PR

プロフィール

パパぱふぅ

パパぱふぅ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2022.11.27
XML
カテゴリ: 書籍
天変地異の地球学

天変地異の地球学

 束を『いなす』、『かわす』方法を考えること、束とのつきあい方を考える必要がある。(38ページ)
著者・編者 藤岡換太郎=著
出版情報 講談社
出版年月 2022年8月発行

地球科学が専門で、「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成した藤岡換太郎さんが、天変地異を駆動する巨大サイクルの根源に迫る。

「天災は忘れた頃にやってくる」というのは物理学者・寺田寅彦の言葉だが、一生のうちに一度か二度経験するような地震・台風・噴火・津波などの記録をたどると、それらは一定の周期で起きているようだ。
1940年代から1950年代にかけては、やたらに台風が上陸した時期があった――1947年のカスリーン台風から1959年の伊勢湾台風まで。日本列島は、「4つのプレート、4つの気団、4つの海流」(43ページ)に囲まれており、このことが天災の複雑な周期をもたらしているようだ。
そして、藤岡さんによれば、天災は束になってやってくるという。この「束を『いなす』、『かわす』方法を考えること、束とのつきあい方を考える必要」(38ページ)があるという。

さらに長期の天変地異――オルドビス紀末や三畳紀末などの生物の大絶滅、地球磁気の反転、スノーボールアース――これらも周期的に起きており、3000万年と2億5000万年という周期がありそうだ。ここには、マントル対流によって引き起こされるプルームテクトニクスが関係しており、超大陸の生成を分裂と連動しているようだ。なぜスーパープルームが起きるのか、なぜ超大陸ができるとスノーボールアースになるのか――話は銀河系の回転に及び、藤岡さんは空想科学的な仮説を提示する――経験豊富な地球科学者の仮説だけに、空想科学にとどまらない予感がする。

阪神淡路大震災、平成の豪雨災害、東日本大震災‥‥大きな自然災害が起きるたびに、行政は、耐震基準を変えたり気象予報を変えるなど〈科学的〉な対応をとってきた。だが、本書で藤岡さんが提案しているように、必要なのは自然災害の「束を『いなす』、『かわす』方法を考えること」ではなかろうか。
天災の原因が地球システムにあるとしたら、それを止めることはできない。止めることは地球の死につながるからだ。
われわれ日本人は古くから、荒ぶる神としての自然と付き合ってきた民族である。こうした考えを〈科学〉と結びつけ、犠牲者が1人でも減るような生活スタイルを目指してはどうだろうか。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022.11.27 11:11:21
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: