホイト神父の遺体は、ポール・デュレ神父として蘇った。寄生体〈聖なる十字架〉による再生。デュレ神父は死ぬ直前の記憶を保っていた。夜中、グラッドストーンは、ゲートをくぐって巡礼たち各々の故郷の惑星を訪ねて回った。
最後に月を訪ね、2338年の〈大いなる過ち〉でミニ・ブラックホールに呑みこまれてしまったオールドアースの跡を眺めた。そこでハントが現れ、アウスターが〈ハイペリオン〉ばかりでなく10ヵ所以上の星域で〈ウェブ〉そのものに対して攻撃態勢に入ったことを告げた。

行方不明になっていた聖樹船〈イグドラシル〉船長ヘット・マスティーンが瀕死の状態で現れるが、謎を残したまま死んでしまう。脳死状態に陥ったレイミアは行方不明になる。領事はホーキング絨毯に乗って宇宙船へ向かおうとするが、墜落してしまう。デュレ神父は谷の奥へ進んでいった。ついにソル・ワイントラウブと娘レイチェルが残された。ソルの前にシュライクが現れ、彼はレイチェルを差し出した。そして、〈時間の墓標〉が開いてゆく――。

『ハイペリオン』の続編。〈時間の墓標〉へ下りていった巡礼たちのその後の様子を描きながら、前作と異なり、宇宙空間における〈アウスター〉の攻撃というスペースオペラ的な描写が並行してゆく。巡礼を中心とする主要登場人物の各々が別の場所、別の時空で戦っており、その場面がめまぐるしく切り替わっていくので、読む方も一苦労させられる。






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最終更新日  2022.07.18 12:47:23
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