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著者・編者 | 篠月しのぶ=著 |
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出版情報 | KADOKAWA |
出版年月 | 2013年11月発行 |
西暦2013年2月22日、人事部課長の男はホームから突き落とされ死んだはずだった。だが、〈 存在X
〉により、〈 帝国
〉と呼ばれる軍事国家で、産まれたばかりの女児 ターニャ・デグレチャフ
として転生させられた。ときに統一暦1914年7月。ターニャは、この理不尽な〈 存在X
〉は神などではなく、悪魔だと確信した。
孤児院で育ったターニャは、軍に志願。10歳にならない幼女が魔道少尉となった。彼女は北方のノルデンで着弾観測を行っている最中、敵・協商連合の アンソン・スー
中佐が率いる魔道中隊と遭遇。満身創痍になりながらも敵魔道中隊を撃退し、帝国の勲章の中で最も価値の高い銀翼突撃賞に推挙された。だが、叙勲課長の エーリッヒ・フォン・レルゲン
少佐は「兵器として完成した子供などそら恐ろしいだけだ」と感じていた。
怪我から回復したターニャは、技術検証要員としてクルスコス陸軍航空隊試験工廠に転属になる。そこで、 アーデルハイト・フォン・シューゲル 主任技師が開発した画期的な演算宝珠 エレニウム95式 を試験することになるが、これが非常に扱いにくい代物だった。それを欠陥品と指摘するターニャにシューゲルは激怒するが、そこに〈 存在X 〉が降臨し、神の栄光を称えることでエレニウム95式が完全稼動する〈 奇跡 〉を示した。
11歳になったターニャは帝国軍大学に入学し、参謀本部戦務参謀次長 ハンス・フォン・ゼートゥーア 准将と出会う。彼女は前世の記憶から、この戦争が世界大戦になるだろうと示した。彼女は、敵の戦争継続能力を削ぐために魔道大隊の創設を提案する。ゼートゥーアはターニャを少佐に昇進させ大隊を組織させる。ターニャは安全な後方勤務に就こうと、魔道兵士に限界ギリギリの訓練を課すことで大隊編成の時間稼ぎをしようと目論むが、当てが外れ、 第203航空魔道大隊 という精鋭部隊が誕生してしまう。
2016年1月からアニメ放映がはじまった『 幼女戦記
』の原作。 カルロ・ゼン
さんはウェブ小説として連載ライトノベルが書籍化され、作家としてデビューした。
ページの隅に解説として登場する用語――シカゴ学派、マーフィーの法則――はビジネスマンにはお馴染みのものばかり。また、マルサスの人口論、つじーん級、といった用語は、世界史フリークにはお馴染み。そして、ROEの解説に「株主資本利益率ではなく、交戦規定のこと」と記されているのには笑ってしまった。カルロ・ゼンの中の人は、ターニャちゃんの中の人と同じ、かな~りのオッサンではないかと。御本人が「清く正しいカフェイン愛好家兼作家」と自己紹介されているので、間違いないw
ラノベなので背景描写は少なく、登場人物の台詞と心理描写が中心なのだが、にもかかわらず、第1巻が400ページ超というボリュームはどうしたもんだか。このため、一般的なラノベの倍以上の価格設定となっており、読者の悲鳴が漏れ伝わってくる。
原作の挿絵を担当している 篠月しのぶ
さんの絵と、細越裕治さんがキャラクター・デザインを担当したアニメの絵柄は全く異なるのだが、ターニャちゃんの人外風味は、 高橋葉介
さんを連想し、懐かしさを覚えた。
原作の背景描写は、アニメが有り余る描写力でカバーしている。国別の兵装の描き分けは、実在の兵器をモチーフとしているものが多い。さらに、3D CGで描かれる演算宝珠、とくにエレニウム95式のそれは、4コアCPUをモチーフとしているでしょw
ターニャちゃんの声を担当している 悠木碧
さんの演技力がハンパなく――とくに第伍話「はじまりの大隊」の終盤で宣戦布告するシーン――たいへん完成度の高いアニメとなっている。
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